【感想】ヒッグス粒子の謎

浅井祥仁 / 祥伝社新書
(19件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
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9
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0
  • 真空はからっぽじゃない

    宇宙は美しい数式で表せる。が観測するとその美しさである「対称性」で説明できない事象がある。そこで「対称性の破れ」という考えを導入することでミクロの世界を数式で表すことができるようになった。その最後のピースが「ヒッグス粒子」。まあ完璧な数式で表せるはずの世界(理論)が現実に起こっていることを見る(観測)とそうなっていないので一旦式を崩して現実に合わせてみました的な話。(間違ってたらごめんなさい。) 

    とくかく本書だけで内容を理解するのは難しい。かなり簡易に説明しようとしているが、一般人から見た場合に「一般相対性理論」と「量子力学」が相性が悪いと言われてもこの2つが何物なのかよくわかっていないとついていけない。「自発的対称性の破れ」を倒れる鉛筆で示した南部陽一郎博士の発見についてもさらっと説明しているのでやはりこの辺の基礎知識はそもそも必要になる。その意味ではNHKBSで再放送していた「神の数式 完全版」を合わせて観ると補完されて非常によくわかるようになるのでオススメです。しかし真空が「クォークペア」でびっしりと埋まっているのには驚いたなあ。
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    投稿日:2014.01.20

  • 加速機すごい!素粒子なんとも不思議で未来的

    もうすっかりわすれていたがまた読んだ。3回目か
    、やっぱり素晴らしい。素粒子や宇宙の解説に関して詳細でこの上ない。ところで2回目のレビューがしょぼく申し訳なく感じる。
    -------
    2回目読んだ。
    反粒子が時間を遡っているから、ある時点で急に粒子、反粒子がペアで現れたり、消えたりするというのが非常に興味深い。
    素人考えだが、時間の流れ自体もヒッグス粒子または同等の粒子によってもたらされたと考えるのが良いと思った。元々時間は流れてなかったけどある粒子または場によって時間が正方向に流れ出した。時間が正方向に流れたから正の粒子が大多数となり反粒子が少なくなった。光速では時間の流れが限りなく0だから、ヒッグス粒子の登場で重くなって光速より遅くなって時間が流れ出した。または、何かしら未知の粒子、場の登場によって時間が流してヒッグス粒子が力を持つようになってきた。と考えても良さそう。...あくまで素人考えです。こんないろんな想像を膨らませつつ読めるところがこの本の良いところだと思います。
    -------
    そんな凡人の考えは置いておいて、本の中で特に分からないのは、素粒子が光速より遅くなると見る方向によってスピンの向きが変わることになるので、真空は忙しく働いてやり取りして矛盾が無いように調整しているという部分の仕組みがよく分からなかった。しかし凡人でもちゃんと読めば分かるように解説してあるのが素晴らしい。ヒッグス粒子が見つかるとその近くに余剰次元が見つかるかもというのが期待させる。
    -------
    ヒッグス粒子のことが知りたくて安い本を探してました。お試し版ではあまり魅力感じなかったのだけど期待に多いに反して結果は大満足です。
    まず、加速機のことが良く分かったのがよかったです。具体的な写真付きで、原理や動作の仕組みなど良面白かったです。
    そして素粒子、なんとも不思議でわからないなりに分かりました。
    時々挟まる豆知識も面白くためになる感じでした。
    後半は宇宙の話になり、ヒッグス粒子のことをもう少し教えてほしい感じもするのですが、
    この値段でこんな素敵な科学技術書が読めることに感謝です。
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    投稿日:2017.06.11

ブクログレビュー

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  • koyama1026

    koyama1026

    12.9.27 NOT FOUND

    本書「ヒッグス粒子の謎」は、CERNの中の人、厳密にはCERNに出向している日本の実験物理学者が著したタイトルどおりの一冊。

    ポイントは、著者が実験物理学者であるというところにある。

    404 Blog Not Found:何人たりとも斥けぬ力 - 書評 - 重力とは何か
    本書の主題「重力とは何か」に書かれた本は多い。世界一有名な物理学者アインシュタインの主業績ということもあり、レッドオーシャンどころか赤方偏移が進んで2.7Kになりそうなほど。その中であえて飾りっけゼロのタイトルを持って来たところに、著者と編集者の自信が伺える
    このとおり、理論物理学者の手による物理入門は少なくない。「重力とは何か」しかり、「宇宙は何でできているのか」しかり。佐藤勝彦のように出す本が片っ端から名著になりすぎてかえって単著を取り上げにくい人までいるし、南部陽一郎のようにすら著者リストに連なる。

    しかし数において圧倒的に多いはずの実験物理学者による一般入門書となると、ぐっと少なくなる。「ニュートリノ天体物理学入門」ぐらいではなかろうか。サイレント・マジョリティー。まるでニュートリノではないか。

    そのニュートリノは、重力と弱い力にのみ反応する。だからなかなか見えない。しかしこの弱い力ほど、近年の物理学者たちを魅了してきた相互作用もない。著者は言う。「本当は『重い相互作用』と言うべきです」と。

    本書は、読者にその「重い相互作用」の重さを実感させるためにある。実際四つの相互作用のうちゲージ粒子に重さがあるのは「重い相互作用」だけだし、粒子の世界において「重い」は「なかなかお目にかかれない」を意味し、そしてヒッグス粒子は「重さ」という概念そのものの根幹を成す粒子である。

