
総合評価
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powered by ブクログ第121回直木賞(1999年上半期)受賞作。 舞台は1498年フランス。 時の王が起こした離婚訴訟。 さながら魔女裁判の様相を呈す舞台に立ち向かう、 かつてパリ大学で伝説を残し、 今は零落した弁護士となったフランソワ。 ワンピースでアラバスタ王・コブラは言った。 「裸の王などいるものか」 権威は服の上から着るものだ、と。 現代において、 本当の意味で裸になる場面はあるだろうか。 かなり前の作品だけれど、 今、このタイミングで読むことができてよかった。
0投稿日: 2025.11.15
powered by ブクログ私の好きな三宅香帆さんのオススメ本の一冊。 初めは読みにくく、小難しい設定と言葉で面白みを感じなかったが、途中から猛烈な面白みが!心の底から湧き上がるワクワク感、爽快感、ハラハラ感があり、極上の読者体験になった。決して読みやすくはないが、エンターテイメント性が高い作品だ。 悩んだが、総合的に考えて⭐︎5!
10投稿日: 2025.08.21
powered by ブクログ法定スリラーの舞台を中世に設定する発想が面白い。実際にあった実在するルイ12世の離婚をベースに、教会法や聖書の詳細な知識がリアルさを高めているが、気になる史実の方はさすがに小説ほどドラマチックな事件ではなかった模様。中世の教会といえば魔女狩りや拷問などのイメージが先行しがちだが、それは稀なケースであって、民事裁判所として法も体制もうまく整備されており、現代の裁判の原型になった経緯も垣間見ることができる。ちょっとストーリーに無理が生じてるケースもあるが、前情報なしだと展開が楽しみでより読み応えが出るはず。
1投稿日: 2025.02.04
powered by ブクログとある書評で、夏休みに自分の作品を読破するぞ、と言われたいと著者がおっしゃっていた、と読んで興味を抱き、とりあえずそこで勧められていた本書を読んだ。 面白かったけど、性的描写がしつこくて苦手。読み終わってから、そういえば多分以前も途中まで読んだところでうわぁとなって、その後はかいつまんで読んだのだったかも、と思い出した。 もっと安心してエンタメを楽しみたい。。
0投稿日: 2024.11.11
powered by ブクログ男性の観点から描かれる、ちょっとデフォルメされた女性像が若干引っかかるところがなくも無いけど面白かった。 あとがき読んで佐藤賢一さん作品読破したるでえええって気持ちがわいた。笑
4投稿日: 2024.10.14
powered by ブクログ王妃の離婚裁判に関わらざるをえなくなった弁護士。彼は弁護をしながら自らの過去と向き合うことになっていく。相手を徹底的ににやり込めた時に王は弁護士に何をするのか。若き日の悲恋が最後に報われる。カノン法がよくわからなくても、面白く最後まで読める。直木賞受賞作。
4投稿日: 2024.10.12
powered by ブクログ海外の歴史小説系でしかも中世の裁判だの宗教だのって、とっつきづらく思って長年積んでいたのだけど、登場人物も話も舞台のように掴みやすくて見所が多く、あっという間に読み終えた。彼の想像もつかない長広舌の弁護と、恋人ベリンダの魅力と当時のインテリ学生の若く熱い勢いが小説全体を覆っている。基本的に痛快なやりとりが多くてイヤミスとか嫌な気分になる場面も少ない。1999年とちょっと古いからしょうがないのかな、王族の裁判の話なのに下品とまではいかないけどエロというか世俗的で官能的な表現やシーンが思ったより多い。それが痛快で魅力なわけだけど。
1投稿日: 2024.10.10
powered by ブクログ昔のヨーロッパが舞台という事もあって、わかりづらいこともあるが、なんとなく回りくどくて、素直に楽しめなかった。
0投稿日: 2024.08.15
powered by ブクログ痛快で良質なエンタメ。 もっと早く手に取っておけばよかった。 舞台劇で見てみたいが、最後のところのネタバレがあると台無しなので、やっぱり難しいかな…
0投稿日: 2024.07.31
powered by ブクログ一気読み ヒリヒリしたー 宗教上離婚が婚姻の無効によるしかない時代で、法定での議論の持っていき方がまぁまぁえげつない下ネタばっかり。 それを傍聴するパリの民衆のエネルギーや、政治的背景をも味方につける主人公の弁護士の手腕が見どころかなぁ。 小説から、きっついユーモアがあふれるというかパワーが吹き出してるというか。 キャラが濃い小説だなぁという印象。
0投稿日: 2024.04.04
powered by ブクログ落ちぶれた天才が、圧倒的に不利な状況を、法廷での華々しい論争、国際政治と世論を用いた盤外戦術で、ひっくり返すところが非常に面白かった。ただ、最後の結末は、物語の最初の方でわかるので、星4つ。
8投稿日: 2023.12.02
powered by ブクログこの作者は本当に日本人かしら…そう疑うほどの歴史認識と西洋理解、モンマルトルを歩く学生はほぼ坊さんで、血の気は多いは理屈っぽいはにはじまって、苦悩の先に離婚裁判。でも、ちょっと待って?!フランスってカトリックだよね、離婚できたっけ?? こんなお話を面白く地についた物語に仕立てるって、出来る?もう、一気読みでした。凄いです。作者はややこしいフランス王朝史をきっちりものされ、フランス革命をあっさりバッサリわかりやすく説明出来(ほんとにこれって凄い事です。目から鱗でした。)フランスを中心としたヨーロッパの歴史を学問し尽くした佐藤賢一氏。ですよね、でないと書けないよね。 読みながら、なかなか日本人には分かりづらいヨーロッパの権力の二重構造が少し見えたり、ちょっと薀蓄があったりして、それも楽しい。読後感も爽やかなので、ほんとにお勧めです。ちょっと泣けちゃいました。
0投稿日: 2023.05.01
powered by ブクログ1498年のフランス。国王ルイ12世と王妃ジャンヌの離婚訴訟を担当することになった弁護士フランソワの話。 第121回(1999年)直木賞受賞作品。 中世ヨーロッパを舞台とした法廷もの。時代背景が好きだし、ドラマなんかでも法廷ものって最後にスカッとして盛り上がることが多いので期待していたんだけど、おもしろくなかった。 中世のフランスの国際情勢とか町、教会における裁判システムの描写はさすが佐藤賢一ってことで細かくて興味深い。けど、やっぱり勉強しているみたいでちょっと退屈。 法廷ものとしておもしろいかというと、国王夫妻は夫婦として成り立っていたのか。やったのかやらなかったのかだけなので飽きる。状況が2転3転する展開を期待していた。 国王夫妻の離婚は史実だけど、王妃が離婚を認めた理由がよくわからない。 主人公やまわりの人物が実在したのかどうか気になる。たぶんオリジナルだろうけど、だったら設定が強引かなあ。 最後に主人公に関したちょっとした秘密(といっても読んでいれば途中でわかる)が明かされるんだけど、あっさりとしていて感動が薄い。もうちょっと違った見せ方でも良かったんじゃないかな。
0投稿日: 2022.09.13
powered by ブクログめちゃくちゃ面白かった!法廷劇自体はよくあるストーリーかもしれないけど、舞台が中世フランス、国王夫妻の離婚裁判が題材ということで、当時の習慣や法律、裁判の仕組み、カトリックの結婚観などあまり知らなかったことが語られているのが大変面白かった。傍聴席から卑猥な野次を飛ばす民衆の描写もイキイキしていた。
0投稿日: 2022.04.24
powered by ブクログ正直そんなにのめり込めなかったけどジャンヌ王妃の行く末が見たくてなんとか読みきった。ブスの意地です。
