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花宵道中(新潮文庫)
花宵道中(新潮文庫)
宮木あや子/新潮社
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総合評価

210件)
4.2
74
86
23
6
1
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    第5回 女による女のためのR-18文学賞で、大賞と読者賞を受賞した作品です。 江戸は吉原での遊女のお話。花魁のお話なので作中に性描写があるので、好き嫌いは分かれるかもしれませんが...女性作家のためか、美しく切なく描かれています。 ♡ブログにて詳しいレビューしています♡ https://happy-books.hateblo.jp/entry/books-hanayoidouchu

    3
    投稿日: 2025.10.31
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    指切りの始まりは遊郭、なんて話が有名ですよね。 自分の指を切ってまで誰かに捧げたい愛があるのだろうか、と平凡な自分は思っていましたが花宵道中を読んでそりゃあ指切りが生まれたって可笑しくないよなと感じてしまいました。 遊郭の艶やかさと切なさ、美しさに闇深さ、こういった耽美な世界が今もまだ現代で遊郭を舞台にした作品が作られている理由のひとつなんだろうと思います。 朝霧姉さんが好きすぎて1本目からしんどかったですが、最後まで読めて良かった。最高の小説です。

    8
    投稿日: 2025.10.02
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    大人なテーマでした。当時の女性たちの美しさ、儚さ、残酷さなどがひしひしと伝わってくる文章でした。とても面白かったです。

    1
    投稿日: 2025.08.25
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    ここには「地獄」と言われた吉原の女郎たちのドラマが詰まっていた。 しかも、これでもかというほど残虐な設定が次々と明らかになる。性描写もあるが、吉原では必然のこと。むしろ男に抱かれることを細かに描くことで、女たちの、運命の残酷さをさらに際立たせている。たとえ相手が惚れた男でも、むしろその方が悲劇でさえある。 今年の大河ドラマでもかなり吉原の現実が突きつけられていたが、実際はもっと厳しいことがよくわかる。小説の設定として、さらに残酷な仕立てになっているが、それを省いても、売られてきた女たちの運命は決して明るくない。

    0
    投稿日: 2025.04.14
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    江戸の遊郭を舞台にさまざまな(悲)恋を描いた作品 現代を舞台にしたら絶対描けないような 胸が締め付けられる心情が 思いの外淡々と描かれている 艶やかというか儚いというか 初の作家さんだったけれど、他の作品ももっと読んでみたいな

    1
    投稿日: 2025.03.16
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    大河ドラマを見て久しぶりに手に取る。 そういうシーンもしっかりと描写されていて官能小説といえばそのとおりだけど、遊女たちの心のうちの描写の細かさに、胸をうたれた。 みんながみんな、苦しい、つらいと思っているわけではない。 「十六夜時雨」で、朝霧が客の男に啖呵を切る姿は粋だ。 十把一絡げに「遊女」を描くのではなく、それぞれの人生を見つめ、作中では語られない生い立ちも見つめる作者の眼差しを感じた。

    5
    投稿日: 2025.01.21
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     R-18文学賞、吉原の遊女を描く物語‥などの惹句に、邪推する自分がいましたが、どっこい! 薄っぺらな「官能小説」と片付けられない、質の高い文学性あふれる宮木さんのデビュー作でした。  6編で構成される連作短編集で、各編毎に主人公の遊女が変わり、時系列を交錯しながらつながっていきます。それぞれの章がリンクし、伏線が美しく回収される様は、見事な構成力と感じました。  独特な廓・花魁言葉もほぼなく、時代小説特有の古くささも感じさせず、すんなり入り込めます。  遊廓の物語なので、確かに生々しく官能的な描写もありますが、いやらしさを感じさせない綺麗な文章です。むしろ、女性たちの過酷な境遇、懸命さ、心の機微が繊細に描かれ、湿気と清廉さが両立し、官能を超越した切なさ・美しさが漂っています。  また、四季折々の情景が物語に色を添え、花街の「表」の賑わいと華やかさ、「裏」の嫉妬、欲望や願い、諦念などの対比の描写が秀逸です。  全編を通じて、ままならない時代背景、女の強さと儚さ、そして気高さなどが、「たった2人の花魁道中」の美しい場面描写に象徴・集約されていた気がします。遊女の痛みに共感、などと軽々しく言えませんが、素晴らしい遊郭絵巻であり、著者の遊女たちへの鎮魂歌なのですね。  以前、『春狂い』の狂気と幻想に度肝を抜かれましたが、本作に、より感銘を受けました。あの『校閲ガール』(原作未読も、石原さとみのTV観てました)とホントに同一作者? このギャップ、すごっ!

    58
    投稿日: 2024.08.18
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    読もうと思った背景はさておいて、 初めて堪能した花魁、吉原、花街の世界観。 華やかで儚くもありとても悲しい。 出てくるワードも調べながら読み進め、勉強になりました。

    2
    投稿日: 2024.03.22
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    何回でも読み返してしまう。 官能的で甘く切なく、強く儚い遊女たちの物語。 初めて出会った学生時代の時からずっと大好きな小説。

    4
    投稿日: 2023.03.22
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    著者の文章は硬い。だがこの硬さがカジュアル過ぎず良い。初の単行本とは思えない完成度。 時代小説は読まず嫌いだったが本書をきっかけに抵抗がなくなった。 他の遊郭ものも何作か読んだが本書が一番面白く読めたのは小見世を舞台にしているからか、いかにもなありんす言葉が出てこないので登場人物に感情移入しやすかったのが大きいと思う。 遊郭ともあり出てくる衣装等の描写が美しく雅やかな情景が浮かぶ。 個人的には桂山メインの話があって欲しかった。ニコニコと優しくて優等生風な彼女が心の内で悪態をつく様子も読んでみたい。

    1
    投稿日: 2023.01.24
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    花宵道中(はなよいどうちゅう)  朝霧の草履の鼻緒は半次郎が染めたもの。 薄羽蜉蝣(うすばかげろう)  八津の妹女郎である茜の初見世。好いた男に抱かれたい。 青花牡丹(ぼたん)  朝霧の姉女郎の霧里とその弟である半次郎(東雲)の話。 十六夜時雨(いざよいしぐれ)  朝霧の妹女郎の八津が髪結いの三弥吉へ想いを馳せる。 雪紐観音(ゆきひも)  桂山の妹女郎の緑は話せない。でも三津姉さんとなら…。 大門切手(おおもん)  吉原の山田屋である女将、勝野の人生。 それぞれの話がリンクしていて、おもしろかった。 十六夜時雨では、八津の同郷である妹分の三津が いい味を出していて、彼女が亡くなるのが寂しかった。 それが、雪紐観音にも繋がっていて、 良かったなーと思いましたー。 花宵道中は、それだけで話がキレイに簡潔してると 思っていたら、青花牡丹との繋がりがあり、 とても複雑な話だったー!? 綿密に練られてるなーって感じたよー!! 遊廓のエロさと、せつなさを混ぜ合わせた話でした!!

