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黄金の王 白銀の王
黄金の王 白銀の王
沢村凜/KADOKAWA
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総合評価

156件)
4.4
74
47
14
1
2
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すごい物語だった。 お互いに葛藤を抱えながらも、翠を育むという同じ思いの元、成すべきことを成していく様がただただ圧巻。 櫓と薫衣の間にある張り詰めた感じが、本当に少しずつ、でも着実に解かれていって、そこから信頼関係が生まれていく描写がとても良かった。 どちらかが鳳穐のため、旺廈のため、と動いていたら到底成し得なかったエンディング。2人は同じ時代に同じ立場ではいられなかったけれど、まさしくその時代の王だと感じた。 薫衣が子ども(家族?)にかけた最後の言葉も、自分がかけられたような呪いではなく、愛情が感じられるもので良かった。

    1
    投稿日: 2025.03.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    はーーーおもしろかったっっ!!! 最初、国の地図や名前が覚えにくい漢字が多かったことから図書館で借りてきてから読み始めるのに少し時間を置いていたけど、早く読めばよかったと悔いるくらいの没入感。 物語は登場人物が勝手に動き出して進むものだと思ってて(作者が描く通りに話が進むのはしらけるよね、)この本はそこに個々の葛藤が散りばめられていて、一緒になって迷ったり驚いたりしてた。 話に出てくる人物のキャラ立ちもはっきりしていて、この人だったら確かにこう動くよな、と納得できる展開(それでも驚かせられるのだけど)も多く、読んで大満足でした。

    0
    投稿日: 2025.02.17
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    めちゃくちゃ面白かった…! 十二国記、精霊の守人、龍ノ国幻想が大好きなので、刺さりました。 平和な世を作る、市井の人々の安全と幸せを守る、そのために国を治める、国主の立場でなかったとしても置かれた場所で力を尽くす、熱いです。タイトルの通り、2人とも立派な王です。ラストシーンまで素晴らしい物語でした!

    2
    投稿日: 2024.09.21
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    戦国の物語を読むと何時も考えさせられる 生まれによる定めに逆らう事が出来ない中で、どう強く生きていくのか 幸せは何処にあるのか… この物語は2人の王が少年から命尽きる迄どう生きたかが描かれている  とても強いが、とても切ない… 何度も涙で読めなくなってしまった

    0
    投稿日: 2024.07.28
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    星3.5 初めてファンタジー小説というものに触れたがなかなか読み応えがあった。 公のために生きる、私のために生きる、その間で揺れ動く心を押し殺し、本書の表現を借りれば「なすべきことをなす」感動とやるせなさ、切なさ、かっこよさ、色々な人の側面が垣間見えた。

    5
    投稿日: 2024.01.27
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    ダイナミックな構想と広大な世界を兼ね備えた圧巻の書。深慮遠謀の眼差しがとても清々しく、一方でままならない現実に対する苦渋が生々しくもある。

    1
    投稿日: 2023.12.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    黄金の王 白銀の王 それぞれが物語開始時19歳と15歳の若者の王でありながら、それぞれが「なすべきことをなそう」とする王である。 その若さと、王としての責務を全うしようという意志、その難しさ、そこから生まれる物語の地をしっかり踏んだような力強さを感じる一冊でした。 黄金の王・穭が考え至った苦渋の選択に、白銀の王・薫衣が決断を迫られる。 そんな時に薫衣が偶然耳にした穭の妹の言葉に対して、 p.105 ーー迪師、私は未熟な人間です。あの娘ほどの強さも持ち合わせていないようです。心が砕けようとも務めを果たさなければならない。そんなあたりまえのことを、受け止める勇気が出る ないのです。 と薫衣が心の中で話すシーンは、ぐっと来ました。 ぐっとくるシーンはたくさんあるけど、最初にぐっときたのがこの言葉。 2人の立場の難しさ、考えなければならぬことの重さ、アイデンティティとこれからなすべきことの違い。 19歳15歳でこんな重たい帰路に立たされる、導くものとしての責務と、まだ若い年齢であるからこその激しさにジーンとしました。 今の世の中で、こんなに身を引き裂かれるような選択をしなければならないことってある? この国の中では導く者は、1番濃い血のこの2人であるけど、 日本という国の中では、もっと分散しているよね。 民自主主義のなかでは、国民もその1人として考えを共有したり、考えを吸い上げてもらうこともしてもらえる国ではあるけど、(そうあるべきなのだけど)、実際にはそうじゃなかったりする。 19歳と15歳の王のような決断をする覚悟を、日本の政治家にも持ってもらいたいものだなー。 その覚悟を持って立候補して欲しいものだわ。 と、ファンタジーの物語の中に、これからの未来を考えてしまったよ。 兎にも角にも、 鳳穐(ほうしゅう)と旺廈(おうか)という仇でありながら、同じ報告に向かっていくと決めた2人の物語は、すごく深くまで細部まで語られていて、その国の中枢に自分も入り込んでいるような感覚。 物語の中で年齢を重ね、2人で決断した成すべきことの目標をぶらすことなく、より深く考え行動できるようになり、また目標を見定め、そんな成長。 見定めている目標は、2人のいる世界では理想の世界かもしれないけど、それを現実に落とし込み実現していこうとする力の強さに涙が溢れそうになる。 机上の空論・絵空事の理想で留まる、日本の代表者よ、これが導く者だ。(またこれかい)

    1
    投稿日: 2023.04.24
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    初めて澤村さんの作品読んだけど、久々の★5つだな 作品の説明しようと思ったけど、読むのが一番‼ この作品が、何も受賞していないというのが信じられない 私がお薦めしたい作品です

    0
    投稿日: 2023.03.19
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    この本、凄く考えさせられる…。 戦争だったり、憎しみの連鎖って想像以上に苦しいし、負の遺産としてずっとずーっと続いてく。 この本の主人公達のように、強く決意して変えていけたら… 世界も変わるなぁ… 世界中の上に立つ人に読んでほしい!

    2
    投稿日: 2022.07.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    旅のラゴスや獣の奏者のようなファンタジーを求めて読み始めてみたが、30ページ目で一旦断念。 自分の読書根性が軟弱なのが理由ですが、人物名等が難しい漢字でなんか読みづらいのと、冒頭の丘の上の襲撃シーンで、襲撃者に立ち向かう恩師を主人公が後ろから襲う?としか読めない箇所があって「ん?敵はどっち??」としょっぱなで頭こんがらがり、この先ちょっと自分にはスラスラと読み進められない気がして断念。

    0
    投稿日: 2022.07.18
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    2022.7.9 陰と陽のような2人。 立場は逆に陽と陰か… 立場は違えど、同じ志を持つ2人が尊敬しあい、 大局を変えていく姿に痺れました。 衆議院、参議院もこうであれば良いのにね…

    0
    投稿日: 2022.07.09
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    為すべきことをなせ。2人の頭領が代々のうらみを一つにまとめて血筋を融合させる。 長く苦しい時代を平和にするためにお互いを犠牲にして治めていく壮大な物語。 信念が揺らぐことなく回り道をしながら進んでいく話に半日が一日読んでいたと思うぐらいの充足感。 全てにルビがあるのでスラスラと読め集中力が途切れずに読めたのも満足感があるのかも知れない。

    0
    投稿日: 2022.04.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    長年争いを続けていた氏族同士の王が、国を一つにすることを目的に共闘し、なすべきことに向かって一歩一歩進んで行きます。この話を読んで思ったのは、本当に大きなことをなし遂げるというのは、誰の称賛を受けることもなく、険しく苦しい道を長く長く歩いていかなければならないものなんだということです。それでもこの本の題名にある通り、二人の王と言うのが大切なのかなと思いました。どんなに険しい道のりでも、一人ではないというのが力になるのだと、立場が違えど絶対に国のために正しいことをするという信念を曲げなかった、この二人の王が、時には反発し合いながらも、信頼を深めていく姿がストーリーが進んでいくたびに胸を打ちます。王たちがなすべきことをなした先にどんな世界が広がっていくのか。ぜひ最後まで読んで確かめてほしいです。