0投稿日: 2022.03.30
powered by ブクログ表紙のデザインから予想するより面白かった。 中世近世?ヨーロッパ の背景に明るくないので、気後れせずに読めるのか少し心配しつつ、面白く思えたら読書をするのに好きな時代背景が増えていいなぁと期待して読んだ。 主人公の人物像は、現代日本男性なのではないかと思うぐらい、現実よりに思えた。不利な裁判をオセロのように、主人公側に有利に持っていく快進撃はテンポ良く痛快。 途中でもっと時代背景を知りたいと思い、wikiで検索したり、舞台になっていたフランスの協会等を画像検索したり、映画「アンブーリンの姉妹」、ドラマ「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族」を観たりして、この本を中心に新たな興味に出会えた事も満足度が高い要因。
0投稿日: 2021.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
健気で強く聡明な王妃は、何ゆえに自分勝手なダメ男の夫・ルイ12世に執着するのか?…どんなにお利口でも、所詮大事な女を手放してしまったフランソワには分かるまい…と思ってたら。あららー、そう来るのか!ま、エンタメだしな、直木賞受賞作。 死んだオーウェンは残念だけど、まあフランソワにやっちゃったことの報いかなあ。そう言えば文中ずっと、フランソワは「アベラールの再来」みたいな扱いをされていたけど、これって、おつむの出来のせいだけじゃなかった訳ね。伏線だったのね…エグいなあ(涙) 小出しに触れながら、結局は登場しなかったチェーザレ・ボルジアの扱いは、ちょっとないわーという気がするけど。
0投稿日: 2021.09.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
AA作品から逆流して読んだ原作。そんなわけで展開は知っていたのだが、この作者の情景→短い会話→詳細な説明という文章のパターンが思った以上に好みに合って面白かった。というか歴史的背景とか抜きにすればほぼ現代的リーガルドラマなので読みやすいったらありゃしない。
0投稿日: 2021.09.02
powered by ブクログこれは面白かった!! 佐藤賢一氏の小説は初読み。歴史書である新書『テンプル騎士団』が面白かったので読んでみました。 ヨーロッパの歴史を舞台にしたエンタメ小説。 ちょっと下ネタ満載なのでR15指定してもいいくらいですね。 でも面白い。 この時代ってキリスト教がすべてにおいて優先されるので裁判も教会が仕切っていたのですね。勉強になる。 いわゆる離婚裁判なのですが、この当時のキリスト教では離婚は禁じられています。 ではどのように離婚を?となりますが、そこは抜け道があります。 その結婚は最初から無効だったのだ! と唱えるわけです! ・・・ってそりゃ詭弁だろ! いろいろとツッコミどころ満載の当時の制度ですが、いやはや、昔の人と言えど、やはり同じ人間。同じ悩みがあるのですなぁ。 まあ、すごく面白かったので、ヨーロッパの歴史に興味がある人はぜひ一読を。
20投稿日: 2021.06.08
powered by ブクログどうしようもないフランス王、ルイ十二世から離婚裁判をおこされた“醜女”ジャンヌ王妃の実話をベースにした物語。絶対不利な状況で弁護人に雇われたのは、舌鋒鋭いながら過去にトラウマを持つフランソワ。細かな心情を執拗に描き出す佐藤賢一氏らしい作品は、ハマらないと読むのが辛くなるが、この作品はどんどこ読みたくなる展開に、執拗な描写が見事にハマって、調子良く読み進めることができた。ラストの仕掛けもわざとらしくなくドラマチックで、ハリウッドで映画化したら面白そうと思ってしまった。
3投稿日: 2021.05.23
powered by ブクログ中世が舞台のリーガル・サスペンス。人間の、男と女の、みっともない、でもどこか愛おしい、生の姿がありありと描かれている。 序盤で何度か脱落しかけたが、100ページを超えてからは俄然面白くなり、最後まで一気に読むことができた。 もっと小難しい話かと思っていたら、意外と…会話シーンなどはキャラノベか?と思うような雰囲気も(個人的にはもう少し抑えめが好み)。 歴史に疎くても十分楽しめる。ルイ十二世とジャンヌの離婚が史実だというのも読み終わってから知った。
1投稿日: 2021.02.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最初はつまらなくてなかなか進まなかったが裁判が始まったら面白くなりどんどん読み進めていった。 作品中では弁護士と王妃のロマンスも見られたが実際はおそらくそのようなことはなかったであろうし、王妃は40歳で亡くなったらしい。 離婚したのは何歳の時かはわからないが若いうちから夫に疎遠にされた挙句、離婚まで言い渡されずいぶん気の毒な人生だったであろう。 夫でもありいけ好かないルイ12世のその後の人生もパッとせず自業自得。 後世の評価も芳しくない。
0投稿日: 2020.09.20
powered by ブクログ想い出と現在との関わり、 登場人物のディテール、 当時の文化など、 非常にうまく繋がって、飽きさせず、 一気に読まされました。 真実をついている、と思わされる箇所も多々あり、 とても面白かったです。
1投稿日: 2020.05.09
powered by ブクログ佐藤文学の最高峰と言われて、ちょっとハードルを上げてしまったか。期待ほどではなかった。 物語は面白いと思うのだけど、硬質というか、高圧的というか、どうも文章が好みではないのかなあ。 離婚という題材の性でもあるのかな。 そういう世界・時代だということを考慮しても、どうもね。 特に好ましく思える人物がいなかったのもあるか。 とはいえ、中世西洋を知るという楽しみは、他には変え難い。そして、エピローグでほろりとさせられたのは、流石。 続いて他の作品を読んでみたいと思った。
0投稿日: 2019.09.03
powered by ブクログ中世フランス王様と王妃の離婚裁判劇 最初は挫折しそうになったけど、敏腕弁護士の活躍が面白くなってからは読み進めれた。
0投稿日: 2019.07.03
powered by ブクログ原告:フランス王ルイ12世ことルイ・ド・ヴァロワ 被告:ジャンヌ・ド・フランス 申し立て内容:婚姻の無効 ナント地方の弁護士であり、かつてはカルチエ・ラタンの伝説の男であるフランソワ。 離婚裁判を傍聴にいき、ある事情から王妃の弁護を引き受けることになります。 絶望的とも思える瀬戸際から、現場の手練れの弁護士の凄腕をもって、傍聴人を釘づけにし、時には王妃に対して侮蔑的とも思える弁護(これも作戦の一部)を繰り返し、一気に形成逆転。 「婚姻の無効」とは…と考えてしまう一方で、背後にあるフランス王の思惑、ローマ教皇の思惑をも感じとり、そして最終的には王妃の意にそった形での決着を迎えます。 法廷を舞台にした物語ではありますが、フランソワや王妃ジャンヌの苦しみや悲しみ、そして喜び
0投稿日: 2019.03.29
powered by ブクログ評価が難しい作品だった。 イギリスとの百年戦争開けのフランスの王家の離婚裁判。 チェーザレボルチアやニーベルンゲンの歌のジークフリードなどなんの説明も無く話に出てくるので、多少の中世ヨーロッパの知識が必要かもしれない。 日本では室町時代末期、応仁の乱の時にヨーロッパではこんな本格的な裁判が実施されたと思うと、たしかに中世までは世界の中心はヨーロッパだったと理解した。
0投稿日: 2019.02.19アベラール!!