    4
    投稿日: 2022.12.16
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    吉原を舞台にした連作集。まず吉原の描写が官能的で、現実ではない異世界に読者を誘う。一方で、さまざまな境遇の遊女たちの生き様や矜持は、人の強さも弱さも感じることが出来て、地に足のついた感情を呼び起こし胸を打つ。このバランスが見事!"エロくて泣ける"傑作。

    0
    投稿日: 2022.11.23
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    校閲ガールが面白かったので、宮木さんの本二冊目です いやぁー 面白かった 花魁の様々な女性の生き方 一冊を通して其々の人生が絡み合っている お見事でした

    0
    投稿日: 2022.04.17
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    江戸吉原の山田屋で起こるお話6編 連作的な感じでした 何人もの女郎が登場し彼女たちのそれぞれに それぞれの人生がありそれらが語られた エッチシーンもありますがそれ以上に彼女たちの 物語を知ることができました

    3
    投稿日: 2021.05.28
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    厳しい暮らし、過酷な過去・生い立ちも、ここでは珍しくない。 それを飲み込み割り切リながら生きてゆく女性たち。 それでも思いはつのる。淡い期待のかすめることもある。 浮世絵や絵巻物のように、しっとりと淫靡で美しい。 今に通じる辛さと、現在とポンと一拍置いたような儚さ、抜け感。 でも、やっぱり悲しいよ。 R-18文学賞作品。

    0
    投稿日: 2021.04.03
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    官能小説を読もう第二弾。 遊女たちの生き様を描いた作品だった。 官能小説だけど、その表現はどこか上品に感じられた。

    2
    投稿日: 2020.08.16
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    江戸時代の遊女たちの物語。 宮木あや子さんの本は、ただ文字を読み進めているだけなのに耽美な空気に包まれてその世界に惹き込まれてしまう。 陳腐な言葉の表現だけどピンクの世界に包まれるというか。 花宵道中の世界観はまさに私が大好きな宮木あや子さんワールドで完成している。 私の言葉では表現出来ないが、女ひとりひとりに焦点の当たった苦しくて悲しくて、そして甘い話。 短編集のような作りなのに全てが繋がっている。 私も彼女たちの人生に関わる1人かのように共に喜び共に悲しめる。 宮木あや子さんの本は女を強くしてくれる気がする。

    2
    投稿日: 2020.07.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    性的描写が激しくて、戸惑いましたが、各章の主人公が皆、芯の通った人物であることと、空や雪といった自然の描かれ方が美しいのとで、決して品が落ちるという感じはしませんでした。 物語の時系列が前後するので、読み終わったページに戻って確認することが何度かありましたが、時系列の乱れがむしろ効果的で、巧みな構成だと思いました。

    0
    投稿日: 2020.04.07
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    【男の言葉は真実⁈それとも嘘か。】女性のための純な官能小説⁈女の生き方とは生きづらさとは。愛とは。人は嘘をつく。傷つけないために嘘をついたり本心と裏腹に嘘をつき騙したり愛情の裏返し愛の為に嘘をついたり。女は男の言葉そのものを信じて受け止められるか、裏を読むか。言葉を信じ貫き続けるか。それは人生の臨終までわからぬのか。想いは間違いなく本気なのに抱かれたい人と交われない。純粋に人を想う気持ちは、どの時代も同じなのよね。想いを寄せる人を浮かべて他の人に抱かれる…切ない、悲しい、遊女の過酷な日常。悲恋。「熱で痺れたように、絡んだ指を振り解けない。…熱は雫のように溜り、身体の中の真ん中に炎の柱が立つ。」想いは心も体も真ん中にあるのにね。。 読了後に、映画があるのをしりAmazon prime Videoで鑑賞。 朝霧と半次郎。ラストシーンのラブシーン、とても美しいね。命をかけて愛してる。そこまで惚れ込む2人の愛。映画も観られて良かった。

    0
    投稿日: 2020.02.22
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    おもしろかった、ただの短編かなと思ったら人物たちが関連していて、少しずつそれぞれの背景や恋愛が明らかになっていくのがよかった。 みんな登場人物の女性が可愛らしく、どのキャラクターも好き。山田屋のお店の、庶民じみた感じにほっとする。境遇だって待遇だってひどいんだけど夢を売り続けた女性たちの華やかさが救いであり、山田屋には読んでいて愛着がわいた。 もちろん、そんな生活から抜けだせない女たち、惚れた男と一緒に生きながら好きでもない男に抱かれる女たちは辛いんだろうけど、 男の方だって、好きな女がいつも他の男に抱かれているというのは耐えられない葛藤があるんだろうなあと思う。女からしてみれば、仕事なだけだし、男のためにしてる仕事なんだと割りきってると思うけど。 一人の遊女が言っていたように、男だって女だって、誰もが惚れた人ばかりとうまくいくわけじゃない。実は好きな人がいるのにそれを心に抱えて夢を買いにくる男もいる、なんかそれって、別に遊郭の世界に限ったことじゃないよなと思う。 でも、好きな人とはうまくいかなくてもその後につながる。なんだろう、ほんとうに好きだった人、好かれていた人から向けられた表情を知ってるというのは、その人とうまくいかなくて終わりじゃなくて、 別の人と関係を深めるときでも、本当にこの人を好いてるんだろうか、好かれているんだろうか、というのがわかるのは、かつて好きだった人の顔を思い浮かべることができるからだ。 だから一時の感情でも好きだと思ったらその気持ちは大事にしたい。川を越えるかどうかは別として。

    3
    投稿日: 2019.07.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    やっと完読出来た。 数年前に購入したが、毎回青花牡丹で辛くなり読むのを断念していた。 久しぶりに本を整理しようと段ボールを開けるとこの本を発見した。 ブクログもインストールしたことだし、久しぶりに向き合ってみるかとページを開いたがまさかの一気読み。完読。 十六夜時雨で八津が幸せになりますようにと願い、三津の最期に涙し、緑の猫のような可愛らしさに萌え、大門切手で救いを感じた。 また読みたいな。数年後に。

    0
    投稿日: 2019.07.15
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    図書館で。 なんとなく借りてきたんですが1話読んでうん、まぁいいかなぁと。そういう気分じゃ無かったというか。だったら借りるなよって感じですが。ま、自分のモエポイントと違ったんだろうなぁ。

    0
    投稿日: 2019.02.15
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    先に読んだコミック版の原作。R-18文学賞受賞作。当然ながら、ストーリーは基本的に同じ。コミック版より遊女たちの情が深いように感じられる。濃厚な情交シーンが描かれているからだろうか。

    0
    投稿日: 2019.01.27
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    先輩が吉原は他とは違うんだ、あそこをそこらへんのデリヘルとかと一緒にすんなと力説しているのを思い出すわけだが、何が違うって予約していって駅まで車で迎えに来てくれると。でも帰りは歩いて帰ると。ともかく吉原のネームバリューはすごい。 やっぱ今でも金持ちの娯楽として流行ってんのかな。現代の事は分からんけど、江戸時代のシステムもなかなかにえげつなく、初回はお話だけよ、みたいなのから処女はめっさ価値があるのとか、おっさんの願望をうまく利用するシステムは昔も変わらんわね。 こういうの読むと、ホント男って勝手だわー、それに比べて女はいつもけなげに頑張ってるのね、って思うけど、まぁこれ小説だよって言われれば、ですよねーってなる。 でも適度にエロ(R18向けだけど)を交えつつ、切ない感じで攻めてくるんだから大概面白いやね。タッチとか君の名はと同じシステムだわね。

