【感想】NHKはなぜ、反知性主義に乗っ取られたのか―法・ルール・規範なきガバナンスに支配される日本

上村達男 / 東洋経済新報社
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 3.1
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  • 後半の法人論が熱い

    いま日本で目立つ独善的組織運営の1つの象徴であるNHKで、経営委員として対峙し翻弄されたガバナンス専門家からの渾身の発言。
    現会長の件は最初の会見で罷免すべきだったに尽きる。
    組織運営上の同様の問題は日銀や内閣法制局などにも見受けられるが、これらは独立・牽制システムを軽視して無化する点で、戦時経済と同じであると説く。それはそうなのだが、それを「良いことだ」と信じ込んでいる人に話が通じないのが危うさの根本のように私は思う。
    このようなことを踏まえて後半に展開される法人論が、熱く興味深かった。
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    投稿日:2015.11.04

  • ちょっとくどいかなと思いつつ

    がんばって読みました。わたしたちの社会を、よりよいものにしたいと思う人たちが、知っていなければならないことをしっかりと書いているので、確かに勧めないといけない。けど、ちょっと。。。陰性感情が目立つなあ、読むのが辛いなあ、と、三ツ星にしようかなと思ったのですが。「おわりに」を読んで心が安らぎましたので、四つ星にします。
    「・・・・・は、人工的な一神教でした。しかし日本は本来、一神教の国ではありません。日本人が慣れ親しんできた神道は、身の回りの自然の中に神を感じる、自然信仰に近いものです。」
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    投稿日:2016.02.04

ブクログレビュー

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  • nogeikuzo

    nogeikuzo

     少し前に、発言がいろいろと問題になった元会長を中心に、NHKの裏側で起こっていたことが実名で書かれていて、正直面白い本だ。が、論点が多すぎて、“とっ散らかり感”が凄くて、少々読みにくいのが難点だ(編集者に何とかしてほしかった)。

     著者は「コーポレートガバナンスを専門にしていますが、形だけではだめということをつくづく知りました」と述懐しているが、サラリーマン社長の大手企業ってだいたい形式主義。「報告書に求められるから」とか、「ルールで決まっているから」とかで、何より形式を整えたがる。

     たいして本を読まないような経営者も多い(本を読むのが経営者として有能かどうかは別として)のだが、なぜか本を出したがるから不思議だ(出版社からも声がかかるせいもあるけど)。
     
     ビジネス書の世界では、プロのライターが書くことが多いので、出版が実現してしまうのだが、その手の経営者の本は、きまって説教臭い。反知性主義というより、無知性主義かな。
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    投稿日:2020.05.08

  • keizoh

    keizoh

    NHKの内部にいた著者が見た感じた、NHKのそしてNHK会長の問題について書かれた本。

    なぜNHKはNHK会長に相応しくない人を会長としてしまったのか?
    その会長を罷免する権限がありながらなぜ実施しないのか?等について書かれている。

    色々と問題はあるが、やはり選考に対する最大の問題はNHK会長を選ぶ権限がある人でも最後最後しか面談などで人となりを見れない事だと思う。
    そして面談する時には、時間的な問題で不合格にする事は出来ない事も問題だと思う。
    確かに著者の言う通り、その道で名を成した人が、わざわざ給与が下がる上に複数から段階的にふるいにかけられ、絞られていく方式の選考方法を是として受け入れるか?という点はあるが、経歴だけではわからない、その人の本質を見抜く為にはそれをしなくてはいけないと思う。

    放送法、権限や組織体制を無視した振る舞い、人を味方と敵の2つに決めつけ、一度敵と判断されればもう味方に戻る事はないという決めつけとそれに伴う行動。反対意見が出ると大声で怒鳴りつけるなど、問題点を様々指摘しているが、こんな財界の大物になっても、そんな器の小さい人がいるんだと感じた。

    この問題はNHKに限らず、国家がどんどん保守化、右傾化している事つまり安倍政権が国会軽視で政治を進めている事も一因になっていると言う、ガバナンス専門家である著者の指摘は、今度日本の保守化傾向がより一層強くなるのではないか?

    日本に限らずイギリスのEU離脱、アメリカのトランプ旋風、イスラム過激派のテロなど世界中が右傾化、保守派が進んでいるように感じる。
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    投稿日:2016.07.26

  • blackkitty

    blackkitty

    内容はともかく、雰囲気はなんとかの遠吠えな感じでした。大手商社の副社長だったから任命したら大外れ。こんな人がのさばるのも安倍政権のせい。もう少し、感情を殺して冷静に書いて欲しいものです。
    そもそも、NHKが不偏不党という認識を私は持っていません。TBS社員の不祥事は報道するけど、NHK局員の不祥事は報道しない。まあ、TBSも同じことをしていますけど。これが現実のバランスなのかと。財源も、ゴロツキをやとってなかば恫喝同然に契約させて、「契約の自由」との整合性はどうなのでしょう。まあ、最高裁が認めてますけど。
    NHK=不偏不党で、考えなしに無条件に信じてしまうのが、一番危険な状態だと考えます。
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    投稿日:2016.07.20

  • kasaji

    kasaji

    やや個人的な感情が走り過ぎている感じもあるが、「少数意見を大切にする姿勢は大切」「語学ができ大企業の要職についていたことは、その人を評価するには不足」等の指摘は愉快。

    投稿日:2016.05.22

  • amazonrevier

    amazonrevier

    安倍政権は「報道の中立」ということをよく主張する。ならばNHKはどうなのか。現会長の籾井氏の問題点について書かれてある。しかしなぜこんな人が前職の三井物産で副社長までなったのであろうか。

    投稿日:2015.12.23

  • tokosan

    tokosan

    人の話を聞けない。議論ができないので建設的なコミュニケーションができない。不都合になると怒鳴りだし、理解できないのを相手のせいにして、自分の考えは変わらないと言い放つ。
    籾井会長の存在は、NHKの統治機構に大きなバグが潜んでいる事を明らかにした。著者自身がNHK経営委員として籾井氏を承認した立場だからこそ、の憂慮。私見であるが私憤ではないことは抑えた文章からひしひしと伝わる。
    上村氏が問題提起しているのはNHKだけの話ではない。「アベノミクスは歴史に責任が持てるのか?」現政権の「成長戦略」とやらは、なんぞや?と考えさせられるのだ。
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    投稿日:2015.12.17

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