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原田マハ / 新潮文庫 (552件のレビュー)
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総合評価:
理科好き
時や場所を超えたメッセージ
10歳のときMOMAで出会った一枚の絵,そこに描かれた目に捕らわれた瑤子。 この絵に運命を左右されるのは必然でもあり,またその絵に宿る力に導かれた結果でもあったということか。 ピカソの描いた中…でも異質なモノクロの絵をめぐり,描かれた大戦当時と姿なき敵と戦う現代の2軸で展開されて行きます。この作家さんお得意な仕掛けでもあります。 美術館は堅苦しくて嫌いという拒否感のある方には苦痛かもしれませんが,ある絵の前で立ち尽くすという経験が一度でもある人なら,絵のもつ力をテーマとするこの作品も受け入れ易いと思います。特別な知識なしでも十分読み進められるので,そこは心配無用です。 原田マハワールドを満喫してください。 続きを読む
投稿日:2018.12.27
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shihooooooo
このレビューはネタバレを含みます
安定、信頼の原田マハさんアート小説。 なかなか時間が取れなくて、読み始めては止まり、読み始めては止まり…を繰り返してたけど、連休入りしたので、後半は一気読み。 過去と現代がどう繋がるのかな、と思ってたけど、そうなるのか、と。 ゲルニカは誰かのものではなく、私たちのものだ。敵は、国家やテロ組織ではなく、戦争や憎悪そのものだ…というのが、とても胸に響きました。
投稿日:2024.04.27
かほほん
人におすすめしたくなる、面白い本でした。 一枚の絵画を巡り、現在と過去が交錯する。 ゲルニカが描かれるまでの経緯、背景にある社会情勢などを知りつつ、現在の主人公に繋がっていく流れ。 どうやってこんな…壮大な流れをまとめていくんだろうと思わせつつ、良い読後感の終わりになっていました。 続きを読む
投稿日:2024.04.15
ネモJ
今年の1月にMOMAで開催されたピカソの展示会に参加し、すごく感銘を受けたので、本作が気になって手に取りました。ただひたすらに作者の平和に対する強いメッセージが伝わってくる圧巻の作品だったと思います。… 本作は2つの時代の物語が書かれており、1つは「ゲルニカ」誕生とアメリカに展示されるまでの物語。もう1つは、こちらがメインのお話になるのですが2000年代の物語で、ワールドトレードセンターでのテロ事件を発端とした物語となっております。テロ事件後、アメリカがイラクへの侵攻を表明します。その放送の際、なんと本来映るべきはずの反戦の象徴である「ゲルニカ」に暗幕がかけられていました。それに憤りを覚えた主人公がピカソのメッセージを伝えるため、奔走するというお話。 本作の魅力としては、物語の発端となる事件のリアリティだと思います。当時の私はまだ幼く何が起こっていたか定かではなかったのですが、あとがきを読むと、実際に「ゲルニカ」に暗幕がかけられていたそうで、これを見てショックを受けた作者が本作を執筆することにしたとのことです。そういう背景を踏まえると、こうしたリアリティのある展開はすごく反戦に対するメッセージに重みを持たせてくれているように感じました。 私はそもそも芸術に疎かったこともあって、幼少期以来、「ゲルニカ」を見たことがなかったのですが、本作を読みながら「ゲルニカ」の写真を何度も見ました。すると幼少期には感じられなかった禍々しさやおどろおどろしい様子、阿鼻叫喚の情景が感じられ、改めて戦争の悲惨さを感じることが出来たと思います。 本作の読了後に思ったのは、やはり「ウクライナ戦争」のことで、一刻も早く戦争が終結してくれることを願うばかりです。続きを読む
投稿日:2024.04.07
ginevra-potter
原田マハさんのアートフィクションは好きですが、今作は少し自分にとっては残念なものでした。 これからどう終わりに向かっていくのか、ラストに向けてのクライマックスを楽しみにしていたところあまりにも軽率な騙…され方(騙す方が悪いのは百も承知で、それにしてはここまでダイナミックに描かれてきたのに突然チープな仕掛けに興醒めにも近い気持ちを抱きました)に不安を抱き、最後の終わり方も、ここまで引っ張ってこれか…と若干肩透かし感を抱きました。 期待値を上げてしまいすぎたのと、実在の人物に大してこねくりまわしすぎじゃないかとモヤモヤしてしまうエピソードや展開を加えたことで今作はリスペクトよりも、書きたい著者の欲が上回ってしまったんじゃないかという。。 いや、すみません。 八神瑶子に最初こそ同情はしたけれど爪の甘さに段々嫌気がさしてきて…支持できなくなってしまいました。 MoMAのキュレーターなのだから、もっと、と期待してしまいました。続きを読む
じょー
原田マハさんの美術小説、多分3冊目! 今回はピカソのお話。ピカソがどんな絵を描いたのかは何となく知ってるけど、反戦を訴えていたことは知りませんでした。 芸術で戦争を無くせるのか。争いが起きている中で…、自分の命も危ないのに、命懸けで人々に反戦を訴えたピカソ。とってもかっこいいと思いました。そしてそんな天才にも妻とか愛人とかたくさんいて、人間らしいところとあったんだということも初めて知りました。 そんな作品を物語の中で必死に守り抜いた人々もかっこよかったー。特にイグナシオさん!架空の人物みたいだけど、きっとこの人みたいに守ってくれる人がいたから、ゲルニカが今も残ってるのかと思うとロマンがあるな。戦争なくなってほしいけど、なかなか無くならないよな。難しい問題だ。 楽園のカンヴァスに出てきたあの人物も出てきて嬉しくなりました。続きを読む
投稿日:2024.04.04
1963352番目の読書家
この物語は今まで読んだ原田マハ作品の中でもっともドラマチックだと感じる、それがこの作品の良さでもあり悪さでもある。マハさんの良いところは綿密なリサーチの元どこがフィクションでどこが史実かわからにところだ、しかし今作ではテロリストからの拘束、マイテが銃殺された時とかかなり無理やりドラマチックに描かれている印象を受けてしまった。 今回の作品の中のアート、政治とそれを取り巻く資産家たちの絡みみたいなのはとても面白買ったと思う。政治的なメッセージ性の強い絵画が今なお残っているのは先見の目があり、後世にこれらの作品を残そうと命懸けでアーティストをサポートし絵画を守り切った資産家たちのおかげでもあるのかっとハッとされる。 この本のメッセージ性についても深く共感する。ピカソがどう言う気持ちでゲルニカを描いたのかどんな時代背景だったのかがわかって良かった。この作品は、画家のものでも、美術館のものでも、特定の人種にものでもなく、戦争の悲惨さを伝えるためにあるみんなのものだ、この絵を描いたピカソの思惑が感じ取れて良かった。 ドラのその後とか気になるけどそう言うところをバッサリ切り捨てるのがマハさんのすごだやなって思った。でも マイテの面倒をちゃんと見てあげて欲しかったなーイグナシオに。
投稿日:2024.04.01
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