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小さいおうち
小さいおうち
中島京子/文藝春秋
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総合評価

495件)
4.0
139
196
108
7
3
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    映画化された方を先に見ましたが、個人的にはそちらの方が内容が入ってきやすいと感じました。原作で読むと回想の物語の終わりが尻切れトンボになってしまったように感じ、終わりの流れに浸れなかったような後味でした。

    0
    投稿日: 2025.10.21
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    昭和初期の中流家庭で女中として働いていた、タキの回想録という形で進む物語。 時代設定は太平洋戦争直前の東京の郊外。戦前、戦中を描いた作品は、多かれ少なかれ戦争の悲惨さ、民衆の苦しい日常、軍の愚かさなどが目立つ内容になる事が多いが、本作の面白いところはそういったものが物語の後半になってほんの少し出てくるものの、ほとんど描かれていないことだ。 逆に、「南京陥落記念セール」とか、「アメリカと戦争が始まって、なにがよかったって、世の中がぱっと明るくなったことだ」などという記述があり、教科書で戦争を学んだ現代人からは到底想像もつかない日常があったことを思い知らされる。 かと言って、決して戦争を礼賛するような話ではない。それは当時の一般市民のなんの飾りっ気もない、日常の風景だったのだろう。そこに「戦争」が当たり前のようにあった、というだけなのだ。

    0
    投稿日: 2025.10.08
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    タキさんの女中時代と今が書かれていて 読んでいてその時代の時間が感じられました。 女中に大雪な掃除や炊事の家事だけでなく《ある種の頭の良さ》が伝わる文章でスラスラ読めました!

    4
    投稿日: 2025.08.28
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    これまで読んだ小説とは少しちがう感じ。 戦時中の東京でのとある家族についての物語が、女中(お手伝いさん)の目線で語られていく。 自分のイメージの戦時中とは異なる風景が思い描かれていて新鮮に感じたのと、女中がとても賢くそこもまた面白かったなと。

    1
    投稿日: 2025.08.05
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    直木賞受賞作。 映画で観ましたが、主演の松たか子が綺麗で、赤いおうちがとても素敵に描かれていました。小説に想像力を掻き立てられ、映画の内容が更に深まりました。 戦争の話と結婚•恋愛が絡み合い、考えさせられたし、曖昧なラストで更に読み手の興味を掻き立てられます。

    1
    投稿日: 2025.06.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    早々に映画を見なくては! 暗いイメージが強い、日本が戦争へと足を踏み入れていく時代を、一般の庶民がどのように感じ、考え生活していたのか雰囲気がとてもよく分かる作品。 辛い事もある時代でも楽しくしっかり生活していたタキ。時子奥様を中心に生き生きと書かれていて良かった。 お友達の睦子さんはタキ本人も気づかない気持ちを同類として、早々と悟り、重要な部分は言わずに励ます場面良かったな。 多分、タキ自身も恋がどういったものなのか分からなかったのか…。 時子奥様、すごく素敵な人だったのね。 板倉さんが最後時子に会いに来た時のタキの気持ちが全く書かれていないことが興味深い。 とてもきれいな物語。

    1
    投稿日: 2025.06.19
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    くるたんさんが大好きな「小さいおうち」のレビューを書かれていて、ブクログ本棚へも置いておこうと再転載することにしました。     ♫原作「小さいおうち」と映画を観て         (2011年・12月22日) 映画は1年ぐらい前に観て好印象だったのに忙しさに紛れて書き落としたまま。幸いにも、原作を読んだ感想を5年前に書き留め他のブログに残していました。 原作を読んだ後に映画化されたのは知っていたのに、自分のイメージを大事にしたいと映画はしばらく観ませんでした。 たぶん読後4年経った頃に鑑賞したのでは? 白い割烹着でベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞したタキ(黒木華さん)を観るつもりだったはずが、意外にも主役を演じた時子(松たか子さん)の存在感が大きかった! 2人とも素晴らしかったと思います。 物語は東京西部にある赤い三角屋根の洋館に働いていた女中、タキの回想で書かれています。 東京の中流よりも少し上のクラスの庶民の人たちの暮らしぶりが描かれていて、時代設定は昭和初期なのに、不思議と懐かしさと新鮮さを感じてしまいました。戦争が忍び寄る暗い時代背景の中で、予想外に元気にイキイキと日々をすごす人々らがいるのは力強くも感じられました。 7章まではタキが仕えた平井家の時子奥様とその坊ちゃん、おもちゃ工場に勤務する旦那様と4人の生活を中心に、回想録の形で女中奉公の記憶で綴ってあります。時々その回想録を、甥である健史がこっそり読むという構成。 淡々としたタキの回想が気持ちよく流れているのを、茶々をいれたような健史の言い分がその流れを断ち切っているのは紛らわしいなぁ~。単に現在と昔を比較しているのだろうと思いきや、この健史が章を追うごとに重要な役割をなし思わぬ展開をもたらします。 最終章で、健史はタキが亡くなった後、洋菓子の空き缶の中からタキが平井家の家族と一緒に写った写真数枚と和紙の封筒を見つけます。裏に平井時子とあるだけで宛名が書かれていない美しい封筒でした。タキが生涯隠し続け後悔してきた真相が明らかになった時、胸が詰まります。タキが慕っていたのは、時子が思いを寄せていた板倉だとばかり思っていたのにそうではなかった・・・。意外な真実に驚き、なるほどと中島ワールドの上手さに舌をまかずにはいられません。 イタクラ・ジョージの記念館も実際にあるような気にさせてもらえる仕掛けが素晴らしい!中島京子さんの作品の中で一番好きな作品です。やはり第143回直木賞を受賞していました。 同じ題名でバージニア・リチャード・バートンの「ちいさいおうち」という絵本が登場しますが、たぶん中島京子さんは同タイトルの絵本からヒントを得この作品を書かれたのでしょう。久しぶりにこの絵本に出会えたのも思いがけず嬉しかった。

    17
    投稿日: 2025.05.19
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    黒木華さん主演のこの映画が大好きで、何度も観ています。今更ではありますが、恥ずかしながら原作は未読でした。 平井家で働いたこと、これがタキちゃんの青春だったのだなぁ。 原作を読んでさらにタキちゃんの奥様に対する思いの強さを感じ、タキちゃん、タキおばあちゃんが大好きになった。 戦前戦中戦後の当時の人々のリアルな暮らしや思いは、歴史の授業などではわからないけれど、この作品を読んで、当時の人々の思いや暮らしを知ることができた。 大切な家族、恋人、友だちが徴兵されたり、空から爆弾が降ってくるとか、亡くなるとか、想像しただけで恐ろしいし、そんなことがこの日本で起こっていたことを決して忘れてはならないと改めて感じた。

    0
    投稿日: 2025.05.17
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    教科書で習った戦争の時代、その時代を生きている人の言葉で日々を綴られた文章を読む機会はなかったのですごく新鮮だった(フィクションだが) 戦争中の辛い場面の映画は多いが、タキさんの一生なので小さな幸せやありふれた日常の方が多く書いてあったのがすごくリアルですごく怖くなった。 時子さんの戦争中だとしても心の豊かさはなくしたくない思いはとても大事だと思った。

    0
    投稿日: 2025.05.16
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    戦前から戦中の時代にも、等身大の日常と生活が存在していたのだと改めて思い起こされる作品。 女中と、奥様と、旦那様と、少年と、青年と、戦争の時代を生き、大きなうねりに巻き込まれたけれど、戦争そのものを動かす当事者ではなかった人々の物語です。じんわり心に響く。

    0
    投稿日: 2025.05.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最後の最後に書かれた対談 「戦争の時代の人」がいたんだと思った でもみんな私たちと同じように楽しく暮らしていたのに、いつの間にか戦争に向かっていったんだと 今の時代にたくさんの人に読まれていい本だと思う そしてすごく読みやすい本だった 毎日少しずつ楽しんで読むことができてよかった