    0
    投稿日: 2018.04.21
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    凄い… この一言に尽きます。 美しくて、切なくて、儚くて、現代の小説には無いような感じ(舞台が江戸という事もあるのですが)がしました。

    0
    投稿日: 2017.01.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私の好きな時代軸であることもあり、ページをめくる手が止まりませんでした。 それぞれのショートストーリーかと思いましたが、緩やかに且つ深く繋がっているストーリー。叶わぬ恋は無いのだとでも、恋愛は時として人を狂わすなぁと思いました。でも、恋愛している人が幸せならそれが幸せなのでは無いだろうかとおもってしまいました。また、読み返したいです。 今でもふと、思い出してしまう作品です。 これが処女作なんて恐ろしい。

    0
    投稿日: 2016.11.20
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    うつくしいに尽きる。吉原で花魁として生きる女たちの生涯。この小説で描かれる恋愛はどれも純粋でうつくしい。人生の結末は悲しくとも、両想いのままに終わる悲恋は物語としてうつくしいとおもった。好き合った男女のセックスの描写がきれいでどきどきする、好きな男とするって女にとって簡単じゃなくとても重要な行為だとおもった。花魁同士の友情も泣ける。

    0
    投稿日: 2016.10.23
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    図書館 2017.10.6読了 ふぅ〜。ため息。 熱くて、冷たくて、渇いてて、じっとりと湿ってて…濃厚な時間を過ごさせてもらった。 章の頭にある日本の季節や風景の描写が素晴らしい。 読み終わってしまってさみしい…。 口は悪いが気持ちのいいねぇさんたち。 …それにしてもあまりにツライ仕事だ…。

    0
    投稿日: 2016.10.06
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    わたしには想像もできなかった遊女たちの日常。吉原での恋愛は切なすぎて泣きたくなるほど胸が苦しくなった。 何の知識もなくても、花魁への興味がなくても、楽しめる。 文字だけで、頭の中に色鮮やかなイメージが浮かぶ。その表現も素敵。

    0
    投稿日: 2016.07.05
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    短編が折り重なる緻密な構成。生きることが、生き抜くことが、その中で、自分を持つことがいかに過酷か。 「十六夜時雨」での八津と三弥吉の逢瀬と三津の父に関する告白がクライマックスか。最後の「大門切手」の弥吉のけなげさ、勝野のやるせなさも味わい深い。 読後、「甲斐性」という言葉、「頼もしさ」という言葉がしみじみと思い出されました。

    0
    投稿日: 2016.05.18
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    切ない。 誰もが果たせぬ想いを諦めている。 貫く女性もいる。 自分で決めた訳じゃないのに、誰だって幸せになっていいはずなのに。 看板女郎の桂山のエピソードはなかったけど、一番の売れっ子で呼び出しの位にいても、苦悩はあるんだろう。 客を選べるとしても、客を取らないでいいわけではない。 華やかな場面と、すごく暗い場面との対比がくっきりと描かれていて、暗いからこその華やかさなのかな、と感じる。 何の罪も犯していないのに、囚人のように生きなければならない女郎たち。 唯一、美しく着飾ることで、明るく笑うことで、きれいな景色を愛でることで、罪人ではないのだと主張しているかのようだ。 切ない美しさ、儚い豪華さ。

    0
    投稿日: 2016.03.16
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    あー、なんか…。 恋はステキだ、けど しちゃいけないって 自分自身に制約しなきゃいけないなんて… そりゃ、つらい。 個々に想いがあって… 微妙にずれたり、絡んだり。 そうやって生きてんだなぁ、って。 性の表現はなぜか エロさは感じにくく、 それよりも欲の純粋さが伝わる、感じ。 純粋にいきてみたい、と 勘違いさせてくれたかも。 あー、それと この頃の、日本って 生きるってたいへん。 縛られっぱなしだもんなぁ。

    0
    投稿日: 2015.12.10
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    遊女達の儚くも美しい数々の恋愛の話が収録されている短編集で、どの話もあっという間に読み終わった R-18文学賞受賞作品だが、女性達が一生懸命恋愛したり、生きている姿に感情移入し、胸が切なくなった。 一つ一つの話には伏線が張られていて、少しずつ繋がってるので後からなるほどと、納得する場面が多くあった。

    0
    投稿日: 2015.09.27
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    遊郭に生きる、女性の恋愛模様 同じ女性として、安易に感想をのべることはできない。 単なる物語として気楽に読めたら良かった。

    0
    投稿日: 2015.09.12
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    遊女の話。短編でどの話も切ない恋の話でした。特に朝霧の話はぎゅーっと胸が苦しくなりました。官能的な場面も見られたけれど読みたくない!と言う感じではない江戸時代の儚い恋が印象に残りました。

    0
    投稿日: 2015.09.05
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    —私たちの知らない吉原で、恋に泣いて、思いを遂げられないまま死んでしまった遊女たちの魂が、少しでも慰められることを願います。 この文章にたどり着いたときの体の重さといったら… 最初に読んだ花宵道中と、最後に読む花宵道中の違い。 読み進めるにつれ、繋がって厚みを増していく物語は、ページをめくる手を早くさせる。 最後の「大門切手」は後から追加された話しらしいけれど、心の落ち着く章で、とても好きです。ちゃんと朝霧が出てきて、勝野さんと一緒に思い出す。 思い出したときに、どの時代も綺麗な色に包まれていて、切ない。 花宵道中っていうタイトルと装丁が可愛いらしい。 官能小説の分類をされているけど、手に取りやすくて、吉原が好きな人はもちろん、そうでないひとも読みやすいと思う。

    0
    投稿日: 2015.08.30
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     タイトルから予想できるように、女郎たちの短編連作。 「何これ面白い」となる密度でした。1話1話の情報量がものすごく多い上に、切ない。 「女による女のためのR-18文学賞」受賞作品だけあり、生々しい単語は出てくるのだけれども、なんというか、こう、切なさを盛り上げるスパイスになっている。女、男、性格、経歴、そして愛情が絶妙なバランスで配置されている短編連作。  面白かった。しかし、さらりとは読めないので読み甲斐がある。  この内容を長編で書いたら読み切れないと思うので、この構成は実に見事だ。

    0
    投稿日: 2015.08.01
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    一応官能小説だからしょうがないけど、内容が薄っぺらい。ストーリーを楽しむような物語ではない。 でも作中で使われている形容詞や花魁言葉など、言葉の言い回しは雅やかで楽しめた。 2015/07

    0
    投稿日: 2015.07.26
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    遊女系の資料として手にとった一冊。個々の遊女たちの物語を一冊にまとめて、そこに吉原の恋と悲劇と歴史を描き出した一冊。エロいというよりも切ないという物語に吉原という舞台が見えるのはお見事。

