
総合評価
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powered by ブクログ最初の職場に一番仲がいい人が出来ることに共感、新しい職場の人達はすでに仲がいい人がいる。人生の目標に「長生きです。」って言える人間性が好き。
0投稿日: 2025.11.05
powered by ブクログ「勤労感謝の日」における害悪マッチョイズムへの抗い方だったり、「沖で待つ」の男女間の名前の付いていない関係性、このあたりのマインドは自分が特に大事にしているものなので、共感どころか超ミラクルフィット。太っちゃんがこの瞬間どんな心境でいたのか手に取るようにわかる。 しょうもないイベントで疲れたあとに近所の馴染みの店でお湯割りを嗜むことを「夜を買う」と表現するセンス。流行りのAIでは到底辿り着けない人肌の温もりをもった表現に出逢えたとき読書をしていて良かったと心底思える。積極的に使っていきたい「夜を買う」。
1投稿日: 2025.10.06
powered by ブクログ絲山秋子の芥川賞受賞作『沖で待つ』を中心に、「仕事」を経由した人間模様を描く3本の短篇。 綺麗事など言わない、リアルな性格の主人公のたちがいやに魅力的で、彼らの心情や行く末を追う読中感が楽しい、とても読みやすい一冊でした。
0投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログ『沖で待つ』もよかったけど、『勤労感謝の日』がなんかいまの自分にドンピシャだったのでメモとして久々にレビュー書いておく
0投稿日: 2025.08.17
powered by ブクログ沖で待つ/絲山秋子 読了 2025.08.08 シェア型本棚で出会った本。芥川賞受賞作とのことで手に取った。 短編が三話収録されているが、私は一話目の『勤労感謝の日』が一番好きだった。 無遠慮な人、あけすけに話せる後輩、行きつけにしている店。人から受けたもやもやとした感情は、別の人によって癒やされていく。人生はこの循環なのかもしれない。 言語化できる嫌なことと、形にできない優しさで包まれていると感じた。 二話目『沖で待つ』は、仕事関係の人とうまくやれなかった私には夢みたいなお話だったけど、解説ページ曰くほぼ現実に則しているようで、いい関係性だなぁと思った。 男女の関係にならない、信頼や協力で成り立っている大人の姿はかっこいいな。(これまで読んできた本は私のチョイスのせいか不倫とか多かったから…!) この本を読んで、いま自分が関わっている人たちの心地良さに気づけた。昔は周りの人たちは敵のように感じていたけど、いまいる人たちは全然違う。いつの間にか、私の船は穏やかな沖へ辿り着けたようである。 頼られている仕事を頑張ろうと、前向きになれた小説だった。読めて良かった。 私は小説内の好きな文に「ここ好き!付箋」を付けながら読んでいる。本作はここ好きポイントはそんなに多くなかったが、全体的にかなり読みやすく文体も好みだった。特に一話目の厭世的な感じが好きだ。 時間を明けて読み返すときには、付箋の少なさに騙されず読んでみなよ、と未来の私に伝えておきます。 (第134回芥川賞受賞作)
0投稿日: 2025.08.09
powered by ブクログ絲山秋子、久々に拝読。処女作らしいのだけど、この文の美しさと無駄のなさはベテランの風格を感じる。文学としてとても優秀だし、ストーリーとしても面白いのに煌めく輝きがあり、人を描き、取りこぼさない。絲山秋子の短編はすべてがシンデレラフィットしたときの様な快感があり、心地よい。沖で待つ、も、勤労感謝の日もまるで自分がいたように感じる。大事に読みたくなる作家。
0投稿日: 2025.06.25
powered by ブクログ「神と黒蟹県」がよかったので、同じ作家さんの本を。短編が3本、どれもサクサク読めました。 「勤労感謝の日」働く女の疲労と怒りとカッコよさと情けなさが全開。毒が効き過ぎな女子会、罵倒がキレッキレで笑っちゃう。女性総合職の第一世代。「働きマン」よりひとまわり上な感じかな? 「沖で待つ」会社の同期、という関係を特別なものとして描く。こんなふうにいろんなものを超えた関係になれるもの? おしごと描写がリアル。あと、男のポエムが地味にリアル。三代目魚武さんとか、「一生一緒にいてくれや」とか、一時やけに流行ったあの空気。ただ「沖で待つ」というワードのかっこよさは頭ひとつ抜けてる。さすが。 第134回芥川賞(2006年1月)受賞作。ところどころ、これが氷河期前に社会人になった人の感覚かあ…という遠さを感じる。その時代に読んでいたら、さぞイマドキでリアルだっただろうな。 「みなみのしまのぶんたろう」しいはらぶんたろう。パロディじゃろ?って人名に、かな文字だけの童話口調。島流し?の理由も流され先も、展開も結末も、イヤイヤイヤなんでそうなるの???の連続で、名状しがたいシュールさがすごい。終始おちょくられた感じしかしないのに、なぜか読後感はいい。謎にいい。謎。
10投稿日: 2025.05.01
powered by ブクログ独立した3編が入った短編集。 『勤労感謝の日』 これ好き!主人公の毒におもわず吹き出しそうになってしまう。 飲み屋でのシーンが特に好きで、 毒はありつつも読み心地が良かった。 『沖で待つ』 同期の男女。 どちらかが先に死んだ時にHDDを壊す約束をするもの。 こちらもなかなか味わい深い。 太っちゃんの秘密、本当にそれだけだったのか 誰にも分からないところも良い。 『みなみのしまのぶんたろう』 ぶんたろうのモデルはやっぱりあの人? (芥川賞の選評でタイトルが嫌いとか言っていたイメージがある) ぶんたろうを懲らしめる展開になるのかと思ったら、不思議な展開だった。 全編漢字がなく読みにくい作品でもある。
1投稿日: 2025.04.21
powered by ブクログ「沖で待つ」と「勤労感謝の日」2作品。働く人たちの話。ズバッと痛快でどっちもいい。同期の特別感ちょっとわかる。友達じゃないけど割と深い。同志みたいな。でも仕事を変わるとあんまり会わなくなったりする。それでもずっと心に居続ける不思議な人たち。 「勤労感謝の日」で主人公が「夜を買った」っていうの、とてもいい表現だなと思った。自分の時間や人生は自分で自分のものにできる。そうそう。いつだってそうありたい。そうあれよ。自分でやりくりしていく。絲山さん、好きな感じだった。おもしろかった。
1投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ過去の記録をたどると、16年ぶりに読んだらしい。 その間も、たまに思い出したりはしていた。 「仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。同期ってそんなものじゃないのかと思ってました」 この言葉が心に残りすぎていて、そんなに間が空いていたとは思わなかった。 もう一編の「勤労感謝の日」は、年を重ねた今だからこそ、読んでいてものすごく楽しかった。自分の人生は自分のためのもの。 夜を買いに来る、かっこよすぎる。
0投稿日: 2025.01.30
powered by ブクログ2025.1.22 読了 勤労感謝の日 「沖で待つ」に入っている1編目。 もうめちゃくちゃ面白くて、大きな声出して笑った!主人公の心の声が軽快で最高‼️終わり方も気持ちよかった。これ読んだおかげで元気出た
1投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログ仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる この「仕事のことなら」は、必要ないんじゃないか。 現に、罪悪感を抱えながらも部屋へ忍び込むのだ。約束のために。 気の置けない、名は体をあらわした太ちゃん。男とか女とか関係なさそう。 二人に乾杯したい。 他、 「鳥飼さんのフキゲンは慣れてますからあ」と後輩に笑われる主人公のやさぐれ具合が愉快で、どこか肩の力の抜ける1作目「勤労感謝の日」もよかった。 「みなみのしまのぶんたろう」を含む全3作。 絲山作品、なんかほわっと魅かれるんだな。
1投稿日: 2024.11.05
powered by ブクログ「いつか君に出会って欲しい本」で紹介されていたので読んでみる。短編が3作。 2本目がタイトルの「沖で待つ」 新卒で入った住宅関連会社の同期の男女、営業所は離れたり、片方は結婚するものの友情は続きどちらかが死んだら「パソコンのHDDを壊す」約束をする話。 新卒で入った会社で同期とワイワイやっていた事は、私もとても楽しい記憶の1つで、その頃を思い出したりして楽しい。間違いなくそれも青春の欠片だと思う。この約束の話は聞いたことがあり、この本読んだことあったっけかな?とログを見直すも無い、なんだったかな。 さんさくめは、ひらがなばかりでよみずらかったのでななぺーじめで、よむのをやめた。 1作目は少々下品だが、普段男性は見れない女性の1面を見れ感心した。主人公の勢いも嫌いじゃない。
1投稿日: 2024.10.06
