「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

エマニュエル・トッド, 堀茂樹・訳 / 文春新書
(77件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
6
25
28
4
2
  • 論理建てと翻訳が良くて読みやすい情況論

    「ヨーロッパはドイツのリーダーシップの下で定期的に自殺する大陸なのでは」という人類学者のインタビュー集。日本とドイツは直系の家族構造から権威主義的なメンタリティが似るなどの指摘が興味深い。一方、地政学的には置かれている立場が全く違い、それがもたらしている状況の違いもうまく捉えられているように感じた。続きを読む

    投稿日:2015.07.08

  • ヨーロッパやアメリカ、ひいては全世界が恐れるべきなのは、ロシアよりドイツだ!

    パリでのテロを受け、これまで「ドイツ副首相」とまで揶揄され、埋没しがちだった指導力を急速に回復させつつあるオランド大統領。
    本書で展開される主張もこの事件を受けて多少変更されるかもしれないが、著者の根強い「ドイツ嫌い」は揺るがないだろう。

    ドイツは、権威主義的で不平等な文化の国であり、給与水準抑制策をたいした抵抗にも遭わず実施できる国であり、政権交代よりも好んで国民一致を実践する、途轍もない政治的非合理性のポテンシャルが潜んでいる国だとする。

    普通の人であれば、たとえ隣国に不満があっても、その国の長所、たとえば規律の高さや優れた工業力などがあれば、それを渋々ながらも認めるものだが、著者にかかるとその長所の源泉が自国の文化と相容れないと激しい拒絶を示すのだから、まるで取り付く島がない。
    ちなみに、著者の警戒すべき対象国には日本も含まれていて、この他にスウェーデンや、ユダヤ、バスク、カタロニアなどが、驚異的なエネルギーを生み出し得る社会文化として挙げられている。

    著者とすれば、「EUの優等国 = ドイツ」という評価がまず我慢がならないのだろう。
    ふつうヨーロッパの人々が恐れてるのは、ロシアの膨張主義の方だけど、著者はそれを「安定化」と肯定的に評価している。
    クリミアやウクライナをめぐる紛争で擡頭してきているのは、ロシアではなく間違いなくドイツだと考える。

    さらに昨今のドイツの、軍事的コストを負担せず、政治的な発言力を強め、裏切りととられるような反米的でアグレッシブな態度にも違和感を表明する。
    アメリカが真に恐れるべきなのは、ウクライナでの勝利による、ドイツシステムの拡大とロシアの崩壊なのだ、と。

    ドイツの民主主義に対する徹底した不和をどう評価するか意見が別れるところだが、ユーロ危機の実態やEU域内の各国の思惑とパワーバランスの変化など、傾聴に値する指摘も多い。
    続きを読む

    投稿日:2015.11.24

ブクログレビュー

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  • gratius2018

    gratius2018

    アメリカシステムとは、ユーラシア大陸の2つの大きな産業国家、すなわちドイツと日本をアメリカがコントルールする事だ。

    投稿日:2019.03.05

  • suburibilly

    suburibilly

    ・自由貿易は諸国民間の穏やかな商取引であるかのように語られますが、実際にはすべての国のすべての国に対する経済戦争の布告なのです。自由貿易はあのジャングル状態、今ヨーロッパを破壊しつつある力関係を生み出します。そして、国々をそれぞれの経済状況によって格付けする階層秩序に行き着いてしまいます
    ・上層階級が私にとって許しがたいのは、その階級の連中が発狂し、無責任になるときです
    続きを読む

    投稿日:2018.11.04

  • 波瀬龍

    波瀬龍

    【由来】
    ・図書館の新書アラート

    【期待したもの】
    ・内容もさることながら、人類学者ってことで、原先生にも聞いてみる

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

    投稿日:2018.10.28

  • bqdqp016

    bqdqp016

    フランス人の歴史人類学者による、ユーロ圏の政治・経済学的な現状について述べた本。あまり聞いたことのない内容であったが、これが事実なのかもと感じた。通貨ユーロによってドイツが1強状態となり、巧みな政治・外交と歴史伝統を引き継ぐ民族性とで欧州を席巻することを恐れている。中国はドイツとともに台頭を図る仲間となりつつあり、対抗勢力として鍵を握るのはロシアとアメリカだと言う。日本としては今後、ロシアとの連携が重要となると思料。
    「台頭してきた正真正銘の強国、それはロシアである前にドイツだ。ドイツが台頭してきたプロセスは驚異的だ。東西再統一の頃の経済的困難を克服し、そしてここ5年間でヨーロッパ大陸のコントロール権を握った」p27
    「ドイツが持つ組織力と経済的規律のとてつもない質の高さを、そしてそれにも劣らないくらいとてつもない政治的非合理性のポテンシャルがドイツには潜んでいることを、我々は認めなければならない」p28
    「ドイツはロシアに取って代わって東ヨーロッパを支配する国になったのであり、そのことから力を得るのに成功した」p41
    「新しいドイツシステムは基本的に労働人口の吸収によって成り立つ。最初の段階で使われたのは、ポーランド、チェコ、ハンガリー等の労働人口だった。ドイツはコストの安い彼らの労働力を用いて自らの産業システムを再編した」p50
    「今日、二つの大きな先進的産業世界の存在を確認することになる。一方にアメリカ、他方に新たなドイツ帝国である。ロシアは第二次的な問題でしかない」p63
    「今日、政治的不平等はアメリカシステムの中でよりも、ドイツシステムの中での方が明らかに大きい。ギリシア人やその他の国民は、ドイツ連邦議会の選挙では投票できない。一方、アメリカの黒人やラテン系市民は、大統領選挙および連邦議会選挙で投票できる。ヨーロッパ議会は見せかけだ。アメリカ連邦議会はそんなことはない」p67
    「ユーロのせいでスペイン、フランス、イタリアその他のEU諸国は平価切下げを構造的に妨げられ、ユーロ圏はドイツからの輸出だけが一方的に伸びる空間となりました。こうしてユーロ創設以来、ドイツとそのパートナーの国々との間の貿易不均衡が顕著化してきたのです」p151
    「ヨーロッパ各国の政府は、景気浮揚が中国とその他の新興国の経済ばかりを浮揚させるということを遂に理解しました」p188
    「自由貿易は諸国民間の穏やかな商取引であるかのように語られますが、実際にはすべての国に対する経済戦争の布告なのです。自由貿易はあのジャングル状態、今ヨーロッパを破壊しつつある力関係を生み出します。そして、国々をそれぞれの経済状況によって格付けをする階級秩序に行き着いてしまいます」p218
    続きを読む

    投稿日:2018.10.24

  • yuusou21

    yuusou21

    フランスの歴史人口学者のヨーロッパの見方が新鮮で興味深かった。自分は世界史を全然理解していないことがわかった。

    投稿日:2018.02.18

  • 読書野郎official

    読書野郎official

    刺激的な視点を提供してくれようとしている気はするが、私の読解力が足りないのか、翻訳が良くないのか、文章が頭にあまり入ってこなかった。グラフをもとにドイツの世界における位置づけを説明する部分は伝わった。

    投稿日:2018.02.08

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