    0
    投稿日: 2015.06.19
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    儚く残酷な宿命の中で、自分の道に花咲かせ散っていった遊女たちの物語。 本書が宮木さんのデビュー作。 非常に官能的で切なく、苦しく痛いけど淡い幸せもある、精神を随分と揺さぶられる作品でした。 遊女たちの連作小説ですが、この連作具合が非常におもしろくて、思わぬ視点で物語が解き明かされて、不思議な縁によって点と点が結ばれていく様が見事でした。 この時代、遊女たちは大抵貧しくて売られてきたか、人攫いにあってきたか、その生い立ちは壮絶です。 時に諦め、時に心を殺しながらも、恋に翻弄されたり、大事な何かを守りながら生き抜いていて、読み終わった後の余韻がなかなか消えません。 艶やかな衣装や髪型、美しく官能的な遊女に心奪われながらも、叶わぬ恋に、迫り来る死にいかに向き合っていくかという彼女たちの直向きさに何より気持ちを動かされました。 私なら一体、誰のように生きただろうか、と思いを馳せずにはいられません。 どんな業か、一番悲しかったのは朝霧の章。 とはいえ、他の章も引けをとらないくらい悲しくさせてくれますが、そんな中にある淡く小さな幸せが希望の光でした。 あとがきで嶽本野ばらさんが「全ての人間は尊いという揺るぎない思い込みがなくては、このブレのないストイックな文体は生まれてこない」と書かれていますが、まさにそのとおりだなと思いました。 安達ゆみさん主演で映画化もされているようで、そちらもいつか観てみたい。しばらく余韻が消えなさそうです。

    2
    投稿日: 2015.06.14
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    哀しい遊女の生き様。安達祐実さんがそれまでのイメージを一新した、って言われてるけど原作通りならそれにも納得。大奥で公家のお姫様演じてたときも和装似合ってたもんなぁ。男を信じては馬鹿を見る、そんな世界でも恋した方が幸せか…。映画、見てみたい。

    5
    投稿日: 2015.04.17
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    遊郭が舞台。遊女たちの報われない悲恋を描いた作品。遊郭が舞台というとどうしてもエロティックな印象が強すぎてどうも苦手意識があるのだけれども、新潮文庫の夏の100冊にも選ばれているし、さやかさんの装画も素敵だし…ということで読んでみた。確かに官能的な描写はあるものの美しい文章と言葉の選び方で嫌悪感を感じることなく読めた。寧ろそんなことよりも登場する遊女たちの叶わぬ恋に胸が痛む。美しく切なく儚い物語。処女作がこれとは素晴らしい。2012/531

    0
    投稿日: 2015.04.16
  • 儚い女性たち

    一軒の女郎屋で奉公している女性たちの切ない話。 時代物は苦手でなかなか手を出さないジャンルだけど、知人に薦められ拝読。 やはり情景描写に比重が偏り、入り込めなかったけど、姉弟の話は情念渦巻き、読ませてくれる。 解説の嶽本さんが傑作!

    0
    投稿日: 2015.01.30
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    吉原遊女のお話。 響きの良い言葉が散りばめられていて、 読んでいて心地よかった。 思いを遂げられない儚い恋も、 心情がわかりやすく描かれていたと思います。 一気読み。

    0
    投稿日: 2015.01.18
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    江戸吉原の遊女のお話。 オレ的には吉原炎上のほうが、インパクトあったので★3 ただコミックでも読んでみたい。

    0
    投稿日: 2014.12.20
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    章のタイトルからすごい好き。花宵道中、薄羽蜉蝣、青花牡丹、十六夜時雨、雪紐観音、大門切手。目で見ると日本語って綺麗だなーと思うよね。それだけじゃなくて声にして読んでみて。はなよいどうちゅう、うすばかげろう、あおはなぼたん、いざよいしぐれ、ゆきひもかんのん、おおもんきって。音程やリズム、舌と唇の動きが心地よい。これだけですごい満足した。 文章も巧いなー!これも声に出して読みたくなる日本語ですね。特に各章一行目は作者さんもかなり苦心したんじゃないだろうか。それぞれの章で印象に残るシーンがある。 心情の表現もどきどきしちゃう。「見ないで、でも目を瞑らないで。」。読んだ時衝撃を受けたよね。 話としては、どうなんだろう。時代小説素人、少女漫画はかじる程度、の身としては普通に面白く読めた。小さな世界の驚く人間関係とか、その心情を想像しては震えていたのだけど。吉原とか大奥とかの話を好きな人には陳腐になるのかな? 総じて満足度の高い小説。全体に漂う諦念と矜持と愛情のバランスが好きでした。

    4
    投稿日: 2014.11.28
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    切ないお話でした。 江戸吉原で、恋に泣いて、思いを遂げられないまま死んでいった若い遊女たち。 宮木あや子さんの美しい日本語が散りばめられていて、景色としても鮮やかです。 親が子どもを売るとか、年季明けとか身受けとか、そんな時代があったことは映画やドラマで知っていても、この小説を読んで(フィクションではあっても)、初めてかなりリアルに知らされた感じです。娘を持つ身としては切なすぎです。 特に冒頭の朝霧のストーリーが印象深かった。 映画になっているようですが、見ないと思いす

    2
    投稿日: 2014.11.23
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    吉原の遊女が主人公の連作短編集。文章の冒頭からこの世界に引き込まれて、どっぷり浸ることができました。 読み進めていくと、朝霧と霧里、半次郎この3人の関係性が判ってきて、表題にもなっている「花宵道中」が余計に切なくて、やるせない気持ちがこみあげてきた。 「十六夜時雨」八津の揺れる気持ちも、じんわりと良かった。

    0
    投稿日: 2014.11.10
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    「生きることは困難で生き抜くことはもっと険しい」けど、「生きてゆくのは諦めてしまえばそう辛くない」と、自分に言い聞かせながら生きていくのだろう。 R-18文学賞出身の作家さんはホントに文章がしっとりと熱くて切ないな。

    0
    投稿日: 2014.09.23
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    江戸時代の吉原遊郭の話みたいやから、なんか言葉とか古くて読みづらかったりしたら断念するやろな・・っておもっとったけど、そんなことはなく、むしろ言葉がすごく綺麗やから引き込まれる感めっちゃあった。 どの話も全部切なくって、もうずっと泣きそうになりながらよんどった。 目を背けたくなるくらい酷い話も出てくるげんけど、こんな辛い思いしてきた遊女たちに感情移入しすぎて、切ないながらも我慢して読んだよ。 読んでよかったと思った

    2
    投稿日: 2014.09.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    映画化されるということで読んでみた。 表題作の『花宵道中』は、好きな男の前で違う男に抱かれる朝霧に遊女の辛さみたいなものを感じたけど、自分が惚れた女を父親に目の前で抱かれた東雲も相当酷なものだなと思った。 『花宵道中』を読んだだけでは、半次郎が吉田屋を殺害した理由がいまいち分からなかったけど、関連のある『青花牡丹』を読んでその理由は納得した。この短編集の中で1番辛いのって半次郎なんじゃないかと思う。 男に夢を見させるための「商品」だから自分が恋をして夢を見ることは許されなくて、でもその初めての恋のために川に身を投げた朝霧や、恋した男と生きるために足抜けした水蓮、吉原でこのまま生きることを決めた八津とか、登場する女性たちは痛々しいくらいに真っ直ぐな生き方をしていると思った。

    0
    投稿日: 2014.08.23
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    独立した各話だけど、しっかり繋がってる部分が良くて何度か読み返してしまう。あと斉木さんの漫画版を読見返すと文庫も読みたくなる。花魁物には弱い自覚がありますが、良くある花魁1人の一代記ではないのが良かったです。お気に入りの花魁が読む人によって違うんじゃないかな。

