
総合評価
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powered by ブクログ正義をめぐるこれまでの政治哲学の議論を、さまざまな事例をもとに紹介している。功利主義(ベンサムとミル)→リバタリアニズム→リベラリズム(カントとロールズ)→アリストテレス→コミュニタリアニズムと展開し、サンデルは功利主義やリバタリアニズム、リベラリズムを批判し、コミュニタリアニズムの立場をとっている。 訳文であるため少し読みにくいけれども、さまざまな事例と政治哲学を結びつけて論述しているため、政治哲学の入門書として読めると思う。 ただ一つ気になるのは、善き生に基づく政治を提案しているが、世界で市場原理を採用した政策、新自由主義的な政治が行われる中で、市場・効率と政治のバランスをどうとるのかということだ。
0投稿日: 2025.11.07
powered by ブクログ自分の中での世界が広がった気がする。 当たり前だけど立場や環境が違うと考え方や正義が違うことが分かった。 読む前に比べるとより深く、それぞれの正義について考えられるようになった。
9投稿日: 2025.11.05
powered by ブクログ「チ。」とサンデル 政治哲学の功利主義ベンサムから、リバタリアニズムの流れ。 市場において各人が自由にお金を稼ぎ、政府はあまり干渉しないで!を推し進めた結果、社会の格差が進む。 そこから自由への制限をかけるリベラルのイマヌエルカント、ジョンロールズ達のリベラリズム。 サンデルは最後にアリストテレスを紹介し、個人の権利、自由を出発とするロールズらのリベラリズムを批判し、コミュタリニズムで連帯を目指す。 リベラルの個人の自由の間違いを例を出して説明していく。 例えばナチスドイツの過去の間違いを現在のドイツ人が背負う必要があるのか? リベラルは何者にも縛られない個人の自由を出発とするので過去のことなど私達に関係ないと言うことができる。 それは全ての国の過去の罪に言えてしまう。 関係はないかもしれないが歴史を背負わない個人の集まりの社会はいい社会なのか。 魚豊「チ。」の漫画では「歴史」や「自由」のワードが出てくる。 「チ。」は地動説というバトンを主人公達に渡していく物語。 異端解放戦線の隊長ヨレンタはお金しか信じないドゥラカに「あなたは主人公」と言われ思いを託される。 ドゥラカは「私には関係ない」と拒否するが、ヨレンタに「あなたはこの歴史の主人公で、歴史があるとわかれば人が死んだら全てが終わりなんて考えない。そうやって'善'にみんなで近づく。」と言われる。 「これからの正義の話をしよう」でサンデルは自己をどうすれば歴史の中の位置にいる自己と考えらるかをマッキンタイアの「美徳なき時代」を引用する。 人間は物語の登場人物のように家族がいて、街や都市に生きている。生まれた時点で家族や国の負債を背負っている。ロールズの「無知のヴェール」状態で生まれることはありえない。 「自由」という言葉があまりにカッコよく、便利だから、したいことをするのが自由だと現代では多用されがちだ。 「多様性」というワードが日常で出てくる時、それは色んな人を尊重するというニュアンスより、「放っておく自由」というニュアンスに近いのではないか。 紹介される哲学者カントは「自由」を自分が決めた法則に従って行動することを自由と定義する。 「チ。」の主人公達は地動説を残すため自由のために戦う。それは現代のなにをしてもいい自由の意味ではなく覚悟の自由であり、物語の歴史的な位置ある自己の自由ではないか。 「チ。」がこれだけ多くの人を熱狂させたのは、みんな「放っておかれる自由」に人生の意味を見いだせなくなってきているのでは。
0投稿日: 2025.10.16
powered by ブクログ大学の頃に読んだ一冊。 哲学の講義の推薦図書として掲げられていたから読んだのだけど、その授業はこの本をベースにしているにもかかわらず悉くつまらくて、マイケル・サンデルに失礼だ!と、思っていたのが懐かしい。 国際政治から友人関係まで、自身の哲学の礎になった名著。全ての学生に読んでほしい。
2投稿日: 2025.09.25
powered by ブクログ"正義"とは何か。を問う本。複数の人間を救うために一人の人間を犠牲にすることは正義なのか?といったようなありがちながら刺激的な質問に始まり、最大多数の最大幸福、自由至上、仮想的な共通正義などさまざまな理論が紹介されていく。そういった過去の人たちの考察はそれぞれに特色があって面白いとは思うものの、やはりどこか無理があるなあ。と読み進めると、アリストテレスが出てきて社会道徳が強く押し出されてくる。結局最後は正義と道徳は切り離せない。というオチになって尻すぼみな感じ。そりゃそうなんでしょうが、そこの共通認識ができず、一部の人の思想を他者に強制するようなことが起こるから、いつまでたってもどこかに不満が渦巻いているんでしょうがと。まあ、共通認識を築くためにも健全な議論をしましょう。なんだろうけど、それすら危ういのが今の時代だと思うんだけどな。
0投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ授業の教科書として、この本と出会った。この本を通じて、多くの新しい視点を得て、あたりまえだと思っていた現代の社会制度などに疑問をもち、考えることができ、知恵がついた気がする。
4投稿日: 2025.08.19
powered by ブクログ少し長めの本であったが正義について、多くの哲学から紐解き説明している点は面白い カントやロールズ、アリストテレスなどの本を読んだことはなかったが、それぞれの主張も丁寧に説明している また、各テーマに対してロースクールや寮での話などの具体的なケースを引用しているところが多く理解しやすかった 最後の市場原理の話も面白く、「それをお金で買いますか」という本も読んでみようと思う
2投稿日: 2025.07.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
正義に関する理念は大きく分けて三つある。功利主義(幸福の最大化)、自由主義(自由の尊重)、そして著者の支持する共同体主義(美徳の促進)だ。本書はそれらを解説している。 全体の流れは以下の通りだ。 ベンサムは、簡潔で直感的な、道徳の至高の原理を考えた。功利主義である。 しかしそれに反論したのはカントである。彼は、道徳の至高の原理を理性に求めた。 さらにそれを発展させ、理性による自由を重視したのが自由主義だ。この自由主義の内、簡潔で直感的なものがリバタリアニズムだ。 しかしそれに反論したのがロールズである。功利主義のみならずリバタリアニズム、実力主義を批判し、格差原理による平等主義を打ち出す。 しかしそれにも反論が起こる。それは、そもそもこれらの正義観は、善悪に依存しない、道徳を打ち立てようとしているが、それは不可能なのではないか、というものだ。 かくして、道徳を善と結びつけたアリストテレスにスポットライトが当てられ、さらにそこから発展して、人と共同体の物語を重視した、コミュニタリアニズムが生みだされるに至る。 面白かったのはカント、ロールズ、共同体主義についての記述だ。備忘録も兼ねて以下にカントと共同体主義の要旨を纏める。 【カント】 カント曰く、人間は、理性と感性を持つ。 この理性は、私の意思を決めることができ、それは傾向性に囚われずに選択できることを意味する。こうして人間は自ら定めた法則(目的)を自らに課すことが出来る。こうしたあり方を自律という。カントにとっての自由とは、自律的であることだ。 では理性はどうやって私の意思を決めているのか。 理性が意思を規定する方法は、仮言命法と、定言命法の二種に大別できる。仮言命法は条件を常に伴い、定言命法は条件を持たない。自律的自由を実践するには、定言命法に従う必要がある。 カント曰く、行動が道徳的かどうかは、その行動の結果でなく、行動の動機で決まる。そして道徳的とされる動機は決まった種類のものだけで、それを義務の動機と呼ぶ。この義務は、自律的でなければならず、よって定言命法によって導き出される。 まとめると、カントにとって道徳は、「理性→定言命法→自律→義務→道徳」というフローで表される。 なお、定言命法は幾つかの表現で定式化されている。本書では「自分の格律を普遍化する」「人格を究極目的として扱う」という二つの定式の要約が提示されている。 