の生涯を踏まえている人には予定調和な作品です。 そうでなけらば読んでからのお楽しみです。 カルチュ・ラタンやエコール・ポリテクの大学の自治というのは抗いがたい一種の魅惑をもって歴史上に輝いています。 特に、日本の中世にはそういう制度が無かったからでしょうか? 日本には科挙もありませんでしたし…。 アジア的な特異性を持つ民主主義の不受理から抜け出したいときは佐藤先生の本を読むのもよいかもしれませんね。 やはり文学賞は見るところを見てますね! ただ、火花とかまでは読もうか迷うところですが…。 堂々の星5つ。
0投稿日: 2018.07.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
評価が高くて期待していたが、期待し過ぎだったようだ。 結婚について、男女の関係について色々考えさせられながら読んだ。裁判の描写は痛快で面白いのだけど、主人公の美人な元恋人も、おブスなジャンヌ王妃もまさに男性の考える女性そのままでやや興ざめ。あと、下ネタのヤジは全然良いんだけど、まぐわいの描写が色気も艶もなくてさらに興ざめ。最終的に「ふーん」で終わってしまった。 今の時代、離婚は珍しく無いけど「本当は離婚したいのに別れられない人」って男女共にいて、時代が変わっても男女の間は変わらないのねと思う。
0投稿日: 2018.05.06
powered by ブクログぺこさんご推薦の本です。 いやいや、なかなか楽しめました。この作品だけ捉えればリーガルサスペンスになるのかな。なかなか迫力のある法廷シーンです。 バランスがいいのでしょうね。単に法廷シーンだけでなく、当時の社会情勢・背景が適切に交えられ、更に本人の恋愛体験なども織り込まれ、渾然一体となって話が進みます。西洋史などというものにちっとも興味が無いのですが、そんな事を一切のハンディーと感じさせず、楽々と読めてしまいます。
0投稿日: 2017.10.30
powered by ブクログ佐藤賢一初体験(小説は)。 登場人物が皆、偏屈で泥臭い一方で内省的で、とても魅力的だった。最後の2人のフランソワの会話にはなんかもうじーんとしてしまい、読み終わった後もしばらくは、前の方を読み返したりして余韻に浸ってました。読後感爽やか。 どちらかというと、現代小説を読んでいるような印象だった。もう少し「15世紀フランス」の香りがぷんぷんしたりすると、より嬉しかったかな。(2007.5.5)
0投稿日: 2017.09.01
powered by ブクログ再読。 これは名作、何度読んでも面白い。 物語の爽快感がもう抜群。 熱い弁護士の一挙手一投足に溜飲が下がりっぱなし。 どの登場人物も魅力があり、特に女性が魅力に溢れかえっていて堪らない。 この先も何度でも読み返す作品。
1投稿日: 2017.08.17
powered by ブクログ民衆を巻き込んで教会で行われる裁判。 音響効果バッチリでイメージが膨らむ。響き渡る木槌の音、弁護士の声、傍聴席のどよめき…。 ズバリ下半身に関わる裁判。そこに弁護士フランソワの苦い過去、恨みつらみも絡まる。 品を崩しすぎない王妃の艶っぽさと大衆の(いい意味での)おおらかさな下品さ。 漢字表記が多いけれど、この世界観を出すのにとてもあっているように思えた。あけすけな言葉や表現の生々しさに歯止めをかけるのにもいくらか役立っている気もする。 裁判戦術に期待しつつも小難しいんじゃないかとちょっと構えていたけれど、杞憂だった。エンタメ性も感じられてむしろぐんぐんページが進んだ。 今までよくわからなかった宗教と法律との折り合いに触れられたのもよかった。 フランス語は記録に残らないというのもおもしろかった。
0投稿日: 2017.03.05
powered by ブクログ裁判モノとしての面白さもあるが、男女の一言ではあらわせない心や在り方について考える一冊でもある。 結婚とは何だろう、そこに何を求めるんだろう。何せ一生をかけてまで共にあろうというのだから。 まあ今となっては、そこまで深刻に考えることでもないのかもしれないけどね。 いかにも男性の書いた作品だという感がした。 女性の肉感的にして瑞々しい魅力がふんだんに描かれている。女性が女を書くとこうはならない。もっとヒステリックで、不快で、神経質になる。 異性からみた女性の魅力はこうなんだな~と思った。というか、理想の女性像なんだろうか。 当の裁判はやったかやらないか、という下世話な議題を延々と繰り返しているのだが、そうでもないと離婚できないご時世だったのね。 王妃が簡単に離婚できてもそれはそれで問題かもしれないけどね。 痛快な部分もあればスリリングな部分もあり、最後には男女についての一つの答えのようなものもあり、色んな楽しみ方のできる一冊。
2投稿日: 2017.02.26
powered by ブクログルイ12世がゲスの極みすぎる。ジャンヌ王妃の元夫に未練ありつつも、少しずつ、味方してくれる男に心傾きぷつんと切れる微妙な心理わかる気がするなー。男と女の関係に貴賤もないのだなと思うとともに、“羨ましいよ、王妃さま!!”と野次を飛ばすおばちゃんのたくましさになんだか楽しくなってしまった(笑)なんとなく不器用なところのあるオーエンが好きです。
0投稿日: 2017.02.19
powered by ブクログ1999年上期:第121回直木賞受賞作品。 面白かったです。 作者の佐藤賢一さんは、西洋史学で修士号、フランス文学で博士課程満期退学という経歴の持ち主で、中世ヨーロッパの背景描写がとても細かく、物語の世界に引き込まれます。 かつてパリ大学の伝説であった、今は落ちぶれた田舎弁護士・フランソワが、時のフランス王・ルイ12世の離婚訴訟に、王妃ジャンヌの代理人として立ち向かう物語。 法廷での舌戦やフランソワの過去への決着、アクションの緊張感にドキドキ! 王妃ジャンヌ・ドゥ・フランスは実在の人物。物語の彼女は賢く機転が利いて、そして女性としての弱さもあって、応援したくなります。裁判の結末も彼女に拍手を送りたい、スッキリ楽しめる小説でした。
0投稿日: 2016.12.27
powered by ブクログ原告が国王ルイ12世、被告が王妃ジャンヌという離婚裁判で、美男子の国王に比べて王妃は「醜女」で、足も不自由だから国王が離婚したがるのも無理はないと民衆にまで思われ、味方である筈の弁護士も国王の力を恐れて頼りない、圧倒的に不利な状況で、フランソワは王妃の弁護を依頼される。正直なところ序盤100ページくらいまでは中々乗れませんでした。当時のキリスト教徒は離婚を認められておらず、作中でいう、やったか、やらないか、というところで結婚が成立していたかどうかを争うというところで、フランソワが王妃の弁護人になり反撃を開始してから俄然面白くなりました。
0投稿日: 2016.04.21
powered by ブクログスカッとする読み心地で爽快でした。 西洋史について詳しくないので、ルイ12世とかシャルル8世とか言われても、歴史で習ったかも?…くらいの認識でしたが、全然問題なく読めました。むしろ丁寧に時代背景も説明してくれて興味深かったです。 本書は王と王妃の離婚裁判についてですが、そもそも、キリスト教では離婚っていうのは許されていないんですよね。でも、どうしても結婚したけどうまくいかない…別れたい…ということはある。そこで登場するのが「結婚の無効取消」。つまり、はじめからなかったことにする、というもの。随分突飛な話だと最初は少し笑えましたが、離婚が許されない以上やむを得ないんでしょうね。 さて、王妃には伝説の弁護士がついて裁判を戦うわけですが、こんな話をリーガル・スリラーというようですね。私は弁が立たないので、言葉を巧みに操る人に憧れます。さすがは弁護士。ただ、言い負かせば勝ちというわけではないし、裁判に勝つことがすなわち依頼人の幸せに直結するかというと、必ずしもそうではないのが深いところですよね。 特に男と女の関係について、別れるにあたって「二人だけでは感情的になってしまう数々の問題を整理する」なんていう場合に裁判は有効かもしれないけど、第三者が別れないようにもっていく、なんてことが裁判でできたとしても、残念ながら上手くいく見込みは低いですよね。それでも、諦めきれない女性の気持ちがわかるから、それが切ない。 そして何より切ないのが、べリンダの話。強がりで奔放なべリンダ、すごく好きでした。「結婚」についても様々な形があって、結婚とは・・・というものについて考えさせられました。結婚を通して家族になるのも素敵だし、結婚をしないでずっと男と女の関係でいるのも潔い。どちらがいいというものではないけれど、大切な人とずっと一緒にいられたらそれはすごく幸せなことなんだろうなぁとしみじみ思いました。 どこまでがノンフィクションかわかりませんが、読み応えのある満足な1冊でした。