    0
    投稿日: 2014.08.12
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    江戸吉原の遊女のお話。 主人公が異なる短編を読み進めるうちに、あの話の主人公は周りからこう見えていたとか、新しい発見があって面白いです。 今度映画化されるけど、朝霧のお話しかないのかな。。 全て読み終えてみると、この本の主人公は八津なのでは、と思えてきました。

    2
    投稿日: 2014.07.18
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    男に足を広げ、自分の夢は見ず、夢を見させ、売ることを仕事とする吉原の遊女たちの悲恋を描いた連作短編集であり、様々な遊女たちのつながりも多い。 女たちのR-18文学賞受賞作なので、性的描写は多いけれど、拒否するぐらいのイヤらしさは感じられない。様々な事情があり、吉原に売られてきた遊女たち。その遊女たちの置かれている立場や気持ちがすごくあふれていて、良かったです。表題作の『花宵道中』とその背景にあたる『青花牡丹』は、読み終わった後、奥深さを感じた。『十六夜時雨』もよかった。 この作品は、吉原の雰囲気や着物や小物の雰囲気など、コミックでも読んでみたくなりました。

    2
    投稿日: 2014.07.16
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    書店のポップで気になっていた作品。先日、信用出来る筋(氏は甘口に過ぎるトコあるが)の推しもあって手にしました。 普段、歴史小説、時代小説の類とは縁遠い、自分。 コレは江戸時代末期の吉原遊廓を舞台にした連作短編集。 各章ごとに主人公は異なりますが、それぞれがリンクしあっていますので、順を追って読んで下さい。 色々とあり、読了まで四日かかってしまったが、中五日とか空けたくはなかった。とても素敵なはなし。 表題作「花宵道中」「青花牡丹」「十六夜時雨」は特に良かった。 そして、「大門切手」オーラスが八津でなかったのに、グッときた。八津だったらたぶん、評価★★☆☆☆に下がってしまったろうな……。 自分程度では、色彩やディテールで映像喚起しにくい部分あるのも否めないが、映画化(読んでる途中で知った)は、様々な意味で興味そそられない。 コミックは読んでみたいかな?! R-18文学賞受賞作だけに官能系とみなされる部分もあろうかと思うが、根はソコでないと、自分は感じる。

    2
    投稿日: 2014.07.03
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    花魁のさまざまな生き様。 個人的には三弥吉と八津の話がとても印象的。 育む様も戸惑う様も交わる様も最後の判断もどれも切なく、 短いながら、とても儚いシーンが続く。 短編だし、官能的ではあるけど読みやすい。 好きな感じだった。

    0
    投稿日: 2014.05.07
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    江戸末期の吉原を舞台にした連作短編集。 楼閣山田屋で起こった出来事を時間軸を前後しながら描いていく。 デビュー作でもある『花宵道中』は、女郎朝霧が偶然であった男と恋に落ちる悲恋。 短編のため勢いでごりごり進み漫画的な非現実感があるなと感じた。 『薄羽蜉蝣』 朝霧の妹女郎・茜が初見世を迎えるまでの話。 『青花牡丹』 『花宵道中』で起きた事件の真相が明らかになる。父親に捨てられたあと、女郎となった姉と、着物職人となった弟が交互に物語を進める。 時間が行ったり来たりして若干わかりにくかったが、『花宵道中』とセットで読むとうまく仕掛けた話だなと思う。 『十六夜時雨』 朝霧の妹女郎で、茜の姉女郎である八津が主人公。 他の女郎たちが恋に破れ死んでいく姿を見て、自分はああはなるまいとシニカルに構えている。 『薄羽蜻蛉』の伏線を回収している。 一番スッキリした結末に感じる。 『雪紐観音』 山田屋でとびきり美しい女郎の緑が初見世を迎えるまでの話。『十六夜時雨』と平行して起きた出来事。 『大門切手』 少し時代が進み、山田屋の楼主が主人公となって自分の過去を振り返る。 うじうじしておらず、明快な生き方でトリとして相応しい物語だった。 ほとんどの登場人物が女でかつ女郎のため、名前で以外の判別が難しかった。書き分けられていない部分があるのか。 同じ人物が複数の話で出てくるが、どれも印象が違って、「色々な面がある」という表現より矛盾に感じてしまった。 掲載順に書かれたのかは不明だが、明らかに後半の作品のほうが読みやすく感じた。 でもデビュー作でこれは上等だと思う。

    2
    投稿日: 2014.04.24
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    内容紹介 どんな男に抱かれても、心が疼いたことはない。誰かに惚れる弱さなど、とっくに捨てた筈だった。あの日、あんたに逢うまでは――初めて愛した男の前で客に抱かれる朝霧、思い人を胸に初見世の夜を過ごす茜、弟へ禁忌の恋心を秘める霧里、美貌を持てあまし姉女郎に欲情する緑……儚く残酷な宿命の中で、自分の道に花咲かせ散っていった遊女たち。江戸末期の新吉原を舞台に綴られる、官能純愛絵巻。R-18文学賞受賞作。

    0
    投稿日: 2014.04.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「間夫(まぶ)がいなけりゃ、この世は闇」っていう 言葉があるとおり、女郎たちはつらい現実からひと時 でも救ってくれる愛する男を頼りに生きている。 「花宵道中」では女郎の朝霧が半次郎という男と恋に 落ちるが、ありふれた女郎の恋だと思って読んでいる と、「青花牡丹」っていうお話で二人に意外な縁が あったことがわかる。 その話を読んだ後では読後感が違ってきますね~ いやぁ・・・泣けました。 女しかいない女郎の世界ですから客の取り合いや、 足の引っ張りあいもあるわけですが、妹女郎の茜が 初めて客をとるまでの話を描いた「薄羽かげろう」や、 「雪紐観音」を読むと、こんな世界でも必死に生き抜い てやろうっていう女たちの気概も感じられて 「たくましいなぁ」と思う。 姉女郎の朝霧のこともあって、自分は絶対間夫なんか 作らないって思ってた八津ですが、身近な人物に心を 揺れ動かされ、恋に生きてこの吉原を抜けるかどうか の選択を恋人から迫られる「十六夜時雨」。 幼い頃に家族から引き離されてこの世界に長くいる彼女 たちですが、同じ妓楼にいる女郎たちが姉妹同然に なっていき、情がわくんだなぁと思うと、不憫ながらも そういう家族のようなものがあるってことに救われる 思いがした。

    0
    投稿日: 2014.04.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すずらん本屋堂で、紹介された本 幼い遊女達のはなし。みんなそれぞれひどい過去を背負いながらも毎夜好きでもない男に抱かれ いつか好きな人と吉原を出られたら…と夢を見る。 初めて好きになった男の目の前で前で、犯されてしまう子 父親におもちゃにされてその挙句 売られてしまう子 坊主の慰み者になってしまう男の子 好きな男と一緒になりたいばっかりに 吉原に火付けをしてしまう子 切ないです。 そして、びっくりするのが 色!!すごく色鮮やかな文章でした。 こんなにも日本っていろんな色があったことにも驚かされました。 紅・薄紅・深紫・青・桃色・若竹色・空色・鬼灯色…そして、白 いろんな色が出てきます。遊女たちの心を躍らせたり、悲しい気持ちを映したり、色の使い方がとてもすてきでした。 「雪紐観音」がよかったです。