前者の定式からは、義務が、万人に当て嵌めても矛盾がでないような(普遍的な)原則に従うことが、後者の定式からは、人間性(人格)を重視し、理性的な存在である全ての人間には尊厳があり、尊重されなければならないことが導き出される。特に後者のそれは、現代の普遍的人権という概念に色濃く残っている。 【共同体主義】 自由主義は、自由に選択できる負荷なき自己、正しさ(正義)は善に優先する、といった主意主義的な見方に依拠する。しかし、正義と善を切り離して考える事は不可能ではないか、また、自己を社会的・歴史的役割や立場から切り離して、理性のみによって意思決定するのは不可能ではないか、という異議が唱えられ始めた。こうした思想が共同体主義である。 自由主義の主意主義的な見方に対して、共同体主義はマッキンタイアの物語的な考え方を支持する。人間は理性のみに依拠して意思決定することはできず、自分の人生や共同体の歴史という物語に依拠し、その目的に適ったものを選択することしかできない、という考えだ。つまり、私は単なる個人としては、善の追求も美徳の実行もできないのだ。 共同体主義が目指す実践的な政治は次の通りだ。 まず、道徳や宗教に対する意見の一致しづらい多元的社会において、それでも善と正義を結びつけたうえで、相互的尊重に基づいた政治を行う必要がある。その為に、もっと活発で積極的な市民生活が必要だと説く。道徳的・宗教的信念についての討議を避けず、積極的に行うのである。 また、共同体主義においては、共通善(共同の目的ないし福祉)も重視される。公民的生活基盤の再構築、つまり公共の施設とサービスの再建を推奨し、それによって公共の施設を多種多様な人間が出会う場にし、相互的尊重を深めようというのだ。
0投稿日: 2025.07.06
powered by ブクログ正直すごく難しく、自分自身の知識や読解力不足でこの本を楽しめなかったのが悔しいです、、 でも答えを出すのが難しい問題について、日々考えることがこれからの社会で求められ、これからに繋がるのかなと漠然と感じました。 もう少し知識を深めた上でこの本を理解できるくらい、自分自身を高めていきたいです。
0投稿日: 2025.06.07
powered by ブクログ「正義」という言葉はあまりピンと来ない。 日常的に使う言葉ではないからだ。もちろん、子供向けの特撮ものや、映画のなどには「正義」の味方がたくさん登場する。それは世界制服を企む、街を破壊するなど、はっきりとした悪が存在しているからだ。その対比として、正義の味方が存在する。悪がいなければ、正義の味方の出番はない。 改めて、「正義」という言葉を知るために辞書で引いてみると、「人の道にかなっていて正しいこと」とある。この定義であれば、ふだんの生活の中で、「正義」を選択する場面は多くあるのではないだろうか。 駐車場から出ようとしている車に道を譲るのは正義か? 電車でお年寄りを見かけ、席を譲るために声をかけるのは正義か? あるいは、それをしないのは悪なのか? 正義とは何か。なにが正しいのか。 本書はそれらを考えていく本である。 ハリケーンのあとに便乗値上げした事例。 あなたが暴走する路面電車の運転手で、線路上に立っている5人の作業員をはねるか、それとも待避線入ってそこにいる1人の作業員をはねるのではとちらが正しいのかという思考実験。 ベンサム、ミル、カントら、哲学者たちが考えてきた基準ではどうか。 扱う題材が興味深く、哲学書でありながら堅苦しくない。本書はハーバード大学の人気講義から生まれた。人気があるのも納得の内容だ。
0投稿日: 2025.05.27
powered by ブクログ改めて読むと2024年までのアメリカにおけるポリコレの根っこが理解できる。この本に書かれていることとして、正義の追求には反対、一定マスの道徳に従うべきとあるが、大きく賛同する。 アメリカのポリコレは行き過ぎた自由主義が暴走したといえよう。
1投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログ前半は、有名な「トロッコ問題」や「臓器移植の是非」に対して多角的な視点を挙げており、倫理観を育める内容だった。後半は、内容以前に難解な文章で読むのに疲れた。
1投稿日: 2025.03.16
powered by ブクログ2025年2月22日、この本は15~20年前ぐらい?から買って所有してる。 YouTubeで「本を読むこととお金持ちになること」と検索して出たショート動画「保存必須!賢くなれる本3選」のコメ欄で、皆がおすすめしてた本。 コメ欄より:これからの正義の話をしよう これ読んだら倫理めっちゃ楽しくなって得意にな った https://youtu.be/zW1jx6LS4ko?si=EpTXRbzGwUm9u9fN
0投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ哲学や思想に興味を持ち始めた中高生が1番最初に手に取る本。講義録のDVDと併せて視聴した記憶はあるけどトロッコ問題の議論以外にあんまり心に響くものは無かった。
0投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ再読。 ベンサムやミル、カント、ロールズ、アリストテレス等を参照にしつつ正義とは何かについてアプローチしていく。 難解なところもあるが、普段私たちが何となく正しいと思っていることを言語化してくれていたり、当たり前に見えたものに違う視点を提示してくれる点があって改めて知的好奇心を刺激させられるような内容だった。
9投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログ頭でっかちのインテリの考えにもともすると見えてしまうが、国という大きなものを舵取りするためには通らなきゃいけない道だなと思う。 具体的なエピソードが全部面白いのでそれなりに楽しめる。
0投稿日: 2025.01.03
powered by ブクログマイケル・サンデル教授の東北大学の白熱教室(Youtube)を観て、書籍もどうしても読みたくなり、手に取ったので、冒頭1ページ目から衝撃を受けました(笑)。 東北大学で行われた白熱教室 https://youtu.be/-npwdBWgP9A?feature=shared ※日本に産まれてよかったな…と思いました。 具体的な事例を取り上げ、それを抽象化して過去の知の巨人たちの主張に関連付け、また具象化して是非を問う論理展開が鮮やかでした。(たまに事例と抽象化がチグハグな本もありますよね。) 有名なトロッコ問題にも触れています。が、(以下のように)運転士なら当然一人を犠牲にして五人を助けるだろうと、あっさり言ってのけるところに、アメリカの風を感じました。 ------ (…)ほとんどの人はこう言うだろう。「退避線に入れ!何の罪もない一人の人を殺すのは悲劇だが、五人を殺すよりはましだ」。五人の命を救うために一人を犠牲にするのは、正しい行為のように思える。 さて、もう一つ別の物語を考えてみよう。今度は、あなたは運転士ではなく傍観者で、(…)[P.41] ----- (一人を助けるか、五人を助けるかで、うじうじ悩んでるのは日本人だけなのか?) ちょうどアメリカの大統領選で、リベラルが惨敗したタイミングでこの本を読んでいたので、なんだか、答え合わせのような気持ちになりました。(あと、ちょうど韓国に行く予定があったので、事前に読めてよかったです。結局、日本人だからと責められることはまったくなかったけれど。) -- ところで、読んでいて、話があちらに行ったり、こちらに飛んだり、どこに向かっていくのか、ややわかりにくいなと感じました。しかし、これはサンデル教授がコミュニタリアニストであることがわかっていればスッキリ読めると思いますので、ちょっとガイドを書いてみました。 1章:問題提起 2章〜4章:今のアメリカ人の主流の考え方(最大幸福主義と自由至上主義)とその課題 ※サンデル教授も否定派 5〜7章:上の課題を解決したかにみえる考え方と、やっぱり解決できない課題 ※サンデル教授はこれらの考え方もやはり否定的 8章:紀元前(アリストテレス)の考え方を再考 ※サンデル教授は肯定的。この章は続く9章10章のサンデル教授の主張の援用になっている。 9〜10章:サンデル教授のコミュニタリアニズムの考え方の紹介 こんな章立てになっていると事前にわかっていると読みやすいと思います。 コミュニタリアニズムとは?という謎の答えはぜひ本書を読んでみて下さい!