5投稿日: 2015.11.29
powered by ブクログ佐藤賢一の第121回直木賞受賞作品。Eテレ「100分de名著(2013年2月)モンテクリスト伯」の指南役として登場したので、彼がどんな作品を書いているのか読んでみることにした。 著者の佐藤賢一氏は鶴岡市生まれ、東北大学で歴史学やフランス文学を研究し、大学院の博士課程を出ているそうだ。だからこそフランス革命前後の社会情勢や人物に詳しいのだろう。 弁護士フランソワが請け負ったのは、フランス王ルイ十二世から離婚訴訟を起こされた正室のアンヌ・ド・フランスの弁護だった。それまでいい加減な弁護団で、全く不利だった裁判の行方を、だった一度の公判ですっかり形成を逆転してしまう。フランソワの快進撃が始まった。 これらにフランソワの若い頃の出来事や失態なども重なり、裁判の行方に影を落としていく。 筆者の西洋史や宗教史、ラテン語などの深い知識が作品にとても濃い味を付けていると思う。それを深く学んだ者だからこそ湧き上がってくるものがあるのだろう。フランソワが弁護を引き受けてからは一気に読んでしまった。サスペンス的雰囲気もあり、どんどん先を読ませる迫力があった。こういうのをリーガル・スリラーというらしいが、本当に面白かった。佐藤賢一の他の作品も読んでみたい。
2投稿日: 2015.10.21
powered by ブクログ◆◇◆国王夫妻の離婚裁判!◇◆◇ タイトルどおり離婚裁判を描いているのですが、他の作品の違うところは登場人物。 原告フランス国王ルイ12世!被告王妃ジャンヌ・ド・フランス! すごいですよね国王夫妻の離婚裁判って。当然、法廷も証人も弁護士も国王に付きます。それでも王妃は反論し続けます。 誰もが王妃の敗訴を確信した時、現れたのが学生時代パリの伝説とされた弁護士フランソワ。次々と繰り出す弁論であっという間に形勢をひっくり返し、とうとう国王ルイ12世を法廷へ引きずり出します…。 面白そうでしょ?それぞれの思いが交差しながら物語は最終法廷へ向かっていきます。 当時の人々の様子をいきいきと描いていて、まるでその世界に入り込んだよう…。個人的にはフランソワとかつての恋人ベリンダの甘くも切ない生活模様がとってもお気にいりです。 最後まで色んな展開が待っています。オススメ。
0投稿日: 2015.10.13時代は変わっても;男と女と愛と結婚。
佐藤賢一の著作を初めて読んだ。これまでの本のタイトルだけを見て,雰囲気で重厚な歴史小説を書く人なのかしらと漠然と思って頭の片隅に入れつつ,これまで読む機会がなかった。海外出張の機内で読む本を探していて,ふと思い立って購入。読みはじめ,モノローグの多い,悪く言うと言い訳がましいような女々しいような文体がやたらに鼻について,失敗かと思った。個人的にはもう少し自分語りの少ない文体が好きだなと。ただ読み進めるうちに文体はあまり気にならなく,内容にそれなりに入り込むことができた。ストーリーは,ブルボン王朝時代のフランスを舞台に,かつて天才学生の名をほしいままにしたひねくれ者の弁護士が,国王ルイ12世から離婚の訴えを起こされた王妃の弁護に立ち上がり,権力に華々しく立ち向かう法廷ドラマ・・・・・・というところ。合間合間に主人公の過去が少しづつ明かされ,最後には不思議な運命のめぐりあわせも明かされ(でもなんとなく予想がついた),という感じで,難をつけるなら話がそつなくまとまりすぎている感じがあること。上述の文体の問題は,主人公の姿勢(当初はひねくれて無気力だが,中盤から自分のプライドと王妃のために立ち上がり生き生きと法廷で闘う)と照応しているよう・・・・・・でもあるが,違うかも。著者の他の作品を読んで,結論は出そうと思う。
0投稿日: 2015.05.21結婚とは何か?
中世フランスにおける、王ルイ12世と王妃ジャンヌの離婚裁判劇。弁護士フランソワが敗色濃厚な王妃のために立ち上がる。法廷小説と思いきや、純愛小説だった。『男と女の恋愛とは?、結婚とは?』を教えてくれる。時代や場所が変わっても、人間の考えは同じなんだな。また、中世のキリスト教中心の生活、パリの風俗などがわかり、興味深かった。
6投稿日: 2015.01.24
powered by ブクログ西洋歴史小説は初めて読んだので 背景などがなかなか把握できず、最初は斜め読み フランソワが王妃の弁護人になってからは とても面白く一気に読めました。 でも「処女検査」とか「男根検査」とか 今の時代ならありえない裁判内容だ・・・。 読み終わってみると、すっきりしていい本だったと思えます 読み飛ばしたところ、再読したくなりました。
0投稿日: 2014.10.05女の強さと弱さ
フランス王・ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚訴訟の顛末が物語の主軸ですが、時代や身分が違えど変わらない男と女の有り様がメインテーマの傑作でした。 王妃の父王・暴君ルイ11世によってパリ大学を追われ田舎の弁護士となったフランソワが、葛藤しながらも王妃の弁護士となり敗色濃厚だった裁判をひっくり返す展開が見所。 そしてなんといっても、クライマックスの弁護士フランソワの言葉 「‥男が愛してやまないものは、強い女がみせてしまう、どうしようもない弱さなのです。」 がこの本の全てを物語っています。 強い女・王妃ジャンヌがふと見せた素顔や涙に、読者の私自身も応援したいと思ってしまいました。 ある程度時代背景がわかっていたほうが良いのでしょうが、人物のつながりや当時の雰囲気が詳しく描写されているので、西洋史に詳しく無くても十分物語についていけます。
5投稿日: 2014.08.04
powered by ブクログシビれた。漢だねー。 漢の生き様を見せつけてくれた。 最初は糞つまんなくて、 もー読むの止めちゃおっかなーと何度も思った。 しかーし、弁護にまわったあたりから 面白くて面白くて一気読み。 そして、最後の流れは悲しくもあるが、 爽やかな気分にさせてくれるから超オススメ。
0投稿日: 2014.07.09
powered by ブクログテンポのいい展開と、登場人物全員がわかりやすいキャラクターなのとで、漫画とかテレビドラマを思わせるような小説でした。 舞台は15世紀フランス。まだまだ中世の色が濃厚で、人々の暮らしや考え方、王侯貴族のファッションにも、重さ・陰鬱さ・野蛮さがある。離婚裁判も、キリスト教がベースだったり。そのあたりに興味があれば、より楽しめるかと。
0投稿日: 2013.11.25
powered by ブクログ佐藤賢一さんという作家の名前は知っていたが未読だった。しかしそれはとてももったいない事だった。決して取っ付き良いとは言えない西洋史を扱いながら、でも興奮のリーガルエンタテインメント。ただのお白州ではなく、フランス王家の御家騒動。他の作品も読んでみたいと思った。
0投稿日: 2013.05.22
powered by ブクログ20130509読了。 作者、作品ともに全く予備知識なく、裏表紙だけの情報だけで読み始めたのですが・・・。 法廷物だということでもう少し重厚さのある作品を期待していたのですが、えらく世俗的で、えっ、離婚裁判の争点はそこ!?とかなり衝撃でした。 もう一度読むか、と言ったら、それはないな。
0投稿日: 2013.05.09
powered by ブクログ121回 1999年(平成11)上直木賞受賞作。15世紀フランスの法廷小説。戦略的な離婚を申し立てられた王妃につく弁護士の話。よくぞこのような小説設定を思いついたものだと感心した。おもしろい、おすすめ。次はコミック化されている『傭兵ピエール』を読もうかな。
1投稿日: 2013.05.06
powered by ブクログ1498年のフランスを舞台に王のルイ12世と王妃ジャンヌの裁判劇を、ジャンヌの顧問弁護士となるフランソワの活躍から描いた小説。 西洋史については全くの知識ゼロで、『ルイ』という名詞意外に思い当たるものがない状態で読み始めたのですが、それにもかかわらずとても楽しんで読むことができました。 当時の法律についての議論も面白いのですが、フランソワが王妃の弁護を始めてから、その面白さに拍車がかかった感じがします。 この裁判で一番の争点となるのはズバリ、セックスがあったかどうか! これを公開裁判で争うわけで、フランソワがいかに聴衆を味方につけて検事をやり込めるかが楽しみの一つのわけですが、聴衆のヤジの下品さといったら(笑) 不利な状況からの逆転劇も楽しみの一つですが、権力に屈しないフランソワの姿や、大衆の好奇の目に晒されながらも凛とした強さを失わない王妃ジャンヌの姿、男気のあるオーエンなど生き様や立ち振る舞いのかっこいいキャラがたくさんいたのも読んでいてすがすがしい。 そしてこの本のもう一つのテーマが「結婚とは」ということ。この本が示した一つの回答は、考えたことのないものでもあったのですが、なるほどと思わず納得もしてしまいました。 第121回直木賞
