【感想】狩人よ、故郷に帰れ

リチャード・マッケナ, 中村融 / 東京創元社
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
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  • よい内容には、よいタイトルを。

    HUNTER、COME HOMEと直邦訳が素敵でかつ、内容を端的に表す素晴らしいタイトル。
    最近(2016年)はやり?のテラフォーミングにまつわる倫理と解説にはあるけれど、愛の在り方や人のプライド、生き方とは?といった内容がわずか100ページに詰まったスゴイヤツ。

     話は飛躍し過ぎかもしれませんが、「宇宙戦艦ヤマト」を思い出しました。>>ガミラスは地球をガミラス人向きに変えようと遊星爆弾で攻撃し、放射能のだらけの星にした。ヤマトの反撃により逆にガミラスが滅びてしまった・・・ 古代艦長代理は叫ぶ。「戦うべきではなかった・・・愛し合うべきだった」と。 その通り!
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    投稿日:2016.05.25

  • そして二人はアダムとイブに?

     まずタイトルに惹かれます。このタイトルで宇宙を舞台としたSFなんですから、読み手はそれだけでワクワクするというもの。「ハンターよ、家に帰れ」では、興味も半減します。
     さて、お話の方は、短篇だからなのか、作者の創造したファンタジーの世界を、読み手の頭の中で構築するには、少々説明不足の感がありました。これは、私の読解力のなさと創造力のなさに起因するものでしょうが、あまりに壮大すぎて、ビジュアル的に情景を思い描くことが難しかったです。
     テーマについても壮大で、mogaさんがレビューで書かれているとおり、「宇宙戦艦ヤマト」にも通ずるものがあります。私は、たまたま、フロイトの「人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス」を読んだ直後だったこともあって、これはまさしく、エロスとタナトスのせめぎ合いの物語かもと、思いました。
     1963年初翻訳の小説とのことですが、その時代に、現代科学につながるような物語を書くとは、著者の見識と想像力、そして創造力に感服する一冊でありました。
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    投稿日:2016.09.11

  • 古典SFのあまりの美しさ…。

    世界が機械論で説明されていた中世の終わり、詩人は鉄の人としてニュートンを攻撃し、古い価値の礼賛を行ったと言います。
    この作品ではカウンターカルチャーとして日本的な輪廻的な価値観の礼賛が行われています。
    SF作家はかつての詩人と同じように新しい価値に愚痴をこぼして古い価値を礼賛しているだけでしょうか?
    いいえ、違うはずです。
    この掌編のような珠玉のセンスオブワンダーと、当時の先端研究を余すところなく取り込んだ流麗な筆致、そして、美しすぎる変化に富む自然観。
    古典は素晴らしい!
    SFを読み直したくなるような短編でした。
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    投稿日:2016.04.21

ブクログレビュー

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  • けわた くーすけ

    けわた くーすけ

    the black destroyer, like a Panther and the other SF creature. l want to make an another black destroyers long story .続きを読む

    投稿日:2017.02.21

  • やすお

    やすお

    異星で異形の生命体と人類が絡み合う作品のアンソロジー。実は個人的にはあまり好きなジャンルではないのだが、Amazonでいつもおすすめされるので、そこまで言うなら読んでみようと思い立った。

    読んでみて、やはり自分には合わないかなという感想。中には面白かった作品もあった。個人的に楽しめたのは「海への贈り物」と「おじいちゃん」「キリエ」といったところ。まあ半分くらいの作品は楽しめたわけだ。読まず嫌いだったのかもしれない。

    以下、個別作品の感想。

    ◎狩人よ、故郷に帰れ(リチャード・マッケナ)
    アダムとイヴの物語といえばいいのだろうか。ストーリー展開は予想できるものの、少し難しい話だった。

    ◎おじいちゃん(ジェイムズ・H・シュミッツ)
    異形の植物動物の話。オオオニバスのような植物の筏に乗って地球型惑星を調査し、その道中でトラブルが発生するような感じだ。そこそこ面白い。


    ◎キリエ(ポール・アンダースン)
    物理的な体を持たない生命と人類が宇宙探査に向かう話。物理的な体を持たない生命体(ルシファー)と人類とはテレパスを媒介して人類と会話する。今となっては少々古い感じがするが、このようなストレートな感じも読んでいて楽しい。


    ◎妖精の棲む樹(ロバート・F・ヤング)
    衝撃のラストと言うべきでしょうか。でも正直なところよく理解できなかった。大木を斬り倒す話なのですが、樹木と妖精の話は分かったものの、それとラストが結び付かない。難しかった。