    1
    投稿日: 2025.03.13
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    『小さいおうち』読了。 最初は昭和初期の時代ってこんな感じなのかな〜ぐらいの感覚で読んでいたのですが、徐々に面白くなって引き込まれていきました。面白かった。 歴史上では記されない所謂、“稗史”のような赤い屋根の小さいおうちを舞台に昭和初期から戦後にかけて描かれた物語でした。 山田洋次監督で映画化され、気にはなっていたので一度は読んでみたいな〜、と思って気がついたら10年が経っておりました。 マジで面白かった。逢引とはこーゆーことかなと、奥床しさを感じました。 2025.2.17(1回目)

    7
    投稿日: 2025.02.17
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    映画が思い出されるけれど少し違うところや詳しいところがあって面白く読めました。女中としてあの手紙をどうするべきだったのか…そらを後悔していたタキさんはずっと苦しかったのだろうと思いました。

    3
    投稿日: 2025.02.17
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    戦時中の市民がいかに危機意識がなかったか、どんな暮らしをしていたか、などが家政婦の目線で描かれていておもしろかった ただ劇的な展開やクライマックスがなかったのが残念

    0
    投稿日: 2025.02.09
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    昭和初期の世の中のイメージが変わりましたね。生活史は政治史や世界史とは違う。男の歴史ではなく市井の歴史、雰囲気が分かりました。ストーリー的には抑え気味で盛り上がりはそんなになく、淡々という感じ。

    0
    投稿日: 2025.02.05
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    「うらはぐさ風土記」で中島京子さんのファンになり2作目。昭和の女中さんのお話が面々と綴られて最初はうんざりしていて、挫折しかかった。 レビューを読んでいると評価も高く、後半からは物語が加速するらしいと知ると、勝手なものでどんどんと興味が湧いてくる。タキさんや時子さんの物言いに慣れてくると時代背景や生活そのものも面白く、何となく予測できたストーリーもラストでびっくりの結末。また違った解釈になりとても深かったし、映画化もされているとかで、さすが直木賞受賞作品は違うなぁと。もう少し中島京子さんの作品を極めてみようと思う。どんな世界が待ち受けているのか楽しみ。

    8
    投稿日: 2025.02.02
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    戦前から戦後にかけて、女中としてのタキの働きっぷりもおもしろかったけど、それ以上に世の中がどう変わっていったか、庶民はそのときなにを感じたか、が非常に興味深かった

    1
    投稿日: 2025.01.21
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    教科書には書かれていない、あの頃人々がどう暮らし、どう生きていたのか。教科書で読む戦時中のことと、普通の人たちの感覚とのギャップが興味深かった。 タキさんの覚書で終わらず、最後の章につながっていくところもよかった。 そうやって、語りつないだり、想いをつないでいかなければならないことが、きっと身近にたくさんあるのだと思う。 映画も観てみたい。

    1
    投稿日: 2025.01.12
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    実話と思ってはいけないのだろうけれど、 個人の戦中の感覚が腑に落ちた。 ゆれる感情と答えのない人間関係が魅力的。

    2
    投稿日: 2024.10.27
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    中盤からラストにかけて本当に良かった… 初めのうちは、昔の話で想像がつかず読むのが難しかったけど、途中から面白くて一気読みした!! 途中で読むの諦めてしまった人勿体ない!! 文庫本284ページが特に泣けた… やっと言えたんだね… 真実が語られあかされないところがなみなみならぬ小説なのです。

    2
    投稿日: 2024.10.18
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    先日、ようやく映画を見たので、原作も読んでみる。細かな違いはあるものの、概ね山田洋二監督が原作をそのまま映画に仕上げてるのに驚いた。甥の健史は小説の方がもっとポンコツだったけどね。まあ、最後にいい仕事するんでいいかな

    2
    投稿日: 2024.09.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女中さんと奥様の、忠義より優しく友情より固い愛の話 睦子さんがしていた三つの道の話、タキさんの道は三つ目の道じゃなくて二つ目だったのかな でも私は個人的には2人の愛は恋愛のそれじゃないと思いたいけど、どうなんだろう これもまた、この世界の片隅に、な話だったな タキさんのメモから甥っ子の息子視点に切り替わるのもとても面白かった ストーリーも面白いし、その描き方も好き

    2
    投稿日: 2024.08.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦争に向かっていく日本と、当時生きていた人たちの生活・認識がタキさんの手記という形で細かく描かれていて、とても面白かった。 最終的には現代に戻ってきて健史視点で描かれるように視点が切り替わった瞬間は驚きがあったものの、全体的にはそこまで複雑な物語ではなく、どちらかというと戦争当時の様子を感じられる読み物という面白さが強かったように感じる。 また、私がこれまで読んできた戦争ものとは違い、たとえば戦争に対してどこか他人事と思っている人たち、そんななかでもジワジワと戦争が生活に染み出してくる様子が描かれていて、なんだかとてもリアルに感じられた。 タキさんが女中として働いていた一家の奥様・時子さんはかなり魅力的な女性で、板倉さんだけではなく友人の睦子さんやタキさんまで魅了していたことが最終的にわかる。 実際、タキさんの手記に登場する時子さんは、とてもかわいらしい女性だった。 そして、板倉さんが戦後の作品「小さいおうち」で2人の親密な女性を「聖なるもの/守るべきもの」として描いていることがとても素敵だと思った。 思い出の家もなくなり、当事者もみんな亡くなった時代においても、2人の親密さが形として残っていることが非常に尊く、切ない気持ちになった。

    1
    投稿日: 2024.08.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女中として働いていたタキおばあちゃんの現在から話は始まります。 過去の出来事を手記として残すタキ。 昭和の初め、まだ少女の女中がどのような人生を歩むのか…。 タキと時子の関係が一言で言い表せないですね。 使用人と主人ではありつつも、家族でもあり友人でもある。 なかなか親密な関係。 このまま時代は流れるのかと思いきや、後半の展開に驚かされます。 どこまでが真実で、どこからが現実なのか。 分かるのはタキの時子への愛情と、とてつもない後悔。

    2
    投稿日: 2024.08.14
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    子どもに読み聞かせた絵本とおなじタイトルだなと思ったのを思い出した。女中にあがったサキさんの生活が見えるようで昭和を懐かしんだ。 いえは成城あたりと見当つけて読んでた。

    0
    投稿日: 2024.07.28
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    <再登録>昭和初期に「小さいおうち」に奉公していた少女の回顧録。 戦争の気配が色濃くなっていく時代を描いているのに、あくまで平井家周辺は昭和モダンの華やかさを保っています。それだけに美しい光景が失われていく過程は読んでいて悲しくなりました。 途中で挿入される現代パートでは孫の健史の現代っ子視点にイラっとしましたが、その健史が最終章ではまさかの大活躍。残された人達のすべてを明らかにはしない優しさがよかった。過去は美しいままにしておくのがいいこともあるのでしょう。

    2
    投稿日: 2024.05.18
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    戦前戦中の日常を描いたような作品で時代や表現方法は違えどノスタルジーを描くという点でなんとなく三丁目の夕日をイメージした。 女中とか奉公とか馴染みがないけれど殆ど違和感無く読めた

    0
    投稿日: 2024.04.26
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    女中の話。昔の裕福な人とそのお仕えの人の話、最近好き。裕福な人はとことん裕福に煌びやかに、その世界観が好き。最後までしっかり読み応えのある1冊。ラストもいい感じでした。