0投稿日: 2013.03.21
powered by ブクログ1498年フランス。時の王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚訴訟は、王の思惑通りに進むかと思われた。が、零落した中年弁護士フランソワは裁判のあまりの不正に憤り、ついに窮地の王妃の弁護に立ち上がる。かつてパリ大学法学部にその人ありと謳われた青春を取り戻すために。正義と誇りと、そして愛のために。手に汗握る中世版法廷サスペンス。第121回直木賞受賞の傑作西洋歴史小説。
0投稿日: 2013.02.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
キリスト教における離婚裁判についての話である。しかも、その離婚劇はフランス王ルイ12世とジャンヌ王妃の離婚だ。 基本的にカトリックでは離婚は出来ない。それを、離婚は無効だったということにして、事実上の離婚とさせるのだ。たとえば、よく調べてみると夫婦が近親者だったとかである。近親と知らずに結婚し、それが近親と判明したので結婚は無効であると言うわけだ。 結婚というものは感性の知性に対する勝利であるとカルチェラタンの男どもは言う。結婚することで、けんけんと女房がわめき、ぎゃあぎゃあと赤子が泣くような身の上では何の思索もあったものではない。家族を養わなければならないと、ちまちまと講義の授業料を計算している者になんか、知的に何の価値もないと。結婚は、カルチェラタンの不文律であり、女の男に対する勝利であると言い換えてもよい。下世話な生活の安らぎと、研ぎ澄まされた英知とは決して両立することができないのだ。 結婚に真実の愛はない。全てが計算され、要求され、強制されているだけである。そこには虚飾に満ちた形だけがあるのであり、至高の愛とて、たちまち堕落を運命付けられる。反対に結婚の外にあれば、全ては無償で、それゆえに惜しみない。女が男を愛するのは、もはや強いられた義務ではない。愛したいから男を愛する。与えたいから男に与える。結婚の呪縛を逃れたとき、女は借り物ではない、自分の意思を持つことができるのであった。それは女性蔑視という、時代の精神に抗する反逆でもあった。 大学者トマス・アクィナスいわく、女は実存的な存在をしない。男に規定されているか、これから規定されうるか、それだけの存在である。古代の哲人、アリストテレスいわく、雌は形相を求めるように雄を求める。旧約聖書、創世記にいわく、イヴよ、あなたは夫を恋い慕うが、彼はあなたを支配する。 結婚さえしなければ、女は男の奴隷ではない。ものの深遠な意味での『友人』であり、また、隅々まで理解しあえる『同志』の高みにあり続けられる。 しかしながら、実際は違う。男は、重ねて情を通じるうちに、この女とは別れられないと観念する。そうなると男は結婚せずにはいられないのだ。 この女だけは日陰者にしたくない。そんな思いやりなど、実は綺麗な口実に過ぎない。女は、あなたを愛したことを後悔などしていない。結婚なんて俗な形に落ちたりして、自分を汚したくない。純粋なまま、あなたを愛し続けたい。そうやって女は抵抗するが、男は強引に口説いてまで結婚にもちこむのだ。理由は一つしかありえない。他の男に渡してたまるか。女から、愛したいから愛するのだと言われれば、この女の心を失いはすまいかと心配になる。与えたいから与えるのだと言われれば、変心した女が、他の男に身を委ねてしまわないかと気が気でならなくなる。男は女が思うより、多数の男と情を交わすことを、ずっと汚いと感じている。だから恐れる。だから、離婚を原罪に仕立て上げる。だからキリスト教のドグマを築いて、結婚と言う女を呪縛する体系を見事に考案したのである。
0投稿日: 2013.02.11
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直木賞受賞作品。 中世フランス、ルイ12世の離婚裁判の話。 初めは当時の法曹界の状況や詳しい法律などが詳しく書かれていて、すごく重厚で専門的で読むのも一苦労だったのだが・・ いざ、裁判に関わる部分になると、離婚が認められないカトリックで婚姻の不成立を証明する王妃の処女証明のこととか、いきなり恋物語的な話題に中心が移り・・ 温度差についていけない。後半の内容にかなり違和感を感じていたところ、この作者について次のコメントを見つけた。あ、なるほどね。 『ただ一点、シモネタに抵抗を感じる人にはお勧めしない。 シモ話は佐藤賢一の魅力であり、この作品にとっては欠かせない要素でもあるんだけど、合わない人には絶対合わない作家なのは確かなので。』
0投稿日: 2013.01.22
powered by ブクログ15世紀のフランス。時のフランス王ルイ12世は、王妃ジャンヌに対して政治的理由そしておそらく個人的な感情からも離婚裁判を起こしていた。王妃にとって圧倒的不利かに見えた裁判だが、かつてパリ大学で名を上げたものの今は田舎に潜んでいたフランソワ・ベトゥーラスが王妃の弁護についたことで状勢が一変する…。 歴史小説としても、法廷ミステリーとしても楽しめる一冊で二度美味しい直木賞受賞作。 ずっと前に読んでたけれど友達に譲ることになり、手放す前に再読した。 法廷ミステリーといっても、中世フランスの法廷はイコール教会なので、厳密に法律が全てを支配するわけではない。 その場の空気を読んで傍聴席の大衆を味方につけることが大事だなんて、まるで陪審員制度を採用しているアメリカで数多く作られている法廷ドラマとまったく同じ手法だ。 とっつきづらいテーマを扱っているかと思いきや、実際には下ネタが多く(まぁ、婚姻が有効か無効かとは、つまるところヤったかヤってないかっていう話だから…)完全にエンターテインメント。特徴のある作者の文体に慣れてしまえば、面白くスラスラ読める。 隠れたメインテーマとして「男女の愛情を繋ぎ止めるものは何か/結婚とは」がある。20代前半に読んだ時には何とも思わなかったけど、数年経ってみてもう一度読み返してみると、この作品のラストが提示している前向きな諦念とも言えるべき考え方はしっくりきた。
1投稿日: 2012.12.10
powered by ブクログ第121回直木賞。 中世フランス・ルイ12世は、即位直後、王妃ジャンヌの離婚裁判を起こす。その裁判を傍聴していた弁護士「フランソワ・ベトゥーラス」が王妃の弁護を引き受け、権力を敵に回して奮闘する。 フランソワはかつてカルチェ・ラタンで「伝説の男」として伝説の言葉を残した。「インテリは権力に屈したら終わりだ。意味がなくとも常に逆らわねばならない。」 どこまで事実や歴史考証に基づいているのか知らないが、いや、楽しい小説。 また、パリのカルチェ・ラタン、サンジェルマン・デ・プレ、プチ・ポン、サンジャック通りや、ブルターニュ、オルレアン、ロワール・アンボワ―ズやツール等の場所を追って読んでいくのも面白い。
0投稿日: 2012.12.09
powered by ブクログいやー面白かった。 王妃の離婚裁判の行方や、フランソワの過去、ベリンダのその後など、気になることがいっぱい。 裁判自体が「did」か「didn't」かってことだからそんな話題がてんこ盛りでうける。 でも最後はすがすがしい。
0投稿日: 2012.11.23
powered by ブクログ世界史が大好きだったことを痛感した。猥雑な雰囲気が、中世ヨーロッパという舞台にも合っていて、あっという間に読んでしまう。 ただし、もと恋人が死んだ理由は全く変。そんな理由で女は死なないな。それが死ぬ理由になるのは男でしょう。
0投稿日: 2012.11.05
powered by ブクログ小説と言えばそれまで教科書でしかしらなかった私にとって、衝撃的な内容だった。西洋歴史モノ+サスペンス+下ネタというなかなか無い組み合わせ。小説におけるエンターテインメントを初めて教えていただいた。石原慎太郎が激賞してたそうです。
2投稿日: 2012.10.31