    そのなかなかお目にかかれない重い粒子を覗くための装置、LHCは世界で最も重い科学装置でもある。なぜそれほど大きく重い必要があるのか。その大きく重い装置を成立させるのに一体どれほどの人々が関わっているのか。本書は、彼らの血と汗と涙の臭いがする。物理(physics)とはこれほど肉体的(physical)なものだったのか…

    しかし悲しいかな、多くの人々の血と汗と涙が関わっているということは、個々の人物に焦点を当てにくいということでもある。それを最も端的に示しているのが、ノーベル賞の受賞パターン。もう圧倒的に「理高実下」。アインシュタインが受賞してエディントンが受賞せず(まあ受賞対象は一般相対論ではなかったけど)、李政道と楊振寧が受賞して呉健雄が受賞せず…小柴やルビアのような例もあるけれど、これも関わっている人数が多すぎるにも関わらず、平和賞を除いて団体受賞が用意されていないため「代表」に渡したという意味合いが強い。こんなぼやきが出るのも当然だ。

    私の友人にも、「もし、このヒッグスに関連して受賞することになっても約8000万円、それらをヒッグス等、理論の人と実験側で分け、さらにCERNでこの研究に携わった科学者は数千人単位だから、ひとりあたりいくら…と一晩の飲み代にもならないな…」などと気の早いことを言っている人がいます。
    ノーベルが悪い。

    とはいえ、別に彼らはノーベル賞が欲しくてこの稼業に取り組んでいるわけではない。いや稼業というにはあまりに儲からない。LHCの建造費用は3800億円。ノーベル賞など棟上式のおひねりにもならない。余談であるが、LHCの前にはSSCという計画があって、その見積もりは7000億円(とあるけど、それは今が円高だからで、当時は「一兆円」だった)。結局お取り潰しにあって物理学者たちはクビになり、クビなった物理学者たちの就職先が金融工学で、彼らの編み出したクォンツがその後のITバブルとリーマンショックの遠因になったのだとか…

    本書にはそんなこぼれ話がいくつも出てきて、それだけでも別の本が一冊書けそうなのだけど、本筋に戻って、一体何が彼らを突き動かすのか?そしてなぜ彼ら実験物理学者を、それ以外の市井の我々は後押しすべきなのか。

    そう。実験物理学者にもなれない、市井の我々。税金を通して彼らを支えている以上、我々もまた無関係ではない。本書はその意味で説明責任の書でもある。いや、説明責任といったけれども、こんなわかりやすくて面白い報告書はない。「ブラウン管も加速器」「素粒子はウソつき」「陽子一個がショウジョウバエ一匹」…これほど物理本で抱腹絶倒したことはありませんでした。責任を持つ=be responsibleというのは、重いけど実は楽しいことでもあるんだよね。

    弱き実験物理学者たちの本当の重さと楽しさをを、ぜひその手で。

    Dan the Weak Force of the Cyberspace
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    投稿日:2019.05.31

  • inu-no-mimi

    inu-no-mimi

    ヒッグス場は質量の起源であり、多様な宇宙の源であるという魅力的な触れ込みに惹かれる。難しすぎる世界をかつてないほどわかりやすく書いてくれていて、”加速器は巨大な顕微鏡のようなもの””ヒッグス場(群衆)の中に現れた人気者(素粒子)は歩くスピードが遅くなるから質量が生じたように見える”など、おおっ!なるほど!!と思った。が、やっぱり難しくてわからない・・・笑続きを読む

    投稿日:2018.10.18

  • prigt23

    prigt23

    量子力学というわけのわからない世界、そのわけのわからなさを理解してみたいというニーズに応えるうちの一冊。
    「慣れれば良い」との考えのもと、色々と手当たり次第に読んでいますが、この本はヒッグス粒子に的を絞ってあり、物理学との違いについても解説してあって少し受け入れることができました。
    なぜぐるりと見渡すと360°なのか、との問いに、光のスピンがそうだから、と簡潔に回答する姿勢が素晴らしい。
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    投稿日:2018.01.22

  • だい

    だい

    物質に重さ(質量)を与える素粒子である。
    その概念がわかりやすく説明されており理解しやすい。
    CERNでの研究の内容も、意義も良く分かる。

    様々な理論は統一されて、発展しており、相対性理論と量子論の統一ができることを期待されている(らしい)。

    エネルギーと質量は等価である。E=mc^2
    自然界の4つの力:重力、電磁気力、強い力、弱い力
    素粒子には17種類 (だんだん分からなくなる)
    真空は「空っぽ」ではない (イメージがわかず理解不能)
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    投稿日:2014.08.21

  • ykamo

    ykamo

    素粒子理論の最先端にあるヒッグス粒子とは何か、素粒子の標準モデル、LHCの話、ビッグバンの話とか、てんこ盛り。残念ながら、僕の理解は中途半端に終わり、モヤモヤ感が残った。何回も読めばわかるとも思えないんですけど、著者のせいなのか、元々僕には難し過ぎるのか...。続きを読む

    投稿日:2014.05.03

  • ottersho

    ottersho

    ヒッグス粒子については、この本をよんでも理解できなかった。
    そもそも量子力学ってどうしてあんなにわけがわからないのか。
    素粒子がとんでもなく小さいものということはわかった。
    「ヒッグス場とヒッグス粒子」とか、「自発的対称性の破れ」なんかになると、頭が理解することを放棄してしまう。
    でも、とにかくすごい発見らしいぞ。
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    投稿日:2013.12.30

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