    1
    投稿日: 2022.03.20
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    好きな世界観。 人間の醜さ、美しさが描かれている。 スケールが大きいが、そのスケールの大きさを作っているのは細かい一人ひとりだと感じた。

    0
    投稿日: 2022.03.20
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    ひとつの国の支配権を巡って、互いを仇敵と憎みあい、百数十年にわたって戦を続けてきたふたつの氏族。 戦によって疲弊した国を、より良い国へとみちびくため、現在の支配者である氏族の頭領は、もう一方の氏族の頭領と語らいあい、ただお互いだけを真の理解者として、もっとも困難な道を選んだ。 沢村凛さん、初読。 たった一冊で語られたとは思えない、深く濃い物語だった。 読んで良かった。 互いの正統性を主張しあい、果てのない争いを続ける愚かさ。敵を想定し、すぐそこに戦がある前提で保つ平和の脆さ。そこからの脱却の、いかに難しいことか。 廸学を正しく教えられる師が薫衣を育んだ事が、間違いなく重要な分かれ道だったろう。 生まれた時から、『先祖の恨みを忘れない事が子孫の正しいあり方だ』『敵を出来るだけ多く殺す事が神の望みだ』と教えられていては、ここには辿り着けない。 本当に多くのことを考えさせられた。 今のこの世界は、あと何百世代ののちに、この道を知るだろう。 以下、書き留めておくことにする。 「人はみな、どんな相手に対しても、〈殺したくない〉をもっているのではないだろうか。ただそれが、いろいろな理由から生まれてくる、〈殺せ〉や〈殺したい〉に押しやられてしまうだけで」 彼のまわりには、たくさんの〈殺せ〉があった。〈殺したい〉があった。何より〈殺さなければならない〉があった。 そんなものが人の心に押し寄せてこない世にしていくことが、彼らの闘いだったのかもしれない。

    5
    投稿日: 2021.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    空人が幕末なら、これは源平と元寇を足し合わせたような感じ 設定は綿密で矛盾もなく、登場人物の行動も十分納得がいく 描写も程よく、すらすら読める それだけに起伏が大きくないストーリーと相まって淡々とした印象 老成しすぎなひづちやせっかくの地図がほぼ生かされず 城の中だけで進むストーリーはちょっと残念 歴史ものとして視点を切り替えることで理解が深まる反面、主人公の内面がぼやける感じがすると感じた

    1
    投稿日: 2021.03.14
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    久しぶりにこんなに沁みる小説読んだな。。まるで本当に起きたことで、歴史を辿っているように夢中になって最後までページをめくっていた。 「小事に囚われることなく大事を見よ」 それができる2人のような君主がいるならば、今の世界はもっと違っていただろうに。

    0
    投稿日: 2021.01.07
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    対立している部族の長たる少年ふたりが積極的妥協から平和を勝ち取ろうとする話。負の連鎖を断ち切るべく片や憎悪と軽蔑にさらされ、片や自らの誘惑と戦う。戦わないために戦うふたりが綺麗事だけでなく信念をもって突き進む姿にしびれる。アジア風味のファンタジーがお好きな方におすすめ。

    0
    投稿日: 2020.11.30
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    淡々とした語りの中に、登場人物たちの思慮深さや苦慮が読み取れる作品。自分が何者かを理解し、為すべきことを為す。きっとこういう人達が歴史を実際に動かしてきたんだろうな。自分は社会の一歯車で幸せだなと、逆説的に考えさせられた物語。

    1
    投稿日: 2020.02.11
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    これはまた太い物語。仇同士が聡明で、辛い道を未来のために共に歩んでいく。話はまったくキラキラしていなかった。 2020/1/15 驚いた。同じ本をまた借りた。初めて読んだと思っていた。登録したら感想が出てきて衝撃を受ける。ここまで忘れていたなんて。そしてたった1年前のことなのに。作品の印象が薄かったのか、自分が雑に読み流したのか。 2021/4/6

    0
    投稿日: 2020.01.15
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    二つの氏族が王の座を争い続けている国で、その若き頭領二人それぞれの矜持を持った半生が描かれた物語。 ひとりは国の王として、ひとりは敗れた氏族の頭として常に監視を置かれる身として、対照的な立場にありながらも、彼らは運命のもと近しい距離で生きていくことになる。仲が良いわけではけしてなく、一族の積年の思いを背負うが故の葛藤にさいなまれながれも、彼らはそれぞれの「個性」や「才覚」を評価し、選択して、共闘に近い立場を保ち続ける。 その微妙な緊張感が張り詰めた二人それぞれの生きづらさや厳しさが重く、ただの若者、今だけを生きる個人としては存在できない業に行き場のない哀しさを覚えました。 その中で、敗者の頭である薫衣が愛しい人を得て、支えあって生きていく、ささやかなあたたかさがとても胸に沁みました。それでも彼は、頭領としてまっとうするために「当然のように」あの選択をせねばならなかった。それはとても外の目線からみると馬鹿らしいものなのに、彼にとってはそうでないこともしっかりと伝わるので、やはりなんともやるせなく、辛いな、と思うばかりでした。 そして、生まれながらになにかを背負わざるを得ない生って、それによってレールが決まってしまうことって、なんて残酷なんだろうと感じてすごく寂しさを覚えたのでした。

    2
    投稿日: 2019.12.21
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    国を育む為に、争いに終止符を打つ決断から始まる長い物語。様々な犠牲を踏み越えて進む、果てしない道のり。 その道を歩む2人の王の心情がとても細やかに描かれている。 苦しみや葛藤の中で、敵同士だった2人は信頼し合う関係になってゆくが、お互いに国の頭領として、その関係の根本は“益になる故”であり、友情なんていうものじゃない。 けれど、国を背負っているからこそ、その繋がりには特別な重さ、強さがある。 そして、同じ志を持つ存在がいることは、互いにとって救いになっていく。 読んでいる間中、ひづちと薫衣の想いがどうか報われてほしいと祈らずにはいられない。 気高い2人の王の生き様に、ひたすら胸を打たれた1冊。

    1
    投稿日: 2019.08.21
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    これは、泣いてしまう。 外伝が読みたい!漫画化もしてほしい! 二つに分かれた氏族を統一しようと画策、奮闘する二人の若き頭領の物語。魔法やら化け物やらは出てこないけれど、とても上質で世界観が確立されたファンタジー。 守り人シリーズ、十二国記、アルスラーン戦記が好きな人はきっとはまる。

    2
    投稿日: 2018.12.06
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    一気に読んでしまった! 主人公2人それぞれの苦悩やそれを取り巻く人々の心情が良く描かれていて、ページをめくる手が止まらなかった。 今の世の中もそうだけど、自分の考えと違うからと言って悪戯に責めるのではなく、その人の立場や置かれている状況をしっかり見極めた上で行動すれば、摩擦とか減るのかなって思わされる作品。

    0
    投稿日: 2018.05.21
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    すごい、凄すぎる。 中盤から止まらなくて面白くて一気に読破。次の展開に手に汗握り、固唾を呑んだ。起承転結の型にはまり過ぎず、次に何が来るのか読めない不安定さも良さの一つかもしれない。これはこれで完成されているが、欲を言えばシリーズとしてかせめて分冊化しても良かった気がする。2度目の討伐や薫衣の2人目の妻の心情、ひづちの息子、豊穣の成長などなど、もっとじっくり味わいたい場面があった。何よりもこの世界観にもっと浸っていたかった。和製大河ファンタジーを語るのに不可欠な1冊。

    2
    投稿日: 2017.11.10
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    最高に面白かったの一言!時間を忘れて読みふけったのは久しぶり。ファンタジーが好きなひとには、ぜひ読んでほしい!大切な1冊。