powered by ブクログストーリーは面白い。が、いつもながら、この作家さんの文章は私とは合わないと思ってしまう。文章表現の荒さ、人物や心理の描き方の浅さなど、小説としての表現力の完成度が気になって、どことなく不満が残る読後感です。 西洋史の造詣が深く、小説化すると面白いテーマの引き出しもたくさんお持ちというのはよくわかるし、それは私が好きな分野だけに大変残念だと感じてしまいます。 一言でいうと劇画コミック的な感じです。それはそれで作家さんのスタイルなので、私と合わないというだけなのですが、同じような時代やテーマが得意な好みの作家さんがテーマだけ借りてリライトしたものを読んでみたい、、などと、失礼なことを考えてしまったことも一度や二度ではありません。 裏返せば、それでもすぐに読み終えたのは、それだけストーリーが面白く筋運びやテンポがよいということでもあります。 ストーリーだけなら星4つ。一気に読ませる勢いがあります。
0投稿日: 2012.09.09
powered by ブクログもう、なんて説明していいかわからないほど愉快痛快爽快そして感動の詰まった一冊! 読み始めは「ちょっと難しいし、回りくどい」と思って楽しめるか解らなかったけど、中盤以降はもう最高に面白かった! 法廷劇であり、ラブストーリーであり、人生劇。拍手喝采し、浸れるところもある。 あらすじ: 15世紀末のフランスでは、先王の崩御に伴い娘ジャンヌの婿、ルイ12世の統治が始まっていた。その新国王はなんと舅がいなくなったのをいいことに、「結婚の無効取消」を教会に申請した。理由は――ジャンヌ王妃が醜いから。しかしジャンヌ王妃は光線を表明した。二十年以上の結婚生活において、結婚の成立要件である性交渉を済ませていないと主張する王サイド、そして王の息のかかった検事たち、腑抜けた弁護士のなしのつぶてにも満たない援護がない中、王妃は慎ましやかながらひとりで裁判を闘っていた――フランソワが弁護を引き受けるまでは。 フランソワはかつてパリの学生街カルチェ・ラタンで誰よりも将来を嘱望された若き学僧だった。しかし権力に敗れ失脚し、現在は地方でしがない弁護士として糊口をしのいでいた。復讐のつもりで裁判を傍聴していたフランソワだが、あまりにも腑抜けな裁判に苛立ち、裁判を引き受けることに。こうして「カルチェ・ラタンの伝説の男」は立ち上がった。 ただ「勝て終わり」じゃないんだよね。依頼人との信頼関係や幸せを考えるフランソワが頼もしくて…! 傍聴人席の野次馬と同調しながら法廷のシーンは読んで拍手喝采してしまった。回想シーンで明かされる過去。ベリンダのシーンはもう、感動。切ないけど、大いなる幸せが伝わってくるの…! ああ、もう本当に宝物の一冊になってしまった。
0投稿日: 2012.06.28
powered by ブクログ面白かったです。読後、清涼感あり。史実チェックを入れたらもちろんいろいろあるんでしょうが、それでも面白い。「失った青春」ってなんなのか、最後に分かります…。
0投稿日: 2012.05.20
powered by ブクログフランス王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚訴訟。 王様の報復を恐れて弁護士も証人も、誰もが王妃に味方してくれない中、一人の弁護士が王妃の弁護を買って出る。 どこまでがフィクションだか分からないけれど、二人の間に異性関係があったのなら、原則離婚できない、ということで、 なんとかして異性関係を証明しようとするのですが。。 もう少し法律的な論争が繰り広げられる法廷小説かと思って期待して手にとったのですが、宗教的な色合いが強く、少し期待外れでした。
0投稿日: 2012.04.23
powered by ブクログ圧倒的不利な 立場から裁判を覆す場面は読んでいてすごく爽快!弁護士の力量に惚れ惚れ。心理描写も巧みで、さすが直木賞…。面白かったです。
0投稿日: 2012.02.21
powered by ブクログ3つの下ネタの物語。 1つ「王が王妃にちんこを入れたか否か?」 2つ「主人公はちんこがあるか否か?」 3つ「主人公は恋人の子宮に精子をぶちこんだか否か?」 それをあたかも高尚な文章で書き連ね、いらないカタカナの説明とラテン語をだらだらと書き連ね、よく最後まで読めたものだ。しかし下記の名言と、男尊女卑の書き方は秀逸である。 作中名言「つまるところ、男と女でしかなかった。互いの道具をどれだけ擦り合せたところで、なにかの形が出来上がる訳ではない。それでも先が見えない毎日を、ひたすら積み重ねていくためには、男と女であり続けるしか手がなかった。」「言葉だけは捨てられない。沈黙だけは耐えられない。愚かと承知していながら、あえて口に出す人間をこそ、人は真にインテリと呼ぶのではなかったか。」
0投稿日: 2012.02.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ものすごい忙しい時期に読み始めたせいで、 読み終えるのにとても時間がかかった… いっきに読み切ったらきっともっと面白かっただろうと思う。 あと、言葉が難しすぎる。 物語の終わりとしては、やっぱりこういう帰結なんだぁ…という印象。 まぁ、例え最終局面で王妃が取り乱さなかったとしても、 被告に勝ち目があったとは思えないのだけど。
0投稿日: 2011.12.23
powered by ブクログ間違えて消しちゃった涙 カルチェラタンよりだいぶおもしろかった。テンポもテンションも変わらず読みやすい。結婚とは、信念とは、性とは、といろいろ考えさせられた(答えは出ない)。裏切りほど人を傷つけるものはない。 ただ最近去勢の話が多いなあとも思う。
0投稿日: 2011.12.04
powered by ブクログ同僚の推薦本。 佐藤賢一は久しぶり。 併せて同じ作者の「剣闘士スパルタクス」も読んだが、 こちらが面白かった。 作者が文化や風土に関する専門知識を持つ、 フランスを舞台にした作品の方がすんなり入っていける。 どうでもいいけど、この作者の 性描写っていつも同じような感じだな。 続けて読むと萎える。
0投稿日: 2011.11.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
出張の最中の移動時間に一気に読んでしまいました。 なんか、これまで読んだことのない種類の小説で、面白かった。日本人作家の西洋史小説。 パリの喧騒や当時のインテリの考え方、恋愛観なんかがてんこ盛りで、すごく当時のパリに行きたくなりました。内容は「王妃の離婚」についてなのだけれども、主人公の弁護士と、彼の昔の恋人との話にだんだんとリンクしていく。すごく「男と女の考え方の違い」を端的に表わしていて、それがまったく女性からしても不快ではなくて、(おそらく男性からみても、と思う)「なるほどね」と思ってしまった。王妃がイケメンだけどだめんずの王を、それでも好き、みたいなところ、「わかる気がする~」と思いました。非常に人間くさくて、それでいてちょっと知的で、面白かったっす。
0投稿日: 2011.10.25
powered by ブクログこれはヒット。小説的に好きなタイプ。 誰かを所有し誰かを所有されるところによってしか云々・・・て求婚が ティファニーで朝食を(映画版)のクライマックスにありましたが、 ようはそのへんの主題の悶々をうだうだやってくれます。 ティファニーが自由(?放浪や勝手と結びつくような)と所有、 こちらは自由恋愛(をする権利、を貫く意思や男女の対等関係)と従属 みたいな項で、それは違いますが。 まじめで長くなった恋愛(それ自体は楽しい)のもたらす 先の見えない感にはうぁあて感じに記憶されたものなのでにやけた。 いや、いまこういうの書くと立場的に微妙ですが、 晩婚化・婚前の交際期間の長期化というのが、 私みたいなタイプには耐え難かったろうなぁと思わないでもない。(何の話や。) うん。ひとりの時間は永遠だけど ふたり以上で過ごす時間は有限なので ひとりのときには惜しくもなく欲しくもない未来とか将来が ふたりのときには不安をもたらすものになるのですね(だから何の話や。。。) * 塩野七生さんが近いけど、塩野さんの特長が時代や都市を描くことにあるのに対して、 はっきと小説的な、というか人の感情の機微みたいなものを主題にしてるのだけど。 ただ、その書きぶりが何となく通じている。 にゃらにゃらしたところがなくて、独白も解説も地続きに淡々としているような。 もちろん舞台が、中世というのが勿論まっさきに塩野さんを思い浮かべる理由なのだけど。 (塩野さんが大好きなイタリアに対し、こちらはフランスがメイン。 塩野さんの場合は、都市国家の集合であるところのイタリアを好いて、その都市ごとの人格の違いみたいなものが仕掛けであるのに対し、 こちらは絶対王政期に入ろうとしている、でもローマ教皇の版図でもあるところのフランス。)