    2
    投稿日: 2014.04.09
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    花街で生きる花魁の愛と生と死の話集。 それぞれ別人が主人公の短編集ですが、人間関係がどこかで重なっています。 設定からして無理もないですが、どれも切ないです。 ほんわかハッピーな恋愛小説には決してなれない。 特に髪結のお兄さんとの恋は本当に応援してしまったから、彼女の決断には苦しくなりました。 若者たちの道ならぬ恋を描くと思いきや、最後に収録されるのは年齢を重ねた店主のお話。これは締めに書かせない一編で、読後感が全然違いました。

    0
    投稿日: 2014.03.22
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    官能小説とは知らずに購入してビックリしたけど、ただの官能小説じゃなかった。物語に引き込まれ、あっという間に読了。

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    投稿日: 2014.03.13
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    熱情が痛いほど伝わってきて、 それがストーリーを追わせる説得力を持っていました。 頭で考える前に、どんどんページを進める小説でした

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    投稿日: 2014.03.07
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    時代小説、細川ガラシャのつながりで読み始めたけれど、結構きわどいシーン有り。吉原の基本的な知識があると、理解力が増すような気がします。残念ながら、私は現代の吉原の知識はありませんが・・・

    0
    投稿日: 2014.03.02
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    こいをしました。それをおろかなことだと、わらいますか。 吉原を舞台に、様々な人の愛がつづられる連作短編集。少しずつ登場人物は関わっている。吉原に抱く、ほのかに後ろ暗い美しさへの憧れが、作品の空気を作っていて、干菓子のようなほろほろとした甘さを感じた。 ジョシのために書かれた物語だ。R-18文学賞だからと色眼鏡で見て、敬遠しないでほしい。もったいない。

    0
    投稿日: 2014.01.25
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    描写も感情も生々しい 彼女らにとってはただ自分の運命に任せて生きてるだけなのかもしれないけど 今に暮らす私にとっては 一生懸命生きることってこういうことかと思わせられます

    0
    投稿日: 2013.12.22
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    言葉と思い、心と人が絡み合い離れてゆく。 そこで織りなされる物語が徐々に形になり 儚さの深淵の中に、花を咲かせる。 見世とよばれる花壇に咲く花は、 時に妖しく艶やかに、時に清楚に可憐に。 良い本でした。

    0
    投稿日: 2013.12.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宮木あや子の三冊目。賞をとった、真面目な官能的なシーンもある短編小説。 一話目で、だめかもと思って、二話目でまだ読めるかなと思ったけれど、三話目の出だしでもうだめだ〜と思った。 使い古された表現が多く、普通の官能小説を読んでいるのと対して変わらない気がした。舞台が遊郭なだけで。 残念。

    0
    投稿日: 2013.11.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女性読者を対象とした小説ではあるけれども、中身はどう言いつくろってもエロ小説なので、未成年の方は自己責任でどうぞ。 吉原遊郭を舞台にした、オムニバス形式の小説なんだけど、一つ一つが切なくて哀しくて辛い。 身を売らざるを得ない立場だからこそ、より一層悲劇的になる。 もちろんお仕事中の描写もしっかりあるので(言葉は古風だけれど)、 切ないしエロいし!みたいな、女性が楽しめるポイントをしっかりついてる素敵な作品だと思う。 女性向けのAVが最近流行ってるみたいな話も聞くけど、 これなんか映像作品にしたら結構いいだろうなぁ~と思う。 まぁ、映像の前に漫画化されてるんですけど。 うーん、漫画……読んでみたい、気はする。 アマゾンのレビューは悪くないけど。

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    投稿日: 2013.11.06
  • 吉原が舞台の物語

    色町舞台じゃあハッピーエンドとはいかないが、 艶なる生き様ごらんあれ。

    0
    投稿日: 2013.10.01
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    えろてぃっく の中に 女郎たちの それぞれの思いがあり… 切ない… 勝野だけは幸せになれるといいなぁ…

    0
    投稿日: 2013.09.22
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    面白かった!意外に! 朝霧から始まり茜、霧里、八津、三津、緑、最後に勝野、と。見事な構成。 吉原をまっとうした勝野だけにほんの少しの幸せがあったことは皮肉かな。 でも出てった遊女たちも立派に戻ってこないってことは、 桂山とか八津は堂々と大門切手をもらって出られたのかなー。 そうだといいな。江利耶は女将になっちゃうのかしら。 個人的には朝霧がいちばんすきかな。なんとなく。 にしても半次郎も東雲も三弥吉も、出てくるのみんないい男。色男。笑 切ないけどとても奥深くて読み応えありました。

    1
    投稿日: 2013.08.24
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    引き締まった文章だな、密度のある文章だな。これが二、三行宮木さんを初めて読んだ感想でした。隙がなくて息苦しくなるような、だけどこちらを突き放すような文章です。毅然とした、というんだと思います。 そのせいで少しとっつきにくいかなと読みはじめましたが、慣れてくるこのには構成の見事さ、人と人とのつながり、叶わない想いのやりきれなさにぐいぐい引き込まれました。吉原は、姉や、妹や、義理の関係だけどずっと繋がっているんだなあと思いました。三弥吉さんが好き。 素っ気ない文章のせいか、濡れ場がきわだって艶っぽかったです。やる瀬ない状況のこともあるのかもしれません。お客として登楼してきた三弥吉さんがつらかった。緑ちゃんも好き。 霧里と、弟、朝霧をめぐる一連の話がとても好きです。あの世でどうにか再会しててほしい。そこがたとえ地獄でも。

    0
    投稿日: 2013.07.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あー・・・・・ 切ないです・・・・・ 遊女達の恋のお話です。 独特の世界ですね。詳しくないのでところどころわかりませんでしたが、歴史初心者の私でもクリアできました。 宮木さんも描写がグサっと来ます。ますます切ない。 朝霧、霧里には幸せになってほしかった・・・ すべてのお話を読むとつながっていっているのが楽しいですね。 姉から妹へ、そのさらに妹へ。 こういう短編集好きです。

    2
    投稿日: 2013.07.21
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    面白く読めた。 一時期、遊郭について自分なりに色々と調べていたので、その思い描く街の風景と合わせて読む事が出来た。 どのお話も関連性があり、気付くと次へ次へと頁が進んでゆく。

    0
    投稿日: 2013.07.14
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    文章がとってもキレイで素敵です。この話の一番の見どころはやっぱり話の区切り方。作品をいっそう魅力的にしてます。読後感も良い!主人公が5人いるので、飽きずに最後まで読めます

    0
    投稿日: 2013.06.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    吉原を舞台とした話としても、細かく書かれてて面白い。 小説として見ても、とても面白い。 同じ廓の中で、時代を行ったり来たりしながら話が繋がっていて、徐々に色々な事が見えていく話の作りになっている。 章ごとに主人公の花魁が変わるが、どの主人公も自分で道を選んで生きていく姿が力強くい。 力強く生きて行きながらも、遊女と言う立場・遊郭という中、色々と自由になれない環境の中で選ぶ道は中々ハッピーエンドにはなれない。 置かれた環境の中で、自分に選べる一番の幸せを探して行く。 どの主人公の話も、とっても切ないです。 感動ではなく、悲しい・切ない・理不尽そんな気持ちになります。

