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酉島伝法 / 東京創元社 (30件のレビュー)
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総合評価:
sabachthani?
6
造語の嵐と奇妙な生物たちの先には王道のエンタメが‥
とにかく独特の造語と奇妙な生物たちのオンパレードで、文体に慣れるまでは「何だこれは!」という感じでした。しかし、各話のテーマがわかってみると意外と王道のストーリー展開で、ブラック企業の社員の悲哀であっ…たり、ヤク中探偵のハードボイルド物だったりします。その王道のストーリーを独特な世界で想像しながら読むのはちょっとクセになりそうです。 途中で挫折してしまうようなら、先に大森氏の解説を読んでしまうのもアリでしょう。続きを読む
投稿日:2013.12.30
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janjan
明らかにブラックなのに、なぜか会社を愛してしまう...
表題作の皆勤の徒が、好きです。 想像を絶する劣悪な環境で働かされているのですが、熟練した技、理不尽な上司を、なぜか愛してしまう感じは奇妙なリアリティがあります。 始めは造語に面食らいますが、慣れると逆…に異形世界に没入し易くなってきます。むせ返るような臭いが伝わってくる、大変貴重な読書体験です。続きを読む
投稿日:2014.04.16
nom-nom
異質注意!
これは異質! 作者はイラストも描けるという事ですが、読む側は相当な想像力が必要です。 SFとして読みはじめましたが、途中で脱落しそうになりました。 但し、絶対に解説/あとがきを先に読んではいけません!
投稿日:2014.04.19
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ボマルツォ
「奏で手のヌフレツン」に続いて、作者の作品を遡ってみたくなり読んでみた。4つの短編からなり、表題作の「皆勤の徒」は、第2回創元SF短編賞受賞を受賞したのも納得の独自の世界観が構築されている。「奏で手の…〜」で慣れたとはいえ、漢字の当て字が基本となる言葉遊びに溢れた文体は、求められる読む労力が高いので、あまり意味を考えずにビジュアルとして捉えて流し読むくらいが疲れなくていい。3つ目の作品までは、登場するのが異形な生物だらけでかなりグロい描写が連続するので、想像力豊かで昆虫や爬虫類や軟体系が嫌いな方は受け付けられないだろう。 4つ目の「百々似(ももんじ)隊商」だけは現代風?な人類ぽい人々が登場し、かなり一般的な文章で、それまでの難解とも言える3作品のプロローグ的なわかりやすい導入支援作品となっている(と思う)ので、4つ目から読むというのもありかもしれない。が、いづれにせよ、すべてを理解しようとせず、まずは刹那を楽しむのがよいと思う。続きを読む
投稿日:2024.02.17
solala06
表紙は違うようですが、収録されている全ての挿絵を酉島先生ご自身が描かれているという事実にまず震撼 す、すごい…… 造語に次ぐ造語の嵐に、不可思議な漢字の羅列を目にしているだけで小宇宙にどっぷり浸かるか…のよう… 凄い脳内の人だ……続きを読む
投稿日:2021.01.04
kirimisakana
このレビューはネタバレを含みます
解説読むまで何事がバックボーンで進行しているのか、類推しかできませんでした。 密度の高い、パリンプセストのようなお話。 日本語でしか味わえない重層意味の用語多数のうえ、主観者がゆらぐため、読者(読める者)を選ぶ。 「なんも考えずに、作家の書いた文字列をそのまま再構築してそこで得られる情景を楽しめる」タイプの本ではない。 かような理由で読者を選ぶ。 選ぶのですが、読む技能が相応にあると、色々考えながら再読、再再読するのが、大変なのに楽しくなる一冊。 ですので星5つ。 話の筋をあらかた理解したうえで読みなおすと、異種の異種っぷりが気持ちいいくらい地の文に浸透してるのです。「肘にふれる」とか。 ももんじ可愛いよももんじ。もふり回したい。
投稿日:2015.11.15
libra
世界を本当に描写しようとするとおそらくこれだけじゃ物足りないだろう。理解しようとすることすら放棄される。 本当はシンプルな構成を一度崩し、著者の世界で再構成されているので、この物語は、皆が書くように本…当に人を選ぶ、というか忍耐がいる。あまり読み方はおすすめしないけど、 おそらくこの本にすると、解説から読むと良いかもしれない。ネタバレしても十分に面白い。というか大局観をつかめないと、途中で投げ出してしまうだろう。 ある意味、多様性という概念が存在しなくなり、その分、わたしという存在や、名前、所属がより重要になるということを全く違う世界において表現し、差別と区別の違いを理解しようとすればするほど強く感じる。 僕にとってこの本はSFの体裁をとっているが新しい純文学の扉を開いて閉じてしまったような感覚だった。 それほど読むのに力がいるが、吸い込まれ、没頭できず、反芻し、消化しきれず、あるがままを受け入れることしかできないような物語だった。続きを読む
投稿日:2015.09.28
マッピー