8投稿日: 2024.12.12
powered by ブクログアメリカでトランプ氏が復権した時代に、きわめて弱い声かもしれないが、聞かなくてはいけない主張がここにあるような気がした。 自由な選択を尊重するリバタリアンも、全体の幸福を目指す功利主義も、正義の観点からは疑問符がつく。カントも、ロールズも、いまひとつだ。ではどうすれば? 多元的社会では、道徳も共通善も一致しない。でも、他者の尊重の名のもとに、議論を回避すれば、「偽りの敵意」が生まれかねない。公共の言説の貧困化につながりかねない。(実際そうなっている)。だから、道徳や共通善を考えるという、困難な道筋をあきらめてはいけない。市民道徳を育み、公民的生活基盤の再構築を目指すべし――。 道徳に関与する政治とは、「正義にかなう社会の実現をより確実にする基盤でもあるのだ」とは、なかなか力強い結論だ。ただ、この困難な時代にあって、この結論をどう形にするかは、また別の、難問だ。
1投稿日: 2024.11.14
powered by ブクログ具体的な思考実験のサンプルや実際のニュースなどを多彩に盛り込み、ややもすると抽象的な議論になりかねない流れ・スジをたくみに現実に即した・アクチュアルな性格のものに保ちつつサンデルは「正義」について数々の哲学者の思考を軸に論じていく。実にコクのある豊満な内容の本で、ゆえにこんかいの読書だけですべてを把握したとはとても言えないのだけれどそれでもこうして「正義」が数々の立場・視座から検証可能であること、そこからこそ議論をはじめる価値があることを学ぶ。したがって本書は実にあれこれ「使える」「実用的」な1冊だと思う
1投稿日: 2024.11.03
powered by ブクログ様々な例えと時事問題を踏まえ、倫理的問題などの問題提起を行う本書。哲学の話題は古今東西変わらないことを思い知らされる。
0投稿日: 2024.09.26
powered by ブクログ「正義」に関する哲学の理論体系が整理されている。 ハーバードの授業が元になっているだけあって、網羅的だ。 正義を功利主義(効用の最大化)として捉えることも、リバタリアニズムやリベラリズム(選択の自由、平等)で考えることも、限界がある。 道徳や価値観は人によって異なるが、その差異を無視するのではなく、個別のテーマについて議論を深めることで、共通善を探っていくことが必要だ。 分断が進む社会での示唆にも富む名著。 日本はアメリカほど分断が進んでいないと実感したので(富裕層も公立の学校に行きたがる、公営の病院が機能しているなど)、維持されてほしい…
1投稿日: 2024.09.13
powered by ブクログ正義とは直感的な感覚で判断しがちであるが、異なる立場の正義を、道徳的、福祉的、経済的なファクターにバラして、それぞれから徹底して合理的に考えていっている。話が進むにつれ善悪や道徳を超えた哲学的な話に行き着くと、まるで禅問答のようになりかなり難解な内容であった。 自分は職業として正義を考え実現しなければならない立場にあるが、絶対がない正義について各立場、各ファクターから多面的に見ていく必要を改めて感じたものの内容がとにかく難解であった。
10投稿日: 2024.05.12
powered by ブクログわたしの人生の中でこれまで「正義」について考えたこともなかった。「正義」に限定せずあらゆる視点で物事をみる楽しさがあります。またいつか読み返します。
1投稿日: 2024.03.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
・感想 現代の正義、善についてあらゆる哲学者の理論や具体例を交えながら模索している本。 納得したり反感もったりそもそも書いてる内容が理解できなかったり。 正義なんて「人によって違う」ものだけどその「人によって違う部分」をもっと掘り下げて考えてみましょうという本。 著者がコスモポリタニズムの第一人者らしくやはり結論はそっち向きになってた。 読みながらそんなこと言われたって一般大衆(私含めて)ってあんたが思ってるより馬鹿なんだよなって気持ちになってしまった、 まぁだからこそもっと思考して考えて議論して、生きなさいと説いている。
0投稿日: 2024.03.06
powered by ブクログ自分の正義(信念)は一体なんなのか。人それぞれの想う正義があり、それを信じて生きている。 全て正義である。自分の正義は自分で決める。とても考えさせられる本でした。ぜひぜひ読んで欲しい本です。
0投稿日: 2024.02.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一貫した主義を持つこと、全員の正義感が一致することの不可能を痛感する本。 本作では数々の例を挙げ、多角的な視点から各々の意見が述べられる。それらに目を通すうちに己の主義は何なのかと迷走を始めた。 誰しもが納得のいく政治、経営の難しさが身に染みる一冊となった。 一点疑問だったのは、アリストテレスの奴隷擁護論で、当時の政府への忖度があったのではないかと疑うほどの脆弱性を感じた。 ソクラテスの最期を知ってかどうかはわからないが。
0投稿日: 2024.01.11
powered by ブクログなかなか読むのに苦労した。 歴史を重ねることでより、議論が難しいテーマなのではないかと思った。 善い生について考えることは大切だろう。
0投稿日: 2024.01.05
powered by ブクログリバタリアニズム・功利主義・美徳重視という 3 方向からのアプローチに、追証・反証それぞれ具体的で身近な事例があり解かりやすい。正義も善き生も難しいということがよくわかった。
0投稿日: 2023.12.24
powered by ブクログ買っておいて気が引けてずっと積読だった。 ようやく手を伸ばして読んだが、(体調不良とか睡眠不足を加味してもなお)時間がかかってしまった。 翻訳文独特の読み難さもさることながら、さらに読み進めるのを苦しめたのは二つの側面–すなわち、構成と背景にある文化であった。 構成という面で言えば、「正義」についてより深く語るべく、これまで語られた様々な哲学から「正義」を考察するわけだが、考察のための提示が長く込み入っていて、その提示が著者マイケル・サンデルの主張にとってどう位置するのかが判然としない。結局最後まで、サンデル教授が支持する「正義」と提示されたこれまでの「正義」がどう関連するのか、完全には理解できないまま終わってしまった。 そして、背景にある文化的側面の差異–アメリカと日本における–が、根本的に立ちはだかったという感覚は否めない。 すなわち、キリスト教信仰を基にした道徳観念が良くも悪くも多数派にして根強いアメリカと、宗教的混沌を是として身近な関係の中から良くも悪くも道徳観念を築いている日本の違いである。 故に、サンデル教授の語る「正義」に真っ直ぐ首肯できない感覚が拭えなかった。 そもそも、本著語られている「正義」と、私個人が求めたい「正義」が、その方向性が違うのだろう。 もしかしたら、(英語力は棚に上げるとして)講義として聞いたら全く違う感想になるかもしれない。 だが、とりあえず本著を読了した今、「正義」についてきちんと自分の考えをもちたいと思わされたという点において、意義はあったのだろう。
0投稿日: 2023.10.31
powered by ブクログ◯自由に行動するというのは、(中略)目的を目的そのもののために選択することだ。(144p) ◯カントにとって、自殺は殺人が誤りであるのと同じ理由で誤りだ。どちらも人格を物として扱っており、それ自体が究極目的である人間性を尊重していない。(160p) ◯幸福とは心の状態ではなく人間のあり方であり、「美德に一致する魂の活動」なのである。(255p) ★カント、ロールズの哲学を少しでも知ることができて良かった。 ★何が正しいのか、どう生きるべきか、知りたい。 ★翻訳本ってやっぱり難しい。
3投稿日: 2023.09.25
powered by ブクログやっと読めた。 功利主義やリバタリアンといった社会正義の捉え方の変遷を辿りながら「正義」はどうあるべきかを考えさせられる本。 特に序盤、「あーそういう考え方もあるかー」と思った直後その反論が提示され「たしかになー、その目線が欠けてたわ」となり、また別種の反論が提示され…と自分の思考がどんどん揺り動かされるのが理解できて面白かった。
2投稿日: 2023.07.27
powered by ブクログ図書館で借りた。 ここのところ哲学の本を読んでいて、その流れでこの本をチョイス。大谷翔平も読んだ本らしく、アメリカで有名な大学の授業らしい。 この本は、正しいこととは何だろうか、ということを考えさせてくれる本だ。功利主義とか難しい単語も無いことはないが、基本的には簡単な例・エピソードをベースにしてくれるので、スイスイ読み進めることができた。有名なトロッコ問題「1人を犠牲にすれば5人を助けられる」も出てきた。 私は自分なりの価値観は持っているつもりだが、それを論じるのは難しいと感じた。ましてや他人が考える正義と擦り合わせるなど、まぁ難しい。 リバタリアン・リバタリアニズムについて、理解不足があったので、その点は勉強できてよかった。
3投稿日: 2023.07.21
powered by ブクログハーバードで長年政治哲学を教え、ハーバード熱血教室でも一躍有名になったサンデル氏の代表作です。本書の冒頭に書かれていますが、正義を議論するには3つのアプローチがある。それは福祉(効用)、自由、道徳である。冒頭ではどれが良い、悪いというような結論は示さず、まさにハーバード流ケースメソッドではありませんが、読者の頭を柔らかくし、視野を広くすることを目指している、という印象を強く感じました。そして最後の方で、ようやくサンデル氏の持論として、「道徳」の大事さ、別の言葉で言えば「連帯的な責任」の重要性を説くわけですが、個人的には説得力があったと思いますし、この展開は納得性がありました。 サンデル氏というとコミュニタリアン(共同体主義者)というようなレッテルを貼られていることが多いかと思いますが、本書でも述べられているように、本人としては当惑しているとのこと。コミュニタリアンという呼び名は間違ってはいないのでしょうが、おそらく彼が最も主張したいのは「連帯的な責任」の重要性でしょう。これは日本人にはわかりやすい主張かと思います。個人主義や自由信奉主義がゆきすぎた結果が、今の米国社会の危機(市民的生活の崩壊)だというのは納得できました。またサンデル氏が述べているように、唯一の正解などないし、合意に至ることもないかもしれないが、それでも議論をすること、公共的言説の質を高めていくことが重要だという点は深く共感しました。
