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妊娠カレンダー
妊娠カレンダー
小川洋子/文藝春秋
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総合評価

364件)
3.4
40
109
143
35
3
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    芥川賞を読みたくて買いました。小川洋子さんはやはり有名ですしタイトルのインパクトが凄かったのですが、やはり感心させられるばかりでした。大衆文学ばかり読んでいる私にとってこの純文学はまた違った読後感と高揚感を与えてくれて最高でした。

    8
    投稿日: 2026.04.13
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    小川洋子さんを友達にお薦めしたら早速読んでくれて、それに続いて借りた本。その日に一気読み これを読んで確信したんだけど、簡単に一言で面白いよ、というには覚悟が必要かな。。 どんでん返しのないつねに漂う不穏な雰囲気は、すごく内向的で独特。特に身体の描写が多く、それは緻密でいやでも想像をさせられてしまうし、そして多くの場面でふつうの人にとっては当たり前でないか意識したことのない感覚であって、不気味さを感じる。 妊娠カレンダーは題名の通り生理的な現状がテーマだし、ドミトリイで出てくる「先生」には両手と片足がない。 『まぶた』の中の短編に出てくる左腕が上がったまま動かなくなった弟。『猫を抱いて像と泳ぐ』では、少年は唇を閉じて生まれ、口を開く手術で脛の皮を移植したせいで唇に産毛が生える。そして壁に挟まれてミイラになった少女や、太りすぎてバスから出られなくなったマスター。 わたしはこの唯一無二の小川さんワールドに本当に引き込まれるし大好き。 でもこの本の「身籠った姉のために、毒薬の入ったジャムを、今日も私は作りつづける」という帯は、サイコパスさをとっかかりに大衆に押し付けてる感じがして違和感があった。妹がとくだん狂気じみているということではなく(実際に姉の方が精神疾患を抱えている)、日常に溶け込む不気味さをすごく研ぎ澄ませて丁寧に描いているということだと思うんだけどな。実質的には毒薬のジャム、なんだろうけどね。

    6
    投稿日: 2026.04.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    妊娠カレンダー。姉と義兄と一緒に暮らす私。 妊娠した姉の要求に、文句も言わずに答えている。 いつも料理に文句をつけられたり、つわりが酷くて キッチンで料理ができないからと、庭に調理器具を 持ち出して地面にござを敷いて食べる。 (庭でご飯というのはとても楽しそうだけど) つわり後、食欲が増した姉にグレープフルーツジャムを 毎日作るようになった。店員にわざわざアメリカ産かどうか確認して、防カビ剤が塗布されたものを買ってくる。 発がん性があり、染色体を破壊する、という話を知りつつ皮を刻んでジャムにする。姉が食べたいというから? 悪意とも親切とも取れる行動だけど、やっぱり悪意が 勝っていると思う。最後の「破壊された姉の赤ん坊に会うために」という一文がぞっとした。 姉や義兄には一生明かされない悪意が、 すぐ近くにあるという怖さ。 ドミトリイ。私が6年前まで住んでいたドミトリイ(学生寮)のお話。15年ぶりに年下のいとこから連絡があり、 その学生寮を紹介した。管理人さんの男性(先生)は両手と左足が無く、顎と鎖骨、右足を使って日常生活を送っている。長年の不自然な身体の使い方で、肋骨が変形し続け、肺と心臓を圧迫している。肋骨の変形と、先生の部屋の天井のしみと、学生寮の空気の変性が、重なり合っているなあと思った。全てがじわじわ変わっていって、もう止められない。そして何故かいつ行っても、いとこに出会えない。以前起きた1人の寮生が突然消えるという事件、天井のしみから血のように垂れてきた何か。(屋根裏を見たら蜂の巣だったけど!)本当に、いとこは無事なんだよね?とドキッとする終わり方だった。 夕暮れの給食室と雨のプール 雨の降る夜、三歳の男の子と父親らしい男が尋ねてきた。「難儀に苦しんでいらっしゃいませんか?」何かの勧誘員だったらしい。その後わたしはジュジュのお散歩中、小学校の裏門で二人に再会すると、給食室を熱心に眺めている。「まるで給食室評論家みたい」とわたしが言うくらい、給食室の仕組みについてとても詳しく知っていた。そして男の小学生時代の話がはじまった。プールの授業で、泳げない印である赤いキャップを被るのが辛かったこと。給食室を覗いたときに発していた嫌なにおいと、錆びついたシャベルで掻き回されるシチュー、おばさんのゴム長靴の底でマッシュされて、模様がついたじゃがいも。それから給食が食べられなくなったこと。学校をサボった日、祖父と出くわして廃れたチョコレート工場に連れていってもらったこと。 知らぬが仏というのは、日常にたくさん潜んでいるんだろうな。 電報でフィアンセからオヤスミとだけ届いたちょうどその時、眠ろうとしていたところだったわたしが感動するシーンが素敵。電話がないから不便だとは思いつつも、思いがけない幸福がやってきてくれた、という感じが優しい気持ちになれた。

    4
    投稿日: 2026.04.01
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    第104回芥川賞受賞作、ということで。 受賞作と、他2篇。 91年に受賞、この文庫が94年に1刷ということで、35年の時を経ているというのは不思議に思えた。所々にその時代性は少しだけ顔を出すものの、全く古びていない。 3篇の短編集の共通して根底にあるものは、何とも言いがたい淡々とした不穏、不気味さと、観察者としての「わたし」、そして高く一貫した描写力だと思った。 個人的には「ドミトリイ」と、著者の文庫版あとがきの中の、新鮮な玉ねぎと猫の死体の話が一番面白かった。 「ドミトリイ」は特に途中からミステリーのような急展開になり、真の小説が生まれるのはそういうところにあるものかと、短いあとがきですごく分かるような、謎のような気分を味わった。

    205
    投稿日: 2026.04.01
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    妊娠中の姉の不安定さを妹の視点から描いている。薄ら暗い好奇心と歪みが細やかに描写されていて、恐ろしくもありつつ表現が綺麗だとしみじみ思う。登場人物たちの言葉のやり取りや、人物描写が丁寧で情景がありありと思い浮かぶ。繊細で静かに響く文章。小川さんの文章は、ひどく懐かしい気持ちがするのはなぜだろう。ドミトリイはどのように着地するのか先が気になりながら読んだ。夕暮れの給食室と雨のプールもどこか不思議な話だけどなぜかずっと心に残っている。ジュジュが可愛らしい。

    1
    投稿日: 2026.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小川さんの作品には食事と数学とプールといったワードがよく出てきますね。こういうの見つけるのは、作者さんに近づけたようでおもしろいです。「妊娠カレンダー」妊娠中の姉に、胎児の染色体を破壊する可能性のあるジャムを作って食べさせ続ける主人公。行動の理由ははっきりわからないものの、きれいで、なにか物悲しい。「ドミトリイ」身体障害者の寮管理者の先生と元寮生の主人公。真相は闇の中。先生の数学科の生徒の回想の語りが重くて好きです。「夕暮れの給食室と雨のプール」給食のくだりは、わかるなあ。

    1
    投稿日: 2026.03.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3編とも静かだけど少し不穏な物語で好みだった。 「妊娠カレンダー」 グレープフルーツの皮に農薬が付着していることを意識しながら妊娠中の姉ためにグレープフルーツのジャムをせっせと作る妹。神経質な姉に対する嫌悪感な気もするけど、ただ農薬が付着しているんだろうという事実だけを見つめている感じがした。 「ドミトリイ」 まさか先生が黒幕⁉︎と思っけど違った。浮世離れした寮が魅力的。手足が不自由な先生の動きの描写が細かくてすごかった。 「夕暮れの給食室と雨のプール」 電報っていいなぁと思った。「誰でも一度は、集団の中に自分をうまく溶け込ませるための、ある種の通過儀礼を経験すると思うけど、僕はたまたまそれに手間取ってしまった。」という言葉があの男性の全てを表している感じがした。