powered by ブクログ忘れていた新人時代を思い出し、自分にとって大切な経験だったのだと思い至る。 芥川賞受賞作の表題作の前に「勤労感謝の日」が置かれているが、この順番で読んだことで、それぞれの面白さがより味わえたような気がする。
0投稿日: 2024.08.31
powered by ブクログ良い。大好き。さらっと読めるのに全部が詰まってる。 死んだ太っちゃんが当たり前のように喋る世界。時系列が戻っていって回想のような話で進むけど、途中で、あっ、そういえば死んでいたんだった、って、死ぬシーンで思い出す。 人々の描写が、手触りがやわらかい。極限まで削ぎ落とされた優しい文章。みんな頑張って働いてて、いろんなことを考えていて、その全てが愛おしい。太っちゃんのポエムで安直にも泣きかけてしまった。
0投稿日: 2024.07.19
powered by ブクログ芥川賞受賞作です。 表題の、沖で待つは会社同期の男女間を超えた絆の話。 自分自身の新人時代を思い出し、懐かしい感触が味わえる作品です。 併録の「勤労感謝の日」もテンボが素晴らしく軽快で、気持ちよく読み進められる作品です。 芥川賞というと純文学で難解な作品が多い印象ですが、この作品は非常に読みやすくて面白いですね 二編ともに当時開始された、男女雇用機会均等法の当事者である女性の視点で、仕事とはがテーマです。組織で働く人にお勧めの、少しほろ苦い小説です。
0投稿日: 2024.07.08
powered by ブクログ芥川賞受賞作ということで手に取った。バブル、男女雇用機会均等法成立など、何十年も前の時代背景で共感しにくさが否めなかったのが正直なところ。後書きの解説含めて、当時はこうだったんだなあ、と思った。
0投稿日: 2024.07.06
powered by ブクログ絲山秋子先生の作品は初めてでした。 僕個人の感想ですが、大きく起伏のある感じではありませんでしたが、しっかり登場人物に感情移入できる作品でした。3作ありましたがどれも良い作品です。中でも1話目が好きです。
2投稿日: 2024.06.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
⚫︎感想「沖で待つ」 初めての絲山さんの作品は「神と黒蟹県」(2024.4時点で最新作)だったが、15年以上前に書かれた芥川賞受賞作である「沖で待つ」にすでに絲山ワールドが完成されていたのだ…といった感想をもった。男女がベタつかない軽やかさや、全体に広がるユーモアと優しさ、少しの寂しさ、少し現実離れした不思議ワールドを感じられた。 二人はお互い先に死んだ時は残った者がハードディスクを壊し合うという約束を交わす。 「沖で待つ」は太っちゃんが妻に残したとされる詩のフレーズ。強い信頼を互いにもてて、ピンチの時は助けに行くし助けてくれる、必ず待っていてくれると思える安心感。 こちらの作品では、同期で働く男女2人の恋愛とは別の同志みたいな信頼感だったり、気のおけない感覚だったりが描かれており、とてもうらやましい人間関係だと思った。と同時に、転勤の多い方は良い人間関係を作り上げても、転勤になればまた1からスタートになるんだよな、と改めて感じた。「神と黒蟹県」も「沖で待つ」も「なんか羨ましい世界だな」と思える、ふわっとした、でも単なるいい話でもないところが好きだと思った。 解説は絲山さんと同期で働かれていたという編集者さんが書かれていて、絲山さんの会社員時代が垣間見れて面白かったし、「どこの方言もすぐにマスターし」という記述も納得だなぁと思った。 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 同期入社の太っちゃんが死んだ。約束を果たすべく、彼の部屋にしのびこむ私。恋愛ではない男女の友情と信頼を描く表題作他全3篇
36投稿日: 2024.04.10
powered by ブクログ3編ともおもしろいが、やはり表題作『沖で待つ』が特に良かった。登場人物、彼らの会話がおもしろく魅力的。会社の中での「同僚」という人間関係。時に共に喜んだり時には互いの失敗をフォローしたり、日々仕事の中で同じ体験を共有しており、飲むと学生時代の友人以上に話がはずんだり…。読んでいると、その人間関係がリアルで、自分の若かりし頃を思い返して懐かしい気持ちになる。 主人公と太っちゃんの、恋愛にはならないけど、ただの友人よりも深い、運命共同体のような同士のような関係性は、読んでいると憧れてしまう。現実味があるかといえば無いような気もするが、それ以上に二人の描写が自然で魅力的で、気にならない。 絲山秋子さんの他の著作も読んでみたいです。
5投稿日: 2024.03.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
勤労感謝の日 近所の御婦人にセッティングされた最悪なお見合い。主人公の置かれた状況は決して良くはないけど、強くて自由で自分で道を切り開こうとしていて魅力的だった。 そんな主人公だから自分で気分を切り替えられるし、こういう時に立ち寄る場所があるのかな。いいな。三作の中で一番好きだった。 沖で待つ 昭和なブラックな働き方をしていると精神安定のためにヤバい趣味を始めちゃうって話か?と思ったけど多分違う。 会社で一緒に働く人達とのつながりや同期の絆。たまたま同じ会社で同じ営業所で仕事をする人たちとの関係は、学生時代の友達とは違う距離感になる。お互いに変なところやカッコ悪いところを知りながらも信頼し合う関係は特別なんだなぁと感じました。 勤労感謝の日も沖で待つもブラック企業に居た人の話だけど、切り口が違ってどちらも良かったです。 勤労感謝の日の文体が一番好き。勢いがあってユーモアもあって魅力的。 みなみのしまのぶんたろう 誰のことを書いているかすぐ分かり、いやこの短編を芥川賞受賞作と一緒に収録するんかい!と笑った。話は思わぬ方向に進んでいき、楽しそうではあるけどちょっと怖いと感じた。
4投稿日: 2024.02.22
powered by ブクログ初の絲山氏の小説。インパクトがある登場人物。そのインパクトという点では芥川賞受賞のタイトルのものより「勤労感謝の日」の方が上。ある意味女性作家でないとここまで描写できないのではないか。勤め人経験のある人ならこの2作はより楽しめるはず。
1投稿日: 2024.01.28
powered by ブクログざっくばらんな感じの主人公の言動が心地よくて、この小説を読んでいたら、仕事のストレスなどでこわばっていた心がほぐれていきました。【2024年1月9日読了】
2投稿日: 2024.01.22
powered by ブクログ勤労感謝の日 「あまり大袈裟じゃなく、ホームパーティーみたいな感じ」ではあっても一応お見合いで呼ばれたのに、あのナリと態度の男性の方がどうかと思ってしまう私は、主人公目線… いや、私が彼女の母なら、その場は取り繕っても、速やかにお断りの連絡を入れるでしょう 沖で待つ 太っちゃんの言葉のチョイス あんなノートを残されたら泣いてまうかも みなみのしまのぶんたろう ひらがなとカタカナだけのぶんしょうがこんなによみづらいものだったとは! ぶんたろうがかぞくとたのしいなつやすみをおくれるといいな
12投稿日: 2023.12.15
powered by ブクログ何かに絶望してしまった人たちに読んでほしい作品です。「沖で待つ」は、同期の社員が亡くなってしまい、その同期の家にある目的のために行くのだが、その家に亡くなったはずの同期がいた。 読んでて、どこか怪談かと思わせるような少し怖さを感じました。でも最後には、少し涙がでてくるような作品でした。
39投稿日: 2023.10.09
powered by ブクログ本書は、異なる短編3作からなる本でしたが、2作読んで、読むのをやめました。 ①勤労感謝の日 ②沖で待つ ③みなみのしまのぶんたろう ←未読 1990年当時の時代に則した内容だからか、今の時代との世界観のギャップを感じました。 (主に、当時の女性総合職の肩身の狭さや、劣悪すぎる職場環境について) ひょっとすれば、今も会社によってはあるのかもしれないけども、こうした時代背景が、自分の身の回りの状況と異なっていて、すんなり話が入ってきませんでした。 それはそれとしても、内容的にも、読者に何を伝えたかったのか、どう感じて欲しかったのかよくわかりませんでした。 そもそも自分の読解力が乏しいということもありますが、個人的にはもっとわかりやすい方が読みやすいなと思いました。
3投稿日: 2023.09.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