    0
    投稿日: 2013.05.27
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    とにかく、文が、凄く上手いなぁっと感じた。廊下の冷たさだったり火鉢の暖かさだったり、物語の中での出来事なのに、身近に感じられるような背景描写は、なんとも言えなかった。 話は、どの話も悲しい話が、多いんだけど、登場人物一人一人に、しっかりと血が通っているような感じがしていいと思った。

    0
    投稿日: 2013.04.29
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    堪能した。 この一言。 血肉の通った、時代小説。 今も昔も変わらない世の無常さ、女達の儚さや愚かさ。 絢爛豪華な着物や嬌声、華やかな宴の裏ににある 目を覆いたくなるような、鼠色の現実。 時代の波に飲みこまれてしまわぬよう それぞれの場所で、必死に生き抜いた彼女達のことを 私は愛しく思わずにはいられない。

    2
    投稿日: 2013.04.17
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    こんなに官能的とは知らず!読み始めは驚いた。出てくる人物が少しずつ話しに絡み合ってるあたしの好きな流れだけど、時間軸まで変わるから一苦労…。後半まで読んでるのに最初の話しに戻ったりしながら読み進めた苦笑 なかなか複雑な人間関係、反吐が出るような設定も。しかし現実はこんなもんじゃなかったんだろうね……。

    0
    投稿日: 2013.04.09
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    絢爛豪華な衣装の描写、遊女たちの矜持や意地、華やかさと猥雑さ。 想像していた以上のリアルさで遊郭を描いた作品。 ベースには男女の恋愛があるが、遊女同士の友情や師弟愛ともいうべき姉女郎と妹女郎の関係性。 基本的には暗い話が多いですが、ほろりとさせらる話もあってバランスが良い印象。 娯楽性だけでなく、きちんと当時の情景描写なども凝っていて興ざめすることがない。 人物のかき分けも素晴らしく、女郎たちの艶やかながらもすさんだ生活が目に浮かぶようでした。

    0
    投稿日: 2013.04.04
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    最初から最後まで切ないような、悲しいような、寂しいような内容にため息が止まらなかった。 短編のようで全体でなんとなく繋がっていて、 時系列がバラバラなのが少し読みづらいですが、 そこも飽きずに読めるポイントだと思います。 時代物は苦手ですし、知らない言葉や知らない世界が多かったのですが、 すらすら最後まで読めました。 R指定と書いてありますが、何の気恥ずかしさもなく文学として読めました。 時代物を避けている方もこれなら楽しく読めると思います。 私が読んだ恋愛物の中でも素晴らしい本。

    2
    投稿日: 2013.03.18
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    R-18文学賞受賞作。 買った経緯は忘れたが、冒頭を少し読んだら吉原の話だったので、あ、これ苦手、と暫く積んでおいた。今回積読消化月間で渋々読み始めたらみるみる引き込まれた。これは面白い!やはり食わず嫌いはイカン。短編集のようだが連作で、様々な視点から女達の生き様が浮き彫りにされる。客に五文銭を投げつけた朝霧の啖呵にはみな快哉を叫んだのではあるまいか。三津の「生きてゆくのは、諦めちまえばそんなに辛くないよ」が心に沁みた。嶽本野ばらの渾身の解説も必見。 あとウスバカゲロウは子供の頃から薄馬鹿・下郎のイメージだったのに、正しくは薄羽・蜉蝣だったので驚いた。幼虫がアリジゴクなのは知っていたが。 p.211 「お座敷の遊び方も心得ん人に暖簾をくぐられたら、うちの暖簾が汚れます。あんた、羅生門なり風呂屋なり行って、一発五文の鉄砲女郎でも買っておいで」 冗談ではなく、朝霧は袖から何枚かの五文銭を取り出し、ばらばらと卯之助の前に投げ出した。 p.218 「座敷遊びも心得ん人に、うちの暖簾がくぐれるもんか。羅生門なり風呂屋なり行って、一発五文の鉄砲女郎でも買ってきな」 叫びながら袂に腕を突っ込むと桂山は、ばらばらと五文銭をばらまいた。 p.313 「何で泣いてたのか知らないけど、生きてゆくのは、諦めちまえばそんなに辛くないよ」

    3
    投稿日: 2013.02.06
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    どの話も切なくて読了後しばらく引き摺られてました。遊廓ものだから性描写が出てこないと成立しない訳で。R18指定も付いてるし覗き見されると確かに気まずい文面もありますが、別に性的興奮目的で見てないし…気にせずカフェにて没頭。 宿命を受け入れ必死に生きた女性達の強さ気高さそして報われない恋に涙腺が緩みました。 以前ゲーセンの前世占いで花魁と印字が出た時周りにからかわれ、私も軽視してしまっていたけど本当は血の涙を流しながらいつか抜けられる日を指折りながら懸命に生きてた。 巻末の2行の作者の思いにも視界が泪で曇りました。 -私の知らない吉原で、恋に泣いて、思いを遂げられないまま死んでしまった遊女たちの魂が、少しでも慰められることを願います-

    3
    投稿日: 2013.02.05
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    さすが宮木あや子。 女が読んでエロい。 解説で嶽本野ばらさんが書いているように、吉原が舞台で女郎がヒロインだからこそ、このエロティシズムは成立しているんだろうね。 実際には過酷だと分かってはいても、山田屋の禿になって姉さんたちに可愛がられてみたいなぁと思ってしまう。

    1
    投稿日: 2013.01.10
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    『女による女のためのR-18文学賞』大賞受賞作品。 不幸な生い立ちを背負って江戸の遊郭・吉原に集う遊女たちが許されざる恋に身をやつす、切ない恋物語を描いた群像小説。 R-18設定なので、自宅でひっそり読むことを強く推奨します。

    0
    投稿日: 2012.12.31
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    日経WOMANの本紹介から知って購入。 吉原の花魁達の短編連作が、6本。 表題作が1番好きだけど、どれも甲乙つけ難い… エロいけど、それがメインではなく楽しんで読めます。 登場人物が総じて魅力的。 水蓮さんが一番幸せだったんじゃなかろうか。

    0
    投稿日: 2012.11.26
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    連作短編集。 一番最初の話がリンクしていく。美しい構成。 吉原ってやっぱり地獄だよなあ。売られてからご飯を食べられるようになったって言ってたから、救われたこともあるのだろうけど、体売って、死んだら寺に捨てられて。

    0
    投稿日: 2012.11.25
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    初めは帯の文章(この官能小説がすごい!)みたいなのに少し圧倒されたけど(笑) 官能小説って言葉でくくっていいのか?ってくらいいろんな要素がある作品だと感じた。 強くて美しくて悲しい花魁の世界。 ありがちな暴力シーンやイジメなどは控えめで読みやすい作品。