    0
    投稿日: 2017.01.20
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    おもろないことはないし、まぁおもろいんですが、なんか辛気くさい。若い2人の頭領が国を平定するのにがんばるファンタジーなのでもうちょっと青臭くてアホすぎるほどの夢みたいな事が実現したり、無理なことや強引な事がまかりとおる話のほうが好みやねぇ、ちょっと夢が無さ過ぎというか老成しすぎというか。ま、この老成具合もファンタジーの一種なんかもしれませんが、ちょっと枯れすぎ感なきにしもあらず。その所為かラストも枯れていてなんとなく後味しょぼい。読んで損ではないですし、それなりにおもろいことはおもろいんですけどねぇ、、なんとなくガックリ実年齢以上に老けた気になる読了感でした。若者向きかと思われます。

    1
    投稿日: 2016.07.22
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    国を治めるために困難な道を信念を持って進む二人の王の話。とても引き込まれました。とても好きな本です。

    0
    投稿日: 2016.07.18
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    今年1番の本かもしれない。 まだ2月なのに、そう思った。 きっと、そうなるだろう。 そうなってほしい。 だって、白銀の王は、それくらい魅力的な人だった。 全てに魅せられた。 始めから最後まで。 その気高い志も。 時々みせる感情的なとこも。 その全てに。

    0
    投稿日: 2016.02.15
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    私利のためでなく、なすべきことをなす。 何が最優先事項かを判断するのは苦しい。たとえそれを廸学に求めようとも、国の統治に求めようとも。それを諦めず最後まで考え抜く事により、究極の自己満足、自己肯定があるのだろう。

    0
    投稿日: 2016.01.03
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    世界観のしっかりしたファンタジーだけど 凄く読みやすかったし面白かった。 時代の流れを変えようとする二人の王のお話。 お互いに憎むべき相手なのに、 過去のことに囚われず未来のことを考えて なすべきことをなす。 凄いことだと思った。 最後の方が駆け足になってしまった気がして残念でした。 もう少し、子供たちの話も読みたかったな。

    0
    投稿日: 2015.12.10
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    二つの部族の長である2人の思いや葛藤がすごくよく出ていて、かつどんな苦境にも負けずにいた主人公、最後まで、よくできた物語でした。本当に良かったと思えます。

    0
    投稿日: 2015.09.27
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    すごい本を読んじゃったなぁ、すごい本を読んじゃったなぁ・・・。 王に求められる資質。私利を求めず、なすべきことをなせ。例え他の誰にも理解されずとも、後世まで愚王と罵られようとも。なすべきことをなせ。 気高さが半端ない。

    0
    投稿日: 2015.09.20
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    繰り返されてきた戦いに、人々の中にも自分の中にも横たわるうらみ、憎しみ、敵対心。 それらをどう乗り越え、いなしてゆくか。 二人の若き頭領、それぞれの知恵と手段。葛藤。 芯に歴史小説のような骨太さを感じながらも、やわらかなタッチで読みやすい。 よく「リーダーは孤独」といわれるけれどこの二人もまさしく。 この先も二人のすれ違いなど、もう少し読み続けてみたかった気もする。

    0
    投稿日: 2015.08.02
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    設定が単純で、登場人物が少ない。 魔法はなく、奇想天外なできごともない。 氏族の争いがあり、積年の恨みと憎しみがある。 崇高な思想と意志で国を支え、氏族を守ろうとするそれぞれの頭領。 久しぶりの清廉な主人公、完璧すぎる人格者の本。 でも、感情移入してしまった。 なすべきことを果たし、重責から解放されるとき、読むほうもほっとした。 終章が淡々として、でも爽やか。

    0
    投稿日: 2015.07.23
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    敵対する二人の王の、真の平和を見つけるまでの葛藤のものがたり。 世界観がしっかりとしている、ハイファンタジーの王道だが、伝えたいことがあるから架空の世界を作っただけで、あとはとてもリアルな人間ドラマである。 相手を憎み恨み殺すことを教えられた、2つの民族の王となった男と囚われた男。 苦しいまでの憎しみがひしひしと伝わってきて、読んでて苦しくなる。 とりあえず、もう一度読み直したい。

    0
    投稿日: 2015.06.21
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    すごく面白い歴史ファンタジーでした。穭(ひづち)と薫衣(くのえ)の共闘、国が生きるにはこれ以外の道がない故の選択だったので、はじめからすこし悲しかった。 普通だったらアツい!ってなったのかもですが、この物語の場合、そもそも敵対部族同士で戦ってたってこと、それのせいで周囲があまり理解を示さないこと、そして2人自身も自分の中に潜み続ける殺意をぬぐいきれないこと、って苦痛が根底にあり続けるので、どうあっても晴々と「熱い!」って言えない。それが面白かった。 主人公は薫衣なので、読者の目線は穭と共に彼を見るわけなんですけども、薫衣がなんかする度に、「大丈夫かこいつ、ちゃんと穭の言ったこと分かってんのかヨォー!」って思うくらい、穭に感情移入しました。 稲積と河鹿の、生まれや立場、学びからくる薫衣への対応の違いとか、それだけで泣けたよねー。薫衣が「人は血で決まるものではない」って気付くことの後押しになれた稲積!すてきですね!! 最後、終わり方が「むかしむかしの、遠い国の物語でしたーめでたしめでたし☆彡」って感じでストンと終わったので、[読者に妄想させる余白を与える本]が好きな私には「あっハイ…」って感じでしたが、まぁ作者が書きたい事書き尽くしてる本なのでそれでいいんだと思います。 この作者さんの本、他のも読もうと思います。 ところで、ひづちって漢字、ちゃんと表示されんのかな…

    0
    投稿日: 2015.04.21
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    「黄金の王 白銀の王」沢村凛◆翠国では二つの民族、鳳穐と旺夏の対立が根深い。しかし鳳穐の頭領が提案したのは不可能とも思える「共存」。二つの民族の頭領が主人公となるのですがキャラクターがいずれも魅力的で、民族の対立などは物語の中だけの話ではないと考えると、ファンタジーだけどリアル。

    0
    投稿日: 2015.04.16
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    1つの国で覇権を争う2人の王の話。 男の子向け、サラリーマン向けファンタジー。 2人の王の立場と関係、やりとりが良い。 長すぎず無駄もない話のまとまりも絶妙。 あなたはどっち派?

    0
    投稿日: 2015.03.11
  • 務めを果たし続ける、ということ

    昔々、ある国に仲の良い双子の王子たちがいた。しかし、大人になると、彼らは王座を巡ってあらそった。 争いは彼らの代では終わらず、その子孫も憎み合い、殺し合い、そんな時代が100年以上続いた。 旺厦と鳳穐。それが二つの氏族の名前。 どちらの王統が王となるのかをめぐり殺戮が続く中、鳳穐の王は旺厦との和睦を申し出る。 旺厦の頭領は、一族を皆殺しにした鳳穐を憎みながらも、和睦を受け入れ、 鳳穐の王の妹との縁組みにより、長年の対立は終わる。 ・・・あれ? まだ、全体の五分の一くらい? そう、実はここからが本題。 「務めを果たし続ける」という言葉を義兄弟となった二人は使う。 和睦とは一時になしえることではなく、なし続けなければならないこと。 「維持」というのは、小説としては地味なテーマだ。 が、現実的に考えると一番重要なものである。 秦の始皇帝の成し遂げた中華統一も、豊臣秀吉の成し遂げた天下統一も、 結局のところ、続かなかった。 多くの場合、小説家は「統一」か「崩壊」に焦点を当てて小説を書く。 その方がドラマチックになるからだ。 が、この物語は「和平の維持」に重点が置かれている。 対立は終わった。 そのはずである。が、快く思わないものはたくさんいる。 それが、和解の直後に現れるとは限らない。 平和に見えて、水面下で憎しみをあおり、「敵」に報復しようとする者もいる。 王たるものは常にそれに目を配っていなければならない。 そして、降伏して「敵」の義弟となった旺厦の頭領はどうすればよいのか。 自分を担いで再び旺厦を立て直そうとする「忠臣」たちに対して、どうすればよいのか。 そんな話である。 地味で堅実なテーマである。 が、それをテンポよくドラマチックに読ませるところに、作者の力量を感じた。 思考回路がしっかりとした歴史小説や大河ドラマ系。 ただひとつ、難を言えば、この義兄弟二人の考え方が、非常に賢明で、合理的で、達観しているのである。 最終的にそこに至るのはかまわないのだが、本書序盤あたりですでに、 「上に立つ者として真に必要なこと」を理解している二人には少々違和感があった。 何が彼らをこんな人間にしたのか?そこが気になった。 が、そこを膨らませると「和平に至る道」が中心となり、「和平の維持」が付け足しのようになってしまって、 本書の目の付け所の面白さが薄くなり、単純な成長物語になってしまうのかもしれない。 「務めを果たし続けるのは、華々しく死ぬことよりも、ずっと困難なのだ。」 と、旺厦の頭領は言う。 そんなことを言って鳳穐に従う頭領の姿は、旺厦の忠臣たちには弱腰に思える。 鳳穐の忠臣たちも後顧の憂いを断つために旺厦を滅ぼせと言う。 そんな忠臣に苛立つ。我慢する。誰かが暴走する。それを一番穏健な形で抑える道を考える。 耐える。いろいろ耐える。 何でこんなに立派な人になったのかはよくわからないけれど(笑)、 王と義弟の冷静な判断と忍耐力には心を打たれる。 いつのまにか短絡的な忠臣たちにイライラし、二人の努力が実ることを祈っている自分に気付く。 成長物語無かったけどいいか、と思えたりする(笑) この作者の論理的な思考は結構好みなので、別の作品も読んでみたいと思った。