女と男の友情・・・。 成立するのかしないのか、周りで議論されるのを何度か聞いたことがあるが、もう一つ、20年前に早逝した友人の葬儀で、彼の親友が、「エッチなビデオ一式を生前の約束通り全部処分してやった」と言っていた。 そんな僕個人の思い出が込み上げる標題作②は秀作。 ③は全文ひらがなとカタカナのみ。そんな小説は、筒井康隆の「心狸学・社怪学」で目にして以来。(絵本や宮沢賢治作品ならありそうだが) ちょっと蓮っ葉で物足りなさを感じた①だったが、「オマエ、書いてよ」と絲山先輩に命令されて書いた夏川けい子さんの解説で、その、もの足らない部分がガチン!と音を立ててハマる快感。 解説まで堪能できた。 話のついでのように貸してくれたが、楽しめました。 ツッチー、ありがとう! 【冒頭のみ】 ①勤労感謝の日 36歳、無職の恭子は命の恩人であるご近所さんの勧めで見合いをすることに。 ②沖で待つ ルミエール五反田のドアをノックすると、あっさりドアが開いて太っちゃんが出てきた。3ヶ月前に死んでいるのに。 ③みなみのしまのぶんたろう さまざまな才能に恵まれて大臣まで昇り詰めた〝ぶんたろう”。でも、ひょんなことで総理大臣の逆鱗に触れてしまい・・・。
22投稿日: 2023.09.03
powered by ブクログ絶望を感じてる時、なんで自分だけがこんな目にと孤独感と苛立ちに苛まれるが、実はそばに見守って助けてくれる人がいる。そういうことに気づかせてくれる内容でした。
3投稿日: 2023.08.17
powered by ブクログ自分が、新入社員だったころのことを、思い出しました 仕事が上手くできず、上司との関係が悪化して苦しみ、生きるのをやめようと思って、下を向いて働いていた時に、気づいたら隣にいて、笑ってくれた同期がいました 勝たなくていい、負けないでいこうや そんな気持ちが伝わった気がします 仕事の同期は、友達とは、なんとなく違うような気もします なかなか、弱音を吐きあうってこともないけど、ぼくが会社を辞めると決めた時も、みんな心配してくれました 本当にありがたかったです 仕事は、とても苦しかった、でも、とても大切な出会いをもらえました 男女の友情が成立するか、ということが、時々議論されたりしますが、仕事では、ままあることなのかな、と思ったりしました 自分が必死だった時に一緒に闘っていた仲間って、今、頻繁に連絡をし合うことはなくても、やっぱり大切な存在だと、読み終わって改めて思いました
2投稿日: 2023.07.17
powered by ブクログ会話分が抜群に心地よい。物語の筋に関わるわけでもない、どうでもいい会話が、自然で楽しく読める。 芥川賞受賞作「沖で待つ」もだけど、「勤労感謝の日」が特に良かった。この女性主人公がとても身近で好感が持てる。主人公の周囲への毒づきが楽しい。
4投稿日: 2023.06.17
powered by ブクログ好みの作品に出会えました。 どちらの作品も仕事に焦点が当たっていて、さまざまな視点からの仕事観が描かれていてとても楽しかった。 勤労感謝の日、凄く良い!! 知性溢れる毒舌と皮肉混じりの後輩との会話が本当に好きすぎました。
1投稿日: 2023.05.21
powered by ブクログ女性総合職がまだ珍しかった時代のお仕事小説「沖で待つ」。住宅設備機器メーカーの福岡営業所に同期で配属になった太っちゃんを中心に、ベテラン事務員の井口さんや先輩の副島さんなどとの日々が描かれます。 同期って特別な関係だなというのと、新人配属された部署って何とも言えない思い出があるな、というのをしみじみ感じます。 著者さんの社会人時代の後輩さんが記した解説がまたいいです。
1投稿日: 2023.05.09
powered by ブクログ人の本質的なものを書くのが上手だなと感じた。 文面自体も読みやすくもっと読んでいたいと思う物語であった。ジェネレーションギャップを感じる部分はあったが今の時代にもいるような登場人物に共感する部分が多く気にならなかった。もっと絲山秋子の作品を読みたいと思った。
1投稿日: 2023.05.09
powered by ブクログいやー、好きっす! 短篇で、サクサク読み終わるが、もっと読んでいたいと思わせてくれる作品でした。そして、表題作ではなく、収録されていた もうひとつの作品の勤労感謝の日。こちらがまた、面白かった。どちらの作品も共通して良かったのが、主人公女性のモノローグ。だよねー、って共感してしまいます! 好きだったくだりはバスの運転手の丁寧なアナウンスと裏腹のブレーキングの雑さで「危険ですので,バスが停まってからお立ち下さい」に対しての「こっちは初めから立ってんだよ!その危険の中で」とか 「何が勤労感謝の日だ!無職者にとっては単なる名無しの一日だ。」とか、口悪いけど、なんか主人公好きです。
6投稿日: 2023.04.16
powered by ブクログあなたが結婚されている場合、それは『お見合い』結婚だったでしょうか? 二人が出会い、関係を深めていく先に行き着くところ、それが結婚です。そんな結婚に至る過程には大きく分けて『お見合い』と『恋愛』があります。とは言え、『お見合い』結婚という言葉を聞くことは昨今ほとんどなくなりました。1940年頃には実に結婚の70%近くが『お見合い』だったのが、今ではなんと5%程度にまで下がっているという現実がそこにはあります。そんな『お見合い』結婚の割合が下がるのに比例するかのごとく、結婚する人の割合自体も下がってきています。もちろん、その両者が連動しているとは単純には言えないでしょうが、理由の一つではあるのかなあ、そんな風にも思います。 さて、ここに『私の命の恩人』と思う人物に『見合い』の場をセットされた主人公が登場する作品があります。『結婚するつもりないの?』と訊かれ『こればっかりはご縁ですから』と答えたその先に『お見合い』の場に臨む主人公の姿が描かれていくこの作品。そんな場での主人公の心持ちが具に読者に共有されてもいくこの作品。そんな場で初めて発した相手の言葉が『スリーサイズ教えてくれますか』であることに『88-66-92』と即答した主人公を見るこの作品。そしてそれは、そんな主人公が『お見合い』のあった『勤労感謝の日』を振り返り、お湯割りを飲むひと時を見る物語です。 『何が勤労感謝だ、無職者にとっては単なる名無しの一日だ』と、『失業保険はあと二ヶ月しか残っていない、その間に就職できる保証はどこにもない』という今を思うのは主人公の恭子。そんな時、『恭子ちゃん、身体の方はどう?』と裏に住む長谷川に声をかけられます。『二ヶ月前…一時停止無視で出てきた車にはね飛ばされ』た時『救急車の手配から、警察への通報、家への連絡まで全てやってくれた』長谷川を『私の命の恩人』と思う恭子。そんな恭子に『結婚するつもりないの?…いい人がいるのよ』と言う長谷川は、『あなたと二つ違い…今年三十八歳…あなたの大学の先輩よ』と『息子の知り合いの』野辺山清という男性を薦めます。そして、『素早く段取り』が進み、『十一月二十三日、勤労感謝の日、大安吉日』に長谷川の家に母親と訪れることになりました。『結婚するしないは別として、いい男が来たらいいな』と思う恭子が『長谷川さんちの東の窓から通りを見おろ』すと『やや太り気味の男が立っていて、ガムを噛んでい』ます。『アイツじゃないな、ないといいな、ありませんように』と願うもその男が野辺山清でした。『ポケットティッシュを取り出してガムを丸め、その柔らかい塊をズボンのポケットにしま』うのを見て『あれが服地にくっつくとドライアイスで取らなくちゃいけない』と思う恭子。そして挨拶する野辺山の顔を見て『あんパンの真ん中をグーで殴ったような顔をしてい』ると思う恭子。『しかし、何を聞けばいいのだ。見合いなんてしたことがない』と思う恭子は『ギャンブルやりませんよねとか、変態プレイは困りますよとか』言えない…と逡巡していると、『スリーサイズ教えてくれますか』と『第一声で口に出し』た野辺山。それに『88-66-92』と恭子が即答すると、野辺山は『にへらり、と笑』いました。そして、『お仕事は?』と訊く野辺山に『無職です』と返す恭子。そんな恭子に『僕って会社大好き人間なんですよねえ』と言う野辺山は『ブランドを鼻にかけるわけじゃない』と言いつつ『一流企業って…』と『商社マンとしての活躍ぶり』を語り続けます。そんな会話の中、『負け犬論ってどう思います?』と訊く野辺山に『あれで言うと私は立派な負け犬ってことになりますね』と答える恭子。そんな恭子に『負け犬って自覚してれば許されるんですよ』と野辺山は答えました。『なんでこんなカスに許してもらわなければいけないのか』、『もう金輪際こいつと会うことはない』と怒る恭子は、『出掛けますので、どうぞごゆっくり』と言って席を立つと『どこに行くの?』と訊く母親に『とりあえず渋谷』と言うと長谷川の家を後にしました。『家に帰ったら母からさんざん責められることだろう』と思う恭子、そんな恭子の『勤労感謝の日』のその後の時間が描かれていきます…という最初の短編〈勤労感謝の日〉。強烈な個性を放つ恭子の魅力になぜか惹かれてもいく好編でした。 2006年に第134回芥川賞を受賞した表題作の〈沖で待つ〉の他に二編が収録されたこの作品。「沖で待つ」というどこか超然とした響きを持つ書名とそれを見事に表したかのようにどこか超然とした一艘の舟の写真が見事な雰囲気感を醸し出しています。しかし、しかしです。ネタバレと言われても困るのですが、そんなイメージを勝手に抱いた読者を欺くかのように本編にはそんな勇ましい描写はどこにも出てきません。もし大海原を舞台にした海の男の物語!のようなイメージを期待してこの作品を読もうとする人がいらしたら、そういう意味ではありません!とまずお伝えしておきたいと思います。