    0
    投稿日: 2024.04.20
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    おもしろい。昔の日本語の美しいこと。品があふれてる。言葉尻から人となりまで垣間見れ情景が目に浮かぶ。 コロナや戦争、現代と近しい部分も多く、なんだか似たような状況だと時代は繰り返し、もしやまたここに書かれてるような世界になるのでは!そうなったときのヒントなんかないだろうか。等 現代と照らし合わせながら楽しめたのも良かった。 戦争の描写がなんとも現実的というか、フィクションかもしれないけれど、わたしたちが歴史の教科書を見て知るのは極々一部分で、地震も一緒で同じ日本にいながら全く昨日と同じ生活が続く地域にいる人と被災地の方との認識の違いのように、感じ方や体験が天と地ほど違うということがよくわかった。 そういう当たり前だけど、目の前のことしか見えないという意識思い出させてもらえ、忘れないでいたいなぁと思わせてもらえた。 最後になるにつれ、様々な事柄、人物が複雑に繋がっている発見もよくこんな設定思いつけるな!と感心する。よくできた設定に、これは実在する人物なのでは?!と思わず調べたりしてなかなか前に読み進めれない程読み応えあった。 映画化もされたようで、キャストが抜群にぴったり合ってて是非一度観たいです。

    2
    投稿日: 2024.03.26
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    高校生の時、映画館で山田洋次監督の作品を観た思い出。松たか子はもちろん、黒木華が特にハマり役だった。割烹着がこんなに似合う女優さんはいないと思う。 久しぶりに作品に触れたら、上品さの中に大人の色気があって、頭が火照ってしまった… 余韻のある最終章も素敵。

    0
    投稿日: 2024.03.24
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    面白かったー!最後はびっくりな終わりかたでしたが。 優秀な女中も、女中の幸せを願う女主人も素晴らしい。 映画も見たいな。

    2
    投稿日: 2024.03.13
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    大好きな本です。 辛く、暗い時代だったけど、それだけじゃない。幸せもあったし、人々の生活もあった。悩みも間違いもあった。痛感させられる作品。

    1
    投稿日: 2024.02.26
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    引き込まれた!  昭和10年〜戦後が舞台。 戦争小説では決してなく、東京郊外に建った赤い屋根に白いポーチの洋館での物語。 山形から女中奉公のために上京してきたタキ。 美しい時子奥様へお仕えするタキの目線で起きた出来事を、回顧録として晩年綴る。 ノートを読むのは甥の次男:健史。「頭の良い女中」と評されたタキ。その評価に値する仕事ぶりを、十二分に発揮した、と言うことか⁈ 物資が乏しくなるにつれ、創意工夫で乗り切る力、出会いと別れ。晩年の振り返った思い…。 誰しも1つくらい、人生の終盤で省みる事があるのだろうか。

    13
    投稿日: 2024.02.15
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    昭和の市井のある女中と家族のひとつの物語。歴史の流れの中でもあったはずの素朴な日常と、それでも大きな流れに争い、それでも理不尽な選択を迫られる時代。タキや健史の[頭の良い振る舞い]の結果がどうだったのか、様々な解釈ができるが、それがよかったかどうかはわかりようがなく、その問いの答えを探し続けるしかない、というのも、また個人の人生そのものと、それが時代の流れに委ねられていることのように思えた。

    1
    投稿日: 2024.02.13
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    昭和の市井のある女中と家族のひとつの物語。歴史の流れの中でもあったはずの素朴な日常と、それでも大きな流れに争い、それでも理不尽な選択を迫られる時代。タキや健史の[頭の良い振る舞い]の結果がどうだったのか、様々な解釈ができるが、それがよかったかどうかはわかりようがなく、その問いの答えを探し続けるしかない、というのも、また個人の人生そのものと、それが時代の流れに委ねられていることのように思えた

    1
    投稿日: 2024.02.13
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    少し前に、映画を見て、本も読んでみた。 時代を経て、戦時中、女中時代と現代の振り返っている時代が行き来する。 こんな女中さんがいたら素敵だなと思う。 戦時中、慎ましくなり、生活が変わっていく中で、こういう日常が実際にもあったんだろうなと思う描写だった。

    2
    投稿日: 2024.02.02
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    なんの前知識もなく ノンフィクションだと思って読み進めてしまった! 自分でも言ってるけどタキさんって本当に賢い女中さんなんだなって感動しながら。。。 戦前〜戦後の時代の空気、 東京と田舎の景色が手に取るように伝わってきて、 タキさんと奥様の絆や 甘やかされ放題のおぼっちゃまの姿からも あたたかみが感じられて ほんわりした気分に。 でもやっぱり戦前〜戦後という時代 このようなあたたかいものが犠牲になったんだ と思うと辛い。

    1
    投稿日: 2024.01.05
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    戦前って、こんなわくわくしていたんだ。 戦争と聞くと 暗い 寒々しい 白黒 怖い 可哀想 というイメージ。 でも、実際は人なわけで。私たち現代を生きる人と同じなわけで。 それぞれの、一日一日には嬉しいこと辛いことがあるんだ、と知った。 それなりに辛いことがあれど、その場所で味わえる幸せを感じる。見つける。 きっと昔も今も変わらない。 それを教えてくれた、一冊。

    0
    投稿日: 2023.12.31
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    【読了】小さいお家/中島京子 映画を見たので原作も。 時子奥様がもう松たか子でしか脳内再生されなかった。 優雅でお上品で、明るく溌剌とした奥様な雰囲気は確かに松たか子にぴったりだなぁと読みながら思った。 映画も見ていたから、家の雰囲気や街の風景も想像しやすく、手記という形で書かれているので読みやすかった。 映画もそうだったが、最後はなんとも言えず切ない。 途中の展開が小説と映画で異なるので解釈の違いはあるにせよどちらもドラマチックだと思う。 私は小説版のほうがしっくりきた気がするが。 著者の別の作品も読んでみたい。

    2
    投稿日: 2023.12.17
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    小さく厚みのない本だったので旅のお供に連れていった。 読んでから日にちが経ってしまったのであまり記憶にないのだけど、戦前の日本の暮らしに触れられた。

    0
    投稿日: 2023.12.17
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    第二世界大戦。歴史書には書いていない、戦争へと突入していく生活感が、彩鮮やかに描かれている。 なんといっても、ラストの章がこの作品の深みを増させている。ぜひ、読んで感じていただきたい。

    0
    投稿日: 2023.11.08
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    青春としての若い時代を 女中として捧げたタキが 年老いて日記を残す。 その日記を甥が見つけ、 読み進めていくという視点で始まる。 穏やかに、贅沢に始まっていく生活。 すべての出来事が幸せへの積み重ねで、 何か特別なことがあるわけでもないのに、 それらは記憶に残っている。 でもそれは、戦争がはじまるまでのこと。 タキさんはたしかに素敵な日々を送っていたけれど、 戦争でそれらが奪われてしまったのは胸が苦しくなった。 お金持ちの奥様とほぼいたからか、 女中として家の中にいたからか、 社会の情勢についての描写がほとんどなかった。 外のことは旦那様からちらりと聞くくらい。 奥様が世間知らずというか、 そんな印象を受けたので、一緒にいるタキとは、 社会情勢についての話題のもなるはずがないよなあ と思った。その描写もよくできていた。 映画化もされている作品なので 時間があれば見てみようと思いました。 とても良い本に出会いました。

    2
    投稿日: 2023.10.25
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    大好きな絵本、バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』。本屋さんでこの本を見た時、同じ題名で絵本みたいな表紙に惹かれ即購入。昭和初期に女中奉公にでた少女タキが晩年に残した、その当時を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれていくという内容(最後に『ちいさいおうち』の絵本も絡んできます)。戦時中の話だけど、モノクロではなく、色彩豊かなイメージで、東京で暮らしながらも、空襲時には田舎へ戻っていたタキのような人達は、恐ろしく切羽詰まった生活を送っていたわけではないんだろうかと…東日本大震災で被災した方々と、同じ日本でもテレビなどでしか知ることのない人達との関係性に似ているような気がした。