    15
    投稿日: 2026.03.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    幸福な人たちを見て、この人たちの幸福が、このまま一生続いてくれたらいいと、純粋に願ってあげられることは、度々ある。けれども、その幸福な人間が、自分の嫌いな人間だったら、早く不幸になってくれないかと内心思うこともある。その源泉にあるのは、その嫌いな相手に対する妬みかもしれないし、自分が幸せになれない劣等感かもしれない。ただ、「妊娠カレンダー」に描かれている「わたし」の姉に対する心情というのは、そういった普通に想像できる範囲の気持ちとは、一線を画している。にもかかわらず、妊娠した姉に作るグレープフルーツのジャムが、農薬に汚染されているかもしれないと想像するその心理は、どこかで自分も抱いたことがあるかもしれないと思わせられる、親近感をどこか持っているように感じる。 「わたし」が姉に対して抱く負の心情の源泉は、どこにあるのだろうか。それは、妊婦であるがゆえに許されていたわがままだったかもしれない。 つわりが始まった姉は、家の中に充満する匂いに敏感になり、毎朝起きるたび、内臓がかき回されるような感覚に苛まれる。「わたし」は、そんな姉のために家で料理をすることをやめて、どうしても必要なときは、庭に調理器具を持ち出して、地面に敷いたござの上で食事をする。 つわりが終わったら終わったらで、姉は、枇杷のシャーベットが食べたいと言い出す。そんなわがままを断りきれず、土砂降りの中、車を出すと言い出した義兄に対して「わたし」は呆れて止めに入る。すると姉は言うのだ。 「枇杷じゃなきゃ意味がないわ。枇杷の柔らかくてもろい皮とか、金色の産毛とか、淡い香りとかを求めてるの。しかも求めてるのはわたし自身じゃないのよ。わたしの中の『妊娠』が求めてるの。ニ・ン・シ・ンなのよ。だからどうにもできないの」(p54) 一度は買いに出ようとした義兄も、さすがに姉の気持ちを鎮める方へと切り替え、枇杷のシャーベットは諦めてもらうことになった。しかし、彼女を慰める義兄の様子は、「おどおどと」して、「怯えたように彼女をのぞき込むような目つき」であった。その様子がまた、「わたし」を苛立たせる。 おめでたいこととして祝われるはずの妊娠は、この物語の中で一切そのように扱われることはない。むしろ、妊娠によって変わる姉の体調と、それに振り回される家族の生活を描くことで、日常生活を支える周囲の人々が被る迷惑と、妊娠した姉の傲慢さを明らかにする。 そうした妊娠に対する不穏な気配は、次第に妊娠に至るまでの二人の関係にまで違和感を持たせるようになっていく。歯科技工士である義兄が姉と結婚する前に、「わたし」は患者として彼と会ったことがあった。金冠を被せる歯型をとるために、自分の口の中に触れる彼の指先の嫌な感触とともに、義兄と姉が結びつくことを「結婚」という言葉で表す違和感を、「わたし」は思い出した。 思い出したという表現は、もしかしたらおかしいかもしれない。「姉の妊娠と義兄の関係について、時々考えることがある」と語り出す直前には、例の枇杷のシャーベット事件が語られていた。義兄の態度に対する違和感の語りと、義兄と初めて出会ったときの違和感の記憶の語りは、語りの上では繋がっている。姉の妊娠を取り巻く違和感は、染み込んでいくように、その周囲の人に対する違和感となり、それは次第に、過去の記憶にまで浸潤していく。そうした違和感の浸潤が向かうもう一つの先が、姉のお腹の中にいる胎児であった。 「わたし」は、これから生まれてくるはずの赤ん坊について、具体的な思いを巡らすことができない。それは、「わたし」だけでなく、姉と義兄についても同じで、生活の中で、赤ん坊のことが話題にされることはなく、妊娠していることとお腹に赤ん坊がいることとは、まるで無関係のことであるかのように、家族はふるまうのだ。だからこそ、「わたし」には、赤ん坊というものの手触りがなく、代わりに思いうかぶのは、「双子の幼虫」のような「染色体」のイメージになってしまう。 これは、初めて胎児のエコー写真を見たときから、あるいは変わっていないと言えるかもしれない。写真を見たとき、最初に思ったのは「凍りついた夜空に降る雨のようだ」という感想だった。写り込んでいる赤ん坊に対しては、「そらまめ型の空洞」の「くびれた隅にひっかかっている」ものとしてしか認識できず、それは「もろい影の塊」だとしか思えない。そして、会話の話題は、写真の赤ん坊についてではなく、超音波の診断のやり方の話になってしまう。赤ん坊に対するイメージが、家族の会話の中で鮮明になることは、ないのである。姉は、写真について、一言、こう言う。「つわりの源泉がここにあるという訳」(p24)。そこにいるのは、あくまで一人の赤ん坊ではなく、「つわりの源泉」であって、それこそが、「わたし」の生活をかき乱す源泉でもあった。 こう考えてくると、毒薬に漬けられたアメリカ産グレープフルーツのジャムを食べさせるという、「わたし」の悪意のようなものの向かう先が、姉ではなくて、そのお腹の胎児であったことも頷けるように思う。普通の生活を壊したものは、姉のつわりであり、その「つわりの源泉」が、赤ん坊であった。アメリカ産グレープフルーツを犯す「防かび剤PWH」が破壊するのは、人間の染色体そのものであり、染色体とは、「わたし」にとって、お腹の赤ん坊のイメージそのものだった。 赤ん坊に対して、人間としての手触りを感じられない「わたし」にしてみれば、その悪意が赤ん坊に向かうということは、本来的にあり得ない。なぜなら、向かうべき対象に、具体的な形がないからだ。そう考えると、「わたし」の悪意が向かっている先は、姉が産もうとしている赤ん坊そのものではなくて、想像できない赤ん坊という存在に象徴されている「妊娠」という現象だったのではないかと思われる。 こうした「わたし」の内面を表す場として現れているのが、M病院という場所なのではないかと思う。幼い頃の「わたし」は、姉といっしょにM病院の一階を覗き込む。そこには、様々な医薬品のビンや医療器具など、魅力的なものが溢れていた。そんな神秘的とすら感じた一階の上には、窓から顔を出す女の人がいた。そのちっともうれしそうじゃない顔を見た「わたし」は、魅力的な物に溢れた診察室の真上に寝泊まりできるのにうれしそうでないことに疑問を覚える。 女の人がいた二階から上の階というのは、入院用の病室や赤ん坊の部屋、給食室のある階である。そこは、まさに「わたし」がリアリティを感じることができなかった赤ん坊のいる世界であるが、彼女は、その世界を見ることができない。幼い頃にM病院で見たもの記憶は、そのまま大人になった「わたし」の赤ん坊に対する感触を象徴している。そして、物語の最後、彼女は、再び姉が出産をしたM病院へとやってくる。彼女にとって未知の領域である二階、生まれた赤ん坊と対面することになるのである。 ちなみに、「わたし」は、「破壊された姉の赤ん坊」に出会うことを期待して新生児室に向かう。一見するとこの期待は残酷な期待のようにも見えるが、彼女にとっての赤ん坊が、一つの「妊娠」という現象だったと解釈するのであれば、この期待は、悪意とも言い切れないように思われてくる。「わたし」は、次のように言っている。 しかし、妊娠とは永遠のものではない。いつか終わるものだ。赤ん坊が生まれる時終わるのだ。 わたしと姉と義兄の三人の間に、赤ん坊がプラスされる状態について想像してみようと思うことがある。でもいつもうまくいかない。赤ん坊を抱き上げる義兄の目の表情とか、授乳する姉の胸の白さとかを思い浮かべることができない。浮かんでくるのはただ、科学雑誌で見た染色体の写真だけだ。(p70) 「破壊された赤ん坊」というのは、赤ん坊を染色体としてしか想像できない「わたし」にとって、「妊娠」の終わり以上の意味はないのではないだろうか。赤ん坊のいる生活というものを想像できず、想像できないからこその不安と、妊娠によって見出された生活を前にして、この生活が早く終わらないかと期待する気持ち。そうしたものが、現実の赤ん坊ではなくて、染色体としてしか形をもたない想像上の赤ん坊の破壊へと、彼女を掻き立てるのではないだろうか。 端的に感想を言うと、本当に嫌な感じのする小説だった。お腹のなかで育っている子どもに向けて毒を盛るというその想像が掻き立ててくるものが、本当に気持ちよくない。けれども、そうした決して気持ちのよくないものが、妊娠というものの周囲を取り巻いている現実なのだということが、子どもができたことをおめでたいとする雰囲気のなかで、不可視にされてきたものなのではないかと言っているように見える小説である。本来、幸福であるべきはずと思われている妊娠をめぐる不幸な出来事をもたらす不穏な気配は、そもそも何でもない普通の家庭のなかにもあることを暴いているのだと思う。 こう考えてくると、意義のある小説(?)だと思うが、それにしても、本当に読後感がよくない。

    2
    投稿日: 2026.02.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    姉の事も義兄の事も、そんな好きじゃ無いんだね、でもさすがに毒とか盛るのは倫理的に反してるから、まぁ何かしらの化学物質が入ってるグレープフルーツを食べさすという…文章は美しいし、この時代の芥川賞、なるほどと勉強にもなった。ただ個人的には少し物足りなかった、短編だからかな? ちょっと時期を置いて、またどこかで残りの短編を読もうと思う。とりあえず今村夏子、小川洋子研究期間はこれにて一旦の終止符。楽しい読書期間だった、一旦純文学から離れてまた戻ってきます

    2
    投稿日: 2026.02.21
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    不穏な雰囲気の中でも、描かれる風景、モノのようすが精緻で美しさを感じる。読後の想像を掻き立てる3編。

    2
    投稿日: 2026.02.18
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    ★★★ 読めてよかった 妊婦の妹、大学生の甥に古巣の寮を紹介する叔母など、主役ではない人々の短編集。彼らは物語の本筋に踏み込めないから、ストーリーの中で生じた出来事について、全てを説明する視座を持たないのがもどかしい。 しかし過去の回想の描写は懐かしさを感じさせ、こちらにもセピア色の景色が見えるようだった。

    1
    投稿日: 2026.02.16
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    ほっこりしない、ほのぼのしない、じんわりしない、ほろりとしない、ぽかぽかしないこんな感じの文章が、私の陰に寄った感情にピッタリとくる。 無機質なのに美しい文章。 現実からほんの少しずれた世界。 感動を求めない静寂。 無理に明るい場所へ引っ張り出されない安心感。 この世界観に浸り過ぎると、抜け出せなくなる怖さもあるね。