0投稿日: 2023.05.02
powered by ブクログ功利主義と平等主義、どちらも欠点があって私たちのモヤモヤを完全に解消してくれる訳ではない。 アリストテレスの唱えた善き生、道徳、政治のつながりからリベラル・保守など政治のことまでよくわかって
0投稿日: 2023.05.02
powered by ブクログ本書は、正義とは何か?という問いに対し、次の3つの視点から説明している。 ①最大多数の最大幸福(効用や福祉の最大化を目的にした功利主義的な見方) ②選択の自由(市場を重視する自由至上主義的な立場と、リベラルな平等主義者とで立場が別れる) ③美徳と共通善 現代において正義をめぐる議論は、効用や自由を中心に行われているが、 本書ではそれらについて功利主義や自由至上主主義における伝統的な議論を踏まえた上でその限界を示す。 そういった正義における考え方の限界を乗り越えるために、美徳や共通善からのアプローチが必要だと著者のマイケル・サンデルは説く。 本書を読んで良かったことは、正義における様々な立場を理解することができたこと。 この本の目的としては、正義をめぐるいくつもの考察を経ることで、自分自身がこれまで漠然と抱いてきた見解を批判的に見るということだと思う。 効用の最大化も、選択の自由も、必ずしも道徳や正義にかなう結論には至らない場合もあり、 「この考えが正解」という万能薬は無く、時代や状況に合わせて共通の善や美徳を追求するという考え方も大事だと感じた。
4投稿日: 2023.04.11
powered by ブクログ正義を理解するためのフレームワーク(最大幸福、自由、美徳)を学べたことで、日常生活で直面する正義に関する問題への解像度が上がったように感じる。 ロールズの「無知のベール」と「格差原理」は、最近考えていた世の中の不平等への疑問にヒントを与えてくれるものだった。
1投稿日: 2023.04.02
powered by ブクログこの一冊を一言で言うならば、「大人の道徳」。 正義とは何か?をさまざまな視点から、具体例とともに述べられている。 特に印象に残った話は、暴走する電車。 1人の命と5人の命、どちらかを犠牲にしなければならないとしたら、多くの人は1人の命と言うだろう。 しかし、命は数なのだろうか。 他にも、妊娠中絶やアファーマティブアクション、パープルハート勲章、代理出産など、答えが出ないテーマが本書には描かれる。 読みにくい箇所も十分あったが、自分の知識により深みが増すような一冊だと感じる。
2投稿日: 2023.03.25
powered by ブクログ難しい。というのか、欧米人と日本人の違いなのか、一般人と哲学者の違いなのか。途中、引き込まれる部分もあったけれど、よく分からなかった。なにを重要視してるのかがそもそも違うのかな。僕が自分のことを分かってないだけなのかも。
0投稿日: 2023.03.21
powered by ブクログ功利主義やリバタリアニズム・リベラルといった思想の具体的な内容と限界、そこから導かれる「道徳」の必然性を、様々な事例とともに理解できる一冊。例えば、功利主義(="最大多数の最大幸福")と基本的人権は両立しない(功利主義は、少数の人権を蔑ろにして多数の効用が向上することを是とするから)等、あの有名な考え方にはこんな弱点があったのか!と目から鱗な点が多数あった。 が、全体としてそれらが整理されておらず、似たような話がダラダラ続いたり、逆にいきなり主題が切り替わったりして、かなり読みにくい印象も受けた。講義としては面白いのかもしれないが、本の構成(≠内容)としてはあまり良い出来とは思えなかった。本書をこれから読まれる方は、最終章である10章に比較的筆者の主張がまとまっているので、そこから読むと少しは全体感を理解した上で読み進められるのでは無いかと思う。(なお、筆者もその点は理解したのか、巻末についている別著「WHAT MONEY CAN'T BUY」の前書きでは、当該本における筆者の主張が明瞭に記されている)
0投稿日: 2023.01.06
powered by ブクログ正義とは?の正解が書かれている本ではないが、以下の点において大変有意義な読書だった。 また随所に出てくる例はとても分かりやすい。 1. 我々が普段考える正しさが政治哲学上でどのような考えにあたるのかが良く理解できた。 2. 功利主義やリベラルと言った一般的な考え方からもう一歩進んだ視点として、他者の道徳的・宗教的信念も積極的に理解すべく話し合うと言う考え方がある。 3. 道徳的・宗教的な問題に向き合うことなくして良い社会は作れないが、対立する意見がまとまらない事も多い。自分の考えに反対する意見も一歩離れて冷静に見れる視点を持つ。
1投稿日: 2023.01.04
powered by ブクログ倫理的な問題に当たった時に今まで考えていたよりもさらに深く考えることが大切だと気付かされた。何が正しいのかはわからないけどなるべく深く考えて決断できればいいのかなと思った。
1投稿日: 2022.11.28
powered by ブクログ正義について書かれた哲学書。考え方によって正義は異なり、人と哲学の数だけ正義があると実感した。正義の反対側には悪があるのではなく、反対の正義があるのだと思う。 以下、印象的な2文。 ・正義の意味や善良な生活の本質を把握するには、先入観や決まりきった日常生活を乗り越えなければならない。 ・幸福とは心の状態ではなく人間のあり方であり、「美徳に一致する魂の活動」なのである。
1投稿日: 2022.09.30
powered by ブクログ「正義」について1つの決まった正解はなく、人の数だけ考え方があるので、その折り合いをつけるように努力することが大事である。 その折り合いをつけるためには様々な哲学を知る必要がある。例えば、功利主義、カントの哲学、ロールズの平等主義である。本書は、哲学について紹介することで私たちに道徳心や倫理観について考える題目をもたらしてくれる。 カントの動機を重要とする考え方は、個人の主観によるところが大きく、様々な解釈が可能となるので興味深いと思った。
0投稿日: 2022.09.18
powered by ブクログ読もうと思ってやっと読めた。。 サンデル教授の最終的な主張は今の価値観がどうやって醸成され、共同体主義(命名方法は著者の云う通り違和感あり)を目指したほうが良いということにあると理解。(浅い理解かなぁ。。) 共同体主義は、アメリカ人は違和感あるのかな?日本人は割りと賛同する価値観なような気もする。
0投稿日: 2022.09.02
powered by ブクログ人間社会の正しさとは何なのか。理不尽や矛盾に溢れ何を持って正義とするか、例を豊富に挙げて投げかけ、読み手に考えさせてくれる。もちろん、答えなんて載っておらず、個々の見解や解釈が、それぞれの正義。
0投稿日: 2022.08.22
powered by ブクログNHK『ハーバード白熱教室』で放送され、人気となった本。 正義は物事を評価する正しい方法に関わる。とにかく難しい。
0投稿日: 2022.08.11
powered by ブクログどこまで市場経済に自由があるのか、道徳的な制約はないのか。分かりやすい事例で、行き過ぎた市 場経済の問題点を指摘していて、考えさせられた。
0投稿日: 2022.08.04
powered by ブクログ有名なトロッコ問題から始まり、我々の正義とは何か?を深く考えさせてくれる一冊。 考え方として、功利主義の話や、平等主義の無知のベールの話など、様々な考え方を紹介しつつ どう考えていくことが誰もが納得するような正義や価値観を作っていけるのか? そうした答えに対して、多くの補助線が引いてある一冊であった。
0投稿日: 2022.07.22
powered by ブクログいろんな考え方を持つ人がいるから、正義の定義はその人によって変わる。いろんな正義があってかまわないと思うけれど、正義を振りかざして人を傷つけたり、貶めたり、それを押し付けたりするのは絶対に違うと思ってる。
0投稿日: 2022.07.15
powered by ブクログ自分が政治哲学に興味をもつきっかけになった本。 サンデルの文章は分かりやすくて毎度感動する。現実に起きている問題と政治哲学を結びつけて議論していく内容となっている。例も分かりやすく、これからの世の中を考えるには最適な1冊。ただ、カントの内容は難しい。 2回目 やっばりサンデルの考えはいい。だけど、ロールズの話もなんとなく魅力に感じてきた。 3回目2025.7.11 ベンサム→結果に注目 カント→行為の動機に注目 アリストテレス→ものの性質に注目 共通善を育むことが今後の政治課題らしいが、サンデルは今のトランプ政権を見てどう思うのか。トランプのナショナリズムも一種のコミュニタリアニズムのような気がするが、間違っているのだろうか
1投稿日: 2022.06.16
powered by ブクログ10年以上前の本だが、内容に古さは全くない。それどころか、挙がっている課題の多くは現在も解決されていないし、ようやく日本でも話題に出てくるようになったような課題ばかり。いまさら、と思わずに読んでみる価値のある本だと思う。日本人でも想像しやすい例が豊富でとっつきにくい「政治哲学」をジブンゴトとして考えてみやすくしてくれている。正直内容の三分の一も理解できてないと思うけど、どのように考えていけばよいのかのヒントをもらえたように思う。 それはそうと、アリストテレスと四書五経の中庸って似たような考え方してる?なんかその辺をわかりやすく教えてくれる本ってないかな。
0投稿日: 2022.04.14