    8
    投稿日: 2014.12.01
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    翠という架空の国で対立する2つの氏族。片方は統治する方へ、もう片方は迫害される側へと、立場を変えながら長い間争ってきたので、当然敵対する氏族への恨みは深い。 氏族が争う度、国は荒れてしまうので、この対立の歴史を止めようとする2人の頭領の話。 作り込まれた世界観に先が気になるのと、読み終えるのが勿体ないような想いがせめぎ合う極上のファンタジーでした。 2人とも国を統治するだけの器量を備えているのに、前の戦で敗れ監視されている身の薫衣がなすべきことを成し遂げるために耐える様が切なく魅力的でした。 薫衣の妻、稲積が一度だけ「心のままに」薫衣に感情をぶつける場面では、胸に迫るものがあった。 この作者さんの他の作品も読んでみたい。

    0
    投稿日: 2014.11.23
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    最後、終わりが近づいて終わって欲しくないという何とも言えない気持ちでした。 薫衣(くのえ)の最後の気持ちは王であればこそ自分や家族以上に国や国民のことを考えて事。 できることなら、最期まで〈ひづち〉と二人で年老いるまで翆の国を治めてほしいと思わずにはいられなかったです。 お互いを認め合い本当に幸せな日々が続いて欲しいと思っていた時の旺厦の反乱。 類いまれな王としての素質を持つ二人が憎しみ合い殺したい気持ちから殺したくないという気持ちに気付いたとき彼らの闘いの意味は殺さなければならない気持ちが、心に押し寄せてこない世にしていくことであったのかも。 薫衣の決心に2度目の心変わりはなかった。ラスト2人の座敷牢での語らいは2人の気持ちが滲みでていて感動しました。 そして言い残すことは。の問に「ない」と。 稲積(にお)が、1度だけの心のままにふるまった薫衣に対する強く悲しい想いに涙が溢れそうでした。 そして終章で〈ひたき〉の父への想いと決心を確認できたことと旺厦と鳳穐の未来に光が差していることで、清々しく読み終えることができた。

    2
    投稿日: 2014.11.09
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    国のために自分のなすべきことをなす、という揺るぎない信念が二人の王にはあった。どちらも素晴らしい王だが、薫衣にはより共感した。 敵に蔑まれ味方に謗られて、自分のために楽しむこともなく、愛する人に伝えることもできず、成し遂げても誰にも褒められず、針の筵で身を費やすことの苦労を思うと何のための人生だったのかと思う。過酷な環境におかれても、薫衣が少年のような純粋さを失わずにいるものだから、切なくなってしまった。 ニオとの出会いが唯一の救いだろうか。ひたきに、薫衣の生き方がきちんと伝わっていたことがわかるシーンでやっと報われたような気がした。

    1
    投稿日: 2014.10.20
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    感想はブログでどうぞ http://takotakora.at.webry.info/201407/article_9.html

    0
    投稿日: 2014.07.31
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    架空の歴史をもつ、架空の国の、ある時代の話。ここまでコンパクトにまとまってるのが凄い。⚫︎⚫︎シリーズ的なやつやったかな?と途中何回も思ったけど、見事一冊で終わってた。せっかくの世界観が勿体無いんじゃないかって気もしてくるほど、無駄なく読みやすく潔かった。

    0
    投稿日: 2014.07.05
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    ものすごくどっしりと心に残る内容だった。 最初は独特の固有名詞で、うん?と思ったけれど、重厚感に驚いた。 舞台設定としては、古墳時代〜奈良時代のようなまだ豪族の力の強い頃の話のような、でも文明的には鎌倉後半くらいの感覚だった。 己を捨て、王として生きることをつらぬいた二人の王。氏族の争いではなく、一つの国を守るべく、表と裏から支え合った王。私欲を一切出さず、明るい未来は遠く、それでも王としての立場をまっとうすることだけに全力をそそいだ二人には感動してしまった。 歴史のターニングポイントにいたということで、例外づくしの人生を送らねばならなかったことは、不幸なのか幸福なのか考えさせられた。

    0
    投稿日: 2014.06.09
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    王であること、使命を生き抜くこと。2人の王の、手を携えつつもどちらも孤独な戦いをしていて。 こういうのを読む度に、自分は上の人の苦悩を知ることなくただ流される民側だなあと、思うのです。

    0
    投稿日: 2014.06.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    綿と続いてきた対立の歴史。人々の間に根付く差別意識。 先代の王たちが眠る王都の地下で対峙する2人。 国を変えようとした2人の賢明な王の 静かで長い長い戦いが始まった―――。

    0
    投稿日: 2014.05.26
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    この物語、ファンタジー小説ではあるが、それらしい劇的なことは、実はそれほど起こらない。 が、 いやあ、まあ面白い。 この物語のテーマは、「共闘」だと思う。 共闘というワードから結びつけやすいのは「外敵」で、 事実冒頭では海向こうの大国の脅威が語られるが、その脅威はなんと物語前半で解消してしまう。 もちろんその後も揉め事、厄介ごとは物語のなかで絶えず起こっているのだが、しかしこうしたファンタジーとしては、基本的にはこの世界はきわめて平和だ。 にも関わらず、引きつけられる面白さがこの物語にはある。 秀逸なのが、主人公である二人の王の描き方。ともに英邁でありながら、タイプの異なるふたりの王。とくに、主な視点役である櫓が、もうひとりの王である薫衣の才を認めながらも畏れ、時には憎みながらも認めていく様子は、北方三国志の劉備に対する曹操を彷彿とさせるものがある。 そしてこの二人がときに反目しながらも認め合い、並び立つ様には、物語によくあるライバル構造をみて思う感情 ―このふたりが手を組んだらどうなるんだろう― を満足させてくれる。 歴史に裏打ちされた変えがたい人の心、政治的なしがらみ、そうしたものに少しずつ、粘り強く立ち向かう「共闘するライバル」の姿が、この小説の魅力の核ではなかろうか。 そして、きっとそれを描くために、架空の世界を舞台に選んだのだろう。 「空想世界ならではの魅力」を打ち出した小説ももちろん大好きだが、ファンタジーにはこんな活かし方もあるのだ。 剣と魔法と中二病だけがファンタジーじゃないぜ。 そして衝撃的ながらもどこか淡々と静かなラスト。 断言しよう。帯と背表紙に書いてある、 「国内最高峰ファンタジー」 のアオリ文句は誇大広告ではない。