では、そんな三つの短編について、概要を示した上でその内容一つひとつに順に触れていきたいと思います。 ・〈勤労感謝の日〉: 近所に住む『私の命の恩人』と崇める長谷川に一方的に見合いの場を設定されてしまったのは主人公の恭子。『勤労感謝の日』に設定されたお見合いに出かけた恭子は、窓から見て『アイツじゃないな、ないといいな、ありませんように』と思った男と対峙します。いきなり『スリーサイズ教えてくれますか』と聞いてきたり、『食いっぷりが悪かった』りと、イライラさせられる恭子は『出掛けますので、どうぞごゆっくり』と言うと、場を後にして一人飛び出しました。そして、渋谷へと出かけた恭子は…。 一編目の〈勤労感謝の日〉では、主人公の恭子の感情を相手の発する言葉に連ねてこんな風に表現されます。 ・『僕って会社大好き人間なんですよねえ』と言う野辺山 → 心の声:『何とか大好き人間なんて言葉がまだこの世に流通しているとは知らなかった。しかも会社だよ、トンチキ野郎』。 ・食べ物の好き嫌いを訊くと『全然ないんです。僕、コンビニのお弁当でOKだから』と答える野辺山 → 心の声:『自分が呼んだとは言え、長谷川さんが気の毒だ。それにしてもどういう趣味で私にこんな男を紹介しようと思ったのだろう。いくらもう女じゃないからってあんまりだよ、長谷川さん』。 ・『三十六歳か…』と蔑んだように低い声で呟く野辺山 → 心の声:『そうだよ、嘘いつわりのない三十六歳だよ。求人ヤバイんだよ』。 三つ抜き出してみましたが、これだけでもこの恭子という主人公の雰囲気感が伝わってくるのではないかと思います。この短編では、このような感じで主人公の心の声が読者に逐次共有されていくことで、短編ながらもその思いがストレートに伝わってくるのを感じます。『何が勤労感謝だ、無職者にとっては単なる名無しの一日だ』という恭子の〈勤労感謝の日〉の一日を描いたこの作品。三編の中で一番気に入ったのがこの短編でした。 ・〈沖で待つ〉: 『五反田に行く予定なんかなかった』という主人公の及川は、あるマンションの一室へと立ち入ります。『どうしてこんなところにいるの?』と目の前に牧原太がいるのを見て驚く及川。なぜなら彼は『三ヶ月前に死んでいたから』です。『太っちゃん』という彼のあだ名が『「名は体をあらわす」というのがこれほど当てはまる人を私は』他に知らないと思う及川。全国に拠点のある『住宅設備機器メーカー』に就職した及川は、配属先となった福岡でそんな『太っちゃん』と共に働き始めました。そして、仕事の日々の中に彼とある約束をします。 次の二編目は何と言っても芥川賞受賞作です。上記の通り〈沖で待つ〉という言葉から受ける印象とは全く異なる物語がそこに描かれます。そんな短編の主人公・及川は『住宅設備機器メーカー』に就職した女性という設定ですが、この作品の作者である絲山さんもかつて『住宅設備機器メーカー』で働かれていた方でもあり、そこに描かれるお仕事風景はやけにリアルです。そんな中に唐突にこんな言葉の登場で読者に緊張が走ります。『太っちゃんは、三ヶ月前に死んでいた』というその一文。そんな物語ではやけに働く現場のリアルさの中にそんな主人公・及川と太っちゃんの間で『協約結ぼうぜ』と一つの約束が取り交わされます。そんな約束を果たしていく及川の姿がある意味淡々と描かれるこの短編。なかなかに表現の難しさを感じますが”お仕事”の場にある友情を芥川賞的に描いたらこうなった、そこに書名の「沖で待つ」という言葉のある種の重みが効いてくる、そんな読み味の作品だと思いました。 ・〈みなみのしまのぶんたろう〉: 『むかしむかし…デンエンチョーフというまちに、しいはらぶんたろう、というおとこがすんでいました』という物語の始まり。『マツリゴト』をする『ぶんたろう』は『でんりょくだいじん』になります。『あるさむいひ』に『かいぎしつに』入ると、『りっぱなおじゅうにはいったおべんとう』を目にし『とりかえちゃえ』と食べ始めました。その時『カシャリ』と音がし『ふくだいじんのへびやま』が現れ、『そのおべんとうはそうりだいじんのもの』と今撮った証拠写真を見せます。罠にハマった『ぶんたろう』は…。 そして、最後の短編〈みなみのしまのぶんたろう〉ですが、これはキョーレツ!という言葉そのままの物語です。なんとひらがなとカタカナだけで書かれています。これが読みづらい!、とにかく読みづらいと感じました。日本語は漢字かな交じりであることが如何に重要かを感じます。一方で『むかしむかし』と始まるところから考えるとこの作品は子ども向けの童話をイメージしたとも考えられます。しかし、そこで描かれる世界は妙に生臭い物語です。主人公の『ぶんたろう』は、部下の『へびやま』の策略にハメられ『おきのすずめじまげんしりょくはつでんしょのしょちょう』に任命されます。『コンピュータがはったつしてからは、しょちょうひとりでじゅうぶん』というその現場で一人きりの生活を余儀なくされる『ぶんたろう』の日々が描かれていくこの短編。ひらがなとカタカナ、かつ童話調で語られるために一見ピンときませんが、『電力大臣』を務めていた主人公の『文太郎』は、部下の『蛇山』の策略で『沖の雀島原子力発電所の所長』に左遷させられたと書くと一気にリアルさが増してきます。政治と原子力政策を痛烈に風刺したというのがこの作品の隠された姿、それをひらがなとカタカナだけの童話調の文体でオブラートにくるんだ作品、それがこの作品の本質なのだと思いました。間違いなく読みづらいですが、とてもよく練られた作品、そんな風に感じました。 芥川賞を受賞した〈沖で待つ〉を含め三つの個性的な短編が収録されたこの作品。三つの短編はそれぞれに特徴を持っており、三者三様の楽しみ方があり、そこには、とんがった個性を持つ物語がそれぞれに描かれていました。表紙や書名から受ける印象が一気に吹き飛んでしまうこの作品。芥川賞を受賞された絲山秋子さんという作家さんの個性のあり方を見るこの作品。 どこか超然とした印象も抱く〈沖で待つ〉という言葉の響きが作品の印象を支配する読後感。その一方でそれぞれに個性あふれる短編をサクッと楽しめもした、そんな作品でした。
158投稿日: 2023.03.18
powered by ブクログ勤労感謝の日、淋しい飲み屋のマスターの一言がいい「それでダメだったら、そのときさ。」 沖で待つ、福岡の様子に親しみを感じた。HDDが必要だったのかは不明。 ぶんたろう、は加える必要なし、ひらがなだけで読みにくく、時間を奪うだけだった
2投稿日: 2023.02.25
powered by ブクログ【勤労感謝の日】 賃金の代わりに心の安定に感謝する日なのだ。 それは自分にしか分からない感謝の日。 誰かにそこに居てくれて良かったと思われる日。 思われてるのか分からなくても、あなたが居てくれて良かった。日日是好日。 【沖で待つ】 沖で…待つ…。胡蝶之夢。 淋しい様で、頼もしく感じる言葉。 関係性が心地好くて、人柄も相まって、羨ましく感じる。この話に嫉妬している自分がいる。 そして渇望している。 【みなみのしまのぶんたろう】 ダメな事、厭な事、不思議な事。 子供の読み聞かせに妥当。
2投稿日: 2023.02.13
powered by ブクログ独特の文体がリアルで描写が細かい。 『勤労感謝の日』に出てくるお見合い相手がとにかく嫌なやつ!嫌なやつっぷりを見事に書いてる。 住宅設備メーカー勤務の男女の同期のお話『沖で待つ』芥川賞受賞作。同期って友達とも同僚とも違うなんか特別な関係なんだよね。その辺りを丁寧に書いてて面白かった。
2投稿日: 2022.12.18
powered by ブクログ3作とも最後にほろっとして微笑んでしまうものでした。 図らずも都合退職してしまった恭子の話。 同期だった太っちゃんが死んでしまった話。 ナガタチョーで大臣だった「ぶんたろう」が南の離島に左遷されてしまった話。 最後にふっと息を吐いてニンマリしました。
2投稿日: 2022.10.31
powered by ブクログ短編集なのでサクッと読みやすい。あーわかる、とどこか共感できる本。 ですます調で書かれていて、読みやすいし、物語を聴いている気持ちになれる。 太っちゃんの話が好き。仕事でそんなに信頼できる同僚できたら最高だよなー。 最後の短編は全部ひらがなで読みづらかったけど、それもまたいい。主人公の大人だけど単純な思考にひらがながマッチしている気がする。
1投稿日: 2022.10.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
表題作他2編。 男女雇用均等法のもと総合職として採用された女性と同期の男性の友情のお話。表題作よりも「勤労感謝の日」が良かったな。でも、どちらも男性社会の中で働くということの葛藤などが描かれ、「あ、分かる分かる」と頷けるところがたくさんありました。 「みなみのしまのぶんたろう」は平仮名ばかりで読みずらかった。モデルは石原慎太郎さんかな?絲山さんが「沖で待つ」で芥川賞を受賞したときの審査員だったはず。
0投稿日: 2022.09.22
powered by ブクログ企業で働く人の青春かな。私にはピンとこないけど。みなみのしまのぶんたろう、なんでぜんぶひらがななんだ?