    55
    投稿日: 2026.02.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    妊娠しているとき、わたしは、同じように食欲が無くなるひとと、フルコースをぺろりと平らげるひと、どちらを望むのだろう。なかなか面白い感性だな、と思った。グレープフルーツについている農薬なんて、生きているうちはあまり気にしないけど、毒と認識した上で作り続けるということ自体に意味があるのかもしれない。 表現が、艶めかしくて好きだと思った。夕暮れの給食室と雨の日のプールのお話も、すきです。

    1
    投稿日: 2026.02.13
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    妊娠カレンダー 小川洋子さんの端正で美しい文体にひれ伏してしまう。姉の、妊娠によって心も体も本来の様子から変わっていく姿を妹の視点から語られている。冷めたような、しかし愛着と嫌な感情のどちらもがジャムのように煮えて渦巻いているような、妹の複雑な感情が描かれる。複雑な感情を、複雑な感情のままで主観的に見せられる。愛による生命の誕生の過程という尊く美しく描かれがちな妊娠と妊婦の、暴力性とグロテスクさが垣間見える。

    1
    投稿日: 2026.02.03
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    帯に惹かれ、小川洋子作品を初めてしっかりと読んだが、正直私は読みにくくて読了までに時間がかかった…。 比喩表現というか、ひとつの事象を表すための一文が長く丁寧で、この表現が好きな人は好きなんだろうなと。 あと、身体の描写もリアルで鮮明で凄かった。 特に【ドミトリイ】という2番目の話は、『ハンチバック』を彷彿とさせる。(こちらが先だが) 表題作の妊娠カレンダーが1番良かったかな。 最後の給食室とプールの話は難しかったなー。

    1
    投稿日: 2026.02.01
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    小川洋子さんはこころ温まる作品ばかり読んできたので、こんなにダークな作品があったのかと驚き。ドミトリィが1番不穏で好みだった。色の変わるチューリップ、天井のシミ、悪化する病状、無心で進めるパッチワーク、1人しかいない寮。そこだけ時空が歪んで帰ってこれない場所なのかも、、夢なのかも、、 妊娠カレンダーは、ずっと赤ちゃんが物体のように扱われていて不気味だった。義母の明るさが空回りして浮いていた。

    2
    投稿日: 2026.01.13
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    薄らとした不快感のまとわりつく作品だった。村田沙耶香に近いものを感じたが、村田沙耶香はもっと乾いている。潰れた果実を眺めているような感覚になる三作、文章はきれい。

    3
    投稿日: 2026.01.12
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    表題作よりも『ドミトリィ』が好きだった。『密やかな結晶』に描かれるような欠損と喪失のある不思議な世界。小川さんが描く女性は凛として上品だな。

    1
    投稿日: 2025.12.27
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    小川洋子さんの「博士の愛した数式」をあまり好きになれず、そこから疎遠になっていたけれども、これはとても良い!好き!妊娠カレンダー、姉に赤ちゃんができ、その母体の変化に翻弄される妹。悪阻という形で姉を捉えた赤ちゃん、でもその母体の変化ばかりでどこに赤ちゃんがいるのか不明、という妹から見た妊娠の不気味さ不思議さ。超おもしろすぎたー!あと新人っぽい、世の中に、は?を突きつけてやる!という気鋭さがある。

    2
    投稿日: 2025.12.07
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    私は妊娠をしてみたいと思うことがある。 読みながら、白と緑しか思い浮かばなかった。 解説に完全自殺マニュアルのこと書いてた。あれそんな昔からあるんか

    1
    投稿日: 2025.11.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    話に出てくる人たちの行動が人間らしくなくて、ずっと不穏な空気が流れてるけど、すごく心に残る。 とくに妹が、妊娠した姉のためにグレープフルーツのジャムを煮るシーンが印象的。 とても従順にみえて、農薬が使われているかもしれないグレープフルーツを淡々と調理する妹の姿に寒気がしてくる。わたしには悪意とともに行為に及んでいるように見えて、それは自分の姿ともすこし重なるような気がした。 色んなことがはっきり書かれていないからこそ、いろいろな読み方ができそう。 わたしは面白かった。

    5
    投稿日: 2025.11.22
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    読むきっかけがある男性芸人さんがおすすめしていたこと。タイトルから男性が進んで読むものだとは思わなかったためどんなストーリーなのか気になりました。 「妊娠カレンダー」 もちろんフィクションとはわかっているのですが、どうも合いませんでした。登場人物全員、誰にも共感ができませんでした。妊婦検診の様子もちょっと違うのではと思いました。 「ドミトリィ」「夕暮れの給食室と雨のプール」 グッと引き込まれるストーリーでした。こちらの方を表題作としても良かったのではないかと思いました。

    1
    投稿日: 2025.10.30
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    「博士の愛した数式」がとても好きだったので期待してました。 でもこの作品はだめだ。私には合わなかった。 気持ち悪い。シンプルに好きじゃなかった。

    0
    投稿日: 2025.10.20
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    妊娠した姉との日々を綴った日記。自分本位な姉に振り回される日々。大きくなる姉の腹に歪んだ好奇心だけが大きくなる。 -農薬のかかった食べ物は胎児に影響するのか- 引き込まれる文章だが、真意が掴めそうで掴めず不気味、不思議が残った。

    1
    投稿日: 2025.10.19
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    初めてこの本を手に取ってから数ヶ月、あまりにも気になるので購入。 ネタバレになるのであまり詳しく書けないが、どこか薄気味悪い話だった。 そして読み進めるうちに私の姉が第一子を妊娠中の事を思い出した。 「今、(赤ちゃんが)拳くらいの大きさで〜」と、妊娠した事が無い私にも分かるように説明してくれたっけ。それでだろうか、あとがきを読んで薄気味悪い理由に納得がいった。 もしかしたらあの家は「家族」として機能していないのかもしれない。両親が亡くなっているのも気になるし、姉が精神科に罹っているのも読者の不安を煽る。 恐らく自分は何か大事な事を見落としているだけのかもしれないが、読んでも分からないのだから仕方ない事にした笑 (それにしても義実家への妊娠報告が早すぎでは? 30年以上前の話だし、当時は普通だったのかな) 全体的に難しい話が多かった。 私の語彙力じゃ表現できないけれど、どのお話も繊細で言葉が綺麗だと思った。一番好きな話は「ドミトリイ」。 最後の話の給食室を覗くお父さんは生きていくには繊細過ぎる気がする。毎日毒入りのジャムを食らっていたあの姉よりも。

    1
    投稿日: 2025.10.16
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    独特な視点から描写される世界。静かな嫉妬。妊娠=幸せという図式が必ずしも成り立つわけではない、幸せの裏側。他2篇も不思議な感覚の物語。キレイな文章。

    1
    投稿日: 2025.10.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    妊娠カレンダーに関しては、生命の誕生って奇跡的で喜ばしい事なのに、誰も心から喜んでいないような気がして怖くなった。 全体的に暗い印象をもつ物語で作者さんが何を思って作品を書いたのか読み取れない。だけど、作中の表現、文章が綺麗で透き通ってるなって思いながら読んだ。

    1
    投稿日: 2025.09.08
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    なんと感想を表現したら…と読み終わった後に考えたが あとがきに書いてある「生命」がキーな話なのかなと思いました。 今でこそ子育ての大変さを訴える媒体が増えているので珍しいことではないが発行された1994年には「妊娠」という現象、 変わってゆく身体に対しての不快感でもない様な…なんとも言えない気持ちを表現ている。 当時からすると価値観に反した非常に斬新な作品なんだろうなと思いました。 人は生きてゆくと、身体は変わるし、歪に老いて行く。変わってほしくない今と、変わってほしくない過去に囚われた短編集なのかなと思いました。

    5
    投稿日: 2025.08.12
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    姉の妊娠中の記録が、妹目線で描かれている。赤ん坊の染色体を破壊させるかもしれないグレープフルーツジャムを毎日のように作り、食べさせる描写には震えた。ものすごく怖いのに、頁を捲る手が止まらなかった。

    1
    投稿日: 2025.08.04
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    一年ぶりくらいに小川洋子の本を読んだけれど、ほんとうに美しい文章を書く…。文章が澄み渡りすぎて、きれいすぎて、なんかちょっと官能的な、怖いような。うまく言えないけど、なんせうっとりしてしまう。透きとおった悪夢って表現がほんとうにぴったりな一冊だった。夢が現実かわからない、ほのぐらい境目をたゆたうような感覚。はあ。良い。ため息出るわ。表題作がいちばんわかりやすくてすきだったけど、三篇ともよかった。溢れ出る小川洋子感。特に理由もなく、小川洋子作品を読んでいなかったけれど、ひさしぶりに読んだらまじでよかった。これからいっぱい読も。

    1
    投稿日: 2025.07.31
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    小川洋子さんの作品は何冊も読んできたが芥川賞受賞作は読んでいなかったなと手に取った。表題作を含む3編を収録。いろいろな形で身体的な何かと不思議な感覚を描く作家さんだなと思っていて、「ドミトリイ」は特にその後の作品につながる片鱗を感じる初期作品という感じで良かった。表題作で扱われる「妊娠」もまさに身体の変性にまつわる不思議で不気味な体験そのものという感じなので、なるほどこれが小川洋子の芥川賞受賞作か、と納得の作品だった。