    3
    投稿日: 2014.04.22
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    敵対する一族の頭領が密かに手を結び国の安泰のために力を尽くす。かたや国の王としてかたや囚われの身として。名を捨て人に指差されも恥とせず成すことを成すために生きる。その生き様が瑞々しい筆致で描かれています。架空歴史物語が好きな身としては堪らなく面白かったです。魅力的な人物が自分の生きる道を見つけて突き進む姿は素敵です。 二人の頭首の葛藤をはらんだ関係が面白いです。初めは先祖伝来の仇敵として出逢い、統べる者と囚われの者としての関係、婚姻による義兄弟としての関係、お互いの力を認め合う関係、時代とともに移り行く関係。しかし相対する一族の頭首としての関係を貫いているため、緊張感に満ちた関係でもあります。だからこそお互いに認め合い手に手を取って国を治めていくのかと思った先に待つ展開に驚かされました。いやあ、面白い。

    3
    投稿日: 2014.03.05
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    薫衣が世捨て人になろうと稲積に別れを告げたシーンで、泣きました。 稲積の「ずるい」というセリフはほんとにその通りだよ!よくわかるよ!と思ってしまいまして笑 小野不由美、上橋菜穂子好き辺りがはまる小説だと思います。 装丁もいいですね。

    0
    投稿日: 2014.02.15
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    数百年間争ってきた2つの一族。そのそれぞれの王が互いに争わない世の中にする為に困難な道へと踏み出す物語。 数十年に渡る話を一冊にまとめているため、ひとつひとつのエピソードの内容が薄く性急な展開で、目線も様々な人物に変わるので感情移入も出来なかった。 全体的な構想はいいのに勿体無いなぁと思った。

    0
    投稿日: 2014.01.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    歴史小説のような中華風ファンタジー。憎しみ合ってきた二つの正統な跡継ぎの一族、その憎しみ合いを自分たちの成すべきことのために終わらそうとした二人の話。 自分が人生をかけてなにを成すべきかを考える立場であることをかれらは自覚しやってのけた。小事と大事を見分け、間違えそうなときはお互いに支えあい反発し合い、自分以外と問答をし、志のために生きた。 地名や人物名が中国歴史小説っぽかったのもあってか、彼らはいままで中国歴史小説が歩んできた道を大きく変え、徐々に徐々に川を山に登らせるようなことを成し遂げたのではないかと思った。三国志も水滸伝も国はその後滅びる。いやこの小説だっていつかは滅びる国を書く。でも彼らはそれを自分たちの成すべきことを見定めて小事をきりすて私情を圧っし、自らの評価を溝に落としてまでも国という小さく大きな集合体を自分のひなたちを守った。彼らの功績はその代に刻まれ、次の代へ移り変わり次へ次へ大きく流れを作っていく。 自分のなすべきことをなすことは非常に難しい。それは自分を曲げ滅私奉公し、しかし自分の意志を持ち言いなりにならずまっすぐと自分の志向や直感にしたがって共闘者とともに監視され監視し自らの必要な道を敷き、作っていくものなのだ。1人ではできず大勢ではできない。自分を知り相手を知り、力を込めて目的にために漕ぐ。 何よりこの小説でよかったことは、同じ立場(ある意味で真逆の)の二人が協力し、目的を共有したことにだ。彼ら一人一人では無理だし、何よりこの設定上許されない。仇敵と手を取り過去に生きず未来に生き、より多くを未来へ導く。そんな沼のような憎悪とその中の光のような未来が人を過去でなく今に生きさせる。彼らは支えあい罵倒し合い確かに民を迪びいた。いろいろな小説で物語で出来なかった描かれなかった世界がここにはあると思う。 もちろん不満があるとすればその後の話だが、上下巻でも良かったのではないかというくらいの話だった。しかし書かなかったのは意味があるのかもしれない。読みたかったな。水滸伝→楊令伝ではないけれど物語は終わらない。担ったものは時代としていかにそれを守るかだ。特に彼らの息子たちはどこまで親たちがしてきたことを理解できているのかそれを私は知らない。彼らは二人で一度完成させてしまった。その続きを、息子たちが自分のこころとどのように向き合っていくのか私は見たかった。 すすめてくれた先輩はコードギアスすきならすきだよ!と言って勧めてくれましたが、ピッタリですね。好きでした。

    1
    投稿日: 2014.01.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『折れた竜骨』を少し前に読んだらファンタジーものが読みたくなり選びました。 実は読み終えてから時間が経っていますが、感想を書こうとするとあれこれ考えてしまい、なかなか書けませんでした。 共通認識がお互いへの殺意という2人の王が、未来を見据えて挑んだ共闘。 一番の敵だった穭と薫衣。 薫衣にとって一番遠い存在と一番近い存在だった稲積と河鹿。 縛られなかった鶲と豊穣。 一人ひとりの考えや苦悩の上に未来があり、「なすべきことをなす」ことの厳しさを感じた一冊。 前評判の高さに半信半疑でしたが、納得の読み応え。 文庫一冊とは思えない濃密さでした。 表紙は文庫版のほうが好きかな。

    0
    投稿日: 2013.12.02
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    国ができて百数十年が経った翠の国の物語。 一つの国の話なので当然、王と呼ばれる立場の人物は一人…ですが、タイトルにあるように黄金と白銀の二人の人物は間違いなく共に王であったと感じました。 国全体を動かしていくような壮大な展開も素晴らしく話にどんどん惹きつけられました。が、何より人の心の描き方、特にp439の〈心のままにふるまえ〉→「してはいけない」が、ぱきんとはずれた。の前後の流れにはグッときました。

    1
    投稿日: 2013.11.17
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     ファンタジー?と首をかしげたくなる。つまらないという意味ではない。ファンタジーにつきものの魔法や不思議な出来事は、ここには出てこない。いや、出ては来るんだけれど、それは神様や何か人を超えるものによるものではなくて、人の手によるとても尊く不思議な出来事。  作者は、日本ファンタジーノベル大賞に応募したことがあるそうなのだが、その賞の第1回受賞が「後宮小説」という中国風の架空の国を舞台とした小説だったので……そういえばこれもファンタジーかも。  大河ドラマを要所要所を抑えつつきっちり読ませてくれるので安定感はあるものの、駆け足過ぎてもったいない。もう少しいろんなエピソードが読みたいよーという気分になる。  「後宮小説」が好きだったり、「精霊の守り人」が好きならオススメ。  あと……相棒好きというか、バディモノが好きな人にもいいと思いますよ!

    0
    投稿日: 2013.11.10
  • 骨太な歴史物語

     本書はタイトルと表紙イラストに魅かれ購入。軽い気持ちで読み始めたのですが、大きな間違いでした。対立する二つの氏族と国を、二人の王が一つに統べるまでの、その子・孫に至るまでの長い物語は、かつてよく読んだ歴史書を彷彿させました。  歴史テイストを取り入れただけの甘い話ではないです。安直な人間関係で終焉しない、本当の歴史書として覚悟して読んでください。「終章」を読み終えた時、国を統一するとはこういうことなのだと知ることができる筈です。  その国もまた時の流れの中で、新たな戦いが生まれ混沌としていくことは、歴史の自明なのですが、本書は小説(物語)であり、以後の歴史が語られることはありません。それが救いです。