    0
    投稿日: 2012.11.03
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    個人的に劇的な話ってのはあまり得意ではないのですが… おもしろかった。 エロ切ない。 江戸吉原が舞台。 それぞれの話の登場人物が、各話で絶妙に絡み合う。 やはり、女の人が女を描くって、変な甘さがないから好きだ。 現実が、しっかりと妙な幻想や夢を打ち砕いている。 それでいて、美しい。 見事だー。 しばらく物語を自分なりに噛み砕いて考えた。 今の女性は、この中で自分が誰っぽい、とかはなかなか当てはめられないのではないか、と。 時代や、遊女という職業柄ももちろんあるだろうけど、今この時代には、こんな女性たちはいないと思う。 それがいい。 その距離感が一番、のめり込むのが難しいようで(共感性の低さゆえ、云々…)、一番、興味深くあるのではなかろうか。 ある意味、絶妙な設定な気がする。 生々しく、卑猥なのだけれど、不快な印象を残すことは決してない。 それは、どれもすごく人物たちが血の通っている感じに読みとれて、そこに単純な思いばかりがあるわけではないから、そう思えるのかも。 とりあえず、映像化したらいいのではなかろうか。 地味な顔かつ、演技うまい人で… 読む人に必ず爪痕を残せる作品だと思う。

    0
    投稿日: 2012.10.28
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    どの話も切ない。当たり前のように人買いがいたり、毎日ご飯が食べれるなら御開帳なんてどうってことないという考え方があったり、現代よりもみんなが生きる事に貪欲だった江戸時代の吉原が舞台の恋物語集。短編ばかりだけど登場人物はみんなリンクしてて物語が変わる度に『お、今度の主人公はこいつか!』とわくわくした。吉原なだけに性描写が多いけど不快になるようなものではない。女郎たちもなんだかんだで性根は良さそうな印象で、人間関係も案外ドロドロしてなくて良かった。そのぶん恋物語に特化してるのかな。現代の、恋人からメールが返って来ないだとか恋人が素っ気ないだとかいうのが贅沢な事に思えた。そうやって恋人との距離感は昔と大きく変わってしまっても、恋人を想うと胸が苦しくなったり恋人に触れられるとドキドキしたりするのだけは今も昔も変わらないのかな。個人的な話だけど今まさに私が読みたかったような話ばかりで超満足でした。

    2
    投稿日: 2012.09.17
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    『吉原』や『遊女』という要素が、単なる格好付けのギミックとして扱われておらず、丁寧な下調べと考証が描写に生かされています。登場する女性達が、しっかりとした芯を持ちながらも、その境遇のせいかどこか諦めている雰囲気を漂わせているのも遊郭ならでは。作品の出自が出自なので、濃密な性描写が多いのですが不快感はありません。無くても作品は成立すると思いますが、これがあるからこそ、男と女の情念と深い悲哀が際立ち、読後には喪失感にも似た余韻が残ります。物語に入り込んで読むスタイルの方ならば、燃え尽きる事ができるでしょう。

    0
    投稿日: 2012.09.17
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    読み易すぎて時代小説と思えませんでした。悔しくて、切なくて、艶やかで、美しい。登場人物たちのつながりもおもしろい。わたしはとくに緑が好きです。

    0
    投稿日: 2012.09.11
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    一人の女郎、朝霧から始まり彼女を取り囲む様々な人物がそれぞれの章で語られ、最後は彼女を拾った山田屋の楼主、勝野までぐるりと一周する。 以外な巡り合わせや繋がりにドキドキしてしまう。恋に落ち吉原から逃げ出す者、諦めて一生吉原に骨を埋める者。全ての人が悲しい。泣けます。

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    投稿日: 2012.09.07
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    江戸吉原の小見世山田屋を舞台に、遊女たちの悲喜交々を描く連作短編集。 単行本の時からいつも買おうか買うまいか迷っていた一冊。デビュー作だからなぁ(しかも表紙が…。もう少しかっこいい装丁にすればよかったのに)、と侮っていたら読んでびっくり。文章の安定感がピカイチで予想外にストーリーに没頭出来た。 本を閉じたくなるようなエグイ場面もあったが、遊女同士の意外にもあたたかい人間関係に救われて読み通せた。 他の作品を読むのが楽しみ。 ☆女による女のためのR-18文学賞大賞

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    投稿日: 2012.09.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    泣くだろうなぁと思っていたけれど、覚悟してしまっていた分泣けず…。ただやっぱり物凄く切なかった。 いろいろな女の哀が単なる短編としてではなく折り重なるようにして一つのお話になっていたのが印象的。 逃げた二人は幸せになれたのかなぁ…。

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    投稿日: 2012.09.04
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    本作は「女による女のためのR−18文学賞」の大賞受賞作であり、対象読者は当然女性なわけです。 ですが、舞台は江戸、吉原遊郭。当然男性もいないと成り立たない街なわけで、、 男性として読み切ることも問題なし。だと思います。 吉原の遊郭の見世、つまり “店” には、本作主人公である女郎以外にも、様々な役割を持つ人々がいたそうです。 女将や、見習い女郎である禿(かむろ)、新造(しんぞう)、 遣手と呼ばれる客引きなんかも見世の構成員。他にも、髪結い屋なんかも見世に出入りします。 そして吉原に導かれる男たち。皆それぞれ強烈なストーリーを持ってます。 これらのストーリーが本当によーく絡み合います。肉体的にもです。 過剰な演出・邂逅も確かにありますが、吉原遊郭は体の重なり合い場のであり、 物語の入り組み方もその暗喩として機能し、不自然になりません。 むしろ耽美なアンサンブルって感じで、読者を惹きつけます。 物語では、女郎の日常について詳しく描写されますが、 遊郭は、親元から不可抗力で連れてこられた少女らが性を売る、精神的な極地です。 商売として擬似恋愛に慣れ、心は固着していきます。 そんな彼女らも、様々な状況によって固まっていた心が揺さぶられます。 ただの恋愛慕情でなく、人を求めるって事がどんな事なのか、強烈に、かつシンプルに描かれていると思います。 シンプルで愛のあるセックスの描写といったら、半端無しにエロい。。 でも、とにかく切ないです。 この本を通勤時間を利用して読み切りました。 今思えば大それた、そして勿体無い事をしてしまったなと、、反省しております。

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    投稿日: 2012.09.04
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    久しぶりに文章が美しいと思える作品でした。 一行目からそそられ、なんとなくぐいぐいと最初の章を読み切ってしまいました。 R−18賞を受賞している本作ですが、Rの描写なんかよりも吉原の女たちの切なく狂おしい恋心の描き方が秀逸です。 女心とは時代を越えても同じだと思わされます。 短編の繋がり方も、ついぐっと引き寄せられてしまう。 確かに少々つっこむ箇所もある部分もあるのですが、 これが一作目だとするならば今後の話も楽しみです。

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    投稿日: 2012.08.29
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    朝霧、茜、霧里、緑、八津、三津、桂山・・・。 読んでいる最中の興奮から抜け出せな い。 江戸の話は好きな方だと思っていたけれど、これは好き過ぎる。 期待通りの進みっぷりも、失うものは何もない遊女たちの突き抜け感も大好き。 あたしは遊女だったのだろうかと思うくらいこの話が好き。 宮木あや子さんってこの作品がデビュー作なんだ。 2006年R-18文学賞大賞受賞。

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    投稿日: 2012.08.22
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    意地でも自分の生を貫く人。なんでかなぁって思いながら小さくなる人。一瞬でが果てる人。最後に笑えれば、納得いけば、とかそういうのとは違くて、受け入れていくという感じ。肌の白さとか、血の赤さとか、切れるような寒さとか、髪を結う油のにおいとか、想像しては興奮。お風呂のシーンでのぬか袋が妙に印象的。

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    投稿日: 2012.08.21