0投稿日: 2011.10.22
powered by ブクログ日本の歴史小説ばかり読んでいた自分に、西洋の歴史小説の面白さを教えてくれた思い出の本です。 十五世紀末のフランスである離婚裁判が始まります。原告はフランス国王ルイ十二世、そして被告は王妃ジャンヌ。キリスト教徒は離婚は認められていませんが、例外もあります。夫婦間に肉体関係がもたれなかったとすれば「結婚の無効取消」が認められ、離婚が成立します。とはいえ原告は国王。だれも王妃の弁護など引き受けません。その弁護を引き受けたのは実績などないに等しい弁護士フランソワ。誰の目にも負けるのは必至。果たして国王の鼻をあかして、王妃に勝利をもたらすことができるのか… 王妃は処女なのかを議論して調査(要するに触診です)する描写もありますが、これが論点なので当人たちは大真面目。でもどこか滑稽。宗教裁判ですから、現在の法治国家の裁判とはまるで違うところも面白いです。最初は心もとないフランソワが後半ではどんどん相手を追い込んでいく様がスリリングで、傍聴者のひとりとして法廷で応援している気になります。GO!GO!フランソワ! 直木賞の選考では満場一致で受賞作に決定だったらしいですが、うなずける快作です。
0投稿日: 2011.08.15
powered by ブクログ推敲を重ねたらしき無駄無く練られた文章に感嘆しつつ一気に読める。ノンフィクションとフィクションの中間なのかな?題材が地味な割に恋愛も活劇も程よく消化され、実際にエンターテイメントとして面白く仕上がっている。 何か清廉で品質も位も高い小説といった趣で、東北大卒の作家というのが殊の外説得力がある、と思うのだったが、その後他の作品を読んで私のこの評価は変わっていく。
0投稿日: 2011.08.14
powered by ブクログ1498年フランス。国王が王妃に対して離婚裁判を起こした。 王妃に恨みを抱きつつも卑劣な裁判を目の当たりにし、弁護士フランソワが王妃の弁護を引き受ける。 今、カルチェラタン伝説の男が立ちあがる・・・ いかにも海外ものの翻訳っぽいですが日本人の書いたものです。でも錯覚してしまうくらい巧みに書いています。著作をみるとそういうのをメインで書いている作家さんのようです。 内容としても、劣勢で孤立無援の王妃をフランソワがその知略によって巻き返していくのは読んでいて胸がすくような気がしますね。いやあ、正直あんまり期待していなかったんだけど面白かった。なんという失礼な感想w
0投稿日: 2011.06.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
離婚するかしないの事実、現実問題よりも夫が嘘をついたということが重要だってところに共感。そしてその書き方がすごくいい。 前半でいくら辛辣な質問にも毅然としていたジャンヌが、ルイのたった一言の嘘で一変して崩れてしまう姿が哀れでいじましくてかわいくて仕方ない。哀れだからなおさら守りたくなる。うん、これ、これだよ。強いけど弱いの。ツンデレーション? 女が結婚に拘泥する理由も、納得してしまう。キリスト教信者でなくとも、今の日本だって同じことが言えるんじゃないかしら。根源的な人間のテーマなのかと。 説明したら胡散臭かったり説教臭いことを、物語でみせるって、すごい。 他の作品も読みたくなった!
0投稿日: 2011.04.19
powered by ブクログ最初は登場人物が難解でとっつきにくかったけれど途中からぐいぐい引き込まれました。この時代特有の残酷さが際立った作品。時代は違えども裁判物はやはり面白い!日本人の作品とは思えない。
0投稿日: 2011.04.03
powered by ブクログ離婚をしたいばかりに、フランス王が不貞疑惑をでっちあげて王妃と離婚しようと裁判を起こします。 圧倒的に不利な王妃の弁護に立ちあがったのが、理由あって田舎に引っ込んでいた、かつてはパリ大学法学部にこの人ありと言われた中年弁護士だった…。 裁判に関わるうちに段々と当時の輝きを取り戻していく弁護士には、やはりやる気をもらえます。 文章も読みやすく、どんどん読み進めることができました。 最初は「世界史全然知識がないんだけど…」と不安だったのですが、そんなこと問題にもならなかったです。 最初は図書館で借りたのですが、何度も借りるようになり…購入して手元に置くことにしました。 それにしても、王妃にとんでもないことを要求する裁判…すごいな。 フランス王妃=マリー・アントワネットのイメージしかなかったのですが、この頃の王妃は地味だったんですね。 それに民衆との距離も近いみたいですし。 王妃が弁護士のひげと髪の手入れをするシーンが一番のお気に入りです。
0投稿日: 2011.03.30
powered by ブクログこの人の本はいつもしょうもないし下ネタばかりだけどどうしても好き。多分どの登場人物の人生にも意味があったっていう、登場人物への作者の愛があふれてて、読んだあとあたたかい気持ちがするからだと思う。
0投稿日: 2011.02.08
powered by ブクログ後半のフランソワの告白は悲しかった。全体的にわけがわからない言葉が多くて、歴史が苦手な私にはちょっとしんどかったが、歴史好きな人にはすごく面白いんだろうなぁ~という感じ。 もうちょっとテンポが良かったらよかったかな。
0投稿日: 2010.12.31
powered by ブクログ離婚が非常に不名誉だった時代、しかも最も高貴なカップルなはずの王と王妃に離婚話が持ち上がる。一方的に別れを告げた王に対抗して、王妃は弁護士を雇う。離婚を阻止し、名誉を回復しようとするが、二人の性的関係を確認するために処女検査をする話まで持ち上がって―――。要するに最低男と賢い妻の攻防戦なわけだが、最も面白いのは弁護士と王妃の駆け引き。嫌々弁護を引き受けた弁護士と一筋縄ではいかない強気の王妃の毒舌の応酬のような、労りのようなやりとりが面白い。
0投稿日: 2010.12.17
powered by ブクログ小説として、純粋に面白い!!あらすじにあるように「中世フランスの法廷サスペンス」という触れ込みだったので、歴史蘊蓄が中心の堅っ苦しい本なのかなー、と思っていたんですがとんでもない誤解でした!確かに、必要十分な中世フランスの歴史知識は書かれていましたが、くど過ぎない程度で、むしろフランス史に興味がわきましたねー。題材が離婚裁判だけあって法廷シーンが多いのですが、まるで、生で裁判を見ているような臨場感です。裁判に挑む、王妃ジャンヌの気高さには自然とうっとり。そして何より、人を愛することの甘美さが文章のそこらじゅうに溢れていて、登場人物たちの感情の渦に深く飲み込まれてしまいます(小説の醍醐味はやっぱり人間模様ですよね!)。際どい描写もあるのですが、匂い立つようなエロスは感じるのに、過剰ないやらしさは全くなくて感嘆しきり。逆に、神聖な行為と思えるぐらいです。ところどころベタな展開もありましたが、それも許容範囲。この物語は大団円で終わってもらわないと困ります(笑)佐藤賢一さんは初読だったのですが、この作品で一気にファンになりましたよー。
0投稿日: 2010.12.09
powered by ブクログルイ12世が妻との離婚するために起こした裁判の話。 キリスト教の結婚の定義だとか、当時の法廷ではラテン語しか記録されないのに傍聴席を味方につけるためにわざとフランス語でつぶやくなどの法廷でのテクニックなんか、とても面白かった。
0投稿日: 2010.11.09
powered by ブクログ歴史小説という意味でも、法廷ミステリという意味でも十分楽しめた。 それどころか、「家族」や「夫婦」という人間ドラマとしても様々な風景が見られて面白い。
0投稿日: 2010.10.26
powered by ブクログ友人にすすめられて読んだ本。 まず自分では手に取らないタイプの本だったので、興味深く読んだ。 どこまで時代背景が忠実なのかわからないが、単純に面白かった。
0投稿日: 2010.09.27
powered by ブクログ一度人生に失敗したダメ男が奮起するくだりは読んでいて高揚するが、あまりにご都合主義な流れに段々シラけてくる。 当時の裁判や風俗描写は面白く、文句をつけながらも止まらず一気に読み切った。
0投稿日: 2010.09.06