    1
    投稿日: 2025.07.31
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    密に関わっている他者ではなく、自分からは遠い存在の他者を通して、自分というものを映し出す。そんな作家性を感じた作品たちだった。 台詞回しが独特で、描写は身体的なものが多いので、なんとなくなじめなさがある。 自分の心に秘めておく分にはちゃんとした背景のある悪意も、それを言葉にしたり公にしたら、途端にとてつもなく悪いことのように感じるかも。 他に選ぶ道がないと思っている時、自分の中に潜む黒い気持ちなんて誰かに言おうと思わないよなあ。

    2
    投稿日: 2025.07.17
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    中学の時に読んだ本を気になってもう一度読んでみた。あの時には分からなかった「妊婦の様子と、経過の恐ろしさ」が、妊婦の妹を通して不気味に描かれていて、三十代になった今読むとただただ妊婦の理不尽な要求の印象と、最後に妹が夢想する「破壊された赤ん坊」の印象が強烈に残る。 解説にある「人間はそんなヤワじゃないからおそらく姉の赤ん坊は普通に生まれてくるだろう」の一言と、「小川さんは一児の母」の情報に読後の不気味さが和らぐので、解説は読んでおいたほうがいい部類の本だと思いました。

    1
    投稿日: 2025.07.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2回読みました。1回じゃ正しく理解できなかった。 ○妊娠カレンダー 単純に言ってしまえば復讐譚なのだけど、そんな単純な言葉で表現しきれないのがこの作品。 印象的だったのは、匂いに過敏になった悪阻中の姉に配慮して、主人公は庭で夕飯を作るのだが、食べられない姉をあざ笑うかのように、主人公は炊飯器の湯気が立ち上ってゆくさまを心安らかに眺め、大きな口を開けてシチューと一緒に「夜の闇」を飲み込むところだ。主人公は夜の闇とともに、心の闇を飲み込み自分のものとする。 かたや、悪阻が終わった姉は「彼女の存在そのものが、食欲に飲み込まれてしまったように」食べつくす。その姉のお腹には主人公がDNAを壊す(と信じ込んでいる)PWHにDNAを壊された(と信じ込んでいる)胎児が存在する。 どちらも体内に不気味なものを内包する姉妹。その外にいる義兄や姉が頼りにする精神科医の存在感・生命力の乏しさ。そして、この人たちが日陰なら、燦々と輝く日差しに照らされた明るい庭のような存在である義兄の両親。 こういった対比が複雑に絡み合った、すごい作品。この不気味さは小川氏ならではですね。 ○ドミトリイ 2人の大学生が失踪した寮が主モチーフだが、副モチーフとして蜜蜂と巣がくる。 夫が外国に単身赴任中の主人公は、夫からすること・持ってくる物を指定されるものの、そちらはほったらかして、寮の先生のためにお菓子を片手に日参する。 初めて読んだときは、なぜ「蜜蜂の巣」が出てくるのか分からなかったが、読み返してみて、主人公も寮という巨大な巣に誘い込まれてしまった蜜蜂なのだと気づいた。彼女は“夫”という巣に花の蜜を持っていくべきなのに、働き蜂が花の蜜をせっせと巣に持ち帰るように、主人公は食べきれないだろうと思われる量のお菓子を寮の先生に毎日持っていく。それはそれは懸命に。 ○夕暮れの給食室と雨のプール 子供の頃に雨のプールで泳がされたことと、一見非衛生的と見える方法で給食を作る様子を見てしまったことが強い記憶となって残っている宗教勧誘員の男。彼はそれを“集団の中に自分をうまく溶け込ませるための通過儀礼だった”と言う。通過儀礼=大人になるためのステップ。嫌なものを受け入れることが大人になること。 いくら手足をバタつかせても水の中に沈むしかなかったという男と、バツイチで年が離れていて司法試験に10年落ち続けているダメ男の婚約者が重なる。

    3
    投稿日: 2025.07.06
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    小川洋子さんは初読みだった。 なるほどこういう作家さんかと今さらながら知った。 本の後ろを読んで、買ってみたが表題作である妊娠カレンダーはほのぼのした、妊婦の日記ではなく、なんとも言えない鬱屈した気持ちというか、妊婦が全員朗らかな気持ちでいるわけではないとか、なかなか鋭い切れ味のお話で好みだった。 他の2作も良かったが、これは私の解釈が追い付かない部分もあった。これが小川洋子さんという作家という事が分かり、読んで良かったと思う。

    12
    投稿日: 2025.06.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【妊娠カレンダー】 主人公は大学生の妹。姉夫婦と一緒に住んでいる。心が脆い姉が妊娠。 大きな病院ではなく,近くの産院で出産するという。そこは幼い頃姉と裏から中庭に入り込んで遊んでいた古い病院。窓から覗いた器具や、3階の病室の窓辺にいる女が記憶にある。 姉のつわりが酷くなってくると、色んな我儘を言い出す。食べるのも,家の中の匂いも。 姉がいる時にご飯を作れないし、食べれなくなる。 急にふっと長く続いたつわりが終わった。 途端にいろんなものをたくさん食べるようになってしまった。 仕事で大量に貰ったグレープフルーツを皮ごとジャムにすると,姉はパンにつけずジャムそのものもを食べてしまう。グレープフルーツの皮の表面にはアメリカて体に良くない農薬などが使われているだろう。でもそれを知らずに、姉はどんどん食べる。お腹の子にどんな影響があるんだろう? 【ドミトリイ】 旦那が海外に単身赴任中、年がうんと離れた従兄弟から15年ぶりに連絡があった。 大学生になるが、お金があまりなく下宿先がみつかならい。昔大学生の時に住んでいた学生寮(ドミトリィ)を紹介してほしい。 6年ぶりに学生寮に連絡する。そこは学校運営でなく、一般のアパートのような寮のようなところ。だがもう古くなり、住んでる学生もほぼおらず、シェフもいないし、大浴場も2日に1回しかお湯を張らなかなってしまったという。しかも、寮の管理人(オーナー)は両手と片足がない。それでもいとこはお金がないからと紹介して欲しいといって入寮。 何度かいとこに会いに行くけどいない。そしてほかの入寮生も見ない。 どうも、この寮に住んでいた学生がするっと行方不明になり、悪い噂が立って少なかった入寮生も去っていったらしい。 そして何度もいとこに会いにいくけど全然会えない。 そして、管理人はどんどん衰弱していく。鎖骨と顎でいろんなものを持ったりする不自然な姿勢を続けていたから、肋骨がいびつに歪んで心臓と肺を圧迫しているらしい。いつか骨が心臓や肺に刺さるかも? 【夕暮れの給食室と雨の日のプール】 古い家に引っ越した。司法試験に何度も落ちてる彼と結婚するのでお金がない。けど、犬のジュジュと生活できるのはこの家だった。 2人で式を挙げる数週間の間、ひとりで家を整える。お風呂の壁のペンキを塗ったり、花壇に花を植えたり。 ある日、男と小さな子がインターフォンを鳴らす。 何も持ってない二人。どうやら宗教の勧誘? でも、パンフレットも持ってない。「難儀なことはないですか?」 ジュジュと散歩していたら、その親子?とまた出会う。 小学校の給食室の前の道路で、学校をじっと見ている。 どうやら子供が給食室が好きで、よく行きたがるらしい。 その小学校は千人ぐらいいて、その給食をそこでつくっているらしい。大がかりな設備で調理されているのをみたり、その器具が洗われていくのを見たりするのが面白いらしい。 だけど、男性は給食室での調理風景をみて気持ち悪くなってごはんが食べられなく案った時期があった。 なんて感じのお話が3編。 全部、すっごい湿度の高い薄暗い空気感がある話。 めっちゃ芥川賞っぽいな~て思った。

    1
    投稿日: 2025.06.02
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    妊娠した姉への歪んだ愛情が毒入りジャムとなり胎児へ届く__不穏な空気を纏った短編集 美しい描写に引き込まれながら読み進めると、どろりとしたものが喉元を通るような不快感がやってくる。これは悪夢か現実か?曖昧で朧な結末が私たちを話の中に閉じ込めてしまうようだった。

    8
    投稿日: 2025.05.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    んー正直に話すと、私には分からなかった、としか言えない。まだまだ読書が趣味ですとも言えないレベルなのかもしれない。何が言いたいのか私には理解出来なかった。多分、表現する語彙力も、無いのだと思った。ただ、表現や文章が綺麗で柔らかな印象を受けたのと、2章のドミトリィという話しでは先生が居なくなった生徒さんの事が好きだったのかぁと勝手に想像してしまいました。あと、血だ!ってなった時に「え、ミステリー!?屋根裏に死体!?」とアホのように思ってしまった私は恥ずかしい人間です。 まだまだ読書量も理解力も想像力も足りないのかもしれません。他の方の感想を読んで気味が悪いとゆうのも思わなかったので。ただ、読書は自由ですからね!これからもどんどん本は読んでいきたいと思います。 よく分からない感想で申し訳ない。