powered by ブクログうーん。ひさびさに読むのにすごく頭を使った気がする… こういうノンフィクションものというか、現実的な物事を題材とした本をわたしはもっと読むべきだなぁと実感。 いろんな考え方をする人がたくさんいるこの世界で、必ずしも“正義”は一致しない。 そんな世の中でどう“正義”を定義できるのか。 この本では答えは出ません。 もっと、高校の時に哲学について学んでおけば良かったなぁと反省するばかりです。 知らないことが多すぎる。 ケネディ大統領がもし暗殺されていなかったら、今のアメリカはどうなっているんだろう? オバマさんが大統領に選ばれたときは、何かがアメリカで変わりつつあるんだ…なんて思ったけれど、そのあとトランプが大統領になったし…ますますアメリカって国がわからなくなりました苦笑 難しい国だなと思います。 なんか話が脱線してしまったけれど、この本は繰り返し読むべきだと感じました。 そしてわたしももっと勉強しなければと、奮い立たされる思いです。
0投稿日: 2022.04.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2・5・8章読了 ベンサムの功利主義…最大多数の最大幸福と言われるもの。馴染みがある影響か、他二つより読みやすかった。たしかに定量的に扱いづらいものや個人の尊重が課題であると感じた カントの義務論…義務・自律・定言命法が満たされたものが道徳的な行動とされる(嘘をつかない、生きたいために生きるなど) ただ、これに当てはまること現代にほとんどない気がする アリストテレスの倫理観…社会的営みはそれ自体のテロス(目的因)を考え、称賛される美徳の観点から正義や正しさが決まるが述べられている。言うことは分かるが、現代的な問題に当てはめると難しい。
0投稿日: 2022.03.15
powered by ブクログ「正義への三つのアプローチ」を前提として順に確認し、本当にあるべき正義、道徳、自由とは何かを問い掛ける。10章立て、本文は約400ページ、巻末に原注と同著者の『それをお金で買いますか』序文が付属する。 大学の講義がもとになっており、「この本は思想史の本ではない」としながらも関連する一部の哲学者・思想家を紹介する側面もあわせもつ。本書の主な動機と見受けられるのは、サブプライムローン問題で破産した大企業の幹部が税金によって多額のボーナスを受け取っていた事実などをわかりやすい例として、貧富の差の拡大という現代的な問題が考えられる。 著者が前提とする「正義への三つのアプローチ」とは、すなわち「①福祉の最大化」「②自由の尊重」「③美徳の促進」であり、①は功利主義、②は自由至上主義(リバタリアニズム)がこれに該当する。これに沿って第2章で、ジェレミー・ベンサムとジョン・スチュアート・ミルによる功利主義の考え方と二人の違いを紹介し、第3章では個人の自由こそを正義とするリバタリアニズムの論拠を確認する。 これら二つの正義の捉え方を踏まえ、第4章で「戦場で戦う行為」と「子どもを産む行為」を例に功利主義とリバタリアニズムの不備を指摘する。そのうえで第5章以降はカントとジョン・ロールズの思想をベースに、アリストテレスによる道徳観も対置しつつ、「美徳の促進」としての正義とは何かについて論を進めていく。 構成のバランスからもわかる通り、「正義への三つのアプローチ」は等しく扱われるものではなく、著者自身が本書終盤で三つ目のアプローチとして挙がる「美徳の促進」としての正義に拠って立つことを明言している。書籍としてのあり方としてはいかにも中立的にみえるが、実際はリベラル派によるあるべき社会・政治を問い直す意思があり、冒頭のとおり現代社会の新自由主義的な現実への批判を基礎と考えて良さそうだ。 全体としては、哲学者や思想家が提唱した概念や理想をわかりやすく解説しながら、現実的な問題とリンクする例がふんだんに盛り込まれており、このあたりの配慮がベストセラーにつながったとも思われる。終盤には既存の「美徳の促進」としての正義を検証する流れの最後で著者なりの改善点を付け加えるに至り、ここで斬新な結論が導かれるのかと思いきや、結果としてはやや拍子抜けに終わった。 個人的には第5章にあるカントの思想の解説が抜けて興味深かった。もっと哲学思想解説寄りの内容に徹して良かった気もする。
8投稿日: 2022.03.13
powered by ブクログ幸福の最大化(功利主義)、自由の尊重(自由至上主義)、美徳の涵養(共通善に沿っているか)という3つの視点から、正義とは何かを考える内容。 幾つもの思考実験が登場し「自分だったら何を正義とするか」を深く考えることができるので非常に面白い。 本書に出てくる思考実験の中で有名なのはトロッコ問題だが、考え抜いて自分なりの正義で答えを出したとしても、「死ぬのが自分の友達だったら?」「死ぬのが5人ではなく1000人だったら?」「暴走したトロッコを止める方法が目の前にいる人を突き落とすことだったら?」と条件を変えると途端に回答が変わってしまう。 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/トロッコ問題 自分の正義の脆さと、唯一の正義はないということに気付かされる。 本書の最後に「大切なのは正義に対する議論をやめないこと」と締めくくられているように、正解がないからこそ常に考え続けることが大切であるし、「もしかしたら自分は偏った見方をしているかもしれない」という視点も持ちつつ、しっかりと自分の意見を持って世の中を眺めるべきだと改めて感じた。
2投稿日: 2022.03.07
powered by ブクログ幸福、自由、美徳 3つのアプローチから「正義」とは何かを問う。 大多数の幸福のために一人が犠牲になるのは正義か。 富裕層の所得に税金をかけるのは正義か。 死を願う者を殺すのは正義か。 4章までは楽しんで読めるが、 5章からは過去の哲学者の思想に触れる内容。 難しくて頭が痛くなってくる。 ずっと同じこと考え過ぎてこじらせたのかなとか 思ったり思わなかったり。
1投稿日: 2022.03.05
powered by ブクログ正義とは何か。哲学者や時事問題にからめて読み解いていく。古から知の巨人たちが求め続けた正義がを簡単に理解できるわけがないよな、ということで私の頭では消化できず。
0投稿日: 2022.02.05
powered by ブクログ「正義ってなに?君のその考えは普通?」 難しい。量的にも、質的にも絶対に1日で読めない。 しかし、正義はもちろん、普通とは何か、常識とは何か、当たり前とは何かを考えさせられる。 目の前の人の行動やモノをもう「普通」という言葉で片付けられなくなる。
0投稿日: 2022.01.28
powered by ブクログ「正義」・・子供の頃、ヒーローに憧れた私は、この言葉が好きです。 本書は、功利主義・自由主義・自律と他律・定言命法と仮言命法・・etc.の哲学用語に馴染みのない読者でも理解できるように、具体的な事例を交えながら「正義とは何だ?」を考えさせてくれます。 自分の頭では、全ての内容を理解しているとは到底言えませんが、現在の資本主義に順応し、格差社会を賢く生き抜く知恵を授けるというよりも、明日をほんの少しだけ良くしたいと足掻く人への応援メッセージ的な意味合いが強い印象を受けました。 個人的には、ロールズの「無知のベール」に関する話が印象に残りました。 〇【さいごに】 正義を掲げることは危険と隣り合わせである一方、社会を良くする原動力として必要不可欠な要素だと考えます。私が倒したい相手は「弱者に対する理不尽な暴力、その暴力を防ぐことができない社会システム」かな。 生きていく限り「正義」について考えていく・・ひいては自分の生き方を見つめることに繋がる・・社会の分断が叫ばれる中、私達はどう歩むべきか考えさせてくれる一冊でした。 P.S. 頭が少し疲れたので、甘々の恋愛小説でも読んでリフレッシュしたいです(笑)
1投稿日: 2022.01.23
powered by ブクログ「ハーバード大一番人気の講義」という安易なキャッチフレーズに誘われ読んで見ました。 いやいや、哲学なんて高校の倫理以来ですよ。 大学の講義内容を文書化しただけあって、常に語り口調で書かれています。 殺人、差別、戦争、政治、どれもセンシティブな事例を基に、「正義」とは何か。個人の中でどのように正義が生成されているか、そしてそれが本当に正義と呼べるのかについて古来の学説を交えながら考えていく。 すごく考えさせらますよ。だって正解なんてないんだもの。要は自分が何を信じて生きていくかについて考えるんだもの。自分が持ってる道徳の根拠を深く掘り下げていって言語化するという途方もなく難しい作業です。 しかし残念ながらこの本を読んで浮き彫りになったのはハーバード大生の頭の良さと、自分の頭の悪さかね。 すごく時間かかったもの。これ読むの。 興味がなければ相当な根性が必要となる一冊。
3投稿日: 2022.01.06
powered by ブクログ社会・政治などの問題に切り込んで考察しており、自身の思考の癖などを認識できて面白いが、徐々に専門的な内容が多くなり、読み進めるのが難しくなる。テーマは面白いので時間があるときにじっくり読み込むと良い本。
1投稿日: 2021.12.12
powered by ブクログ現代社会の道徳的な問題を哲学でどのように解決しうるのかを解説した本。 とっつきにくい哲学者たちの思想を、自分と関連のある問題と紐づけることで、わかりやすく理解することができる。哲学入門にも良いと感じた。 哲学は役に立たない学問だとよく言われるが、他の学問では答えの出せない問いに答えることのできる唯一の学問だと認識できる。
1投稿日: 2021.09.21