    0
    投稿日: 2023.10.04
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    戦争前後に生きた女中の生涯 戦争前後に生きた女中タキの哀しみは80を過ぎ亡くなるまで続いた、と言う。それは長く暮らしを共にした家、東京の街が戦争で期待を絶するほど酷く、一つの屋根の下で家族の様に暮らしていた世界から戦争で人も家も全てを断ち切られるという哀しみは想像を絶する。だが、昔を語る絵本が「イタクラ・ジョージ記念館」で現存していることで救われたのではないかと、想像したい。

    5
    投稿日: 2023.06.01
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    可愛い装幀の表紙に、 可愛いタイトル。 さえりさんの本棚にあった本が気になって、読んでみました♡ありがとうございます。 昭和初期が舞台。 女性目線で進むこの物語は、 ハイカラで色彩あふれる当時の日本の姿が目に浮かぶよう。 女性は家を守る風潮が強かった時代。 男性の難しい世界のことはわからないけど、 家のことならなーんでも知ってたし、なーんでも手作り。 女性が創り出す、丁寧な暮らしに心奪われちゃう··· 布地から仕立て上げる着物や洋服。 掃除はすべて手作業で家中ピカピカ。 なんといっても食事のメニュー。 質素ながらに手がこんでいる料理たち。 当時はものすごく時間をかけてたんだろうなあ。 レンチンないし。 その手間を惜しまず、重ねる工夫が素晴らしい。 それらが、戦争の気配が近づくにつれて、 大切にしていたものが少しずつ奪われていく。 切ないなあ··· と思いきや、 物語は意外な結末で、最後まで楽しめました。 いい本を読んだなあ··· (⁠ノ⁠◕⁠ヮ⁠◕⁠)⁠ノ⁠*⁠.⁠✧ 母の日のプレゼントで、母親にお花と一緒にこの本もあげることにしました♡ 母親は、自分の家が大好きな人なので、 共感できるかもです♪

    11
    投稿日: 2023.05.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2023.04 図書館借本 . 全く前情報なしで読んだから純粋に展開を楽しめた。 フィクションだからかもしれないが、戦時下の裕福な家庭は教科書で習うよりも楽観的だったのかもしれないと思った。戦時下でも楽しそうに暮らす家族がすごく微笑ましかった。 最終章は初め「この展開(章)いるんだろうか?」と不思議だったけど、まさかの繋がりで健史と恭平坊ちゃんが出会うのがすごく良かった。 女中から見た奥様の不倫は何とも言えない事象なんだろうなと思ったし、奥様は現代で言うと魔性の女で男がいないと生きていけないんだろうなと思う。タキ→奥様への想いは恋心じゃないと思いながら読んでたけど最終章で考えが変わった。 読むのはなかなか時間かかったけど、面白かった。

    1
    投稿日: 2023.05.02
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    タキちゃんの手記がメインで進んでいくけれど、時折健史との対話もあって、時代のコントラストが心地よかった。 ほのぼの系かと思いきや、そっちに進んでいくのねー!と。 最終章ですっきり答え合わせがありました。 そして、読み終わってから装丁を見ると、、、!

    2
    投稿日: 2023.04.03
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    時間がかかったが最後まで面白かった。 物語の展開が遅く、主題がなかなか理解できなかったが、最後のあたりは面白かった。

    1
    投稿日: 2023.03.26
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    図書館で借りた一冊 手元に置きたい一冊だと思った いかようにも想像することのできる終盤 余韻に浸っている、今 日々を大切にしていて ちいさな幸せを味わうことのできる時代に憧れる 戦前はハイカラだったんだろう 叶うなら、そのときの銀座にぜひとも行ってみたい

    4
    投稿日: 2023.03.23
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    終盤までは、よくある物語かなと思いましたが、最終章でまさかの展開が…。個人的には、タキは時子が好きだったのだと思います。(今でいうLGBT)そう考えると、いろいろ辻褄の合う場面がありました。ただ、タキの後悔の理由は複雑そうですね。様々な解釈ができる面白い作品でした!

    2
    投稿日: 2023.03.13
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    山形の少女・タキは、昭和の戦前から戦争初期、東京で、女中として働いていた。それは、大好きで美しい奥様と、可愛い小さなおうちで、家事の腕前をふるう楽しい日常だった。 そんな彼女が、女中を引退後、回想しながらノートに書き留めた物として描かれている。それを、時折、学生の甥が読むといった趣向。 最近も、敗戦前後の小説を何冊か読みましたが、それらのような、抑圧的な生活を書くのではなく、女中として、知恵と工夫で奥様を支え切るということを、楽しんでいるかのように思う。 この小説は、最終章で趣を変えます。 奥様が、戦時でありながら、夫がありながら、恋をしてしまう。その、想い人へ宛てた手紙が、開封されないままタキの遺品から見つかります。 タキが最初にお勤めした、小説家に教えられていた“かしこい女中”としての行動だったのか。また、タキは、奥様の友人にこの恋愛について相談したことがあります。その時の、“きれいな女は罪ね”と小説の抜粋から、意味慎重な会話がされます。タキさん同様、何を意味しているかわからず、数度読み返しました。ここに、タキさんが手紙を隠した本当の理由があるのか。正解は、作者のみ知るとのこと。

    57
    投稿日: 2023.03.02
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    女中とはお手伝いさんとかそんな軽いイメージしかなかったけど特定の人の人生に寄り添うということなんだなぁと。近くで全てを理解してるようにいても見えてない経験や思いもあり、それが死後に残された日記のようなノートから親戚の子供が伏線を回収していく様子がおもしろかった。昭和初期の日本は今よりも優雅だったように感じる内容だった。

    1
    投稿日: 2023.02.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最後の最後までタキの謎や展開が分からなかった点が結構好きでした。 自分の祖母も戦後ですが東京のお金持ちの家で女中をやっていたらしいので孫に感情移入して読めました。 時子さん魔性の女ですね。 絵の描写も凄く想像力掻き立てられて良かったです。 戦後全てが無くなってしまったことで最後の絵の中のおうちの世界がより清く美しいものになり、もののあはれを感じました。

    3
    投稿日: 2023.01.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    美しさは罪とはよく言ったものだなあと思う。 中島京子の「小さいおうち」は映画化もされ、直木賞も受賞した名作。実は少し前にNetflixで映画を観たときに原作の小説を読みたいなーとぼんやり思っていて、先日図書館で返却されたばかりの本のコーナーでたまたま見かけて衝動的に借りてきた。 『昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。だが平穏な日々にやがて密かに“恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫りきて―。 晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。著者と船曳由美の対談を巻末収録。』【「BOOK」データベースの商品解説】 内容のほとんどが女中タキの語りで進んでいく小説なのだが、タキを通して伝わる当時の暮らしぶりが鮮やかで様子が頭のなかに思い浮かぶ。またタキが慕っている時子奥様がどれだけタキにとって素敵であるかが再三に渡って丁寧に伝えられている。これは映画もぜひ観てもらいたい。 残念ながら今はNetflixでも配信が終了し、Amazonでも見放題対象ではなくレンタルしなければならないのだけれど。 とにかく配役が素晴らしいのだ。女中のタキが黒木華さんなのもそうだけれど、何より時子奥様の松たか子さんがもう最高に素敵。あの時代の奥様を見事に演じている。そしてタキが惹かれてしまう、なんとも言葉にし難い絶妙な魅力が存在しているのだ。文章を読んでいて香ってくる時子奥様の不思議な魅力というか、タキが奥様に惹かれることがよくわかる。 そういう出会ってしまったらどうしようもないような魅力がある、という人物像なのだ。 女中タキの時子奥様への感情の解釈は色々あるだろうと思う。そのうえで私は恋慕の情があったと解釈したい。 ずっと女中タキの語りで進んでいくけれど最後の最後は彼女の又甥である健史の語りになるのだけど、そこにきて大きな秘密が明かされる。その秘密がまさに私がタキが時子奥様に恋慕の情を抱いていたと思う理由のひとつだ。正義感から表出した言い分の陰に自分の欲が隠されていることがあるのはめずらしくない。 女性から女性への感情の大きな揺らぎが書かれる小説は存外少ない。雑に百合ものだとか言われて消費されてしまう。 ただこれは読む人によってタキがああいった行動をした理由は違うと思うから、どうか読んでみてほしい。