    4
    投稿日: 2025.05.23
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    女性ならではの感性が、女性の私でも驚くほど鋭く反映されていて、もうそれだけで大変恐ろしく感じた。結婚して妊娠している姉と、姉の夫と、自分というなんとも居心地の悪い同居は行き場のない、名前のない悪意を生み出しているように見えた。『妊娠』という行為や母親という役割は時に女性の足枷となるが、本作や湊かなえの「蚤取り」においては独り身でいる身近な女性の劣等感を引き起こすものとして描かれる。女性としてこれまで求められてきた役割を、出来るけどやらない、と、出来ない、では大きな違いがある。そうした心の柔らかく弱い部分に触れる作品は、自分の隠してきた部分や見ないようにしてきた部分がそのまま映し出されるようで、決して読んでいて気持ちのいいものではないが、知らず知らずのうちに手にとっているものである。

    2
    投稿日: 2025.05.13
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    ラランドのニシダが紹介していたので読んでみた。 気味悪いのに描写の精巧さや文体が心地良い。比べるつもりはないけど、村上春樹を読んでいるみたいで、読書そのものの時間を楽しめた。 ストーリーというか、内容は不気味で懐かしくてよくわからない感じだったけれど、あとがきで急に現実に戻され、その感覚がエンタメとしてめっちゃ爽快で読み応えがあった。

    2
    投稿日: 2025.05.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    妹の視点で、妊娠した姉とその周りの人々の変化を描いた作品。 つわりに苦しみ、精神的に不安定になっていく姉の様子が、妹の冷静な視線を通して描かれており、姉を心配する一方で、妹はどこか常軌を逸した行動をとるところがポイントかな。 妊娠から出産という喜ばしい出来事とは反対に、不気味で不穏な空気が漂ってました。

    1
    投稿日: 2025.05.04
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    表題作の「妊娠カレンダー」はゾッとして面白かった。三篇とも結末までいかずに文体で勝負しているように思えて、純文らしい感じだった。小川洋子さん、個人的にあんまり合わないかもしれない…。

    1
    投稿日: 2025.04.25
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    短編3篇。結構昔の芥川賞作品ですね。ラランドニシダが、本がボロボロになるまで読んだというので、興味を持ちました。 自分は小川さんの作品は「博士の愛した数式」以降しか読んでいないのですが、いつも優しく、ふわふわとして、不思議なイノセンスを感じる、エンタメとも純文学とも言えないイメージを持っているのですが、本作品は、かなり純文学よりかなといった印象でした。 それぞれの主人公たちは、社会性もあり、周囲ともうまくやっているはずなのに、孤独感がつきまとっている。 表題作品の最後、「破壊された」という言葉が気になって仕方がない。

    9
    投稿日: 2025.04.19
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    風景や物の描写がとんでもなく丁寧。静謐で幻想的な情景を下地にして、嫌悪感と共感が入り混じる人間のグロテスクさが描かれていくのが、心地よい違和感というか、幻想的な世界に浸っているようでとても好きです。

    3
    投稿日: 2025.04.11
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    姉の妊娠に対する妹の日記。 あとがきにもあったけど、ヒトのお腹にヒトが入ってるってSFぽさがあるなぁと思った。 染色体異常を起こすと言われる防腐剤を含んだグレープフルーツのジャムを作り食べさせた妹。 喜んで食べていた神経質な姉。 きっと妹は、生まれてきた子がちょっと平均より身長が低いとか、そういう異常ではない事でも染色体異常だと思い、やっぱり効果はあったんだ…と思うだろう。 きっと姉は、妹が防腐剤を“妊婦”である自分に食べさせていたと知った時、心を病むだろう。

    1
    投稿日: 2025.04.04
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    だいぶ昔に読んだ本です。確か、芥川賞をとった作品だったかな。妊娠している姉に、悪阻に良いからと、防腐剤が母子に悪影響を及ぼす可能性があるグレープフルーツを搾って飲ませてた話だったと記憶しています。読後感がゾッとしすぎていて、そういうのが好きな人には良いかも知れません。

    1
    投稿日: 2025.03.30
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    表題作『妊娠カレンダー』のみ取り急ぎ読了。 小川洋子さんの小説久々に読んだら、やっぱり世界観や雰囲気が好きだなと改めて感じた。 妊娠した姉に対する、妹目線の観察日記。妹は未婚で学生なこともあり、結婚や妊娠が未知のもの。特に妊娠は日々身体も精神状態も変化していくもので、ある意味得体の知れない不気味さを感じている妹の感性は少し理解できるなと思った。

    6
    投稿日: 2025.03.28
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    夕暮れの給食室と雨のプールが1番好きだった どの作品もはっきりしたラストは描かれず、文学的な表現で締めくくられる 私には難しくて、なぜそのようなことを表現したのか、はてな ただ、1Q84のときのような不完全燃焼感、筆者への苛立ちはない それは作品全体の雰囲気のためなのかな 柔らかく霧がかった、温かいようでどこかじめっぽさがある、雨の水彩画みたいな雰囲気だから、最後のもやもやも作品の一部として受け入れられた 結末をはっきり知りたい!という焦燥感がない 不思議と満足感がある これが小川洋子の作品なのかな 角田光代のクリアな世界とは全然違う 最初は馴染めなかったけど、3作品読み終わった頃にはその世界観が心地よく感じた 小説の中で日常の風景が言語化され、自分の日常も言葉で表現したら特別なものなのではないかと感化されるのことが私は好きみたい ただ流れていく日常も、改めて表現しようとする、捉えようとすると、特別なものに感じられる気がする ふわっと心が浮遊するなだらかな高揚感に幸福を感じている気がする だからSFとかじゃなくて、日常を描いた小説が好きだったんじゃないかな そういうことに気づかせてくれたのも、この作品の雰囲気のおかげなのかな

    4
    投稿日: 2025.03.22
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    小川さん2作目。今村夏子さんを思わせるゾクッとした話、だけど、こちらの方が先ですね。「妊娠カレンダー」はとにかく先が気になってドキドキした。妊娠すると、本人もだけど周りも戸惑うよね。今までと違う人になってしまったような気になるかも。密かに実験的なことをしてしまう妹の気持ちも少しは分かるかな〜「ドミトリイ」はもっと不思議な話だった。スウェーデンにいる健全な夫の世界には、もう戻れない気がするなぁ

    1
    投稿日: 2025.03.17
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    短編集。 何かで取り上げられていたので読んでみた。 妊娠カレンダーは、姉夫婦と同居してる妹目線で、妊娠している姉の理不尽な要求に答えたり、姉の変なこだわりを描写してるのですが、姉がそもそも変人な気がする。 ドミトリィという話は、両手片足がない寮の管理人さんが出てきて、その寮で行方不明になった男の子の話や自分のいとこと連絡が取れなくなって、で、管理人さんの部屋の天井のシミが広がって屋根裏には蜂の巣があった、、、なんなの、これ。 結論とか結局どうなったの?!ってのが分からなくて気持ち悪い。。

    1
    投稿日: 2025.03.02
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    小川洋子さんの作品は初めて読みました。情景がリアルに想像できるような文章が印象的でした。なんでこんなことをするんだろう?と理解しようとすればするほどわからずだったけど、淡々としたひんやりと心地よい冷たさの文章にいつの間にか魅了されてました。優しさの中の冷たさ、常識の中の非常識相反するものが混在して社会は成立している矛盾を感じました。

    1
    投稿日: 2025.03.01
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    芥川賞受賞作であり、3つの作品が納められた短編集。表題作でもある「妊娠カレンダー」が個人的には最も読み応えがあった。妊娠した姉に染色体を破壊するというグレープフルーツのジャムを食べさせるという部分がすごくシンプルに描写されていて余計におぞましさが際立ったように感じます。文体も色々な物事について具体的に書かれているため、想像しやすいのはもちろんですが、異様な感じがするという体験ができました。

    5
    投稿日: 2025.02.27
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    「妊娠カレンダー」は姉が妊娠して出産するまでの出来事が妹目線で語られている。静かさの中にある人の悪意みたいなものが描きだされていると感じた。 妊娠・出産という事象にもかかわらず、姉も義兄も妹もどこか嬉しそうな様子ではなく、妹も姉の助けになればと思っていたはずなのにいつの間にか悪意の萌芽が意図せずに自然に生まれたという感じがしました。そして妹がどこまでいっても無感動な観察者といった感じがひしひしと伝わってくるようでした。

    9
    投稿日: 2025.02.19
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    小川洋子さんの作品は初めて。 芸人さんがテレビで絶賛していたので気になって読んでみた。 描写が細かくて丁寧で、言葉が美しい。 でも、ちょっと冷たい感じが私は苦手。 これが小川洋子さんの書き方なのか、この作品がそうなだけなのか… 別の作品も読んでみたい。

    1
    投稿日: 2025.01.27
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    小川洋子の『妊娠カレンダー』を読んでいなかったので、今さら読んだ。ほんとにこの人は美しい文章を書くな… 薄い氷みたな冷たくて繊細で割れたらその角が尖ってる感じの 文章の美しさを咀嚼していたらいつのまにか終わってる。ただ妊娠と出産という事象に祝祭的な雰囲気は作中ほぼ見られず、そこには強く惹かれた 私も妊娠・出産という事象に対しては正直なところ気味が悪いと思っている。主人公”わたし”の姉が言ったようにに人間の身体のなかで10ヶ月もの長いあいだ、もうひとりの人間が育つという事象が私にはどうにも良きことだと思えない。ひたすらにおそろしいと思う 妊娠・出産に対しては村田沙耶香もSF的な設定を用いて性別による非対称性などを描いたりもしているが、やっぱり安直なめでたきこと、という内容よりもそのグロテスクさやシビアさを描く作家が私は好き