0投稿日: 2022.09.04
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沖を待つの話は太っちゃんと主人公の関係について書れていました。お互いに信頼し合っていることが会話などから読み取ることが出来ました。他の話も面白くすらすら読みことが出来ました。
1投稿日: 2022.08.04
powered by ブクログ勤労感謝、は婚期をスルーした無職の人の一日を描いた話でした。辛抱をして耐えずに抗って不承不承の場でも辛抱して、吐き出した結果の感謝。 男女の友情を綴った"沖で待つ"は短な語りの中に?と思わせる要素が幾つも詰まっていて、言葉の意味も複数受け取れそうで、何れも読者が決めるのを許されそうな作品でした。 3つ目のオール平仮名の作品は、内容より平仮名である理由を考えることに傾注してしまった。内容はあまり記憶に残らず。
2投稿日: 2022.06.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
芥川賞受賞作を読む試みとして。 正直、どこが文学でどこが芥川賞なのか、わたしにはまったくわからない。 なんでかしらんが頭の中で、吉田秋生の『海街diary』の絵に変換してた。そしたら少しわかるような気がした。
0投稿日: 2022.05.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これ、タイトルや表紙の雰囲気と中身とに、ちょっとギャップがあったなぁ。 『沖で待つ』 絲山秋子 (文春文庫) 3つの短編が収録されている。 「勤労感謝の日」は、無職で独身の恭子(36歳)のお見合いの日の話。 恭子はかつて、父の葬儀の日に母にセクハラをしてきた自分の上司をビール瓶で殴り、会社を辞めたのだった。 (すげー) 恩人の義理でしたお見合いの席から逃げ、後輩を呼びつけて一杯やり、気分が悪い日に愛用している居酒屋でたこぶつを肴にお湯割りを一人飲む。 作者は私より一歳下の同世代だ。 ちょうど私たちがバリバリ働いていた頃がバブルの時代で、あの頃はこんなオヤジOLがそこかしこに山のようにいた。 私は、この主人公のように肩で風切ってのし歩くほどやさぐれてはいなかったものの、気持ちはすごくよく分かる。 先の見えない不安をどうするでもなく、ただそのままに。 ただただそのままにそこに置いておく。 これはそんな物語なんじゃないだろうか。 帰りにマスターが扉を開けてくれるシーンがいい。 表題作「沖で待つ」は、まるで作文のような“ですます調”で書かれている。 主人公の「私」は、男性と同じ仕事をする総合職として働く女性である。 同期の男性社員、太っちゃんとは何でも話せる間柄だ。 男女間の友情は成立するかしないか、ということでいうと私は“しない”と思うのだが、この物語では“する”んである。 するかしないかという議論さえ必要ないらしく、もう最初から成立するんじゃいと言い切っている。 なぜかというと、太っちゃんは物語の前半の早いうちにさっさと事務職の女性と結婚してしまい、しかもすんごく幸せなのである。 ある日、「私」と太っちゃんは秘密の約束をする。 それは、“どちらかが死んだらもう一人は相手のパソコンのハードディスクを壊す”というものだった。 が、なんと間もなく太っちゃんが不慮の事故で死んでしまうのである。 妻や家族に言えないことも“同期”になら言える。 そんな、不思議だけれども確かな友情の物語なのだ。 作者の絲山さんは、実際にこの主人公のように、女性総合職として働いていたそうだ。 当時は“男女雇用機会均等法”が施行されてまだ間もない頃で、ずいぶん苦労もあったようだ。 同期は同じ戦場で戦ってきた同士だという思いもきっと強いのだろうと思う。 読み終えて思ったのだが、この物語の“ですます調”は、ただ丁寧な言葉で書かれているというだけのことではないように思う。 主人公が“語り部”になっているのだ。 私たちは書かれている文章を読んでいるのではなく、語りを聞いている。 だから言葉は飾り気がなく淡々としていても、所々に悲しさが見えたりしてしまう。 手法としてとてもうまいと思う。 内容としては、心理的な面でもう少し深い部分を掬ってほしかった。 ところで、最後に収録されている「みなみのしまのぶんたろう」は、どう読めばいいのか正直分からなかった。 単純に子供向けなのか、それともジュブナイルに見せかけて実は大人向けの風刺童話なのか、あれこれ考えているうちにさらっと当たり前の終わり方をしてしまった。 ふむ、やっぱり普通に子供向けの童話だったのね。 でもめちゃくちゃ違和感あるわー(笑)
0投稿日: 2022.04.07
powered by ブクログ短編集。どれもかなり良かった。 知らなかったけれど沖で待つは芥川賞なんですね。さらっとした文章にもかかわらず深みと読み応えがある。グッときました。
0投稿日: 2022.02.17
powered by ブクログ読書開始日:2022年1月30日 読書終了日:2022年2月2日 【勤労感謝の日】 するすると読めた。 水谷のような人に憧れる。 久しぶりにシンプルで良い作品を読めた 難易度が高いという表現は、嫌だ無理だという表現より可能性を感じる。使いよう 【沖で待つ】 とても好きな作品になった。 弔辞のような文章で、縦のつながりが大部分を占める会社の中で、希少な横のつながり、同期の気が置けない感じが上手く表現されていた。 名は体を表す。 冒頭の表現が、終盤の消し去り損ねた太のポエムで回収される。 沖で待つ。 太と関わった人間は、微笑みながら容易にその姿を想像できるはず。 良い作品だった。 【みなみのしまのぶんたろう】 カタカナかひらがなのみ 今ならabさんごも読破できるんじゃないだろうか。 【勤労感謝の日】 婚期遅れ=生き遅れ 無理、嫌だではなく、難易度が高いという言い回しは可能性がまだ残る トンチキ野郎 女は考えるスパンが短いから目標が次々ないと 【沖で待つ】 大事なことは明文化、やばいことは口頭 おさまらない現場はない 弁当箱の円盤が全てを拒絶するように鋭く反射する。これが死 文章が弔辞体 死者はみんな遺族に頼ってる。
0投稿日: 2022.02.02
powered by ブクログ同期の太っちゃんと私は、先に死んだ方のパソコンのHDDを、後に残ったやつが破壊するという約束をする。 ・大事なことは明文化する、文書に残したらやばいことは口頭で喋れ ・死なない人はいないのですが、私という現場は太っちゃんという現場よりずっと竣工が早いような気がしたのです ・「俺は沖で待つ 小さな船でおまえがやって来るのを 俺は大船だ 何も怖くないぞ」 ・歯医者とか言ってさ、いつまでたって、も名前呼ばれないような感じだよ俺
1投稿日: 2022.01.21
powered by ブクログ本作には3作収められてるけど、とりあえずは表題の感想をば。 最近ハイペースで読んでる絲山作品。 作中のアップダウンがなく、抑揚がないと思いきや、それが逆に気持ち良い絲山作品。 本作も例外ではなく。 会社の同期が亡くなり、その同期の住んでたアパートで本人の幽霊と出会うところから始まり、物語は主にその同期との回想シーンから構成される。配属、結婚、レジャーetc...。 本作の主人公より自分の年は全然下だけど、すぐに地方に飛ばされて、初めは嫌嫌言いながらもその土地で楽しむこと覚える辺りは全く同じ境遇。 人の死が深く関わっていながらも、死が悲しいということを忘れさせてくれるような、ポジティブでゆったりした作品。 前述の通りアップダウンはないものの、作中の登場人物のやりとり一つ一つが面白く、人の心情を巧みに表現している魅力的な作品です。
0投稿日: 2022.01.06
powered by ブクログ遠いけど何だか近い「同期」 友達とは異質な関係だなぁと思った 共感!ってわけじゃないのに、 読んでいてどこか懐かしい気持ちになりました_φ(・_・
0投稿日: 2021.11.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『みなみのしまのぶんたろう』は、『沖で待つ』の全逆の話になっている。 『沖で待つ』が、私岸から彼岸へ繋がる話であるのに対して、『みなみのしまのぶんたろう』は、沖(俗世から離れた小島)で、ぶんたろうが本島からやってくる家族を待つラストになっている。 しかし、ぶんたろうは本島に戻ることはないだろう。 面白いのは、彼岸の食べ物(魚)を「口にしない」ことが、【冥界の石榴】になっていることだ。
0投稿日: 2021.09.24
powered by ブクログ2006年第134回芥川賞受賞作である表題作他「勤労感謝の日」「みなみのしまのぶんたろう」収録の短編集。 全ての小説が「仕事」をテーマにしている。「勤労感謝の日」は、文字通り「勤労感謝」って何だという問いについて描いた作品。「沖で待つ」は同期の男女が持つ仕事を通した友情を描いた作品。「みなみのしまのぶんたろう」は漢字を一切使わず書かれており、対象年齢が低いのかと思いきや、他人との交流などが描かれており内容は割と高度。 「こんなはずではなかった」と、仕事に行き詰まった時に読むと元気が出そうな作品集。
0投稿日: 2021.04.28
powered by ブクログですます調の小説って珍しい気がする、と思いながら、表題作は福岡が舞台だったこともあり楽しく読みました。 生きている、という気がしました。生き生きと描かれています。 出てくる場所や食べものも馴染み深くて。 でももう、天神コアはありません。 「みなみのしまのぶんたろう」も好きでした。 何が始まったんだ…と最初は思いましたが、なんだかハッピーなファンタジーになって素敵な世界でした。
1投稿日: 2021.04.05
powered by ブクログ短編2作。「勤労感謝の日」「沖で待つ」、どちらもきちんと自分を生きてる女性の日々を切り取ったみたいな、清々しくて少し物悲しいお話。華やかな展開はないけど、静かに染みてくるのが心地よくて。しんとした夜に読むのに相応しい。
1投稿日: 2021.02.28
powered by ブクログ「勤労感謝の日」も、「沖で待つ」も、バブルの話など出てきてジェネレーションギャップを感じる。解説からして絲山さんは私より20歳くらい上だろうから、そりゃそうなんだけど。 男の中で肩ひじ張って仕事してます!何くそ根性!クソ上司にクソ客を心でこき下ろす!ストレスは飲んで発散!というエネルギーのある感じが、なんだか読んでいて疲れてしまう。というか、私が疲れている。根性も元気も全然ないからついていけていない。辛辣な言葉が刺さるように感じる。 同じ配属先だった同期が特別なのはなんとなくわかる気がする。入社してからの付き合いで、いまだにご飯を食べに行くのはそのメンツだけだ。べったりとは踏み込まないけど、ご飯を食べに行くたびにまだつながっているな、変わらないな、と再確認するような距離感が確かにある。
0投稿日: 2021.01.21
powered by ブクログタイトルの芥川賞受賞作品ともう一つの作品が収録されている。 両方とも面白かったが、話の展開に少し無理があるような感じもした。 「沖で待つ」という言葉は心に残った。