powered by ブクログ非常によく練られていて、難解な本でした。意味がないことをいっているわけではないことは、わかるのですが、意味をつかみきれないという体験でした。 この本では、正義に対する3つの考え方が出てきます。 ① 正義は功利姓や福利を最大にするものである。 ② 正義は選択の自由の尊重を意味するものである。 ③ 正義は美徳を涵養することと共通善について判断することが含まれているものである。 筆者の主張は①と②には欠点があり、③を支持したいというものでした。 平等とは何か、正義とは何かということについて考えさせられる本でした。 正義は、法や政治に反映されており、その哲学に基づいているのだと知ることができました。人の上に立つ方には、哲学ある政治をお願いしたい、と思うのでした。 おわり。
0投稿日: 2021.08.31
powered by ブクログ表題通り「正義」についての議論や考え方を多く提示しています。現代社会に巣食う諸問題を理解するためのヒントが得られる書籍です。個人的には、道徳的個人主義とアイデンティティの問題が印象的でした。これに限らず、現代人が深く考えさせられるトピックが多かったため読破に時間がかかりました。 この本の良いところはその内容だけでなく、特定の価値観が正義に適うかを検証するためのアプローチを学べることです。古今の哲学者を参照したり、「ではこのような条件や状況が与えられたらどうだろう」と視点を変えたりして検証されます。その過程も面白いですし、マイケル・サンデルの知性のおかげで自分の頭が良くなった気になりながら読めるのも楽しいです。 本書で示された諸々を一読ですべて咀嚼できたわけではないので、いずれ再読したいと思います。
1投稿日: 2021.08.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かったーーーー! いろいろな事例が2.3ページに一回は事例が出てくるので、考えるも進まない。。。 すごいいろんな事例が出てきて楽しい。 第一章 ハリケーン後の便乗値上げの是非 米軍における精神的な障害への褒賞の授与の是非 AIGへの救済後の資金使途の是非(高額なボーナスの支給) ここでメインの例題、暴走電車への介入。 運転手として?線路を変えるかということ。 傍観者の立場で、そばにいる太った人を突き落として止めるか、ということ。 アフガニスタンでのヤギ飼いの解放の是非 第二章、功利主義、あらゆる価値を単一の尺度に還元してしまうことについて。 1884年のイギリスの遭難での行い、 17/18世紀のジェレミーベンサムの功利主義に基づく案、これすごく楽しい!!けど怖い!! 案1.円形刑務所 案2.貧民管理、部屋の割り当て案付き ローマのコロセウムや拷問は正当化されるか? 経済的な費用便益分析、フィリップモリスのチェコでの計算、フォードの計算、環境保護局EPA、制限速度引き下げ規則撤廃後、オックスフォードの女子寮の宿泊代、 ミル、満足した豚であるより不満足な人間であるほうがよく、満足した愚か者であるより不満足なソクラテスである方が良い。そして、愚か者や豚の意見がこれと異なるなら、それは彼らがこの問題について自分自身の側しかしらないからだ。 第三章私は私のものか、リバタリアン、自由至上主義、 マイケルジョーダンへの報酬、課税についての強制力、 腎臓売買の自由、 自殺幇助の自由 第四章雇われ助っ人、市場と倫理 お金で買ってはならないもの、 傭兵、徴兵制、志願兵、 市民の義務とは何か 陪審義務との違い 民間軍事企業ブラックウォーターワールドワイド社 卵子提供含む代理出産、体外受精による出産行為の提供の違い 金では買えない美徳や高級なものは存在するのか 第五章重要なのは動機、イマヌエル•カント 道徳:義務 傾向性 義務の動機だけが行動に道徳的な価値を与える。 自由:自律 他律 理性:定言命法 仮言命法 定言命法は普遍的法則。人格を究極目的として扱う。 観点:英知界 感性界 経験ではなく理性のみを根拠とする英知界、自然法則と因果律に規定されている感性界 どのような時も嘘をつくべきではない。誤解を招く表現を使うことは許される。 カント好きすぎる。 第六章平等をめぐる議論、ジョン•ロールズ 仮説的契約からは、言論、信教といった基本的自由を全ての人に与えること、所得と富の平等な分配を求めるが社会で最も不遇な立場にある人々の利益になるような不平等のみを認める、という二つの原理が導き出される。 契約における不平等さの話、 利益と同意の形式、同意がなくても利益を得たなら対価を払う義務が生ずる論は押し売りなどの悪事にも適用されうる 分配の正義は4つ。封建制度、自由主義、実力主義、平等主義:ロールズの格差原理。 成功している人々は自分の成功が偶然性の影響を受けていることを見逃しがち。 報酬を得る権利が少ないからといって、価値が他者より劣るわけではないし、他者より利益を得るに値しないわけではない。 第七章アファーマティブアクションをめぐる論争 人種、民族を考慮することは不公平か 大学の場合、過去の補償、多様性の促進。 キリスト教の大学の場合の他宗教の学生の制限、 公営住宅の場合 大学の卒業生優遇、寄付金目当ての入学、品位の問題。大学の目的は収益の最大化ではない。 目的は管理者や理事が定める使命により決まる。 第八章誰が何に値するか、アリストテレス 車椅子のチアリーダーの参加による、他のチアリーダーの名誉、美徳について モノの正しい分配方法を決めるには分配されるモノの目的を調べなくてはならない。 大学の目的、政治の目的 善いことをすることにより、善い人格につながる。行動により、自覚ができる。立法の責任。 ゴルフカートの利用の話、品位の問題、 第九章たがいに負うものは何か?忠誠のジレンマ 戦争の補償、原理にもとづく主張、アイデンティティとは。 物語る存在、連帯と帰属、 エチオピアのユダヤ人救出、同胞、愛国心。 兄弟の責任 第十章正義と共通善 政治と宗教 妊娠中絶と幹細胞、どこからがヒトか。 同性婚、結婚の目的、制度廃止案、 民事婚に必要不可欠なのは、結婚したパートナー同士の独占的で永続的なかかわりあい。 公共の生における市民の姿勢と性向、心の習慣に無頓着ではいけない。 道徳に関与する政治は公正な社会の実現を確実にする基盤である。
1投稿日: 2021.08.06
powered by ブクログ正義とは何か?というテーマを三つの切り口から説明した本。 功利主義や自由主義、共同体主義などそれぞれの観点から、「正義」というものを定義づける。 カントやロールズ、アリストテレスなど名だたる哲学者の学説が章ごとに語られており、難解なところはあるものの、豊富な例により明快に説明されている。 個人的にはロールズの学説がとても興味深かった。道徳的功績は、恣意的な要因からきたものが多く、必ずしも功績を挙げた人の価値には結びつかない、ということは多くの人が覚えておくべきことだと思った。
0投稿日: 2021.07.30
powered by ブクログかの有名なトロッコのやつ、ボートのやつとか 私/あなたにとっての正義とは? 正義の反対はまた別の正義? 倫理学の授業で買った本だけど、正解がない問題を自分本位で本気で考えてみるのって面白いなあと
0投稿日: 2021.06.05
powered by ブクログ啓蒙時代から現代まで続く道徳哲学を整理しなおし、今なお問題になっている公共的諸問題を考えていくための足掛かりを提供してくれる。 大まかな整理としては以下▼ ①人間の便益を共通尺度としその最大化を志向する功利主義的道徳観 ベンサム ②個人の自由を軸に価値観の中立性を重んじる社会契約的道徳観 ロールズ、カント、リバタリアン ③何が善いかの価値判断を積極的に行い、その実現を目指す目的論的道徳観 アリストテレス このようにこれまでの道徳観を睥睨したうえで著者は、自身の持って生まれたアイデンティティや共同体、つまり中立ではありえない偶然性を抜きにして社会問題を論じることは、道徳的に貧弱であると批判している。 或る個人は個人であると同時にいやおうなく或る「時代」、或る「場所」に生まれ、その偶然的歴史性から完全に自由ではありえない。そんな自身の偏りを引き受けることには、自身が属する環境の中で関わるあらゆる価値に対してのひいきが少なからず発生する。 ここで問われるのは、誰しもが抱える偏りを無視して徹底的な中立性を固持しようとすることに果たして意義があるのかということ。 サンデルは「ない」と考えているようだ。 賞賛されるべき美徳は何かを問い、当の美徳を目的として志向する制度こそ正義にかなうとする③の道徳観を支持している。 これは古代ギリシア以来繰り返されてきたにも関わらず、昨今の多元的価値社会では古臭いとさえ見なされがちな「善き生とは何か?」の問いを再評価することだ。自分が善いと思える価値を判断し、公共空間で意見表明をしあうこと。これが肝要なのだが、そうすると様々な立場からの意見が並列し、まとまることは稀だろう。しかし中立性に徹し自身の意見を表明しなかった場合、そもそもそういった立場がこの世界に存在しえると示せなくなることに思いを留めるべきである。各個人を創り上げてきた偶然性は他らなぬ自分自身が擁護してやるしかないのだから。
4投稿日: 2021.06.03
powered by ブクログアリストテレスやプラトンなどの哲学書籍が難しく挫折したので、これら哲学の入門書となりそうなものから始めようと思い、行き着いた本。 結論からいうと面白く、正義・倫理とは何かを考えさせられる。 例えば世の中の最大幸福度を最適化することに重きを置いたベンサムの功利主義的に考えると個人の権利を尊重せずに大多数が幸福になればそれで良いのか?否、そのスタンスだとキリスト教徒をライオンに投げ与える娯楽を肯定することになる。 過去の哲学者の思想を引用した上で、こうやって考えることもできるよねと解説した書籍。
0投稿日: 2021.05.08
powered by ブクログマイケルサンデル氏による、哲学紹介本。 自分ならどうするかという実感のわかりやすいテーマで主観的に考えさせてくれる。正しさとは何か。倫理の問題にも触れ、様々な過去の偉人の考えも紹介しながら考察できる本。
0投稿日: 2021.05.07