    6
    投稿日: 2024.11.24
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    どれも静かに不穏な空気感な短編集。描写の繊細さがすきです。 表題作の妊娠カレンダー、度肝を抜かれました。姉が狂って妹と義理兄がいなしているような描写でしたが、、、。私は主人公も十分怖い。言葉こそ寄り添っているけど中身は別にあり、妊娠カレンダーって妊婦本人がつけてるのではなく妊婦になり狂ってる姉の変遷を時系列に日記にするのって狂気! 偶然ジャムブーム真っ只中の私ですが食べるたびにこの本を思い出しそう。 ドミトリイも難解でしたが、先生の特徴が明かされるタイミングが驚き。主人公が未来に向かって動かず縫い物したり看病に熱心になったりモラトリアムにもほどがある、、、。  謎が残りもやもやがあります。  給食室の話もよかったです。 この人と出会って新しい日常へ 向かう感じもこの本ではじめて希望が、見えた気がしました。

    6
    投稿日: 2024.10.02
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    読むのが遅かったかなぁ。小学生のときくらいの原初的な感覚(食べるという行為に関して感じる気持ち悪さ)の表現をしたかったのは分かるんだけど、あまりそこで醸し出される雰囲気に魅力を感じなかった。「妊娠カレンダー」の姉も、つくり話の中の謎の女性という感じであまり感情移入ができなかった。

    0
    投稿日: 2024.09.06
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    現実世界を描いているはずなのに、流れている空気が違うように感じる。この本の中には音が少ない。登場人物の周りの音しか聞こえない。暑くも寒くもない。主人公の目線の先に常にフォーカスが当たり、それ以外の世界を見せつけないような印象を受けた。主人公の感覚が理解し難いものであるから、全く違う世界にいると感じたのかもしれない。

    1
    投稿日: 2024.08.24
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    簡単に言うと、妊娠している姉に 毒のジャムをせっせと作って 食べさせる妹の話 ストーリー中に姉への嫌な思いが 一切語られていないのに 突然始めた奇行に驚いた 最後はどんな子どもが生まれたのか 分からない結末で終わっていて スッキリしない。 でもわたしは何事もなく 無事に子どもは生まれたのだと 思っている その他2作品も含まれるオムニバス

    1
    投稿日: 2024.08.14
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    すごく昔に『博士の愛した数式』を読んだ事もあるが楽しめず…芥川賞の本集める中で読んだこの本も…単純に作家との相性合わないのかも。今芥川賞ばかり読んでるせいか、表題作は"あー芥川賞っぽいな"という印象。だけ。

    0
    投稿日: 2024.08.09
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    目次 ・妊娠カレンダー ・ドミトリイ ・夕暮れの給食室と雨のプール 学生寮の生活というのに憧れていた。 実際職場の研修施設で40日以上も狭い個室に過ごしても、全然つらくなかった。 今でも入院することにも、たぶん高齢者施設に入所することになるとしても、あんまり抵抗はない。 たぶん、義務は部屋の外においておけるからなのだと思う。 なにかとやらねばならないことに追われる日々の中で、寮生活は上げ膳据え膳で、ルールさえ守れば狭い個室の中で好き勝手に過ごせる。 ところが『ドミトリイ』は、そんな薄っぺらい自由の怖さを突き付けてくるのである。 具体的に何が怖い、というわけではないけれど、徐々に体の自由がきかなくなってくる先生を、毎日ただ見舞うだけの主人公。 毎日見舞っているのに、入寮しているはずの従弟に会うことができないという不穏。 夫の待つスウェーデンに行く準備をしなければならないというのに、彼女は、「今自分にできることはパッチワークを作ることだけだ」と思っている。 なにかから逃げ、なにかに追いつかれたような読後感。 しまった。 白眉である『妊娠カレンダー』について書く前に、ずいぶんほかの作品のことを書いてしまった。 『妊娠カレンダー』はいびつな物語である。 語り手である妹は、姉夫婦と暮らしている。 義兄は歯科技工士で、妹は大学生でありバイト生活者でもある。 3人は同じ家で暮らしているのに、温かな心の交流というものを感じさせない。 義兄は外で働いて生活の糧を得て、妹は家事全般を請け負っている。 そして、姉は妊娠している。 つわりの時は一口のクロワッサンとスポーツ飲料以外のすべての飲食物の存在を否定し、つわりが終わると有り余る食欲を抑えることができない姉。 一応心配なまなざしを向けるけれど、強く止めることのできない義兄と妹。 これでは姉が胎児のようではないか。 本来は仲の良い姉妹だったのだと思う。 しかし今は胎児に振り回される姉と、それに振り回される妹という図式になっている。 いったい胎児とは何なのか。 染色体から想像し始めるのは、さすが小川洋子という気がしないでもないが、家族全員が妊娠という事態に振り回され、なすすべもない。 「妊娠は病気じゃないからね」とは、「病気じゃないのだから今まで通りきりきり働け」という文脈で最近は語られるけれど、本来は「病気じゃないから薬で治せないところが難儀だよね」という意味の言葉だったらしい。 温かな心の交流が本当にないのかというと、本当はあるのでは?と思う。 たぶん姉と自分の間にある胎児が、それを阻害しているのだ。 そしてそれは姉からしてみると、労わってはくれるけれど代わってはくれない、所詮他人事だと思っているでしょうという僻みになっているのかもしれない。 そういう齟齬を乗り越えて、本当の家族になっていくのだと思うけど、果たして彼らにそれができるのかは…読み手次第だと思った。

    1
    投稿日: 2024.08.09
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    人間は自分たちが動物的な要素を持っていることに気づくと、何故だかすごく嫌悪感を抱いてしまう。 妊娠カレンダーを読みながらこの事実に私も共感せざるを得なかった。 神経症傾向の姉は、それまでルールに基づいた生活をしていたが、妊娠してあるときから異常な食欲を見せるようになる。人が変わったように貪るように食事をする姿、これはきっと姉の子宮の中にいる新しい命がそうさせている。これに対して毒薬にどっぷり染まったグレープフルーツを使って、連日ジャムをたっぷりこしらえる妹であった。 理性的であるはずの人間もやはり動物だと認めるのは、人間にとってひどく嫌悪感を抱かせるということがうまく描写された作品だと感じた。 妊娠によって姉が変わるのはもちろん、妹がジャムを作る行動もまた本能に突き動かされたものになっていて非常におもしろい。 小川さんの言葉選びは、心地よさの中にとんでもない刺激があり中毒性があるように思う。 わたしの中で小川洋子ブームがまた訪れそうな予感。

    2
    投稿日: 2024.07.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人間をパーツで見たり、器官として見たり。 妊娠中だったり、海外に行く前の準備期間だったりの、ある一時期の、不思議な雰囲気のお話。文章は美しい。でも不気味で、よくわからない。村上春樹の読後感に似ているような。 そして、「ドミトリイ」では、ちょっと『ハンチバック』を思い出した。

    1
    投稿日: 2024.07.07
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    出産までの日々は、幸せよりも苦労が多いかもしれない。狂気的な姉の言動、正気の妹、傍観者の夫。妊婦の不安と苦しみは、当事者にしか分からない。幼くして両親を亡くし、子に向ける尊さや愛情を知らないからなのか。新しい命を純粋に喜ぶのではなく、黒い渦の中へ巻き込まれていく様が怖かった。喜ばしいこと、おめでたいこととしてしか扱われないライフイベントが全く逆の色で描かれていた。素面で見つめると、そうなのか?嬉しいけど悲しい。辛いけど楽しい。アンビバレントで、表裏一体。

    0
    投稿日: 2024.04.30
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    妊娠カレンダー、ドミトリィ、夕暮れの給食室と雨のプールの3作。いとこや先生との温かい関係性が好きでドミトリィがいちばん好みだったけど、最後不穏な雰囲気でどきどきした。風景描写が好き。

    1
    投稿日: 2024.04.23
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    どこか恐ろしいが、いたって静かな文章。 一文一文つぶやきながら読んでいきたいような手触りや重みのある文章。

    1
    投稿日: 2024.04.14
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    妊娠の時の感想は、本人も同性である未経験者も、そんな淡々としたものなのだろうと思う。 男の側からは知る由もない。ただそういうものなのだろうと、ただ思う。という読後感でした。

    0
    投稿日: 2024.03.31
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    不思議な話。 姉の妊娠を喜ぶことも無く祝うこともせず、何かの観察対象とするかのようにただ、眺めている妹。 そして胎児に悪影響を及ぼす農薬が入ったアメリカ産のグレープフルーツを使ったジャムを連日作り、食べさせる。 おいおい、それは殺人ではないか、なんて妹は性悪なんだ。 と思ったが、姉はそれが食べたいと言っている、から作って食べさせた。 までのことだ。 それは果たして完全なる悪意なのか。 姉も姉で、妊娠して嬉しい、早く子供に会いたい!などと感情の昂りが一切ない。 エコーで赤ちゃんの動きを見た。悪阻でフォークから変な匂いがする。気持ち悪い。 それだけだ。 お互いロボットなのか、という無感情無感動な淡々とした関わり。 こんな冷めた親のところに産まれてくる子供の成長を心配してしまった。 ドミトリィは、なぜ蜂蜜が上から? 大きな蜂の巣、、あ、だから頻繁にミツバチが出てくるのね。と納得。 しかし数学好きの男子生徒といとこはどこに行ってしまったのだろうか? 最後の話は、 素朴な表情の 怪しそうで怪しくなかった男が語る過去の話、特に倉庫街の廃屋のエピソードがなんか心に残った。 ガチャガチャとした変な匂いのしそうな場所で上を見上げると、ハサミで切り抜いたような空が見えていた。という比喩もいい。 それぞれの人物の行動がわりと特異だが、実際にそういう人いそうだと思えてしまう、不思議な話だった。