    1
    投稿日: 2013.11.10
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    ブクログのおすすめ和製ファンタジーでこちらの作品が挙がっていたので購入しました。 想像以上に「アリ」でした(偉そうで申し訳ないですが)。 半信半疑で読み始めたせいか最初だけ少し取っ付きにくい印象がありましたが、すぐにこの物語の核が語られ、グイグイ惹き込まれていきました。 私立場の違う人間の葛藤だ歩み寄りだっていうのに弱いんです…。 途中2度ほど涙しました。 あまりにも長くて困難な闘いは読者としても苦しくてもどかしいです。 けれどその先にあるものを見届けられたので本当に良かったなと、たった1冊の本に感慨深い思いをさせられました。 あとは最後の次世代以後の話について。 もちろん作者としてはあえてそうしてるのでしょうが、あっさりまとまってしまっていて個人的には少し物足りなさがありました。 余韻に浸るには後世のことを長々描いても仕方ないのかもしれませんが、やはり2人の主人公が思い描き、命を賭けて築き上げた世をもっと堪能したかったです。 それに息子や孫にまで2人の願いがしっかり息づいてることも確認したかった。 とはいえ本当に良い作品だったと思います。 試しに買ってみて良かった! 2013.10.09

    0
    投稿日: 2013.10.10
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    読む前は「そこそこページ数はあるけれど1冊で完結してる政治ファンタジーって奥行きや重厚感がないんじゃないか?」と侮ってましたが、私が悪うございました。評判通り良かったです。祖先は一つであったのに血で血を洗う覇権争いをする鳳穐氏と旺厦氏。剣を交え殺戮する戦いばかりが壮絶な戦いではないと、改めてここに知った。こんなに静かで苦しい戦い方があるんだ。凄かった。

    0
    投稿日: 2013.10.08
  • 復讐の連鎖を止める勇気

    敵対する二つの氏族の頭領同士が青年時代から子や孫、その後の世代に至る長い期間共闘し、国を統一していく様を描いた骨太の作品。 トップが「これからは敵対者とも手を組む」と言ったって、周囲は納得できないものです。復讐の連鎖による度重なる戦で荒廃した国土を復興させるには争いを止める必要がありますが、頭領自身も「相手を滅ぼさねば自身が滅ぶのでは」と葛藤していきます。 復讐の連鎖を止める勇気を持った二人の青年王の物語です。 周りを欺きながら手を組むのは辛いだろうに、そこを乗り越えての統一までの長い道程を思うと泣けてきます。 小野不由美さんの十二国記シリーズを彷彿とさせる作品で、もっといろんな人に読んで欲しい一冊です。

    5
    投稿日: 2013.09.26
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    談話室でちょこちょこ出てたので購入。 一気に読み進められました。 もともと同じ大王の血筋なのに、双子が生まれてから王座を奪い合い、その子孫も二つに別れたまま戦争を繰り返します。 そしていつかは二つに別れたものを一つに、と王と頭領が歴史を変えるべく動き出す。 一巻で終わるには、物足りないと思いました。

    1
    投稿日: 2013.08.16
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    満足。 自分でもよくわからん感情由来の涙が出た。 薫衣(くのえ)の境遇に時にはつらくなりながらもその生き様がかっこよかった。とてもじゃないけど真似できん。 自分のなすべきことをやれ、って倫理観が話の芯を通していて、その選択の難しさをキャラクターを通して感じた。

    1
    投稿日: 2013.08.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    完全に架空の舞台・人物であることを除けば、地味だけど骨太な歴史小説という感じだった。架空であるからこそ一貫した理想を描けているが、美しい理想だけに終始せず後ろ暗い部分もしっかり書かれていると思う。 2人の王が、復讐心や私情をどこまでもぐっと抑え続けて、両国民を最大限の平和へと導こうとした理性的、合理的な姿が丁寧に描かれているのがよかった。でもそれを成し遂げられたのは、お互いに人として魅力を感じていたからという私情もあったと思う。そこにとても人間味があり、それは強みにも弱点にもなり得る。 終始薫衣が不憫でならなかったが、最後に自分自身を解き放って自由になれたのは彼の方だったと思う-と思って納得したい部分がある。 死んだ人の遺言(による敵討ち)に縛られるのは亡き人を救うこと。今生きている人やこれから生まれ来る者を救うには? 心に留めておきたい視点。

    1
    投稿日: 2013.07.31
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    翠の国という小さな島で元をたどれば同じ祖先を持つ、鳳穐(ほうしゅう)と旺廈(おうか)というふたつの氏族のお話。 見開きすぐに地図があったので期待に胸ふくらませたのですが、架空の国というだけで内容はほぼ氏族争いで。ファンタジー色も薄くちょっと拍子抜けしました。地図いらない。 長年の因縁に終止符を打つべく、鳳穐の頭領、穭(ひづち)が幽閉中の旺廈の頭領、薫衣(くのえ)に共闘を提案するところからお話が始まりますが、そのために犠牲になるのは薫衣ばかり。 15歳であの決断ができたことにも驚きでしたが、表向きは鳳穐の天下のまま。 なので薫衣は鳳穐の民にも旺廈の民にも理解されず、卑下され酷い仕打ちを受けます。それを耐え続ける姿がもう切なくて。 解説にもありましたが、普通この展開なら、そしてこの薫衣ならば、かならず逆転の機会があるんだろう思ったいたので、あの結末には衝撃を受けました。 あとは穭の妹、稲積(にお)も素敵だったな。 前半は読みづらさも感じましたが結果的には楽しめたので、ファンタジー好きなら一読する価値はあるかと思います。

    3
    投稿日: 2013.07.04
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    2人の王が2つに別れた国を1つに戻すため共存の道を模索していく話。華々しい合戦はないが、駆け引きや心理戦は面白い。生涯の幽閉の中で、成すべきことを成し、何を成すべきか見極めていく薫衣の毅然とした潔さは素敵だった。

    1
    投稿日: 2013.07.03
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    面白かった! 単純にそう思える作品は久しぶりかもしれない。 争いあう二人の王が共闘する、というあらすじを読んで、共通の敵をバッサバッサと倒してゆく痛快劇と思っていたが違った。 忍耐と辛苦に満ちた、新しいかたちの偉人像を見た気がする。 語彙が少なすぎて、「切ない」としか言い表せないのが悔しい。

    1
    投稿日: 2013.06.13
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    文庫1冊にして、この満足感足るや。大河的なファンタジー小説や、児童文学好きな人にオススメ。いや、本当に満足感がすごい。ネックといえば名前がファンタジーやゲームの世界でしか聞かないような、ちょっとハイセンスすぎるので、とっつきにくいぐらいかな。慣れたら大丈夫だし、いやほんと、読めてよかったよ。

    1
    投稿日: 2013.06.01
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    あちこちで評判の良さは聞き及んでいたが、いやはや素晴らしい完成度とリータビリティであるな。 『共闘・共存』という茨の道を突き進む二人主人公の姿と心情に胸が熱くなる。 キャラの思惑や言動に比重を厚くした構造と、ポリティカル要素の高さが意外だったがツボ。 意図的に宗教色を排除したことにより構成がスッキリした上に、ピントが最後までズレないのには感嘆。 脇に至るまでナイスキャラ続出で堪らんなコレは、彼らの行く末がもっと読みたい。 問答無用の苛烈な傑作であります。

    1
    投稿日: 2013.05.18
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    いやぁ、面白かった!一気読みして泣けた!敵同士として生まれた二人の頭領が互いに廸く者としてなすべきことをなすという一事をもって密かに共闘する大河ドラマのような物語。 床下で号泣するヒタキの背中をホゼがさするシーンに泣けた。そしてそして、ニオの「だって、そんなの、ずるい」というセリフにうたれた。哀しくて悲惨なのにどこか透明な明るさを感じさせる世界。読後感が素晴らしい。2013.4

    1
    投稿日: 2013.04.23
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    言葉がきれいで、独特の読み心地。伝記のようであり、昔話のようであり、映画のようでもある小説。 上手いこと映像化したらさぞや面白いことだろう。 ちょっとアンダーワールドと魔王勇者を連想した。 1/5読み終わったあたりから一気読みしてしまった。おかげで睡眠不足…

    1
    投稿日: 2013.04.08
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    架空の国を舞台にしたファンタジー大河小説である。互いに恨みあって仇同士となった血筋の二人の王が、翠の国の安寧という共通目的を達成させる過程を描いた壮大な物語。すぐにその世界観に没頭して、勝手に情景が頭に浮かんでくる。とても引き込まれて、あっという間に読めた。 なすべきことをなし、小事にとらわれて大事に目を奪われることをしない。じゃく学とは一見帝王学のようでもあるが、それに従って生きることの難しさに、自分ならばと思うと震え上がりながら読んだ。ぜひ読んで、この二人の人生を疑似体験してみて欲しい。

    0
    投稿日: 2013.02.15
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    【読了レビュー】小事に囚われずに、大事を成す。2人の王の壮絶な生き様を描いた傑作。 ファンタジーでありながら、ものすごくリアルに感じてしまうのは、世界や人物の描写の的確さや緻密さからか。 よくこれだけのボリュームの中に、こんなに壮大なスペクタクルを凝縮できたな、と感じた。 素晴らしいの一言に尽きる。 とても面白かった!