    5
    投稿日: 2022.12.05
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    面白かった。 最初は、昭和初期の話なので知らない言葉だらけでなかなか読み進められませんでした。少しずつ少しずつ読んでいって、終盤ですよ…ギュンッ!と引き込まれました。後はノンストップで読み切りました。 結論をはっきり書いていないので、想像が膨らみます。

    1
    投稿日: 2022.12.04
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    昭和の初期。難しい時代を女中として生きた女性の手記によって物語は進みます。柔らかく静かな中に、ざらっとした不安定な危うさを持ち続けている文章だな、と感じながら読み進めました。自分は嫁ぐことなくずっとここで暮らしたいと思うほどタキの心をとらえたものとは何だったのか。 最終章は衝撃でした。物語の流れが一変して、もう一度最初から読み返すと全く違った物語が見えてくる程。胸の奥に隠していた想いをぎゅっとつかまれたような鈍い痛みが残りました。 一人の女性の生き方に、大きな余韻がしばらく続いた一冊です。

    3
    投稿日: 2022.12.02
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    すごい良くて、映画も見たいってなって見てたけれど色々、端折られてるのが、もったいないなって途中でやめてしまった。それぐらい、小説がよかった。配役はとても良かったと思うけれど。

    1
    投稿日: 2022.11.21
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    戦前、昭和初期の東京の文化華やかなるこの時代の雰囲気が好きです。 晩年のタキが女中だった当時の時代を振り返って綴った記憶は、慎ましやかな中にも生きる喜びが感じられこの時代の空気を味わう事が出来ました。 タキを取り巻く登場人物に起こる様々な出来事、戦後何十年も経ってから明かされた真実、イタクラショージ記念館。。人と人との営みから繋がる歴史に感動しました。 また、タキが綴ったノートを読んだ甥の次男健史の殺伐とした反応は、失われた古き良き時代の美しさをむしろ際立たせるものだった。 私も若い時は健史の様に戦争でただ暗い時代という印象しか持ってなかった気がする。しかし歳を重ねるうち健史同様、祖父母や父母やこの時代の人も我々と同じ様に懸命に生きておりその歴史が今に繋がっていると言うことを肌で感じるようになったものだ。 戦争の渦中にあっても、街は賑やかで明るかったと言うタキの記憶も本当にそうなのだろうと思った。自分の周りに爆弾が落ちてこない限り、衣食住に不自由しない限り、人は希望を持って明るく生きようとするものだ。今だって海外では戦争が止まず、どこからかのミサイルが頻繁に発射されている様な中で平和だと思って生きている我々と何ら変わらない気がするのです。

    2
    投稿日: 2022.11.12
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    何度目かな、再読 ほんと好きな本。文体もすき。 時子の危うさとエロスと、板倉のフニャフニャしつつ意外とやるとこ(これはどっちかというと映画の感想かな)、タキちゃんの強さと哀しみ。 時局に流される時子の夫や会社の社長。 そういうみんなのそれぞれを、根こそぎ奪う戦争への怒り

    1
    投稿日: 2022.10.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本当は小説を読んでから映画を観たかったのだけど、うっかりテレビで映画のほうを視てしまい、ネタバレ状態で読む小説はいかがなものだろうと思ったけれども、杞憂でした。 映画は一つの解釈ではあるけれど、小説を読んで思ったのは、正解なんてものは各々の心の中にしかないということ。 というよりも、正解なんて、ない。 解釈という名の想像がどこまでも広く深く感じられるほどの奥行きを、この作品は持っていました。 昭和の、まだ支那との間にだけ軍事的いざこざがあると庶民が認識していた頃。 山形から女中奉公に出たタキという娘が、女中として一家を切り盛りする話。 奥様は再婚だけれどもまだ若く、そしてとても美しい。 華やかで美しい奥様はタキにとって、憧れという言葉では言い尽くせないほどの存在だったということは容易に読み取れる。 穏やかで新し物好きの旦那様と、足が悪いく毎日のタキのマッサージが欠かせない坊ちゃま。 戦争の気配はじわじわ近寄ってきていたけれども、おおぜいの日本人はアメリカが日本と戦争するなんて考えもしなかった。 だって日本軍が強いのは世界の常識だもの。 アメリカがそんな馬鹿な選択をするはずがないと、信じていた。 だから戦前も、戦中も昭和18年くらいまでは、驚くほど平和に日々は過ぎていったのだ。 少しずつ生活が窮屈になったとしても。 そしてそんな生活の中に、旦那様の会社の板倉青年が顔を出す。 おもちゃの会社でデザイン部門を担当している板倉は、絵画だけではなくクラシック音楽にも造詣が深く、奥様ととても話が合う。 奥様と板倉と坊ちゃまの3人で他愛のない話に笑い合う。 タキはそんな姿を見ているだけで、とても幸せだった。 しかし戦局は刻一刻と悪化し、目と気管支が悪いので戦場にはいかないだろうと思われていた板倉も出征することになり、タキは奥様の秘密を知ってしまう。 タキの手記という形でこの本を読んでいるのだけど、文章には書かれていないことが実は重要だったりする。 故意にしろ無自覚にしろ、タキには書くことができなかった自分の思い。 あの日の出来事。 言葉にされなかったからこそ胸に迫るものがある。 あらすじだけを追えば、ストーリーがわかればそれでよし、という昨今の風潮ではとうてい気づくことができない心の奥の奥にしまい込まれた温かな思いと苦い悔恨。 それから、多くを語られることがなかった板倉の人生。 そこにもつい思いを馳せてしまう、そんな幾層もの機微が織りなす切なくも骨太の作品でした。 なんでもっと早く読まなかったのか。

    1
    投稿日: 2022.10.20
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    今では馴染みのない女中さん、タキが静かに見守る小さいおうちに住む平井家の人々の物語。昭和初期の生活がリアルに描かれていて、まるで一緒に生活をしているかの様な感覚になった。時代は違えど、どの人物からも人間臭さがものすごく伝わってくる。

    1
    投稿日: 2022.09.23
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    おばあちゃんのお話を聞いているような安らぎを得られる素敵な作品でした。映画化されていますね。ジブリ作品となってもいいのではないかと勝手に思ってしまいました。漂うノスタルジーがなんともいえず美しいです。 女中奉公に出た少女の回想記。仕えた奥様への思慕、恋路を阻んだことへの悔恨の涙。 太平洋戦争に突入する間際にも、当然ながらほのぼのとした日常がありました。当時の人々の暮らしというと、なんとなくモノクロの、貧しい様相ばかり思い浮かべるけれど、それはあくまでも一面にすぎないのですよね。一方、戦争に導く民衆の空気って、意外と明るいものなんだなと、薄ら寒くなりました。

    11
    投稿日: 2022.09.16
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    戦前の街並みや文化の美しさが伝わりました。健史と同じで、歴史だけみると暗く苦しい世の中だと思ってましたが、とても素晴らしい時代だったと改められました。タキの要領の良さが心地よく時子さんの雰囲気も良かった。タキの生き様は好きです。最後の手紙は短いけどよかった。