powered by ブクログこの小説を冒険小説に分類するのは、まさに暴論かもしれない。しかし僕は、この小説をいわば「知の戦いの記録」「知による冒険の小説」として読んだ。決して、いくつか出てくるアクションシーンのためではないのである。 離婚の訴えを退けるために、国王との肉体関係を、法廷で証明せざるをえない王妃。この設定がものすごい。主人公はその王妃に求められて法廷に立つ弁護人である。一歩間違えると退屈な論文になりそうな法廷シーンが、ペリー・メイスンの法廷推理劇を読むような、エンターテイメントになっているということに感心する。がそれ以上に、後半になるにつれて見えてくる、この小説の本当の姿に息が詰まるような興奮を覚えた。 男と女。結婚と恋愛。つい考えてしまう、割り切ろうとしても割り切れない問題に、この小説はひとつの答えを出そうとしている。意外といえば意外な、これしかないといえばこれしかない大詰めの展開は、このこりに凝った設定の小説が、男と女の関係に光を当てるための大がかりな装置であることを証明しているようだ。ふうっとため息をつき、すごいと歓声を上げ、あらためて最初から読み直してみたくなる小説である。 ただ最後の最後、ラストを締めくくる落ちが、僕にはあまりにも早く想像できてしまったのが残念であった。
0投稿日: 2010.08.17
powered by ブクログ第121回直木賞。 中世フランス、ルイ12世国王夫妻の離婚裁判の話。 主人公は王妃ジャンヌを縁あって弁護することになった田舎弁護士フランソワ。物語の本筋は、国王と王妃の離婚裁判について、当時のキリスト教の解釈をふまえながら、ゲーム「逆転裁判」のごとく、それまでの劣勢を跳ね返して王妃有利に裁判を進めていく。大胆な戦法や傍聴席を味方につける手口などが鮮やかで楽しい。 一方、フランソワの過去、恋人ベリンダや近衛隊長などのサブキャラクターとの因縁も、最終的な判決に結びつく大事な要素。
0投稿日: 2010.07.16
powered by ブクログ直木賞受賞作。 王に離婚裁判を起こされた王妃。 不器量なので、結婚は成就しなかったとの言い分に、反論する王妃。 難しい弁護を買って出た弁護士が活躍します。 美人とはいえないが知的な王妃の意地もいい。
0投稿日: 2010.04.26
powered by ブクログ現代ではありえない裁判が興味深かった。ラテン語で進行し、ラテン語以外の言葉は記録されない。なのに、ラテン語ではない言葉が傍聴者に影響を与え、そして裁判の結果にすら影響を与えるところがスリリングだ。 弁護士の仕事を受けるまでのフランソワの王妃に対する感情や、ルイ11世の娘としての王妃への葛藤が妙にリアルだった。醜女の印象が霧散する瞬間、 科目の印象我部リンだの記憶ともあいまっておしゃべりな印象へと逆転する瞬間が、あまりにも人間らしかった。 弁護士、というよりかはどちらかといえば口先八丁で丸め込んでる気もするが、それも面白かった。最後にさっくりと意思を翻す王妃には思わず突っ込みを入れそうになるが、まあ、人間ってそんなものなのかなあ。 カルチェ・ラタンの勢いのある学生の動きは単調な裁判の間でフランソワの論調と一緒に華を添えている。 幼い時に布で足を縛るというくだり、カルチェ・ラタンの実情もしくは存在、裁判の実情、なんかが実際にあったことなのかと興味がわいた。
0投稿日: 2010.03.28
powered by ブクログ初め1/3は頑張りが必要だったけど、その後はぐいぐいひっぱられてのめり込み。 裁判の駆け引きが面白いですね。
0投稿日: 2010.02.16
powered by ブクログ中世フランスにおける、今の感覚ではそんなあほな、と言ってしまいそうになる裁判を弁舌で闘う弁護士フランソワがかっこいいです。
0投稿日: 2009.11.26
powered by ブクログ西洋歴史好きな友達にすすめられて興味を持った作者で、噂に違わず面白かった!エンターテイメントな素晴らしい小説。量感もあって、中世の生活の雑踏を溢れさせながら、主人公のガッツに思う存分乗れる。フランソワの恋人ベリンダの口から止まらない蓮っ葉な憎まれ口に愛が溢れていて切ない。オーエンに関してはあんたのせいなんじゃと思うけど、まあうまくはいかないんだよね。ちょっと文章に未熟なところが感じられてる部分もあるけど、文句なくオススメ!一気読みできる小説探してる人は是非読んでみて欲しい。
0投稿日: 2009.10.20
powered by ブクログ今年読んだ本で今んとこナンバーワン。 爽快痛快最高。 とにかくわくわくします。 今年の集英社ナツイチに選ばれたとか。 だよねー。
0投稿日: 2009.10.05
powered by ブクログ薦められ本。中世、フランス、ルイ12世と王妃の離婚裁判。 元天才の名を権力によって失いし落ちぶれ田舎弁護士の底力。 王妃の女としての譲れないその1点と、プライドが魅力的。
0投稿日: 2009.09.27
powered by ブクログ勧められて読んだ本。読み始めは性の描写がリアルで「買った本を間違えたか」と焦りましたが、読みすすむうちに”正義とは何か””権力の怖さ”を強く感じました。読み応えのある本。 「1948年フランス。時の王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚訴訟は、王の思惑通りに進むかと思われた。が、零落した中年弁護士フランソワは裁判のあまりの不正に憤り、ついに窮地の王妃の弁護に立ちあがる。かつてパリ大学法学部にその人ありと謳われた青春を取り戻すために。正義と誇りと、そして愛のために。手に汗握る中世版法定サスペンス。」背表紙より。
0投稿日: 2009.08.29
powered by ブクログ7月半ば 文章がキレイなわけではないのにすんなり最後まで読めたのは沖縄のせい?よくでもこんなに難しい話を見てきたように書けるものだと思った。相当な知識と取材に裏打ちされたものが、物語としてまとまっていてキャラクターに力があってよかった。
0投稿日: 2009.08.13
powered by ブクログ中世フランスの法廷サスペンス。 “婚姻の成立”の有無等で結構生々しい描写もありますが、法廷のシーンは面白く読めます。
0投稿日: 2009.06.30
powered by ブクログ西洋時代小説第一人者の直木賞受賞作。 小説と言う範疇からすると平凡な作品としか思われない。 但し、その時代のフランスの史実は分かる。
0投稿日: 2009.05.10
powered by ブクログここ最近一番の個人的ヒット本。 1498年フランス。 フランス王ルイ12世とフランス王妃の離婚裁判を描いた作品。 主人公は、かつてパリ大学街で『伝説の男』と呼ばれたものの、 すっかり落ちぶれてしまった田舎弁護士。 彼がひょんな成り行きから王妃の弁護人になってしまって… 第121回(99年)直木賞受賞作品。 西洋歴史&裁判劇…とちょっと硬派っぽい印象ですが、そんなことは全く無く。 むしろ「歴史的裁判をこんな下ネタだらけに描いて大丈夫なの?汗」ってくらい下世話なノリで、すいすい読めます。何より読んでて痛快!一気読み間違い無しのアドレナリン本。特にp150〜が最高。
0投稿日: 2009.03.09
powered by ブクログ舞台:フランス・中世 弁護士の主人公が、王妃の離婚調停を引き受けることになり… 佐藤氏の書くバトル+快男児モノもいいけれど、本書しかり、『カルチェラタン』しかり、当時の市井の雰囲気が伺える作品が私は好きです。 とはいえ本書の主人公も、快男児とはちょっと違うけど、(いろんな意味で)ダメな男なのがいいんです。
0投稿日: 2008.11.15
powered by ブクログ予備知識は不要だけど、若干難しい。そして面白くなるまでが、長い。(てゆーかルイとシャルル多すぎで誰が誰だか/笑)あと、Hな描写が多いので潔癖なヲトメ体質の方にはあまり向かないかも……。 上記2点がクリアできれば、かなり面白い小説だと思う。法廷サスペンスな部分よりも、 結婚とは何だろうとか、男とは、女とは……みたいな部分がいい。時代と国家に関係なく考えさせられる。
0投稿日: 2008.03.01
powered by ブクログご存じ直木賞受賞作。法曹物というより歴史物、歴史物というより青春小説。遺恨を捨てて王妃を弁護する事で、自身の失った青春を取り戻していく中年男が熱い! ラストに見せる主人公・フランソワの○○としての顔が好きです。同じ理由で「黒い悪魔」もお勧め。
0投稿日: 2007.10.23