0投稿日: 2020.09.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
134回芥川賞受賞作品。ということは2005年受賞。文庫本は受賞作の「沖で待つ」の他、「勤労感謝の日」そしてひらがな短編「みなみのしまのぶんたろう」収録。 どれも短い話なのであっというまに読めた。字も大きいし目にやさしい(「ぶんごろう」は読みにくかったか)。 「沖で待つ」は僕がタイトルと表装で勝手にイメージしていた話とまるきし違った。なんだろなさらっとしていたけど、その同期の絆に思い当るものはあったし(僕の仕事でこういう同期ってかんじの繋がりはないのだが)、読後はよかった。こういう繋がりってあるよな。友情や仕事仲間、恋愛感情のどれでも足りないような妙な繋がり。
1投稿日: 2020.03.12
powered by ブクログこの作家さんは小松とうさちゃんから入ったのだけど、あのほのぼのとした世界観の原点は感じつつも、もっとうちに秘めたパワーを感じる作品だった。芥川賞受賞ということで私小説的なイメージを抱いていたけど、良い意味で裏切られた。久々に小説で泣いた。
5投稿日: 2020.02.19
powered by ブクログ短い三編がいろどりよく収まっている。彩は地味だがそれぞれの趣向は違っている、中の「沖で待つ」は芥川賞受賞作。多くの書評が好意的なので書きづらいが、まだ絲山ファンを諦めていないので残しておこう。 芥川賞とは知らなかった。 「海の仙人」が面白かったし、絲山さんという作者も初対面からいい感じだった。 もう一冊読んでみようと、予備知識なしで、これも外れないつもりで買ってきたら、芥川賞で、よしこれは当りだと思った。 そして外れた。絲山さんの作風はこれだろうか、好きになった作家だけに、ここにきて実力を感じる次の作を読む気分がまだ湧いてこない。 「海の仙人」の虚実皮膜の間を膨らまし日常の出来事を滑り込ませたあのうら哀しい面白さ、上手い仕業はどこに行ったのだろう。 勤労感謝の日 絲山さんだと超期待しなければとても面白い(知らないだけでこれが本領だったかもしれないが)語り口のいささか伝法な所、失業し収入はわずかな失業保険に頼って暮らしているところ、自然にいじけた心境になるのが真に迫っていて上手い。 仕事でも生活でも、見合いでも妥協はしてない、自分を見失ってはいない。三十歳半ばであっぱれな爽快な生き方ともいえる。 見合いの席で,冴えない、全くあまりないくらいダサイ男を、内心のけなし方も気持ちいい。 「ヤな人生だね」見合いから逃げ出したスナックで「地獄を回避したんだね」と微妙な会話。なんてことはないが、勤労感謝の日の出来事が印象的でいい。 沖で待つ 経験から書かれたらしいお仕事小説。 雇用機会均等法もあって、女性総合職の見本品のように採用された職場で、住宅機器の営業。配属されたのは地方の営業所勤務で、苦労話が具体的で面白い。 それでもここにはあまり目新しい読みどころはない。 身近な住宅機器なので、専業主婦の私でも多少内容は把握できる。まして私事だけれど、最近一階と二階のトイレの水が変なことに同時に止まらなくなった、浄水器の分岐栓のトラブルから始まって、ガス温水器の故障、風呂のジャグジーが夜中に動き出す、門扉のロックができなくなった、など立て続けで、修理を見学しながらカタログを調べたので、ずいぶん詳しくはなった。業者のせいにする所はなく設備が老化してきたことで、今時は何でも便利だが長持ちしないと実感した。もうとっくに保証期間が過ぎましたと言われれば出る幕はない、備品もありませんとなれば取り替えるしかないし。ということだから、業者のミスには悪質クレーマーもいるかもしれない。指示ミスや発注ミスの苦労は良策を捻り出すか給料と引き換えに諦めるしかない。 そんな中の人間関係は、同期は男女でも恋愛感情なしで付き合える仲間意識が育つとか、信頼も友情も育ってきて、独特の共通のお仕事体験があれば愚痴も言い合えるなど、これも初めて就職した頃同期で群れていたことを思い出すと目新しくはなかったし男女意識が稀薄でもおかしくない。 特に親しい仲で、先に死んだらPCのメモリーを取り出してほしいと約束する部分。どんな秘密かといえば「詩」なので別段恥ずかしいようなことも書かれていないし、特に秘密を告白したいようなものでもない。でも自分の正直な内面に強い羞恥心でも持っていれば、そこはそうなのかも知れないが。 主人公が向かいのマンションの男を盗み撮りして保存してある方が恥ずかしいだろうに、約束があるのに先に死なれてどうする。まぁやり方も分かったことだし、早めに自分で処理しておくのかな。 「沖で待つ」というなんか奥行きのありそうなタイトルだと思ったが、絲山さんは簡単に詩の一部から持ってきただけだった。肩透かし。 マンションを出た所で投身自殺の下敷きになるなんて最低の不幸が降ってくることもあるのだ。どう気をつければいいのか分からないという話が絲山さんらしい。 みなみのしまのぶんたろう みんな分かっている、当てこすり小説かな。出版社も作家も読者も、あてこすられ人もなんか一段落ちた気がした。ひらがなばかりは一年生でも読みにくいでしょう。 長いカタカナの電文は祝電でも読みにくいのに。 色々言いたいけれど、二冊しか読まずに書いている程度では、片足突っ込んだ絲山世界から抜け出せそうもない。
0投稿日: 2019.12.20
powered by ブクログ男女雇用機会均等法が施行された最初の年に入社した私にとっては、本社に書かれてる総合職女子の世界はとても親しみやすく懐かしかったけど、今はそんなこと当たり前の世界なんだよね、多分。 その時期だから、本書の作品は芥川賞だったんだろうな。時代を経て本書を読むと、近代史の小説のようかもしれない。
1投稿日: 2019.06.18
powered by ブクログ再読。 3つ目の作品は別に考えますが、キャラ設定が型にはまり過ぎている感じがする。安定感のある話なんですが、不安感に欠けるというか。現実の微妙なデフォルメに留まっているかなぁ。だからか、共感できるようで別に珍しくないというか。 もうちょい揺れて欲しいなぁ。
0投稿日: 2019.03.29
powered by ブクログ芥川賞をとった2005年に一度読んでいて、そのころのほうが主人公の年代にむしろ近かったはずなのだが、今偶然読み直してはるかにしみじみした。 同期入社の男友達「太っちゃん」が不慮の事故でなくなる。主人公の「私」は、生前の約束、「どっちかが先に死んだらお互いのパソコンのハードディスクを壊すこと(いろいろ入っていて恥ずかしいから)」、を実行するために、友達の家にしのびこむ。 クレーム対応のあとに一緒に飲みにいったり、営業所の喫煙室が狭いと文句を言ったり。男女の友情は成り立つか、なんて愚問と思わせる親友。 「仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。 同期ってそんなものじゃないかと思っていました」(単行本、P69) 仕事のことだったら、のところがなんともよい。 主人公の回想で物語が進んでいるように見えて、実はこの小説は「現在」、つまり「死んだ後の太っちゃん」との会話で成り立っている。当然いつまでも続くものではない。 東北の震災後に「死者との対話」という言葉が語られるのを見るようになった。「沖で待つ」というタイトルを含め、この小説の結末には、何か予言的なものすら感じる。
0投稿日: 2019.01.01
powered by ブクログ題名にもなってる短編「沖で待つ」。この作品は読む度に感じ方が変わってくる。 一番最初に読んだ時には同期同士の友情の話だと思った。すぐに二度目を読んだ時には気付かぬうちに同期に恋をしている話だと思った。三回目には同期という関係は友情や恋より尊く、家族とも違う強固な関係なのだと思った。何度読んでも正解は分からない。わたしの感じ方では正解は出ないかもしれない。そもそもそんなものないとも思う。読んだ後の不思議な感じが好きで「沖で待つ」だけを繰り返し読んでしまう。
1投稿日: 2018.12.28
powered by ブクログ正直よくわからなかった。勤労感謝の日が一番好きかな。 作者のバックボーンを感じさせる強い女性という感じがよく伝わってきた。
0投稿日: 2018.11.24
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勤労感謝の日の恭子、なんとなくドスの利いた主人公で、こういう女がいてもいいなと思った。変な男をあてがわれても落ち込んだりメソメソしたりはしない。やさぐれて酒を飲んで夜を過ごす女がいてもいい。「私はこの店に夜を買いに来るのだ」この言い回しが好き。 沖で待つ、は妻よりも同期と話してるのがなんとも寂しいなと思ってしまった。それよりもサラッと書かれた及川の犯罪が気になって仕方ない。
0投稿日: 2018.11.12
powered by ブクログ絲山さん、いい!これで絲山さんの作品は3冊目くらいでしょうか。絲山さんがいいのは、お酒が好きなこと。お酒を飲むシーンがほんとにいいんだよなぁ。今回、沖で待つが絲山さんのサラリーマン時代の話だったようで、総合職にいた女性であることにこれまた絲山さん、好き!となりました。星4つにしたかったけど、最後の話がわたし的にはあんまりだったので、3つ。
0投稿日: 2018.11.04
powered by ブクログ芥川賞の表題作。 この作家は偶然出会ったけれど、とてもわたし好みで、折に触れて読みたくなる。 年は割と離れているけど、登場人物の年齢が近いから、なんか親近感が沸く。 以前読んだ作品では、男に流されるダメ女みたいな印象が強かったけど、今回のはまるで違った。 そして、どうやらこっちが素らしい。 ますます好きになった。
0投稿日: 2018.07.01
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主人公を半分くらいまで男性だと思って読んでいた。 あと、前後の太っちゃんの幽霊シーンはないほうがよかったんじゃないかと思った。 作風は川上弘美に似ている。川上弘美なら幽霊シーンがあっても自然に納められたかも。もしくは、幽霊シーンになにかかわるものを挿入できたかも、と思った。
0投稿日: 2018.03.04
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勤労感謝の日に勤労感謝を読む事になり(笑) 感慨深いものがあった 今まで勤労感謝の日は働いている人たちに感謝していたが、仕事がある事に感謝できそう そして期待していた沖で待つ、の友情 いいなって思いました。 男女の永遠のテーマ「男女の友情は成立するか?」は私にとって面倒臭い話で(笑) なんだか肯定されたようで嬉しい❤︎ 人として大切な友人 これからも大切にしなきゃな、と改めて 思えた1冊
0投稿日: 2017.10.03