    1
    投稿日: 2013.02.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読みやすいか読みにくいかで言えば、読みやすい。 設定も複雑ではなく、世界観も小さくて単純なのでわかりやすい。作中にもあったように、宗教色の皆無が人心をよけいに単純化していると思う。 それだから、その周りの常識を覆そうとする二人の王の苦悩と苦労が痛々しいです。 人の心の中にある「殺したくない」をどう導いていくか、気が付くか、気が付かせるか、というところが中心かなぁと、思ったり。 二人の心情を覗き見るように書いている時は正直暗くて重い。これに入り込めないと、読みにくいのか。 さて私は自己犠牲が好きかといわれると、あまり好きではありませんが、この立場だからこそできることをやる、という姿勢の潔さと切なさは好きな設定です。 自分がその毅然さを持ち合わせないからですかね。 いや、そんな難しい立場は持っていませんが(笑)

    1
    投稿日: 2013.01.25
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    新しい作家さんにチャレンジしてみようと思い 例にヨッテ表紙(ジャケット)買い^^ タイトルも 何か良さげな感じ?だったので・・ 内容は歴史モノファンタジーみたいな感じで 最初の入りは ちょっとお堅いカンジで なかなか読み進めるのが大変だったのですが 途中から何とか読みやすくなって 一応読了できました^^ オビとか解説にあるような 感無量とか感動とかいう印象はそこまでなくて 最初W主人公なのか?と思ったら そうでもなく中途ハンパな感じ 読了後 個人的には「薫衣(くのえ)のこと書きたかったお話」という印象を受けました

    0
    投稿日: 2013.01.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    よくこれだけの壮大な話が書けたなと思った。 最初は設定を飲み込むのに時間が少しかかってしまい、なかなか物語の中に入れなかったけど、読み進むうちに鳳穐と旺か(漢字が出てこない・・・・)の二つに分かれてしまった川の流れを一体どうやって一つに戻すのかと気になって気になって、読み進む手が止まらなかった。 最後の結末と言うか、どうなったかの事のてん末の説明があまりにあっけなくしてあると一瞬思ったけど、 よく考えたらこの話の一番の重要な点は、二つに分かれてしまった川の流れを一つにするには、一体どれ程の犠牲と難しさを伴ってきたのかと言う所が話しの中心だったのだから、 むしろこれで良かったのだなと思い直した。 あと、薫衣を引き止めるために稲積が見せた最後の懇願が思わず涙を誘った。なんて稲積はいい妻なのだろうと同じ女ながら関心。 素敵な女性だと思う。

    1
    投稿日: 2013.01.01
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    風邪で会社を休んですることもないので、本を読んだ。これ、実はずっと読みたくて、図書館においてなくて読めなかった作品。上質なファンタジーです。タイトルや表紙の絵からは、西欧風のファンタジーのように感じるけど、実際には東洋的な思想や価値観が色濃く反映されています。

    1
    投稿日: 2012.12.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「十二国記」を彷彿とさせる東洋風の世界観のファンタジー小説。雰囲気だけでなく、クオリティにおいても劣らぬ、すばらしい作品だと思います。 鳳穐(ほうしゅう)と旺厦(おうか)という二部族が常に争いを続けてきた翠という国を舞台に、その骨肉の争いに終止符を打つべく動くそれぞれの部族の頭領、穭(ひづち)と薫衣(くのえ)が主人公。しかし、実際のパレスチナ問題にも似たその状況を変えることは、想像を絶するほど困難なもの。 長い年月をかけて人々の中に積み重ねられた憎しみは非常に根深いため、内紛の火種を常に抱えているような状況。それに加えて他国からの侵略、偏った歴史観に根ざした歪んだ教育など、異世界ながら現実世界と変わらぬ課題・問題点があり、多くのことを考えさせられました。 そして、その解決の為に苦心・苦悩する主人公たちにあっという間に感情移入させられたためか、感動もひとしお。本来は政略結婚だったはずなのに心から慕い合う薫衣と穭の妹。そして複雑な境遇の元に生まれながらも、屈託なく真っすぐ成長する彼らの息子、鶲(ひたき)。そして、なによりも大義の為に凄絶な覚悟をもって行動する穭と薫衣の姿に、幾度となく感動させられました。 何巻も続く大長編ではないのに、そうした小説に負けない重厚感とスケールの大きなストーリーに大満足。もっといろんな人に知ってほしいし、読んだ人たちと話題を共有したいと久々に思った大傑作でした。

    3
    投稿日: 2012.12.08
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    沢村さんの本はこの作品が初だったのですが、大人が読めるファンタジー!ってこうゆうことか!と思わせられました。 表紙のファンタジーさからは想像つかないような内容。ぐいぐい引き込まれました。 読みやすいし、いろんな人に勧めたい作品です。

    1
    投稿日: 2012.12.05
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    読み終えて胸が少し苦しくなった。 物語の終わりが来てほしくない、ずっと翠の国の物語に触れていたい。そう思える作品。 ずっしりとした物語。ただ一言、面白かった。

    1
    投稿日: 2012.11.20
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    素晴らしい。 読み終わった後自分の中で何かがくすぶってる感じした。 久しぶりにそんな気持ちになった。

    1
    投稿日: 2012.11.19
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    大事を見据え、小事に捕らわれないように…。 その言葉を理解してはいても、何かと心が曇り、大事をすげ替えてしまいたくなるものですが、 この二人の王は、血を吐くように、我慢に我慢を重ね続け、自分を戒め、大事を成就させる為に生きる。 一体、彼らの人生とは何だろうかと思うのだが、王に生まれた者であり、ひづちと薫衣だったからこそ、未知を切り開けた大事だったとも思う。 周りの存在が、彼らの大事への気持ちをぶれさせます。 その度に、大事とは何だったか。小事は何かと問う。 私もそうやって、生きていきたい。 薫衣が指揮をとった海戦の場面はゾクゾクするかっこよさでした。

    1
    投稿日: 2012.11.06
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    二人は仇同士だった。二人は囚われの王と統べる王であった。 翠の国は二つの部族によって、覇権を争っていた。 互いに生まれた時から『敵を殺せ』と植え付けられた二人の王が相見えたとき。 二人は最も困難な路を選ぶ。 憎しみ、恨み、権力、私利私欲その先にある未来とは何なのか。 その先には何もないと悟った者が未来を変える。

    0
    投稿日: 2012.10.28
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    ぶつかりあって勝敗をつけることだけが戦いではない。児童文学のようなイメージで読み始めましたが、これが良い意味での大外れ。大人にこそ読んでもらいたい、どっしりとした重みのあるファンタジーでした。憎み合う互いを潰し合うのではなく、一つにまとまろうとすることの、何と障害の多いことか。現在の日本と諸外国の関係をうっすらと思いながら、その困難さを思いました。派手な戦いや大仰な演出ではなく、裏からの手回しだとか暗殺のような地味な画策を丁寧に書いてあって、けれど説明的にはならず、胸を熱くさせる場面もしっかり存在し、架空の一国の行く末を見事に描き切った作品だと思います。いや、面白かった。

    2
    投稿日: 2012.10.25
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    うーん… 舞台設定好み 人物設定いまいち 話中間面白い 話オチいまいち って感じだった。 ワクワク感にかけてた。 でも読みきれたのでそこそこ面白かったんだと思う。