    1
    投稿日: 2022.08.30
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    昭和初期、山形の田舎から女中奉公のために上京した少女タキは、持ち前の気転のきく賢さで女中としては重宝がられ、幾つか奉公先を変えながら長年に渡り女中として生涯を送った。 やがて老境を迎えたタキは女中としての生涯のうち、決して忘れることのできない赤い瓦屋根の「小さいおうち」の家族に仕えていた時のことを大学ノートに書き記すことを始める。玩具会社の役員の旦那様と時子奥様、恭一ぼっちゃんの 三人の家族に仕え、中でも時子奥様に心酔し、心からの忠義をもって勤めた10年間、平井家での女中としての生活は、タキの青春のすべてだった。 老年のタキがつづった手記から、意外な形で現在へとつながっていく。明るい未来に向かっていると信じていられた前半から、戦争の影がひたひたと迫ってくる手記の後半、そしてタキの没後タキが生涯抱えていた秘密、苦悩が明らかとなる。「奥様、わたし、一生、この家を守ってまいります」 新しい家に引っ越してきたとき、タキが目を輝かせて奥様に語ったが、守りたかったのは奥様の幸せ、奥様の笑顔であった。その決意は、戦争になっても揺らぐことなく、だからこそ守れなかったことがずっとタキの心の中に後悔としてくすぶり続けたのであろうか。 余韻の残る深い作品でした。

    2
    投稿日: 2022.08.30
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    女中が住み込みで家にいるのってなかなかのイレギュラーだと今だと思うが、戦前は普通だったんだなぁと。 住み込みであるが、女中という立場なので家族に肩入れして行ってしまう気持ちとても共感できる。 戦争中の描写も含めてだが、昔のレトロな感じが伝わってくるし終始明るいイメージでした。 現在との対比も良かった。

    1
    投稿日: 2022.08.28
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    "マドリング・スルー。秘策もなく。何も考えずに" のところは muddling through だと調べて知りましたが、その場の課題を一つずつ片付けていったら "胸を抉るような後悔が、こんな年になってもまだ襲ってくる" ことになってしまったということ?

    0
    投稿日: 2022.08.26
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    戦前戦後を舞台とした小説というのは、どこかじっとりとした暗さを感じたりもするのですが、この本はとてもからりとしていて、楽し気な部分が多いです。そもそも主人公・タキの記憶を綴った覚書という形なので、美しく、幸せなものしか記録に残していないのだと思います。 美しく優しい奥様と、かわいらしいぼっちゃまとのひと時は、タキにとってとても幸せだったのでしょう。そして、奥様はタキにとって、雇い主であると同時に愛しい人でもあり、ある種もう一人の自分自身でもあったのではないかと感じました。 とても良い本でした。

    8
    投稿日: 2022.08.09
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    住み込み女中として働いたおタキさんの日記から語られる昭和初期から戦後にかけての日常が リアルで引き込まれる。 第二部では戦争によって人生が狂っていくさまが静かに伝わってきた。

    1
    投稿日: 2022.08.07
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    過去を振り返る口調と、現代との対比がよかった。戦争の時代はすべての人が苦しくて耐えるのみってイメージだったけど、ちゃんと生活があって、知らない間にいきなりぱっ!って戦争モードになったんじゃなくて、いつのまにかじわじわと感じるようになったのがリアルで読めてよかったなあと思った

    0
    投稿日: 2022.08.07
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    ノンフィクションかと思うほどのリアルな描写。 すべてが実在しているかのような生々しさ。 時代の空気感、街の空気感、人々の空気感、すべてを残酷なほどに感じる。

    1
    投稿日: 2022.08.04
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    映画の予告で興味持ち買ったが… この作家さんの文体は私にはしんどい。 だらだら感じて読みにくく、楽しくなれない。 頑張って読んだが半分も読めず挫折。

    0
    投稿日: 2022.06.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    山田洋次さんが監督をされた映画版を見たので、再々読。 ほのぼのと日常が綴られている中に起承転結や登場人物の心の機微が描かれている素敵な作品。お金持ちのお家のお手伝いさんが歳を重ねてから過去を振り返って日記帳にその当時を書いていくスタイルで話は進む。 ちょっとおしゃれな家政婦は見たって感じ。過去を振り返ってる分、冷静に第三者のように見れている部分もある。 中には、私の好きなヴァージニアリーバートンの「The Little House」も登場する。 戦前・戦中・戦後のお話なのでその時代を垣間見ている感じになる。戦争というのは、今回のウクライナの時もそうだったけれど、庶民が知らないところでどんどん戦争の方に進んでいき、幸せに人々が暮らしている間に急に起こりうるもので、実際、当時生きている人でも戦いに行っている人の話ではないから、どこかちょっぴり他人事というか、戦時中でも生活は続いていくというのを感じる。 ネタバレ✂︎--------------------- 奉公に出ているタキちゃんとその家の若奥様、旦那さま、ぼっちゃん。そして、板倉さん。タキちゃんを黒木華さん、奥様は松たか子さんが演じられる。なんってぴったりで演技派なお二人。本も映画も多くは語らないスタイルで、タキちゃんが奥様を含めた平井家を大事に思っているのが伝わってくる。奥様の時子さんもいち女中のタキちゃんを可愛がっている。 お話のメインの奥さまの秘めた恋路。タキちゃんの心の中。 タキちゃんが手紙を板倉さんにお渡ししなかったのは、平井家の旦那さまや坊ちゃんのためか?女中魂がすごい。のか。真面目で彼女が平井家全体を愛していたのは確か。 だけど、タキがあの手紙を板倉さんに渡さなかったのには、もう一つ、二つ理由がある?と思わせるような終わり方だった。文中で、奥さまのお友達の雑誌記者、睦子さんがタキちゃんの気持ちわかる!みたいに言っていたのは、その頃はまだ認知されづらかったであろう同性愛

    1
    投稿日: 2022.06.05
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    ノンフィクションのようなリアリティさ。「ありそう」と思わせるストーリー展開と文章力は見事。夕方から読み始めて止まらなくなり夜中までかけて一気に読んだ。良い話しだった〜。中島さんの作品は初めて読んだ。他の物も読んでみたい。

    0
    投稿日: 2022.06.05
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    読み終えたのがだいぶ前なのだけど(レビューが溜まっているので消化中)読み終えた後に「あぁ良いお話だったな」としみじみ思ったことははっきり憶えている。 昭和の女中が主人公というとどこか悲壮感があるのだろうかと勝手にイメージしていたけれど、ただの思い込みだった。女中として働くタキの生き生きとした姿がそこには描かれていた。 タキが女中として奉公した家の時子奥様のさっぱりした美しさとか、時子奥様に恋心を抱いていた板倉青年の真っ直ぐさだとか、その秘密を近くで見ていたタキの迷いだとか。ドロドロにもなりかねないストーリーだけど、とても軽やかで読みやすい。しかしながら切なさだとか哀愁めいたものもしっかりと漂っている。 戦時中のお話だから戦争によって人々が生き方や生きる場所を変えていった流れも書かれているのだけど、戦争が始まったあとも空襲が現実のものとなるまでは本当に普通の穏やかな暮らしをしていて、当時の人々も案外こういう感じで暮らしていたのだろうとリアリティを感じる。 タキが時子奥様に対して抱く想いは、親愛や憧れ以上のものであったのかもしれない。そして板倉もまた、生涯をどんな風に過ごしたのかという描写で、時子に対する想いを測ることができる。 「家政婦は見た」をとても品よくしたような要素もある。表現の仕方が微妙だけど。笑 映画化したものはまだ観ていないのだけど、キャストを見るに、きっと面白い作品なのだろうなと思う。

    1
    投稿日: 2022.06.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・「小さいおうち」の中にいた主人公タキちゃん、「小さいおうち」を外から見ていた板倉、そして「小さいおうち」を何十年も経ってからタキちゃんの日記で知った健史。この三段階から「小さいおうち」を覗くことで、狭い閉ざされた世界にいると気づかない、その空間の異質さが見えてくる。どの家庭でも、その中で暮らしていては永遠に気づくことのないゆがみがあるのだろうと作品を読み終えて感じた。いつまでも少女のようにあどけなく、女中のタキちゃんにくっついている世間しらずな奥様は、息子にとってどのような存在だったのか、最後のシーンで考えさせられる。  