powered by ブクログ自分が馬鹿だなーと思う事は同じ本を買う事。 本屋に行くのは日曜日の夜。お酒も入り晩御飯の片づけを終えてふらりと散歩がてら一人で本屋に行く。勿論ほろ酔い気分でいい気分。そして同じ本を購入してしまいます。 読みだして(;・∀・)ハッ?これ読んだ。と気づく。 しかしこれ読みたかったんだよな~と思い、再読する。 絲山秋子”沖で待つ”は文庫本を持ってるくせに単行本買っちゃった。(笑) そしてページを開くたびに緊張が走る。さ~気持ちを揺さぶられる準備をしておけ~と脳が言っている。 来るぞ来るぞ~~と思いつつ毎回グラグラします。 長編では何冊かこんな本があるんですが、短編では少ない。 長い物語だとこの揺さぶる部分を書くために色々な伏線をはったり説明が有ったりするものですが、短編では一気に行きます。動きが有ります。そしてさめざめと泣くというより何故か目から涙がポロリ!という感じ。 あれ?なんで目から汗が出てるんだ?みたいな。。。 さっきまでニヤニヤして読んでたんじゃないの? そんな短編”沖で待つ”を詠む為の準備に”勤労感謝の日”を読む。はははは・・・・ 間違えて買った分誰かにおすそ分けしようかな~~
0投稿日: 2017.06.22
powered by ブクログ短編が3つ。ある日突然死んだら誰にもみられずに処分して欲しいものが誰にでも一つはありそう。不慮の事故とかで死んだら自分で処理するのは難しいし。同期の絆はいいもんですね、律儀にHDD壊しにきてくれて嬉しいだろうな。 ブンタロウは、石原慎太郎?よくわからない話だった。
0投稿日: 2017.05.15
powered by ブクログ絲山秋子のいいところは、とにかく本が薄いということ(笑)。分厚くてもせいぜい300頁で、200頁を切る著書も多数。500頁以上のボリュームの本に疲れたときは、思わず彼女の本に逃げます。 3編を収録。第1編『勤労感謝の日』は、失業手当を受給中の36歳の女性の話。大手電機メーカーに総合職で入社して頑張っていたのに、あることが理由で上司をビール瓶でぶん殴り、辞職を余儀なくされます。ご近所さんのお節介で仕方なく見合いしたところ、会社の大きさを自分の偉さだと勘違いしている男。きっと女性の共感を得るはず。表題作でもある第2編『沖で待つ』は芥川賞受賞作。住宅設備機器メーカーに新入社員として入社した男女の話。恋愛感情があったかどうか、とにかく気の置けない同期として共に毎日を送ってきたふたり。男のほうが亡くなったことを示すシーンから始まるのが衝撃的で、読後感が切ないです。第3編『みなみのしまのぶんたろう』は、総理大臣の弁当を盗み食いして南の島に左遷される男の話。全文ひらがな or カタカナのため、非常に読みづらい。これのみ単行本未収録というだけあって、前2編とは趣がちがいすぎ、取って付けたような感があります。読みにくいせいで睡魔に襲われました。形が変われば楽しめそうな話なので、絵本化を希望。 「沖で待つ」と聞くと、ついつい沖雅也の「涅槃で待つ。」を思い出してしまいます。要らん話ですね。すみません。(^^;
0投稿日: 2017.04.27
powered by ブクログイッツオンリートークと同じような固い文章 でも、つかみどころもそうないような感じが私はする。 沖で待つは、友情を描いたっていうそういう話だったのかな。 うまいのかなぁ。
0投稿日: 2017.02.28
powered by ブクログ文章も読みやすく内容も明るいので、芥川賞作品の中でもかなり親しみやすいと思う。 表題作が抜群によかった。同じ景色や想いを共有した同期という存在の特別さが温かい。そういう関係は大切にしたいと素直に思えた。また、死というのは単にもう会えなくなるだけではなく、その人が内に抱えていたものが二度と陽の目を見ることはないということなんだなと思った。もちろんそこには、見るべきでないものも含まれているんだけれども。人間誰しも知られたくないことの一つや二つ抱えているだろう。それがデータとして残っちゃうんだから、立つ鳥跡を濁さないのも大変な時代だなあと思います。今はさらにクラウドなんてものがあるわけで、ブツを壊しても残るデータは残るからね笑。これ死ぬ側としても残される側としても結構切実な現代の問題じゃないかと思います。データとして残るものが多いことは悪い面だけじゃなくて良い面もあると思うけれど、結局は小説の最後のように、共有した忘れられない景色が胸の中にあればそれだけでいいのだと思う。というよりそれくらいが適切なのだと思った。
1投稿日: 2016.11.06
powered by ブクログ告白でも記録でも描写でもない。これは丁寧に無形の感情を表現した「文学」だ。形式にこだわるわけではないけれど読みながらとても、そう感じた。 心に残る1文が、目から鱗の表現が、たくさんあった。 ''私はこの店に夜を買いに来るのだ。真っ暗で静かで狭い夜一丁。'' (「勤労感謝の日」より) ''これは、太っちゃんの棺桶だ。'' ''鋭く刺すように光を反射する、静まりかえった円盤でした。 これが、死なんだ。'' (「沖で待つ」より) まず「勤労感謝の日」は主人公の吐くとめどない毒が面白い。痛快。 表題作は太っちゃんの人間性がとても良い。ポエムのくだりは読みながら吹き出してしまった。 「みなみのしまのぶんたろう」はすべて平仮名で書かれた児童書のような(そしてそれが明らかに意識された)一作。 しかしところどころ皮肉やエッジが効いていてクスリとさせる。 夏川けい子さんの巻末解説も良かった。 著者や夏川さんと同じく(職種や時代、置かれた状況は違えど)会社員人生を送った、とりわけ営業に関わった今の私だから「沖で待つ」の温かみと切なさが味わい深いのだとおもう。 (2016.10.13)
0投稿日: 2016.10.12
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「勤労感謝の日」「沖で待つ」「みなみのしまのぶんたろう」の3篇からなる短編集。 勤労感謝・・・では36歳、失業中の主人公が閉塞感ある毎日のなかで、母のいる家に帰りたくないとき、行きつけの飲み屋に寄ってやさぐれる。 ーー私はこの店に夜を買いに来るのだ。真っ暗で静かで狭い夜一丁。 そうして、懐に虎の子の夜一丁を入れて帰っていく。そのしなやかさがなんともいい。 沖で・・・は絲山さんの会社勤めの実体験が随所に生きた、ある意味お仕事小説。 ーー仕事のためだったら、そいつのために何だってしてやる。同期ってそんなものじゃないか・・ とか ーー納まらない現場っていうのは絶対にないんだよ・・ とか 自分も同じ男女雇用機会均等法世代だから、一つ一つの言葉にがむしゃらだった昔を思い出し、懐かしくも、しみじみしてしまった。 みなみのしまの・・・は、ひらがなとカタカナだけで書かれた、寓話のようなお話。 これもまた、感じるところのある作品。
0投稿日: 2016.10.01
powered by ブクログ詩的なタイトルに反して、大変にクールな文体と内容。 女性総合職がうんたらとかいう審査員の言葉があったのかなー。 もっとエキセントリックであってほしい、というのは個人の好みか。
0投稿日: 2016.09.21安心して・・・待っているから
バブル入社頃の女性総合職の方の想いの2編+ひらがな文体で元都知事のパロディ1編、合計3編の短編集。 バブルは華やかなイメージが強いですが、当時そこそこのクラスでないと、仕事が過酷なだけでつらい事も多いのも事実な「勤労感謝の日」。なるほどな一遍 表題作「沖で待つ」の語感とこの本のカバーイラストをみると、「死」についてのハードな内容と思いきや、やさしく、愛にあふれた想いの結果「沖で待」っている話でした。私は誰かに「安心して、待っているから・・」って言える(書ける)かなぁ。よい作品でした。 >>もと とちじのはなしは、こんなかんじでかかれています。
12投稿日: 2016.04.25
powered by ブクログ16/03/02 俺は沖で待つ 小さな船でおまえがやって来るのを (P112 沖で待つ) 太っちゃーん。
1投稿日: 2016.03.05芥川賞受賞作おまけつき
自分の死後、見られて一番困るものは何でしょう? 恋人や家族には決して見られたくないものの処理を会社の同僚から頼まれた私は、託された合鍵を手に彼の住居に忍び込みます。 表題作『沖で待つ』のほか、ハローワークに通う30女の見合い話を描く『勤労感謝の日』、風刺を効かせながら最後はほっこり和ませる『みなみのしまのぶんたろう』の3篇を収録しています。 いずれもすっきりとした後味で、働く女性ならきっと共感できる一冊。男性の感想も聞いてみたくなります。
6投稿日: 2016.01.13
powered by ブクログ最後のひらがなだらけの作品が、とても気に入りました。もちろんはじめの2編も一気に読めるくらい面白いですが、無人島で魚と話せるようになるおっさんのお話、とてもステキです。
0投稿日: 2015.12.19
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沖で待つ 書き出しも好き! コレ好き、この空気感。 同期‼︎ そして 太っちゃん。 と、しゃべりた〜い。 『俺は沖で待つ 小さな船でお前がやって来るのを 〜』 「、わからない」 句点の使い方。惹かれます。
0投稿日: 2015.11.29
powered by ブクログ初めての絲山秋子さん。 三つの話からなる短編集でして、最後の一つ以外読了。 『沖で待つ』は特に、主人公の回想の様な文章のため、読みやすいと感じました。 買うのを後悔する程ではありませんが、好きになる要素も特にありませんでした。しかし、これから先の人生の中でふと、思い出してしまうような作品でした。
0投稿日: 2015.09.27
powered by ブクログすらすら読めてしまう私小説。同期、男女の友情、沖で待つ … なんだか不思議な感覚でした。 勤労感謝の日も含めてバカバカしいような話ですがこのバカバカしさこそが大事に思えてなりません。作者と同世代なのか、性格が似たタイプなのか分かりませんが共感する事が多かったです。
0投稿日: 2015.08.21
powered by ブクログ同期ってなんでかすごいつながりがある。実際には、あんまり関わりがなくても同期という言葉だけで、想いを共有できる気がする。そんな表題作「沖で待つ」男女間の友情はあるんだよね。同期だから頼める事もある、どうでもいい事だって言えるんだ。
0投稿日: 2015.08.17
powered by ブクログタイトルが気に入って借りる。こんな芥川賞受賞作なら読めるw それにしても字が大きいww 「勤労感謝の日」もよい。最後のやつは、よくわかんなかったけどw
0投稿日: 2015.06.18
powered by ブクログ最近絲山さんの文章にハマりました。 「文章です」感が最大限に薄いというか、自分の精神と登場人物の精神が何の障害もなく溶けていくというか、つまりそれが読書で、この体験のために読んでいるという…うまく言えない。 タイトルのつけ方がうまい本に悪い本は無いっす。 すげーっす。もうね、ファンです。 好きな作家がまた1人増えた!