powered by ブクログ政治が、法律が目指すべきは「自由」か、「平等」か、それとも…? 法哲学、政治哲学の中で「正義とは何か」を考える分野、正義論。現代の当分野における代表的論者である著者が、社会における「正義」とは何かを具体例を交えながら解説していく本です。 徴兵制やアファーマティブアクション、同性愛者と婚姻など、現代の問題に対しどのようにアプローチすべきなのかを、著者の観点から鋭く切り込んでいきます。 取り上げられているカント、ロールズ、そしてアリストテレスの哲学は、それぞれ現代にも通じる説得力のある論を示しています。個人的には、ロールズの「無知のベール」の考え方と平等論について(その思想すべてに賛同はできませんが)斬新さに感銘を受けました。 原著から10年経過した現在も、当時から本書で指摘されていた貧富の格差拡大、社会の分断、政治的無関心など顕在化している諸問題は解決の兆しが見えません。これらの問題にどうやって立ち向かっていくか、考えさせられる機会となる一冊だと思います。
0投稿日: 2021.05.05
powered by ブクログ様々な哲学者の考え方をなぞりながら、身近にある哲学的問いへの思考を繰り返していく内容。 何気なく考えた自分なりの答えが、道徳的・宗教的考え方が根底にあるという見方は勉強になった。無宗教なりの自分の思考を(多少なりとも)整理することができたのは有益。しかし内容が難しい。
0投稿日: 2021.04.16
powered by ブクログハーバード大学で大人気のマイケル・サンダルさんの講座を本にしたもの。 法哲学の参考書として読んだが、平易な文章にも関わらずとても奥深い内容の1冊だった。抽象的な観念を具体的な例示を挙げて比較・検討してくれることで理解が進んだ。アリストテレス、ロック、カント、ベンサムといった各哲学者の考え方もこの本でやっと形が見えてきた。 多角的視点から物事を見たうえできちんと自分の意見を持ち、その意見に説得力を持たせることの難しさと大切さを感じました。
0投稿日: 2021.04.14
powered by ブクログ現代の共同体主義者の代表的論者である著者。 共同体主義の考え方のみならず、功利主義、リベラリズム、リバタリアニズムについての一通りの説明もあり、政治哲学一般の理解が深まります。 具体的な事例を用いながら説明しているから分かりやすいですね。
0投稿日: 2021.04.07
powered by ブクログ正義に関する具体的思考実験を読者とともに考えながら、これまでの既存の思想(功利主義、リバタリアニズム、カント、ロールズなど)を紹介し評価しつつ、最後にコミュニタリアニズムの正当性を主張した著作。
1投稿日: 2021.03.16
powered by ブクログ正義とは… ★功利主義(ミイラベンサム) 快楽や幸福の最大化を目指して社会は作られるべき 不必要な苦しみは取り除くべき→パノプティコン ★リバタリアン 自分の身体は自分のものだから自由、市場原理 →個人がそこまで自由に完璧な選択をできるか?という反論 ★カント 自分の身体は自分のものではない、人間はただのモノではないから、自分を意のままにはできない →功利論を否定 結果論ではなく動機を重視しているので、嘘はダメだけど誤解を招く真実はあり ★リベラル(ロールズ、平等主義) ①才能は自分の手柄ではないし、それが生み出す利益は社会の要求に左右される →才能を持っていることが報酬を得る資格にはならない ②努力も生まれ持った才能だから手柄ではない →努力していることが報酬を得る資格にはならない 巨額の報酬を得ているかどうかと、当人が道徳的にそれに値する人間かどうかは別、報酬は運だから →人を殺さない等の自然的債務と、契約等の合意による自発的債務以外はない →善の促進は求めない ★アリストテレス 政府は善き人格を培うためにある、涵養 →個人より政府が先立っている、中立よりも善が大事 →誰がその善を決めるの?という反論 ★コミュニタリアン(サンデル) ・人は共同体の物語や過去やアイデンティティを持って生まれるのだから、道徳的束縛も生む 奴隷を所有したことがないアメリカ人も、黒人差別に対して無関係でいられない義務がある →そういったものが個人の選択に絡んだり、前提になったりしている ・自然的債務と自発的債務以外の債務…連対の債務、例えば家族、愛国心、誇り →自分の子供を他人の子供より優遇するのは「子を持つという選択」の結果ともいえるが、自分の親(自分では選べない存在)を優遇する理由は? →さらに言えば、自国民を優遇する根拠は?経済的に困窮している人々は外国にもいる、国境に意味はある?生まれた場所は選べない、グローバル時代では全く知らない自国民よりも外国人の方が技術的にお世話になっている可能性 ・連対の債務に悶える過程に人々は敬服する、自己の立場や重荷を認識して生きるということ 犯罪者の兄についての情報を黙秘した弟と、告発した弟、それぞれのジレンマ ・政治に信仰を持ち込むべきか? →望ましくないと言われていたが、オバマは上手い具合に持ち込んで支持された ・中絶やES細胞の是非について誰も中立ではいられない、人間の定義に関わる話なので →法律は中立でいるべきだ、という意見は成り立たない ・同性婚については、そもそも結婚を公的なものではなく民営化してしまえば論争にならなくなる ★正義とは、3つの流れ ①最大多数の最大幸福、効用最大化 正義を一つの基準に数値化して計算 ↓改善 ②選択の自由、リバタリアン、リベラル、ロールズ 正義は個人の数だけある ↓改善 ③美徳の涵養、共通善の設定 自由だけでは避けられない問題を受容できる社会へ 個人主義の独りよがりを改善 あえて政治に私見を入れるケネディとオバマ 評価の尺度をこれまでと変える コミュニティの価値観を重視 どの価値観を市場原理から守るか ・例えば「金持ちから貧乏人にお金を渡すこと」 同じ「賛成」でもスタンスがそれぞれ異なる ①効用最大化の点から(功利主義) ②平等という点から(ロールズ) ③格差が広がるとコミュニティ意識がなくなってしまうという点から(コミュニタリアン) ・これまでは「他者の思想に配慮する」というのは「関わらない」だった、個人主義的 →これからは積極的に議論し、向き合うことで共通善を見つけていく
3投稿日: 2021.03.10
powered by ブクログ正義とは何か?何が道徳的なのか?世の中の事象を細分化して分析してみると奥が深い。序盤で取り上げられていた有名なトロッコ問題も改めて考えてるみると、何が正しいのかがますます分からなくなってくる。 結局のところ何が正しいか?という問題はその人の考えや立場に依存するわけだから、何かを主張するにしてもロジックの組み立てや持論の整合性が重要になってくる。 いい意味で分からなかったし、時間を空けて再読すると自分の捉え方も変わってそう。
1投稿日: 2021.03.08
powered by ブクログ久しぶりに小説以外を読んだので難しかった… 正義は何かと答えを教えてくれる訳ではなく、誰にとっても絶対的な正義はない。けれども正義の話をしていかないと社会の分断が進むのだろう。 自分一人では難解だが、授業とかで議論しながら考えると面白そうだと思った。 富の分配はよく聞くけれども、富者も使える公共へ投資するのは、なるほどとは思った。
0投稿日: 2021.03.02
powered by ブクログ難解なことを理解しやすく説明してくれる。頭のいい人に教えてもらうと難しいことが理解できた気になれる。知的好奇心を存分に刺激してくれる。
3投稿日: 2021.02.14
powered by ブクログ有名になったから購入して読んだがイマイチ。例示や同じことの繰り返しが多い。元々はハーバードの講義を本にしたという性格上仕方ないと思うが、読み物としてはイマイチ。実際に生で授業受けたら違うのかもしれないが…
0投稿日: 2021.01.28
powered by ブクログ「正義」とは絶対的に正しい唯一のものではない。誰でもそれぞれの正義を持っている。この本では、現代社会の事例を哲学において代表的な「正義」の考え方に落とし込んで、問題提起しているように感じた。 確かにそれぞれの「正義」の主張には根拠があるが、そのベースとなっている道徳的、宗教的な部分は言語化できない非常に感覚的な曖昧なものに感じた。 その曖昧な感覚に基づいてそれぞれが譲歩したり、差異を乗り越えようとすることは、並大抵のことではない。
0投稿日: 2021.01.01
powered by ブクログ様々なトピックを取り上げながら、正義とは何か、政治はどうあるべきかを教えてくれた。自分自身、リバタリアンの考えに陥りすぎたところがあったが、共通善の考え方など学ぶ点が多かった。
0投稿日: 2020.12.13
powered by ブクログ難しかったけどなかなかに面白かった。保守的になりすぎるのも良くないけど、リベラルに寄りすぎるのも良くないなって思った。アメリカと日本の"保守"と"リベラル"ってちょっと違うよね。
0投稿日: 2020.11.24
powered by ブクログ結局のところ完全な正義なんてのは無くて、ひたすらにより良い世界へしていくために議論するその姿勢こそが大切なんだろうなと思う。 政治、宗教、ビジネスなど何にしても圧倒的正解なんてのは無いはずなのにみんな追い求めてる。 良いところも悪いところも等しく見極めて、より良い選択肢を選べるようにしたい。そのためにも自分の生きる軸みたいな哲学が必要なんだと思う。
11投稿日: 2020.11.08
powered by ブクログ長くて心が折れそうになりながらも読み切った時、読む価値は十分にあったと思った。第1章から10章まで、全て自分の身の回りで起こることとして考えさせられた。私が自分の中に持っている正義とはどういうものなのかということが、この本を読みながら立ち止まって考えることによって明確になってくる。それが非常におもしろい。
2投稿日: 2020.11.03
powered by ブクログタイトルのダサさから避けていたが、同著者の新作"The tyranny of merit"がめちゃ良かったからこちらも読んでみた。 具体的な実例をもとに哲学理論を解説しており、入門者向けとしては親切かつ教育的。ただ、あくまで各理論の紹介に留まっているため議論に深みはなく、よくありがちな哲学史の本と大きな差別化はできてないように感じた。まあもちろん面白かったけども、それは扱っている対象が面白いからで、原典読む方が知的刺激あって楽しいよ!! 個人的には”The tyranny of merit”の方が5倍好きだった。ぜひ。