いやあ、大変でした。 永久に読み終わらない…違った、永久に読み終われないのではないかと思いました。 そのくらい大変な読書、久しぶりです。 まず、一つ一つの言葉がわからない。 作者の創り出した言葉の意…味を考えるのにかなり時間を取られました。 それから、わからない言葉と言葉で創られている文章の意味を考え、文章のイメージを脳内に再生させ(うえ~)、最終的には何が書かれているのかが判明するまでに1日半かかりました。 50ページほどの一編を読むのに、です。 “ 序章 銀河深淵に凝(こご)った膠着円盤の安定周期軌道上に、巨(おお)しく透曇(とうどん)な球體(きゅうたい)をなす千万(ちよろず)の胞人(ほうじん)が密集し、群都をなしていた。その犇(ひし)めきのなか、直径一万株を超える瓢(ひさご)形の連結胞人、〈禦〉(ぎょ)と〈闍〉(じゃ)の威容があった。互いを呑み込もうと媒収(ばいしゅう)をはじめて幾星霜(いくせいそう)、不自然な均衡を保つ二者の組織内部において、数多(あまた)の惑星の生物標本より詞配(しはい)された隷重類(れいちょうるい)たちが、各々(おのおの)属する胞人規範に基づいて働き、落命と出生を繰り返しつつ多元的な生態系を組み上げていた。” どうです? 言葉の意味を咀嚼し、文章の意味を咀嚼し、で、つまりどういうこと? この一連の流れにえらく時間がかかるのです。 しかし、努力は報われる(時もある)のです。 ・皆勤の徒 ・洞(うつお)の街 ・泥海(なずみ)の浮き城 ・百々似(ももんじ)隊商 読みにくい文章を読んで、読んで、読み進んでいくほど、読みやすくはなってきます。 今の人類とは似ても似つかぬ、無定形生物を“人間”とする世界。 全てが無定形であり、有機的であるその世界は、今から遙か遙か遠い未来の世界。 そして、作品が進むごとに、今の人類に近くなっていきます。 時間が遡ることで、徐々にその世界の成り立ちがわかるようになっていると思われます。 断定できるほどにはわかっていないので、あくまで推論ですが。 読むのに時間がかかるのにはもう一つ理由があります。 わたくし、手足のないもの、またはむやみやたらに手足の数の多いものが苦手なのですが、この作品にはそういうものしか出てきません。(うえ~) 脳内イメージの再生を止めるべく敢然と立ちあがるのですが、漏れ出てくる、ぞよぞよとして、みろ~んとして、ぬちゃりとしたあれこれ。 ほとんど擬音語や擬態語が使われていないにもかかわらず、全体に漂う空気の水分含有量が皮膚感覚として伝わってくるようです。 “老婆が添え物のような腹尻(はらじり)をぶらつかせながら、菌糸の浸潤したか細い六本の手で、飛び出した臓物を拾い集め、わたしの割れた胴体の器に収めていく。だが寄生虫まで戻すので唸り声で訴えた。 「これにだって大事な役割、あります、棄てたら、命、ありません」” 理解の難しい言葉や文章の、表面上の難解を取り除いたら、意外とストーリーは単純かもしれない。 皆勤の徒→ブラック企業に勤めるサラリーマン小説 洞の街→ビターな青春小説 泥海の浮き城→ハードボイルド 百々似隊商→始まりの章 これが一冊の本になると、あら不思議。 生き延びること。命をつなぐことの業。 再生される記憶。共有される記憶。 コピーに継ぐコピーはもはや原形をとどめない。 それは進化なのか、劣化なのか。 全体を通して見た時に、これは真っ当なSFど真中の作品であったことがわかりました。 苦労して読んだ分、読み終わってからいろいろ考えることも多く、結果、存分に楽しむことができました。 ああ、投げ出さなくてよかった。続きを読む
投稿日:2015.05.20
はんぺん
天才的なSF小説。本書は、短編小説4編からなる単行本だ。各短編の世界観はつながっており、冒頭や話の合間に挿入される断章も世界設定の説明をする役割を果たしている。 一度読んだだけでは、その全貌が把握でき…ないほどに情報量が多い。そして、通常の我々の語彙で書かれていないため(著者の造語が多用されている)、最初慣れないと読みづらい。 しかし、第4編まで読み進めていくと壮大なSF小説だということが明らかになる。 ねちょねちょぐちゃぐちゃした気持ちの悪い世界の描写が続くので、読者を選ぶ小説だとは思うが、何度読んでも楽しめる小説だ。 わかりやすい解説が最後につけてあるので、それを読んでから本編を読むのもありかもしれない。 簡単に内容をかいつまむと、表題作である『皆勤の徒』は、アメーバ型生物の「社長」にこき使われ、臓物を作り続ける「製臓会社」の最悪の労働環境で働く主人公を描いた作品。 『洞の街』は、空から定期的に異形の生物が降り注ぐ漏斗型の街での物語。 『泥海の浮き城』の主人公は昆虫人間。彼は泥の海を周回する巨大な貝に居住している。この貝の中を舞台とした考古学ミステリー風の物語。 最後の『百々似隊商』は形が定まらない荒涼とした世界が舞台だ。そこで「百々似」と呼ばれる生物を引き連れ、各集落を点々と行き来する職業の人間に焦点を当てた作品(しかし、現代風の世界の話も挿入されており、その荒涼とした世界の成立過程が次第に明らかとなる)。 この本を読んで思ったのだが、きっとSFと仏教は相性が良い。続きを読む
投稿日:2015.05.10
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