    ◎海への贈り物(ジャック・ヴァンス)
    異星の海に棲息する生物(アザラシみたいな海獣)が実は知的生命体かもしれない。そんな状況で人間とその生物がコミュニケーションしようとする。背景には知的生命体かもしれない生物から鉱物資源を搾り取ろうとする人々もいて、なかなか複雑な状況となる。ストーリーとしては複雑な話ではないので、潮の臭いを感じながら楽しく読めた。


    ◎黒い破壊者(A・E・ヴァン・ヴォークト)
    そりゃ恒星間宇宙旅行ができるようになれば、知的生命体と遭遇することはあるだろう(本当か?)。ファーストコンタクトの相手が、人類と同じような姿形をしているとは限らないし、他生物に対して友好的かどうかも分からない。本作品は不幸なファーストコンタクトだと思った。お互いの目的が分かりあっていれば、お互い命を落とさずにすんだのではないかと。そもそも言葉が通じる人間同士でも本当に分かりあえることは難しいので、異星で異形の生物と分かりあえるのは不可能なのかもしれない。
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    投稿日:2016.03.16

  • mich

    mich

    中村融編「宇宙生命SF傑作選」は、以下6篇収録。
    ・リチャード・マッケナ「狩人よ、故郷に帰れ」
    ・ジェイムズ・H・シュミッツ「おじいちゃん」
    ・ポール・アンダースン「キリエ」
    ・ロバート・F・ヤング「妖精の棲む樹」
    ・ジャック・ヴァンス「海への贈り物」
    ・A・E・ヴァン・ヴォークト「黒い破壊者」

    宇宙生命を取り扱う作品ときくと、どうしても映画「エイリアン」のように、宇宙に進出した人類とグロテスクな容姿をした生命体との手に汗握る攻防…という作品が連想されます。しかし、本書でそのような作品はヴォークトの「黒い破壊者」のみ。それ以外は、編者があとがきで言及するように生態学(エコロジー)に焦点をあてた作品です。
    そんなエコロジー的SF作品の中でも、とりわけ面白かったのは、ジャック・ヴァンスの「海への贈り物」。
    地球から遠く離れたとある惑星。海で満たされたこの惑星を調査するクルー一行。ある日、突然、仲間のひとりが調査用のいかだから姿を消した…
    地球外の知的生命体とのコンタクトを扱った作品を読むのは、本書が初めてというわけではありませんが、より緻密にコンタクトの過程を描いた作品として、本作は読み応え十分。潜在的な恐怖を感じる海を舞台にしたことも、不穏な空気を感じられて、ほどよい緊張を感じつつ読み進めることができました。
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    投稿日:2015.11.14

  • ま鴨

    ま鴨

    いいですねー!読み応え十分、SFならではのエレガントな短編集です。

    地球人類以外の宇宙生物・宇宙生命をメインテーマに据えた日本オリジナルの短編集。雑誌掲載後に単行本されなかった幻の作品を敢えて取り上げるとの方針の下、なかなかお目にかかれない珍品が粒ぞろい。
    いずれも1960~70年代のかなり古い作品ばかりです。が、21世紀の今読んでも、ほとんど古びていない確固たる世界観と生態系の構築。鴨の個人的な感触ですが、SFの本質とは「変容を描く文学」だと思っています。凡百の地球人類には想像もできないような、異質で、でもその存在を否定することはできないような世界の構築。そうした題材を描き出すキャンバスとして、生態系の構築はうってつけの題材なんですね。

    SF者なら知らぬものはいないであろう、ヴァン・ヴォークトが生み出した怪物「ケアル」はまぁ別格としても、鴨的にはジャック・ヴァンスの構築した世界観のさすがの貫禄が印象的。徹底して地球人類の目線で淡々と描写しながらも、異星生物の未来への挑戦を詩情豊かに描き出したこの美しさ、並行して成立するSFサスペンスとしての完成度。華やかさやキャッチーさからは無縁ながらも、渋いカッコ良さに痺れましたね!これだから古いSF読みはやめられませんよ!

    他の作品も読んで損はない佳作揃いですので、SF好きな方はぜひチャレンジして欲しいですねー。
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    投稿日:2015.07.13

  • いなえしむろ

    いなえしむろ

    宇宙生命SF傑作選だから大いに期待!

     「狩人よ、故郷に帰れ」、「おじいちゃん」、「キリエ」はP.アンダースンの作品、「妖精の棲む樹」はR.F.ヤング作品だ。

     「海への贈り物」、「黒い破壊者」と続く。

     でも、読み手のノリが悪く、今回はどれも乗らず。再読することにしよう。
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    投稿日:2015.03.16

  • toca

    toca

    宇宙生命SFのアンソロジー。
    東京創元社から中村融編訳のテーマ別SFアンソロジーは既に何冊か刊行されており、それに繋がる1冊。
    収録作は6編と決して多くはないが、どれも秀作揃いだった。こういう作品が埋もれていたというのに驚く。続きを読む

    投稿日:2015.01.18

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