    2
    投稿日: 2024.03.22
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    こんなに気持ち悪くもあり淡々とした表現というのができているのは独特であった。 表面的な妊娠時の精神の不安定さだけではなく、設定として姉は精神が不安定で妹は不自然な程に従順であることがこの作品をより不気味にしていると感じた。 特に食べ物の気持ち悪さの表現などは食欲が失せるほどに秀逸だった。

    2
    投稿日: 2024.03.04
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    表題の中編と他二篇。 小川ワールドの原点を感じる。 ホラーの様な怖さとコメディの様な微笑ましさが同居する不思議な世界。 いつも情景の描写に感心させられる。 「ドミトリイ」のお茶の淹れ方は特に情景が目に浮かぶ。

    2
    投稿日: 2024.02.17
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    文章が醸し出す異世界のような雰囲気。 不思議と惹きつけられる。 何か普通ではない家族構成。 日記を綴る妹は、妊娠した姉の為に日常の世話をこなしている。 姉のつわり、食の偏り、体重の増加と姉の体調に振り回される妹と義兄。 姉のお腹が大きくなるにつれ、読み手の不安も大きくなる。 何かが起こりそうで怖い。 妹は毎日、姉の好きなグレープフルーツジャムを作り続けるが…。 最後の一文に、声をあげてしまった。 そして、どうなったのか答えはわからない。 他2篇も不気味で残酷。 登場する人物の描写が、とにかく容赦なく江戸川乱歩のよう。とにかくゾワゾワする怖さ。 改めて小川洋子さんの良さを味わった。 とても好みだ。もっともっと読みたいし、知りたい。

    23
    投稿日: 2024.02.08
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    空から落ちてくる雪のように静かな言葉。そう、小川洋子さんの文章はどこかひんやり心地いい。「妊娠カレンダー」は、妊娠した姉を観察する妹の目線で描かれている。姉に対して、奇っ怪な生物でも飼育しているかのように接するところがおもしろい。喜ばしくも嬉しくもない、少し迷惑なハプニングとしての妊娠は、誕生や成長の背景にあるのは美しきことばかりではないことを象徴する。

    12
    投稿日: 2024.02.05
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    タイトルの妊娠カレンダー含めた3話の短編集。 正直3話とも結末ががよくわからなくあまり楽しめなかった。

    1
    投稿日: 2024.02.03
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    品のある、冷たくて美しい文章。 読んでいると、自分の中の感情がゆらゆらと波打ちながら徐々に静かになっていく。

    1
    投稿日: 2023.12.15
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    芥川賞受賞の表題作ほか、3編の短編集。 どの作品もなんとも言えないざわざわとした気持ちが残る。 うまく言語化できないけれど、 読み終わっても気になって気になって仕方がない。 読み解けた自信はないけれど、 静謐な雰囲気が好きで、他の小川洋子さんの作品を読んでみたくなった。

    1
    投稿日: 2023.12.06
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    第104回芥川賞受賞作の「妊娠カレンダー」と受賞後に書いた「ドミトリィ」、「夕暮れの給食室と雨のプール」を納める。「妊娠カレンダー」では妊娠した姉を不思議なものを観察するように見つめる妹が、防かび剤入りのグレープフルーツのジャムを作り続ける。「ドミトリィ」では、かつて暮らした学生寮が入居者の失踪を機に変質していく。「夕暮れの給食室と雨のプール」では、宗教の勧誘に来た親子と一緒に小学校の給食室を見に行く。どれもありえないような不思議な話なのに、静かなたたずまいと秘めやかな毒がある。作者は言う、「床下にしまった玉葱がいつのまにか猫の死体に変わっている、それを描くのが文学だ」。

    2
    投稿日: 2023.10.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    高校の時に読んでからずっと忘れられなかった。 とにかく描写が美しい。それでいて静謐で冷たい温度を感じるのが小川先生の文体。 表題作の不気味なところが、主人公の一人称で淡々と進む物語でありながら主人公の姉に対する心情描写がほとんどないところ。悪阻で精神の不安定な姉に辟易していることは読み手に推測できるが、姉に対する憎しみや悪意のようなものは一切描かれていない。にも関わらず、胎児の染色体を破壊する可能性のあるアメリカ産グレープフルーツで作ったジャムを姉に作り、スーパーでは「アメリカ産のグレープフルーツですか?」と確認する。実際には防カビ剤は大した影響はないのかもしれない。でも影響を及ぼす可能性を知っていてジャムを作り続ける。それがそこはかとなく不気味で上品な不穏。

    2
    投稿日: 2023.10.04
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    文章が美しくてうつくしくて…。 頭の中で思い描く景色に色や風や匂いがつくような、そんな文章に惹き込まれました。 決して明るく爽やかな作品とは言えませんが、嫌な気分にはならずスッと心に入ってくる作品ばかりでした。

    3
    投稿日: 2023.09.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    芥川受賞の表題「妊娠カレンダー」と、「ドミトリィ」、「夕暮れの給食室と雨のプール」の3編。 妊娠カレンダーでは姉が妊娠した妹の話。農薬入りのグレープフルーツを体に悪いものと認識しながら、姉に与える。人間はそこまでやわではないという思いもありつつ。 これほどの短編で芥川取れるんだなあと思った。応募要項的なのはないのかしら。申告賞じゃないということなのか? 次はドミトリィで、両手と片足のない学生寮の管理人がいとこを殺して血が垂れてると思いきや蜂蜜だった話 次が夕暮れの〜で、宗教かなんかの勧誘やってる親子が給食室でたくさんのご飯食べてるところが好きな話。 短編で読みやすかったけど、自分にとってはそこまで…だった。松村栄子さんが解説。

    1
    投稿日: 2023.08.12
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    とても綺麗な文章を書かれる方です。また、描かれる風景やシーンはどこか異質で、同じ現実世界に思えないのが不思議でした。ストーリーには余白があり、どれも不可解さを残すところが良かったです。

    2
    投稿日: 2023.06.01
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    紹介文にあるように、どれもうっすらと霞んで漂う悪夢のようだった。誰にも悪意は無いが、必然的に悪い方向へ傾いていっているかのようなバランスの取れない感覚に陥った。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 姉が妊娠した。つわりに苦しみ、家族に八つ当たりし、 母となる不安に苦しむ姉と接するうち、妹の心に芽生える不思議な感情。姉を苦しめるモノから姉を妹は守りたいという気持ちと裏腹に、妹はやがて、めまいのするような悪意の中へすべりこんで行く。出産を控えて苦しむ姉の傍らで、妹は鍋でジャムを混ぜる、その中には、ひそかな「毒」が。 家族の妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを、きらめく言葉で定着した芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」。 謎に包まれた寂しい学生寮の物語「ジミトリイ」、小学校の給食室に魅せられた男の告白「夕暮れの給食室と雨のプール」。透きとおった悪夢のようにあざやかな三編の小説。

    2
    投稿日: 2023.05.12
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     久々に読んだ同著者の小説。基本的には好きな小説が多かったのだけど、この小説はなんというか駄目だった。  主人公は、姉夫婦と同居している独身女性。姉の妊娠に祝いの気持ちを抱くこともできず、胎児の染色体に異常を来す果物を使ってジャムを作り姉に与え続ける。  ……というストーリーの筋からしてかなりきつかった。発売年である1991年ではインターネットがないから日の目を見ることは少なかったかもしれないが、こうした腐りきった感情はネットで腐臭を放ちながら蠢いている。腐臭は腐臭を求め、最終電車で放たれた吐瀉物のように世界を不快感に染めてゆく。どうせ共感を覚える人はいるのだろうが、無事共感を覚えず終わるとしてもどうしてこんなに筋書を汚くしてしまったのか。  装飾で現実味を得ようがなくなるまでにゴテゴテになった文体で描かれる悪意、または悪意でないならば人として致命的な感情の欠損。

    1
    投稿日: 2023.04.21
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    あれ、まだブクログに登録してなかった…!? もう何周目だろう。 何がそんなに好きなのか、何を期待して表紙を開くのか、もう忘れてしまったくらい何度も何度も読んでいる。妊娠カレンダーを読むことが人生の当たり前になっている。のにまだグレープフルーツのジャムを食べられていない。