2投稿日: 2020.10.31
powered by ブクログ「1人を殺せば5人が助かるが…」というあまりにも有名なトロッコ列車の命題から始まる。 全部で10章に分かれ、各々で”正義”とは何か、というよりどう考えるのが”正義”に最も近づけるのかを、様々な立ち位置から考察されていく。 が、それが哲学的であるがゆえに思考のロジックが延々と続き、徐々に読んでいるこちらが混乱してくる。 自分のレベルでは完全に理解したとはいえず、再読が必要だろう。 特に5章以降は哲学者の考察も入ってきて益々わかりにくくなり、そこに控えめにサンデルの意見がさしはさまれる。 これが大学の授業かと思うと、羨ましくなる。 こういう考えを色々知ることは、人生にとってもプラスになるだろう。
6投稿日: 2020.10.25
powered by ブクログ今までの哲学的な話をわかりやすい例をもとに解説し、より良い社会とはどのような形かを問う。さまざまな技術が発達し、倫理的な問題が増える中、これからはより哲学や倫理が大切になることは疑いがなくなっている。 アリストテレスからカント、キリスト教など、今までの倫理観を紹介している。 欧米ではキリスト教は避けて通れない問題であることもここから良く分かった。 先人の知恵を知り、さらに深く考えていく必要を感じさせる本だった。
8投稿日: 2020.09.20
powered by ブクログ便乗値上げ禁止法への賛成論と反対論が三つの理念を中心に展開されている。 福祉の最大化、自由の尊重、美徳の促進。
0投稿日: 2020.09.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
何度も読みたい。 功利主義とリバタリアニズムでは足りない点を共通善で説明。 フォードのピント事件、私は私のものか?、マッキンタイアの自己に対する物語的見解、連帯の責務などの洞察は特に考えさせられた。 話が抽象的かつ冗長で読むの大変だった。 この要約サイトが分かりやすかった。 https://t.co/gVqvcNBXG4?amp=1
0投稿日: 2020.09.12
powered by ブクログ正義はいろんな形がある。 こういう主義だと定義しても、どうしてもこういうときは?という例外的なケースも出てくる。それを感情に従って例外とするのか、主義に従って厳しめな結論とするのか…主義と感情は一緒にしちゃいけないし、一緒に考えないといけないし、難しいと感じた。 ただ、正義はブレない軸がある方が、かっこいいと思いました。
0投稿日: 2020.09.04
powered by ブクログ再読すべし 絶対的正義は存在しない。理念が決まればその理念における解はある。 功利主義、幸福の最大化、人の人権は損得勘定で推し量ってはいけない場合もある
0投稿日: 2020.08.30
powered by ブクログ最初は面白かったが、ダラダラと書かれすぎてて飽きた。 自分が読書に慣れていないせいかもしれないが、同じようなことが繰り返し書かれていて飽き飽きする。
0投稿日: 2020.08.15
powered by ブクログ功利主義だけでも、自由を尊重するだけでも、 ダメ。どちらかだけでは、どうしても心情的に納得できない事例が出てくることは体感できた。 個人の自由で判断すべしとこれまで自分は思ってきたけど、決して自分の心の中はそれだけの判断基準ではなかったことに気づく。 自分として、こうあるべきという理想像(良き善)は、あるべき。それを意識して明確化した方がよいと思う。7つの習慣にも通ずる内容かもしれない。ただ、それを他人にその理想像を強要するのは間違ってると思うので、社会全体でどこまでその考え方が通用するのかは、まだ理解し切れていない。
0投稿日: 2020.07.29
powered by ブクログ便乗値上げのおかげで、暴風雨に合ったフロリダの住民は助かった。高いので消費が抑えられ、外からの供給がるふぇるはずだから。市場は幸福を増大させ、個人の自由を尊重するから。 高い価格はそれを払えない人を生む。必需品から締め出されてしまう。切羽詰まった買い手に買わない選択肢はない。 リーマンショックのときの大手銀行や金融機関の救済は許されるか。高額のボーナスが許されるか。 正義への3つのアプローチ=幸福、自由、美徳。 1幸福の最大化=最大多数の最大幸福を目指すべき=功利主義 2正義とは自由と個人の権利を尊重するもの。普遍的な人権の尊重を意味する。自由放任派=リバタリアンと公正派=社会的経済的に不利な状況を是正しすべての人に成功への公平なチャンスを与える政策。 3美徳論=文化的保守派、宗教的右派、道徳を法制化する。美徳に報い美徳を促すことを正義とみなす。アリストテレスなど。 アフガニスタンの山羊飼いの話し。 私は私のものか、リバタリアンはそれを支持する。 パターナリズム、道徳的法律、再分配の拒否。 功利主義からは富の配分は正当化される。 腎臓を売っていいか。 市場の役割=自由市場は公平か。自由か福祉か。 徴兵か傭兵か。 カント=道徳的か否かは動機を見ること。善意志は、それ自体が善いものでなければならない。傾向性の動機は価値がない。義務の動機だけが道徳的な価値を持つ。 思いやりで人助けをすることは道徳的な価値に欠ける。 定言命法=自分の格律を普遍化する。うその約束は間違っている。究極の目的は人間性。 売春は、自分の一部をモノと扱う。人間には肉体の一部を売る権利はない。 無知のベールでは、功利主義的な原理が選ばれることはない。抑圧された少数派かもしれないから。基本的な自由を与えることになる。社会の中で最も不遇な立場にある人びとの利益になるような社会的経済的不平等のみを認める。極貧状態を回避するために、格差原理を採用する可能性がある。 機会均等だけでは平等ではない。才能で決まることは構成ではない。 ミルトンフリードマン「選択の自由」自由に稼ぐことは公平ではないが、それを妨げることも公平ではない。 テストの差を是正する。黒人だけに底上げをするのはフェアか。多様性が共通善か。 テキサス大学ロースクールは当初黒人の入学を認めなかった。 入学許可を競売に欠けるのは、大学の品位が落ちる。 アリストテレス 正義は目的にかかわる、正義は名誉にかかわる。 大学の目的は何か、を考えるとアファーマティブアクションが正しいかがわかる。 奴隷制を不正とする理由 リベラル派は、強制を伴うから、 目的論では、人間の本性と相いれないから。
0投稿日: 2020.07.01
powered by ブクログとても頭が使われされる内容であった。 1つ出てきた話題に対して様々な観点から批評や提案を行う文章であり、理論の組み立て方が非常に参考になった。 しかし理解が難しいところが多く、読むのに時間がかかった。 自分が今感じている「正義」が普通でないこと、その逆からの視点も持つことが非常に大切であると感じた。
0投稿日: 2020.06.03
powered by ブクログ哲学の本。功利主義や自由主義、ロールズやアリストテレスなど倫理や哲学の授業に出てくることを、具体例を用いて、正義とは何かと考えさせてくれる。答えがない中で、考えること、哲学することの重要さを伝えてくれる。
0投稿日: 2020.06.01
powered by ブクログ「正義」という言葉をきくと,他人に物の考え方・正しさを強要しているように感じてしまい,個人的には嫌悪感を覚え,この概念から距離をおいていた。 この本が話題になった時にもどうにも胡散臭さを感じで近寄ることはなかったが,kindle セールのタイミングでこの値段なら読んでみるかと思って試しに読んでみた(正直全く期待してなかった)。 が,さすがは話題になっただけあり,非常に面白かった。あまり政治哲学や倫理学の教養がない自分にとってはアリストテレスのテロスの概念やカントの自律と他律という概念,などを身近な思考に結びつけて議論を進めていくのがとても新鮮だった。 話の進め方も具体的な事例から進めてそれに対してどう考えるか,その理由は何か,その意見の根底にはどのような世界観があるのか,そこに矛盾はないのかを突き詰めていく感じで面白い。 とはいえ本書を読み終えた上でも,完全な正しさというものは存在せず,正義という机上の空論を他人に振りかざすことに嫌悪感を覚える。という自分のスタンスは変わりはない。 ただ,自分はどう考え,どう判断するか,その思考・判断は何によっているかを突き詰めるのは上記に関係なく存在することであり,これを正義という概念とすると整理すればまぁ納得はいくという感じか。いかに生きるべきかという問いへの一つのアプローチ。あくまで自分にとっての正義であり,社会という共同体の正義は別物として考えた方が自分にはスッキリくる気がする。
0投稿日: 2020.05.23
powered by ブクログ物事の考え方を見つめ直すキッカケになった本。 この本を読んで私が大事にしている事は日常をただ何となく過ごすのではなく常に考えること、 そうすればいつか来るかもしれない究極の選択を迫られたとき、自分のなかでの正しい選択をすることが出来るのではないかと思う。 トップYOUTUBERのラファエル氏も動画でこの本を紹介しています。
0投稿日: 2020.05.17
powered by ブクログ「失敗の要因が外的なものというのならば、なぜ成功の要因が外的なものではないかと疑わないのか」 「自分の成功が偶然性の影響を受けていることを見逃しがちだ」 「教育機会の不平等を是正することと、生まれ持った才能の差をなくすことは全く違う。走る速さに差があることが問題なら、速く走れるものに鉛の靴を履かせろというのだろうか」 先を行くものを遅らせるのではなく、後ろを走るものが早く走れるように手を差し伸べべきだ。 ハリケーンで混乱の中、必要物資を値上げすることは正義かという問いは、コロナ禍の今のマスクの値上げ等にもつながる問い。経済学的には、物資が値上がりすることは避けられない。そこにどうテコ入れするかが国、政治の役割なのかもしれない。
0投稿日: 2020.05.13