    0
    投稿日: 2012.09.23
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    はじめは文章になれるまで乗らなかったが、だんだんと面白くなっていった。 全体的に淡々とした感じがあるので、感情移入は出来なかったけど、世界の歴史のどこかにこういうことがあったのかもしれないとも思う。

    0
    投稿日: 2012.09.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    翠という国を分断する二つの勢力、鳳穐と旺廈。 それぞれの王が憎み合い、もがき苦しみながらも共に闘う道を模索していく。 架空の物語であるはずなのに、決して軽んじてはならないような彼らの強い信念に圧倒された。 計算ずくて全てを統制していく穭と、持って生まれた才で人の心をも動かしていく薫衣。二人の王の苦悩や、共闘への困難な道のり。 特に薫衣は苦難に満ちた人生だったなと思う。 敵同士共存していこうとお互いに誓い合うのが、10代。 薫衣にいたっては15歳とかなんだから、本当に恐れ入る。 薫衣の不器用な夫婦の営みや、いつも鉄火面の穭の妹が絡んだ時の嫉妬心は、重みのある物語の中でも微笑ましいエピソードだった。 欲を言えば、幼い鶲と豊穣の二人の話がもっとあっても良かったかな。

    0
    投稿日: 2012.09.14
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    二人の王の対決なのかなぁと思って購入。 じゃく学の教えに基づいて 賢き王の血筋の二人が世を人知れず少しずつ変えていこうと努力するお話でした。 計略とか策略的なものは思い返してみると 少ないかな? なすべきことをするために生じる 葛藤とか人の考え方がメインかと感じました。 血に恥じない生き方をするために なすべきことをなし、困難に立ち向かう姿は、 現実にできるかな?とは思いつつ、 話の進め方がスムーズなので 一気に読み進めることができました。

    0
    投稿日: 2012.09.12
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    嫁セレクトの一冊。ファンタジー系アレルギーは、上橋菜穂子や宮部みゆきのブレイブストーリーで和らいでいたので、すんなり物語に入っていけた。 印象として、骨太。物語としても、心情描写としても、しっかり描かれていて、読み応えがありました。

    0
    投稿日: 2012.09.12
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    二つの敵対する王家、長たる王が何をなすべきか先を見据えて動いたらどうなるか。 真の目的は何かを見極めて、それを成し遂げようとしたときに理解者がいなかったら? 貫ける意志の強さってのは得難いものなんだろう。

    0
    投稿日: 2012.09.10
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    翠の国という架空の国の権力闘争的ファンタジー。 ファンタジーと言えども、魔法も無ければ、実際の戦闘も少なめ。二人の王が為すべき事を自覚し、それに向かい戦い続ける。 二人の考えが、この時代と国情からすると、あまりにも異端なのか、全く味方が増えない状態というのも厳しい戦いだと思うけれども、結局、二人はやり遂げる。 本当に二人の王が並び立つ所を見てみたかった気もするが…。

    1
    投稿日: 2012.08.31
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    長い間、敵対していた二つの種族。 主人公たちも同様に憎み合うはずだったが…二人が選んだ道は「共闘」。 自分よりも国を優先し、国民を優先し、氏族全体を優先する。 そのために、何をすべきかを考え、たどり着くものはなんだったのか。 私にこんなことできるだろうか。そもそも、彼らと全く同じ気持ちになれているだろうか。 そんなことを考えながら読み進めてしまいました。 最後までドキドキハラハラしつつ、始終彼らの根底にあるものは変わらず、筋が通っていました。 私は彼らのように大きな使命を抱えて生きてはいないけれど、恥じない生き方をしようと思えました。

    0
    投稿日: 2012.08.29
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    2巡目読んでみて、改めてのめり込みました。 そのまま3巡目に突入しています。 めっっちゃおもしろかったw 他の作品も読んでみよう。

    0
    投稿日: 2012.08.29
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    読み終えて、しばし放心。 一つの国を奪い合う二つの部族。これは、それぞれを統べる二人の頭領の物語。 長年、殺し合い、国の隅々にまで互いを仇と憎み合う怨嗟に満ちた翠の国。自分の胸のうちにも、自分の部族の誇りと、相手への深い殺意が巣食っていることを自覚しつつも、年若い二人の頭領は、共闘というもっとも困難な道を選択する。 ポイントは、二人以外の国民(ほとんど)全員が、協調路線など考えに上らせることもできないほどに、二つの部族の憎しみの根は深いというところ。かたや一人は国の王として頂点に立ち、かたや一人は敗者として生涯幽閉の身でありながら、彼らは自分の「なすべきことをなす」ために、生涯をかけての孤独な戦いを強いられる。王の孤独の底深さ。 物語は、どこかものたりないほどに淡々と進む。そんな中、薫衣の人生があまりに過酷であるがために、彼と稲積の愛情の深さにほっとする。頂点に立つ王もいろいろ大変だろうと思うけれど、やっぱり彼の方がいつくじけてもおかしくない立場にあったと思うから。 しかし、歴史はやはり過酷でした。それでも未来に灯りの見えるエンディング。その数行のために、彼らふたりの長くて短い、艱難辛苦に溢れた物語はあったのだと、(歴史はそんなにうまいこといかないよと思いつつも)信じられる結末に、ほんのちょっぴり救われます。

    1
    投稿日: 2012.08.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白いよーと言われて友人に借りました。 読語の感想としては、おすすめされた通り面白かったです! いがみ合ってた二つの国を一つにする、二人の王。徐々に進められていく統一がうまくいったりいかなかったりを繰り返していくんですが、その徐々に具合が…続き気になる!と思わせてくれます。 でもなんかすごい読んでる気がするのに、先が進まなかったりしました(笑)あと地名人名あたりが難しくて理解するのに苦戦…。だいぶ読み飛ばしたんじゃないかなあと思います。。。

    0
    投稿日: 2012.08.18
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    女子が好きなデキる2人の王の歴史ファンタジー。私はコッチ派! とか言いたいけど、でもそれだけじゃなくて現実世界への批判が見え隠れする。 沢村凛さんの作品は初めて読んだけど、他の作品も読んでみたくなった。

    0
    投稿日: 2012.08.18
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    ただ一つの目標に向かって、様々な手段を講じながら突き進む、そのひたむきさに頭が下がります。 主人公二人の距離も、最初はぶつかりながらもだんだんと同調し始め、後半は螺旋のようになっていきます。 ラストの描写は、ある程度想定していたものの、「やはりそう来るのか、そう来ちゃうのか・・・!!」と心にずっしりときます。 「信念」みたいなキーワードにビビっと来る人には必読です。

    2
    投稿日: 2012.08.16
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    話の長さは丁度良かったのですが、一冊で終わってしまったのが惜しかったです。 もっとこの世界に浸ってたかったです。 勝手ですが所々、元寇と黒船を連想するような話がありました。 よくある設定なのに、共闘という設定が多分始めてなので新鮮で面白かったです。

    0
    投稿日: 2012.08.15
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    2人の王のなすべきことの大きさに終始苦しく、切なくなるのだけれど、時々(ほんの少し)現れる人間らしいやり取りに心救われる。そのため薫衣と稲積のいつまでも初々しい関係性が大好きだった。2人の王のすることに度々共感できないのも、私に王の素質がないからだろうなぁ。笑 そんな世界を書き上げた沢村さんはほんとにすごい。 久しぶりの、気づいたら朝だった本です。

    1
    投稿日: 2012.08.10
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    表紙から「ラノベ?」、裏表紙からは「ありがちなファンタジー?」と思いつつ、評判が良いので読んでみた。面白いのだが惜しいというか何か足りない。黒さ?笑い?

    0
    投稿日: 2012.08.07
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    淡々と話がすすんでいきます。利己にとらわれない施政者の姿が新鮮でした。美しい志。愛があるのが救いです。

    2
    投稿日: 2012.08.04