【感想】明日の記憶

荻原浩 / 光文社文庫
(330件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
105
133
65
9
0
  • いずれ何時かは私もか?

    良作の多いこの作者の、映画化もされた有名な作品。
    敢えて私が勧めるまでもないが、ReaderStoreに入荷していることが知られていないのか、未レビューだったので、おこがましく、しゃしゃり出ました。

    ガンや他の病気も怖い。ロコモ障害も怖い。でも、私は認知症が一番怖い。
    本作は認知症が進行してゆく主人公の視点で語られているため、現実には殆ど困難ともいえる認知症患者の”体験談”を聞く、または、追体験することが出来る。これは貴重な読書経験だと思う。

    本書は語る。認知症とは、姿かたちを保ちながらも、私が私でなくなり、究極的には脳が、体が、生きること自体を忘れてしまうのだと。実に怖ろしいことだ。

    しかし、本作品を作者は、ある意味、ハッピーエンドで語り終えている。決して、明るい結末ではないが、人間に対する作者の暖かい眼差しがそこにある。本作品が映画化されるまでに評価された理由でもあろう。

    私と同じ中高年。あるいは、家族や夫婦の絆の物語を読みたい人に勧めたい。
    続きを読む

    投稿日:2015.06.20

  • 文芸ゆえの表現力が凄い

    先に映画で見ました。映画も非常によく出来ていてたのですが、
    小説の方が良いですね。

    若年性アルツハイマーと診断された広告会社営業部長の佐伯。
    その彼が記憶を記録しておこうと始める日記の文字が次第に、
    ひらがなと誤字が多くなっていくことで、症状の悪化が表現
    されます。こういうことは、映像で表現できませんね。

    私自身も最近物忘れがひどく、職場でペンをどこに置いたか
    分からなくなったり、人の名前や言葉が流暢に出ないことが
    しばしば。そういう時は、この病でないかと思ってしまいます。
    そして、この病だけにはならないようにと、祈るばかりです。

    この物語において、佐伯の病が治ることはありません。
    いくら小説とはいえ、治れば嘘っぽいですから。
    そういう意味では、救いようのない悲惨な物語なのですが、
    ただ悲惨な物語にならず、なぜか温かい気持ちになります。

    物語の後半部で佐伯が一緒に仕事したギガフォースという
    クライアントの課長の人の名前がでてこなくなるのですが、
    小説を読んでいた私も、その課長の名前が出てきませんで
    した。ちょっと自分が心配です。
    続きを読む

    投稿日:2017.04.01

  • 良かったです

    そういう類いのものでは無いのかも知れませんが、読書で涙を流したのは数年ぶりです。最後はとっても温かい気持ちで読み終えていました。

    投稿日:2015.08.17

  • 泣けます。

    認知症のことを実は分かってなかったとしりました。こんなに怖い病気とは。 自分の家族に認知症の方がいなくても自分がいつかなるかもしれないし、三軒となりの誰かが認知症と戦ってるかもしれません。
    いろんな人に読んでもらいたい作品です。 物語以上のものがあると思います。続きを読む

    投稿日:2015.12.02

  • まるまるとふくらんだスーツのポケットのメモ、それが現実。

    その内に自分も?という恐れがずっと占めていて、この上なくしんどかったです。
    でも、最後まで読み切って本当に良かった!
    もし自分に何かあった時、もう一度読み返す事になるだろう。
    そして、きっと温かい勇気をもらえると思うのです。続きを読む

    投稿日:2018.02.16

ブクログレビュー

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  • そば

    そば

    ユーモアを交えた
    軽いタッチの小説かと思えたのは初めだけ

    主人公とその妻の苦しみが手に取るように分かり
    真剣に読み進めた

    病気になるのは仕方ないことだし
    完全に避けることはできない

    病気と向かい合わなくてはならなくなったとき
    自分の人間性が問われることになるのだと思う
    続きを読む

    投稿日:2024.03.30

  • aoi

    aoi

    このレビューはネタバレを含みます

    とても臨場感のある作品で映画のほうは観ていないけど、どんなシーンか想像しながら読めました。
    忘れたくない、記憶をなくしたくないと思う気持ちが痛いほどに伝わり涙なしでは読めません。
    個人的には娘の結婚式あたりからがもうやばかったです。
    自分にも子供がいるのでその存在を忘れていくなんて、忘れていた事に気づいた時には絶望で自分自身を許せなくなるんじゃないかと思いました。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.20

  • kitaura69

    kitaura69

    ひやひやしながら読みました。主人公よりも一回り年長ですが、これから人生でこのような病気なるかも知れません。この小説を読むことで、少し予習になった気がします。

    投稿日:2024.03.17

  • 蔵

    読んでいて結末がどうなるか予想はしてましたがやはり残酷な結末でしたがあの場所に奥さんが居たのは現実なんでしょうね、現実ならドラマのような描写ですが最後にこの物語が引き締まった印象を受けます。
    追記
    もその後を考えるとやはり残酷な病気ですね続きを読む

    投稿日:2024.03.13

  • ERI.

    ERI.

    できていたはずのことが少しずつできなくなっていく…読んでいてとても辛かった。
    でも読んでよかった。
    だいぶ昔に読んだけどまた読みたいと思える本。いつか再読しよう。

    投稿日:2024.03.11

  • unico0321

    unico0321

    アルツハイマー患者本人の目線で描かれたもので、なかなかの恐怖とともに、凄く考えさせられた。物忘れが激しい状態では到底務まらないような仕事をメモ書きとシステム手帳で必死に乗り切ろうとするのがもうハラハラだった。
    偽り、取り繕ろううちに親しい人達との距離が離れていく。日記がおかしかったり会話の内容がちぐはぐだったりすると読んでいるこちらも、取り残されたような恐怖を感じる。戸惑う会話の相手の目が怖い。そしてやはり痴呆をいいように利用した裏切りもあるんだなと思った。でも実は、ちゃんとエールを送っている人達がほとんどで、途中何度も目頭が熱くなった。
    娘の結婚出産という大イベントが加勢してか、主人公が常に気を張り、自省して、激昂したり疑ったり責めたりしまいと努力しているところが素晴らしいと思った。
    枝実子さんも気を張り詰めて娘と旦那のことで倒れやしまいかと心配だったが、最後の大冒険では穏やかに寄り添い、またまたホロリときた。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.21

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