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折原 一 / 文春文庫 (62件のレビュー)
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総合評価:
みん
10
叙述ミステリーで有名な折原氏の最高傑作と名高い作品。
作家志望でゴーストライターなどを仕事としている島崎潤一が主人公。 同じく作家志望で1年前に失踪した小松原淳という人物の伝記を書くことを淳の母親から依頼され、淳がどういう人物なのか調査しながら伝記を執筆…していくのですが、淳の周りには殺人事件、失踪事件、事故が多発していることが分かってくる・・・というストーリーです。 まず、本作はかなりのボリュームがあるのですが、とても読みやすかったです。また、おそらく著者の狙いでしょうが、長さ故に混乱が生じてくることがあり、どんどん騙されていくという感じがしました。 折原氏の作品は他に「倒錯のロンド」を読みましたが、雰囲気はかなり近いです。独特の構成、作中作の登場、ページ番号を記したかなり丁寧な解答編など。 どちらの作品もとても面白かったけど、驚き具合で言えば、「倒錯のロンド」の方が驚いたかもしれません。 しかし、本作の魅力は「赤い靴」という童謡が作中の重要な場面に多々登場し、かなり不気味な雰囲気を醸し出しているというところと、結末にはちょっとしたカタルシスを感じさせてくれるところです。 「倒錯のロンド」が気に入った方はきっと本作も気に入ると思いますし、折原作品初挑戦の方にもおすすめできる1作であると思います。続きを読む
投稿日:2017.04.09
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ganglion
終盤からマシンガンのように小出しにひっくり返され、 スタボロに混乱させられました。快感! 叙述トリックだとハードルを上げられながらも、 多くの読者を引き込ませる作者に感服(600頁もあるし騙し続ける…のは大変) 作者の本立て続けに読んだので、流石になんとなく分かったので暫く時間を置こうと思う 続きを読む
投稿日:2023.09.22
uchi
本作は600頁にも及ぶ長編大作です。著者によると本作が「マイベスト」であり、読者に自信を持ってお勧めできる作品であるとのこと。読んでみるとさまざまな要素がてんこ盛りで、「叙述トリックの名手」と言われる…著者の渾身の一作と言えるかもと思えました。 続きを読む
投稿日:2023.05.08
キョー
このレビューはネタバレを含みます
1番の驚きは、伏線の多さかなと思いました。 最初に 「かあさん たすけて こまつばらじゅん」の 文字を見つけた警察が 「書いている途中で枝が折れたんでしょう」と 言っているんですね。 書ききってるじゃん?と漠然と思ってましたが、 確かに途中だったし、 珍しく、作中に勉という名前の人が3人も 出てきて、 名前に何かあると思わせるところとか、 2人とも「じゅん」ってことにもっと 注目すべきだったなぁ。 永い文章の中で数多くの伏線があり、 しっかりとつながるところは、さすがでした。
投稿日:2023.04.06
アダン
ブックカバーかけて読書するもので、作品の読みごたえに満足しつつカバー外して改めて表紙見たら、表紙でもなんとなくネタバレしててまた震えた。
投稿日:2023.03.02
kick
ミステリー文学の本棚(あべしぃさん) https://www.youtube.com/watch?v=8TdU339Rz7o どんでん返しがすごいミステリーとして紹介されていたので読んでみた。 8歳で児童文学賞を受賞し天才少年と言われた、小松原純がある時失踪する。 島崎潤一は小松原の母から彼の半生をまとめた伝記を書くことを依頼される。 さっそく小松原純の経歴を調べていくと彼の人物像と共に彼の周りには背の高い異人が関わる不可思議な事件が浮かび上がってくる。 島崎潤一が調査を進めると取材先に先回りしている正体不明の男女が現れ、背の高い異人の妨害工作に会う。異人の正体とは誰なのか?小松原純はなぜ失踪に至ったのか? 内容は島崎潤一の調査部分、取材先の口語文、小松原純の書いた作品部分、誰の言葉かわからないモノローグ部分が代わる代わる現れ全体像がなかなか現れない。 他人視点で語られるのは宮部みゆきさんの「理由」を思い出した。
投稿日:2023.02.01
りーり
半年程前に富士の樹海に消えた作家志望の男「小松原」、かつて神童とまで呼ばれた才能の持ち主であった彼に何が起こっていたのか? 同じく作家志望の「島崎」は彼の母親から依頼を受け彼の伝記を書くことに、調べるうち明かされていく小松原家の歪んだ過去と彼の周りに巣食う謎の「異人」。 そして島崎の周りにも「異人」の影が現れ・・・。 過去、現在、手記、インタビュー、数多の断章で構成された謎の記録。 多重視点ながらインタビューと現在の視点はきっちり交互に展開されむしろ読みやすかったです。 序盤は主人公と共に過去の詮索を行っていき、徐々に主人公は事件の渦中に巻き込まれ、終盤は読者に大きな謎を投げかける。 全容の見えないホラーでもあり、主人公が災禍に追われるサスペンスであり、ラストに衝撃を控えるミステリーに仕上がっています。 折原さんの作品では古い部類に入るのですが、集大成と言って良いと思います。 技巧はもちろんですが、樹海に作家主人公に現実の事件をモチーフにしたり得意な事を詰め込んでみた感じ、それでいてストーリーの破綻もなく600pの大作ながら綺麗にまとまっています。 読み終わると「異人たちの館」を書いた作者の想いがぐっと伝わる。 文句無しで折原氏の傑作と呼べますね!! 小松原淳が生きている可能性、一度死んだ幽霊のようなライターとゴーストライターのダブルミーニングは自分も思い至って愉快な推理だなぁと満足したのですが、まさかもう一人幽霊作家になれる人間が残っていたとは!! 「潤一」と「淳」の名前被りは気にかかっていましたがどこにも隙がない、と思ったらまさかのモノローグ。 潤一が島崎姓を捨てるまでの伏線と言うか展開が最初の方から始まってるのでこれは相当上手いと思う。 読み終わると「異人たちの館」を書いた作者、息子の名誉を守らんとする母親の想いがぐっと伝わる。 やっぱり叙述物って面白い。
投稿日:2023.01.18
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