    1
    投稿日: 2022.05.17
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    強いられてする人もいれば、自ら望んだ人もいて、それが不本意だったことすら、長い時間を経なければわからない

    1
    投稿日: 2022.05.08
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    映画を見ていたけど、間違いなく本の方がおもしろいし惹きつけられます。 戦争はいつかは終わる、今のコロナ禍と重ねて考えてしまうところもたくさんあった。 戦時中の生活や一昔前のささやかながら華やかな日常も知ることができて楽しい本だった。 映画では戦時中の浮気?不倫?の物語のイメージしか残ってなかったけど、それがメインではないもっと深いところでじわじわくる本でした。 いっきに読めます。 かたづの!から中島京子さんを読み進めて、やはり一番おもしろかった。

    0
    投稿日: 2022.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とにかくむちゃくちゃ面白かった‼︎ 豊かで情感タップな昭和の思い出話と、タキばあちゃんと健史のドライでユーモラスなやりとりが絶妙なバランス。最後の最後まで楽しめた。 豆タンクみたいな女中タキちゃんの有能ぶりも、非情に小気味よかった。家事全般こなしつつ、出入りの業者との付き合いや、防災訓練、家庭菜園から洋裁までやってなお、大好きな奥様の心配までしてる。しかも女中として誇りをもっていて、まったく『おしん』みたいな悲壮さがない。どちらかというとスーパーウーマンである。そういう気持ちで働いていたタキちゃんの命の輝きやイノセンスが、最終章、板倉さんの描く紙芝居によって、失われてしまった豊かな時代と共に、まるでタイムカプセルのように、あるいは大切にしまわれた宝石のように、ますます輝くのが本当に素晴らしい。有名な絵本『ちいさいおうち』を知っていると、より一層じんわりと感動をよぶ締めくくりだった。 タキちゃんだけでなく、時子奥様も板倉さんも、ナイーブでイノセントな人だった。時子奥様を慕う人たちは彼女に豊かさの想いや純粋さ、憧れを見ていた。それは手に触れられる位置にありながら、手に入らない。しかも流れて失われてゆく宿命にある。だからこそ尊く愛おしい。そういう意味では、タキちゃんと奥様の関係は単なる同性愛ではないし、奥様と板倉さんの関係も単なる不倫ではない。 これまでは女中というと『家政婦は見た!』とか『おしん』みたいな、どこかしら悲しい下働き女のイメージしかなかったが、この本のおかげでだいぶ変わった。これまで分かったようなつもりだった仕事や時代について、自分がまったく分かってなかったのが、不思議と嬉しいような気持ちになる本だった。

    2
    投稿日: 2022.04.13
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    戦争を中心に捉えるのではなく、戦争と共に生きた人たちを描いたお話。 日常の小さな幸せを女中のタキさん視点で書かれてる。 大叔母の手記を繋ぐ甥っ子さんのお話も好きです。

    0
    投稿日: 2022.02.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    昭和の戦前から戦後にかけて、赤い屋根の「平井家」に女中として奉公に出た、タキの思い出物語。 私たち、現代に生きる人間にとっては、戦争が目の前に迫っているにも関わらず、あまりにものどかで、裕福な生活描写は、少し違和感を感じます。 だけど実際は、戦争の最前線にいる人たち以外は、みんな誰もが「戦争」というものに実感が出来ず、遠い場所の出来事だと思いながら、生活していたのだと思います。 物語の中盤から最終章にかけて、前半のゆったりした空気を打ち消すかのように、様々な出来事が平井家とタキに身に起こっていきます。 戦争によって失ったものへの悲しみと、年老いたタキが抱える「後悔」の大きさは、読んでいて胸が詰まる思いでした。 装丁の絵、とても素敵ですよね。 この物語を読んで、その後に、もう一度この表紙を見ると、また違った感情が湧いてくると思います。 タキちゃんは、きっと幸せだったんですよね。

    1
    投稿日: 2022.02.16
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    子供の頃、家に絵本「ちいさいおうち」があって、好きで読んでいた(というより、見てめくっていた)。 小説として面白く、かつ、大好きな絵本を褒められたような気持ちもして、あの絵本の向こう側にこんな背景があったのかも、というような、なんとも温かく神秘的な読後感。 非常に個人的な思いからの加点含めて星5つ。 タキさんの手記=思い出話を淡々と読み進め、ほんわかした雰囲気のまま終盤に差し掛かると、実は既に読者の目線や時間軸を操作されている。そんなミステリ的手法を用いて、ラストは温かい気持ちのまま華麗に驚かされる。

    2
    投稿日: 2022.02.02
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    日記のように綴られる文体に、いつのまにか人の日記を見つけて読むときのような悪戯っぽい気分になる。いつの間にか作中の健史の視点になっていたことに終盤気付かされた。 少しずつ味わうように就寝前に呼んだが、正解だった。 私たちはこの日常の先に何が起こったかを既に知っている。知っているからこそともすれば少し単調にも感じられる日常が愛おしく感じられる。 もっとこのあと何があったのか知りたい、それぞれの視点で何が感じられていたのか知りたい、と思わせる余白があり、そこが心に残りそうである。

    0
    投稿日: 2022.01.16
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    『小さいおうち』という可愛らしいタイトルと表紙に惹かれて手にとった。 昭和初期から戦後までの中流家庭の普通の生活が女中のタキちゃん目線で細かく丁寧に書かれていた。 時代のちがいはあるにせよ、そこには今でもどこにでもあるような幸せな風景や、もしかしたら隠れているかもしれない秘めた思い… 巻末の対談でかかれていた作者の中島さんの言葉「怖いんです。学校の歴史で習ったときは、自分たちとはちが『戦争の時代の人』がいたんだと思ったんですよ。でも調べていくうちに、みんな私たちと同じように楽しく暮らしていたのに、いつのまにか戦争に向かっていったんだとわかりました。いまの私たちも、いつでもああなる危険性があるんだと。」と言う言葉がそっくりそのまま読了後の感想になった。そのことを忘れてはいけないな…

    2
    投稿日: 2021.12.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女中タキの目を通して、昭和の中流家庭の日常と、戦争がその日常にどんな影響を及ぼしたのかが描かれる。 甥の次男の健史がタキの手記を盗み読み感想を伝えるという幕間があることで、現代から振り返って見た昭和とタキが当時感じていた雰囲気とのギャップが浮き彫りになるのが面白い。 最終章で出てくる未開封の手紙について。 板倉が戦争に行く前日、奥様と板倉は会っていないのではないか。そして奥様の恋路を邪魔したこと、その理由に倫理観とは別の奥様への特別な感情があったことが、タキを苦しめたのではないか。 そう思って読み返すと、タキが読者の皆様を意識して手記を書いていること、戦時中にあった奥様が板倉について吹っ切れているように描かれていることなどがそのヒントのように思われる。

    0
    投稿日: 2021.12.03
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    戦後生まれの作者が、まるで体験したように描いており、そこにとても感心しました。 細部を大切にすることで、緻密に浮かんでくるキャラクターと人間関係。 最後に解釈を読者に委ねる塩梅も絶妙で、素晴らしい作品だと思います。

    1
    投稿日: 2021.11.13
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    再読。 タキの赤い屋根の小さいおうちでの暮らしは、情勢に関わらず、美しく楽しいものだったのだと思います。 美しい奥さま、可愛らしい坊っちゃま、「お」のつくことが好きな奥さまとの時間は多感な時期のタキの身体に染み付いた大切な思い出だったのでしょう。 健史と恭一のシーンは、グッとくるものがありました。 この物語の終わり方として最高のシチュエーションだなと思ってます。 タキの本当の気持ちは闇の中。 でも私は、タキの恋と言うよりは、小さいおうちの中に不穏なことがないことを望んだ結果かなという解釈に至っています。