0投稿日: 2015.06.17
powered by ブクログ同期入社の男女が題材のストーリー。 お互いのどちかが先に死んだら実行する約束を交わす二人。 そして何の前触れもなく、それを実行する日が訪れてしまう。 恋愛になりそうでならない二人の関係がもどかしいけど、 同期って特別な存在だなぁとしみじみ思います。 自分が新入社員だった頃とか、入社2~3年目で仕事に行き詰まった頃の事とか、 色々思い出します。
0投稿日: 2015.04.27
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「え、これが芥川賞?面白いのに?」が率直な感想です(^o^)← 芥川賞と言えば、やたら難解で、エロチシズムが滴ってて、全然面白さがわっかんねー!が(私の中で)通説なんですが。が。 今作に関しては例外でした\(^o^)/嬉 こんなライトな読み口の受賞作、あるんですね~。表題作ももちろんですが、特に冒頭の「勤労感謝の日」の主人公の語り口が痛快でおかしかった(笑)。私自身、主人公の年齢や立場が見えてきたので、そろそろ笑えないかなと薄ら寒くなりながらも、やっぱり笑えちゃう感じ(笑)。自虐的かな~。 お見合い相手を痛烈に皮肉る言葉の選び方とか、異性の同期とのつかず離れずの心地よい関係性とか、この世代の女性にピンポイントで刺さるような題材と語り口だなあと思っていたら、三話目は全文カタカナ・ひらがなのブラック童話。何この構成…変なの…好き…← 浅く短くも優しい人間関係の描写がなんとも心地よい世界です。20代~30代の働く女性には、共感できたりクスッと笑えたりできること請負です。久しぶりに、文芸部なんかでオススメしたい作品かも。…推理小説はね、勧めにくいのよねえ…。 とまれ、絲山ワールドにまた浸かろう、そうしよう。 最近内容まとめるのさぼりがちだな…(^o^)φ引用、引用~ 仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。そう思っていた同期の太っちゃんが死んだ。約束を果たすため、私は太っちゃんの部屋にしのびこむ。仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く芥川賞受賞作「沖で待つ」に、「勤労感謝の日」、単行本未収録の短篇「みなみのしまのぶんたろう」を併録する。すべての働くひとに。
0投稿日: 2015.01.17
powered by ブクログ3編とも印象が違う作品。 最後の「みなみのしまのぶんたろう」は…笑 全部ひらがなとカタカナで、アルジャーノンより読みにくい。また痛烈な風刺が効いていて、よく載せられたなぁと色々な意味でびっくり。
0投稿日: 2014.11.17
powered by ブクログ友人から「面白い」と話を聞き、近くの図書館になかったので買って読んだ。 それはそれは面白かった。私の世代の女性なら、誰でも感じる社会からの視線。男性社会への想い。 何度も笑った。これが芥川賞? それにしては面白過ぎる、と思ったけれど、完全なるエンターテイメントではないかもしれない。(ツボが狭過ぎる) でも、他の作品も読もう、と思った。
0投稿日: 2014.11.06
powered by ブクログ短編(中編?)三作品。面白かった。 とくに『沖で待つ』にグッときた。 多分、もっと若いときに読んでいたら読み過ごしていた成分がたくさん入っている。 文章も平易で、アホな私にも読みやすい。 いい作家さんを見つけてしまった。もっと書いて欲しい。
0投稿日: 2014.10.15
powered by ブクログ【本の内容】 仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。 そう思っていた同期の太っちゃんが死んだ。 約束を果たすため、私は太っちゃんの部屋にしのびこむ。 仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く芥川賞受賞作「沖で待つ」に、「勤労感謝の日」、単行本未収録の短篇「みなみのしまのぶんたろう」を併録する。 すべての働くひとに。 [ 目次 ] [ POP ] 絲山秋子の描く世界はいつもあたたかく少しさびしい。 そして、綴る文章はいつもいろんな世界を軽やかに飛び越え行き来する変幻自在の魔法みたいだ。 芥川賞受賞作の本作は、読み終えるのがもったいなくて何度もページを閉じてしまうほど、美しくて優しくてさびしくて静かな世界が描かれている。 この世界をとにかく味わって下さい。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
0投稿日: 2014.08.23
powered by ブクログ特別仲が良いわけでも、気が合うわけでもない。でも同期、特に最初の配属先の同期って、どうしてこうも特別なんだろう。 福岡という縁もゆかりも無い場所で社会人生活をスタートさせた主人公と太っちゃん。お互いのことを良く知ってるが故に干渉し合わない、だからこそ家族には言いにくいこと、大事な秘密を共有できる。不思議な信頼関係。 私は入社同期とは全く仲良くなかったけど、異動の前日に唯一事前に連絡したのは彼だったな…なんてことをふと、思い出した。
0投稿日: 2014.07.13
powered by ブクログ「同期って不思議だよね」 「え」 「いつ会っても楽しいじゃん」 「俺も楽しいよ」 けれど「いつも」というのはここから過去のことでしかなくて、この先などないのだという思いは、子供のとき間違えて飲み込んでしまったビー玉のような違和感で咽喉につかえました。 「楽しいのに不思議と恋愛には発展しねぇんだよな」 「するわけないよ。お互いのみっともないとこみんな知ってるんだから」 (P.123)
0投稿日: 2014.03.04
powered by ブクログ電車、図書館で読めない事必至! 「勤労感謝の日」は爆笑短編。 会社の上司に噛みつき、「自己都合退職者」となった女性の内面をブラックな表現で描く「勤労感謝の日」。 同期の男女の「約束」が描かれる「沖で待つ」。(芥川賞作品) ひらがなで大臣の哀愁を描く「みなみのしまのぶんたろう」の短編3作。 ■沖で待つ■ 住宅設備機器メーカーに就職した時に同期だった男女、「及川」と「太っちゃん」。 「どちらかが先に死んだら、生きているほうが家に忍び込んでPCのハードディスクを壊す」という約束をする。 突如としてやってきてしまった「約束の日」。及川は、初めて見る、まばゆいばかりのハードディスクの面に、太っちゃんの「死」を感じ取る。 日記体の文章だったが、そのシーンは、何か神秘的な匂いがして心奪われた。 確かにハードディスクは全てを反射する何もない、円盤。 見慣れているCDやDVDのディスク面よりずっと深遠な雰囲気がある。 これを「死」と掛け合わせるとは、恐れ入る。 反射するという点では鏡と同じなんだけど、違う。 そこにならその人の記憶と想いが刻まれているから。 【ココメモポイント】 ・頭のなかではコイツトヤレルノカ?という声がする、うーん、極めて難易度が高い。 P.18 「勤労感謝の日」 ・私を育ててくれたのは会社の先輩よりも、現場の人たちでした。だって、事実は現場にしかないのですから。 P.81 「沖で待つ」 ・中には銀色の鏡のような円盤<ディスク>が入っていました。 鋭く刺すように光を反射する、静まりかえった円盤でした。 これが、死なんだ。 P.101
0投稿日: 2014.02.17
powered by ブクログ芥川賞受賞作「沖で待つ」を含む、短篇が3つ入った一冊です★ 就職と結婚(色々なしがらみ?)に悩む女性の日常を 切りとったようなお話の「勤労感謝の日」 そして平仮名とカタカナのみで綴られ、絵本物語のような 「みなみのしまのぶんたろう」 受賞作品である「沖で待つ」 どの作品も、柔らかい雰囲気を感じる物語でした(=▽=) 読みやすい一冊ですよー! ほんのり気持ちが温かくなる物語です★
0投稿日: 2013.11.29
powered by ブクログ実際にOLを経験しているだけあって、リアルで面白い。 普段遠いと思っている死だけれど、近くにあるもの。
0投稿日: 2013.10.22
powered by ブクログ印刷の仕方(文字の大きさや行間の広さ)を含め,とても読み易かった。 「勤労感謝の日」 たまに出てくる比喩が,とてもしっくりきた。 「沖で待つ」 こんな大切な同僚や上司に出会いたいと思った。 この話を読んで,解説も読んだら 少しだけ,社会に出ることに前向きな興味をもった。 学生の時に読めてよかったかもしれない。
0投稿日: 2013.09.30