    2
    投稿日: 2023.04.20
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    病院の本棚にあったから読んだ。 読みやすかった。 後半のドミトリイと夕暮れの給食室と雨のプール、どちらも夫が不在だね。それが出産する時に似てるね。ドミトリイ、血と蜂蜜を間違えるか? 全員、主人公が専業主夫。 子供いなくて専業主婦なんてなかなかできないよ。平成初期まだバブルだったのかな? 表題作品 あんまり共感できる部分とか無かった。 妊娠初期に眠り続けることが、冷たい沼の中って表現されてたけど、私なら眠りは暖かい沼だと思うなあとか、 12/30を切りが悪いから嫌いなんて思わない。高揚感が最悪じゃん。とか、 そういう感覚が私とは全然違うなあ。と思った。 あと、イメージで適当に書いてるでしょ。って思うところも多かった。 ガッツリご飯の代名詞みたいにフランス料理のフルコースと書かれていたが、日本でポピュラーなフランス料理って全然お腹いっぱいにならないじゃん!とか、 妊娠初期はお腹からエコーなんてできないよ!とか。 歯医者のシーンもよく知ってる人からしたら、違うよ。って感じなのかな。 姉がお姫様みたいだね。 家事とかあんましないで、妹を家政婦のように。 平成初期の香りがした。

    1
    投稿日: 2023.03.10
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    妊娠カレンダー 小川洋子 妊娠している姉を持つ妹が主人公。 姉と義兄の間に子供が産まれることが、御目出度いことなのか疑問を覚える。子供と想像できず染色体としか理解ができない。 つわりが始まり衰弱する姉。 グレープフルーツが染色体を破壊すると耳にする。 グレープフルーツジャムを毎日作り、姉はそれを方張る日々。 そして陣痛が始まる。主人公は染色体が破壊された(?)子供を見に病院に向かう。 日記形式で出産日までを綴る。

    2
    投稿日: 2023.02.15
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    解説を読み、少し分かった気がしました。 ただ、私には十分に理解出来ませんでした。 何故か、小説からはとても綺麗だけど鋭利なピアノ線をイメージしました。 「犬の気持ちにお構いなく、雨が降るみたいに」

    4
    投稿日: 2023.02.11
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    全体的に、不穏で不気味な雰囲気が漂います。小川洋子さんの作品は、文章に透明感があり、大きな起承転結はない、日常を描いたものが多いと思います。私には少し難しかったです。

    2
    投稿日: 2023.02.03
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    不穏な空気を纏いながら物語が進み、現実が非現実かも曖昧な独特の空気感が漂う。今村夏子が多大な影響を受けているのがよくわかった。

    1
    投稿日: 2023.02.01
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    この人は風景を書く人だと思う。 人物描画も、会話も、主人公の心理描写であっても風景画のようだと思う。 荒いキャンパスの上に、なるべく重ね塗りの少ない方法で描いた風景画。

    1
    投稿日: 2023.01.28
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    不気味だしグロテスクなのに全体的に綺麗で洒落てるなーと思った。作者の変態性と芸術を感じる… しずるのオシャレ映画風コントと世にも奇妙な物語っぽい雰囲気を感じた。 個人的にはドミトリイがお気に入り。蜂蜜のシーンが印象的だった。 小川洋子、人体の欠損とか数式好きだろ。

    1
    投稿日: 2023.01.18
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    どれも余韻を残した終わり方 その余韻が心地良い。 2024.12.28 再読 「何事も定義しようとするとたちどころに、本当の姿を隠してしまうものですね。」

    1
    投稿日: 2022.12.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    姉が妊娠した妹の、歪んだ考えや行動に不思議と引き付けられてしまった。 登場人物のキャラクターの温度差がはっきりと伝わってきて、淡々と綴られる日常の変化が印象的だった。 全てはグレープフルーツジャムに集約され、姉は無事に出産できたのかどうか気掛かりな終わり方だった。 妊娠という現象を、こんな風変わりな小説にできるのはすごいと思った。

    5
    投稿日: 2022.10.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読むことを避けていたのだが近所の図書館にあったので読んでしまった。 『妊娠カレンダ―』 妊娠した姉に対して妊娠経過を日記調で妹目線で物語が進んでいく。M病院の中庭の緑と光と身体感覚の表現が美しい。十二月三十日の好きになれない感じ、つわりがひどいからと部屋の中では炊事ができず追い出され庭で一人食事していると心が安らかになるところとか、姉は『妊娠』という言葉をグロテスクな毛虫の名前を口にするように気味悪そうに発音していたととらえたり、「どんな赤ん坊がうまれてくるか、楽しみね」とつぶやいてみたりとか、妹自身の閉塞感や攻撃性を感じてぞくぞくする。 グレープフルーツを見ると思いだしてしまいそう。 『ドミトリイ』『夕暮れの給食室と雨のプール』 もう会うことができない失われたものへの希求と身体器官の異常に細かい描写が緊迫感を強める。息をするのもはばかれるような感じ。読み終わっても、続きが気になるような不思議な余韻。

    11
    投稿日: 2022.10.15
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    この小説は読む人の想像により、完成する。 作者が描写した字を追うだけなのに、脳内に広がる光景はさまざまな色を映す深い海になる。(だから映像化しないでほしい!) 小川洋子さんの作品は、体の描写が特徴的だが、 表面的なことにとらわれるのは人間の社会性が生み出しているのであり、、生物学的にみればみな同じヒト科なのだ、と示唆されているような気づきがあった。 『ことり』でも感じたけど、インクルーシブと言うか、だれもが包括される世界と言うか、外見や生き方、考え方の違いもふくめてありのまま受け入れたいというメッセージがあるような…ことばにできない!

    2
    投稿日: 2022.09.25
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    本当は星2.5。 芥川賞受賞作品は、私にはいつも難しい。 作品の誰にも共感できないし、興味も持てないことが多い。 人間味がないわけではないのに、なぜか距離を感じてのめりこむことも嫌悪することもできない。 この作品も然り。 特段の感想も、ない。 読書好きを自負しているので、芥川賞受賞作品やいわゆる文学を苦手とすることは恥ずかしい気もするのだけど…。 ただし、情景の描写は細やかで美しく、とても好きでした。 2018年13冊目。

    1
    投稿日: 2022.09.13
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    小川洋子の小説は、薬指の標本、博士の愛した数式に続いて3冊目。短編集で3つのお話が入っているこちら。淡々としたお話だったが3つとも独特な不気味さで良かった。 ほっこりする話でもなく、かと言って胸糞とも言いきれない。

    1
    投稿日: 2022.08.24
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    何気ない生活の中にある美しさ 小川洋子氏の小説は小難しいストーリー展開はないのだけれど、読みやすくて何より美しい 日常の中にもこんなに自分たちが気づいていない半透明な宝石があるんだなぁと感じさせられる 日常のささやかや美に感謝!

    1
    投稿日: 2022.07.23
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    双子の幼虫。毛虫でもなく芋虫でもなく青虫が近いかもしれない。双子の幼虫はやがて離れれ、違う双子の幼虫の片割れと一緒になって新たな双子の幼虫となる。セックスしないと新たな双子の幼虫は出来ないの。おねいちゃんが妊娠したのは義兄としたのね。でも想像は出来ない。覗いてみたくもない。そういえば小さい頃、おねいちゃんと産婦人科の裏窓覗いたことある。双子の幼虫がちゃんと育つ様に、人間の染色体を破壊する防カビ剤が塗布されてグレープフルーツのジャム作ってあげる。アッ 双子の幼虫、破壊されちゃわない? そうそう、双子の幼虫って染色体の事よ。コボさん(安部公房)の初期短編集を読んだら、知っていたコボさんのイメージとは異なる感覚で刺激的な体験でした。では最近嵌っている洋子さんの初期作品はどうなのか?と思い、この本を読んでみた。基本毎度の洋子さん感。ストレンジガール登場。って姉、私どっち?「妖しい&艶めかしい」はまだありませんが、科学大好き少女感は伺えます。なんたっておねいちゃんの妊娠状況観察日記。実験までしちゃう。一寸嫉妬してるでしょう。私もおねいちゃんもストレンジガールだったのね。 「博士の愛した数式」の原点は「ドミトリイ」にありました。私といとこと先生。ほらこの3人パターン。そして先生の身体の状態とその状況からくる死の匂い。ハートウォーミングとゾクゾクの共存。もう洋子愛が止まらない。Myヨコフェス 第10弾。  中村さん、洋子さんは初期の頃から「物語は既にここにある」ですね。姉が妊婦となったことで今までにない生活環境。普通ならお目出たい、幸福話になるんですが、私の生活は一転、日常生活の冒険を体験する感覚へ。「私」は感情を表現しないので私の行動は姉に対するプチ復讐ともとれるし、妊婦となった姉の双子の幼虫観察日記とも取れます。(エサは私が作ってあげているからね)この感覚が読み手の想像が膨らんで面白いからやめられません。

    3
    投稿日: 2022.07.07
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    スッキリでもなく胸糞でもなく、不思議な結末の3話。まるで何もはじまっていなかったかのような、そんな気分

    0
    投稿日: 2022.04.13
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    「妊娠カレンダー」 凄まじくよかった。子どもを孕む、悪阻、お腹が大きくなる、痩せる、太る、そして出産。子どもを産むまでの過程はとてもグロテスクで不思議で怖い。美しい言葉で形容されがちな妊娠期間が淡々と賛美なしで描かれる。 グレープフルーツのジャムや枇杷のシャーベット、そぐわない食べ物たちが魅力的すぎた。 「夕暮れの給食室と雨のプール」 胸が締め付けられるほどの切なさと寂しさが漂うお話

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    投稿日: 2022.04.04