    4
    投稿日: 2021.11.02
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    小さいおうちですごした日々のことを書き残すタキさん。きっとこの年齢になって、様々なことを経験したタキさんにしか書けないことだったとおもう。もう少し若いころのタキさんなら書けない内容。タキさんの人生は、時子そのものだったのではないか。

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    投稿日: 2021.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タキちゃんの作る料理はどれもおいしそうで、彼女が有能な女中であることを表している。 そして時子奥様への忠誠と信頼は、愛と呼んでもいいほど。 小中先生が話してくれた「原稿を焼いてしまった女中の話」は真面目な彼女には範であったけど、生涯の後悔を生んでしまったのがやるせない。

    0
    投稿日: 2021.10.03
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    先に映画を観てからの読書。 タキさんの若い頃と現在の性格の違いが楽しい。 丁寧に毎日を暮らすタキさんに惹かれるのか、読み進められる。 タキさんは何が欲しかったのかな。全部かな、とか。

    4
    投稿日: 2021.09.30
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    再読 1回目なんでサラッと読み終わったんだろぉ 心に残る名作 読後映画も見た。山田洋次監督でまたひたれた 本と映画 最高の時間

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    投稿日: 2021.09.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ほんわかした話をイメージしていたが、奥様に関わると皆不幸になる的なホラーな感じが残念だった。 イタクラさんの作風も恭一くんに描いてあげてたみたいな子どもが好きなものであって欲しかった。 奥様とのことは素敵な思い出として胸にしまいつつ、イタクラさんにもタキちゃんにも平凡ながらも幸せな人生を過ごして欲しかった。。

    0
    投稿日: 2021.09.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    直木賞受賞、山田洋次監督による映画化決定。 ずいぶん前からAMAZONでおススメに出てきてたんだけど、文庫になってやっと読んだ。 でも、早く読めば良かったー。 すばらしい小説でした。 戦前、戦後を通して、住み込みの女中や通いの家政婦として生涯を終えた女性の手記がベースとなっている。 「小さいおうち」というのは、彼女が最も長く、幸福に住み込んだある家庭のこと。 そこの奥様は、可愛らしくておしゃれで、愛すべき女性だった。 旦那さまは、玩具メーカーの重役で、戦前にはブリキ玩具をどんどん世界に輸出して景気が良かった。 東京近郊で華やいだ生活を送り、政府が報じる戦争の経過について、本当のことなど知る由もなかった女性たちが、戦争をどのようにとらえていたのか。 モノが乏しくなり、ブリキ玩具も売れなくなり、幸福だった「小さいおうち」での生活がかわってゆく。 おうちに出入りしていた様々な人たちが、戦争に取られてゆく。 この激動の時代を生き抜いた女性「タキ」は、老後に覚書のように手記を書き、ときどき面倒を見ていた「甥の次男」がそのノートを目にする。 そして終末は、そのノートに書かれていることの重要性に気付く。 決して「戦争を描いた小説」ではなく、新たな視点で昭和を描いた切なく美しい小説でした。

    0
    投稿日: 2021.07.31
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    久しぶりに一気読みしてしまった。 自分の両親のすぐ上の世代の話なのに、まるで時代ものを読んでいるような遠さと、それでいて、タキさんの日々の工夫、御用聞きと繋がりを作ったり、手に入る材料で見栄えの良い料理を考えたり、そんな日常はとても身近に感じられて、不思議だった。 あの時代はこうだったはずだと、タキさんの話に異を唱える健史は、きっと、この物語を読んでいる私たちの姿なのだろう。歴史と暮らしの隔たりに、後世の目から見る姿と、まさにその時に生きた人の目から見える景色の、そのいずれもが確かにそこにあったのだと、あらためて思った。

    2
    投稿日: 2021.06.27
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    平穏な日々の話だけでは終わらないのですが。百貨店が煌びやかで、憧れだった時代。元日の何日も前から準備されるおせち、伊勢エビのサラダ、シチュウ、カリーライスやお子様ランチ、随所にあらわれる料理の数々が話に彩りを与えてくれたため、爽やかな、幸せに包まれた読後感でした。感想を書くにあたり、私が食いしん坊であることも再確認できました。

    17
    投稿日: 2021.06.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分が戦争の時代に思っていたのと違って そこには今もあるような楽しい平凡な日々も少なからず存在していたんだと。本格的な戦争が始まる前は穏やかで市民の誰も戦争に対してそこまで重く考えていなかったのが伺えた。 今の現代でも何もかもあるこの世の中が半年後には無くなっていることもありえるのかもしれない。 当たり前に過ぎる平凡な毎日は改めて当たり前ではないのかもしれないと痛感した。 タキさんの最後も悲しかったし時子さん夫妻が旦那さんがよかれと思って作った防空壕で亡くなられたところがすごく悲しくて。 それでも板倉さんや恭一くんが生きていたのは、やはり生かされる運命だったんだと。 戦争が本格的に始まる前と始まった後がこんなにはっきり読めたのは初めてだった。ぜひ映画を見てみようと思う。

    0
    投稿日: 2021.06.09
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    この世界の片隅にと少し世界観が似ている気がした。きっと今のパンデミックも、今後の歴史で大変だったことがクローズアップされていくだろうけど、私達の生活もちゃんと幸せがあって、人と人との繋がりの中で生きていくんだろうな。

    3
    投稿日: 2021.05.23
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    「何を描き何を描かないか」の中に秘密を見る精緻で構築的な物語。端的に「うまい」と感嘆させられる一冊。

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    投稿日: 2021.05.16
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    戦前の人々の様子がよくわかる。普通の人達はこんな感じで戦争に巻き込まれていったんだな。 想い出はそれぞれの胸に閉まっとくのも大事だなと思った。

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    投稿日: 2021.05.13
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    久しぶりに、また少し時間をおいて読み返したいと思った作品。タキちゃんによって綴られる奥様との数々のエピソード。 新しい家が立ち、奥様がひとり、紅茶を飲みながら誰かへ新居の自慢と謙遜をする会話のイメージを膨らませているシーンがとてもすきだった。 最後まで読んでまた、最初から読み返したくなる作品。戦争の時代でも、ひとはひとの感情をもってちゃんと生きていたんだ…と当たり前のことを思う。とても裕福な、普通ではない、階級の家庭の話ではあるのだけれども。それを女中の目からみた話だから、余計に心に響くものがあるのかな。

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    投稿日: 2021.05.02
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    時代は昭和初期。 山形から東京にやってきた女中タキちゃん。 晩年のタキは、「坂の上の小さなおうち」に奉公した記憶をノートに綴ります。 旦那様、奥様、坊っちゃんとタキちゃんの平穏な暮らし。明治以降、西洋文化を積極的に取り入れた昭和初期のハイカラな東京の生活が描かれ、引き込まれます。 しかし、その一方で一刻と迫る戦争の影。 そして…小さいおうちで起こった恋愛事件。 ドキドキな展開にここから一気読みでした。 『ご主人様がご自分ではおできにならないことを代わりにやって差し上げるのが頭のいい女中』と教わったタキちゃん。 女中の努めとはなんなのか…抑えきれない感情を抑えてあげるのが努めなのか。感情のままにそっと見守るのが努めなのか…。大好きな家族だからこそ、何とかしたい。タキちゃんの迷いと苦悩と決心に、女中魂を感じます。 最終章では、この事件が意外な形で現代へ引き継がれ…。 ふぅ…とため息をついてしまう、なんとも言えない余韻に浸りました。

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    投稿日: 2021.04.29