【感想】人民は弱し 官吏は強し

星新一 / 新潮文庫
(47件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
15
15
12
2
0
  • (ロボットのような)官僚批判

    星新一の基本テーマの一つに
    官僚批判がある。

    父の星一さんが起こした
    星製薬株式会社が
    官僚とのいざこざで
    つぶされた記憶が原動力。
    詳しくは
    星新一のこの本を読むべし。

    本作を読んだうえで、他の新一作品を読むと、

    「公務員(官僚)」が一般民衆をコントロールする力と不具合を
    「ロボット」というシンボルで表わされているテーマと気づくだろう。
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    投稿日:2013.09.26

  • 少年達、こういう大人に憧れろ

     描かれるのは、星新一の偉大なる父、星一。

     一は、夢と理想があって、実現できる力があって、友人も多くて、行動者で、そして、挑戦者だった。先見の明があり、破格の夢を見て、大いに闘った。

     読むと、人間、安全な道を選んで生きてもしょうがないな、と思う。思わされる。何らかの炎が宿る。何か「新しいこと」をやってみなくちゃ。

     あと、ちょっとお役人が嫌いになったりした。
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    投稿日:2013.09.27

  • 負けない生き方

    話は明治から大正。
    星一さんの理想を追い求める生き方、バイタリティに煽られるように読みました。
    当時は今とは比べる事の出来ないくらい激動の時代だったのだなと改めて思いました。
    経済・政局に絡む政治家、官僚は当時よりも進歩しているのかどうなのか。
    色々なことを考えさせてくれる、今の時勢にぴったりの本ではないでしょうか。
    老いても、若ければなおさら生きることに前向きになれる気がします。
    この本を出版されたことは凄いことだと思います。
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    投稿日:2013.12.11

  • 胸を張って生きる

    官吏……を辞書で引くと「明治憲法下、国家によって選任され、国家に忠順をつくすもの」などとある。忠順とは、忠実で従順なこと。本書に登場する「官吏」は、まさにその通りの人達だ。
    官吏を敵に回すということは、国家と戦うのと同じで、勝ち目があるはずもない。しかし本書の主人公・星一は、堂々と戦い続けるのである。周囲を恨まず、運命を呪わず、己の全能力を挙げて理想の実現、すなわち日本の繁栄、医学界の発展に尽くそうとする。その私欲のない姿には、心を打たれる。勝敗の結末は問題ではない。官吏として忠順に生きるよりも、もっと尊い生き方があると痛感させられる。人生に悩むあらゆる人に、勇気を与えてくれる一冊だと思う。続きを読む

    投稿日:2017.01.12

ブクログレビュー

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  • きゃーみ

    きゃーみ

    明治時代の1人の実業家の栄枯盛衰。
    この本の著者である息子、星新一が誕生し、星一が父としてどんな人だったのかまで綴ってくれたら、こんな後味の悪い終わり方にはならなかったのではないか。
    新一の心持ちが推察できず、もやもやとした余韻が漂う。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.21

  • ミカンミカン

    ミカンミカン

     史実なのかフィクションなのか読み進めるうちに気になってひょいと解説をのぞいてみると、どうもこの作品は星新一さんの父の伝記であるらしいことを知りました。図書館に並ぶ星さんの文庫から偶然手に取った一冊です。神のイタズラですか。今でもきっとある公の強さとその強さの理由がうかがえる良い作品でした。
     ただ星新一さんはやっぱりショートショートがいけてます。
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    投稿日:2023.02.20

  • naosunaya

    naosunaya

    人民は弱し 官吏は強し。

    まず、小説の舞台はあくまで戦前、ということは認識しておきたい。その上で。
    行政、官憲を敵に回してしまうとどれだけ理不尽な目に遭うか。
    そして、敵に回す気はなくとも、新しいことに挑戦しようとすることがどれだけ行政、官憲を警戒させることになるか。

    もちろん、官庁で真面目に働いている人にとって、この本はこの本でかなり一方的な主張をしているように思う点もあるだろう。私も思っている。

    しかし、一人のサラリーマンとして、この本にはいいしれぬある種のリアリティを感じざるを得ないことも事実だ。そして、罪とも言えない罪で報道され、全てを失い、しかし大衆はそれをすぐに忘れてしまう、そんな事件はこれまでも無数に繰り返されてきたはずだ。

    後味の良い本ではない。
    私のように、星新一氏のショートショートを中高時代に貪るように読んだかつての若者、今のおっさんにとっては、ああこういう物語も書いていたのか、という驚きがあるだろう。
    そしてページをめくる手が止まらない圧倒的な読みやすさは長編でも変わらないこと、現代でもまったく色褪せないビジネス論、起業論、人間論が語られていることにも驚くだろう。

    繰り返すが、ここまでの善玉悪玉ぶりをどこまで真実と取るか、バイアスと取るか、これは読者それぞれだ。

    なお、左翼言論人の大物、鶴見俊輔氏の解説がいっこうに要領を得ないことが読後感を下げてしまっている。私は図書館の古い文庫で読んだが、(本編とは異なり)すっかり時代遅れになっているこの解説は、版を重ねる中であるいは別のものに置き換えられているかもしれない。
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    投稿日:2023.01.15

  • yoshi2013

    yoshi2013

    このレビューはネタバレを含みます

    これか事実だとすれば官憲は酷すぎます。この本で描かれている欲しかった一氏は序盤ではとても真っ直ぐで行動力と発想力に長け、優れた実業家として日本の製薬界の発展に寄与できたはずで、医療分野において他国から遅れていると言われている勢力図が変わっていた可能性すら感じます。野口英世やエジソンなどとも交友があったのはすごいですね。始めは私怨であった保健局による星の会社への嫌がらせが、国の保身から星の会社を国をあげて貶めることとなり、物語の序盤から始まった営業妨害が最後まで続き、とても鬱になります。序盤て感じた偉人伝記的な本ではなく子孫による仕返し告白小説となっています。
    今もこのようなことが行われかねないと想像するとゾッとします。
    本書の中では独身のままであった星一氏にはこのあと結婚して子供となる作者が生まれる授かるはずですがその気配がまったくないです。
    作者の父親がこんな才能があり、苦労人だったこと、作者がショートショート以外にこんな作品を書いていたことに驚きました。
    救いがない内容の本書、あまり人におすすめ出来る本ではありませんが、怒りを溜め込みたい方は読んでください。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.09.10

  • yunayuna

    yunayuna

    このレビューはネタバレを含みます

    読後、決していい気分にはなりません。
    今は当時より政治腐敗は少ないであろうかとは思いますが、官吏というものは数年ごとに役職が変わるものであり、“多忙のため“引き継ぎもずさんに行われている現状があるかと思います。

    その上、本作では、当時の日本の発展に尽力し、新しい薬剤等の自給自足等苦慮した主人公。
    それを、政府方とズブズブの関係にある日本の製薬会社にあの手この手で、行政の権力を持って剥奪されていくものです。

    主人公の無念さが心に染みてなりません。
    国家権力による、1個人への虐待のお話です。

    残念ながら下っ端の公務員は上層部の意図を知らされず動きます。

    正論をかます主人公に、政府高官はいい顔をしません。
    そして主人公に対する悪意が芽生えていきます。

    なんともやるせない気持ち。
    誠に“日本の発展“を望むのであれば、合理的には主人公の事業を積極的に応援すればいいはず。

    やるせないです。

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    投稿日:2021.08.25

  • のんびりゆったり

    のんびりゆったり

    潔癖で実直な素晴らしいアイデアマンであり実業家の主人公にこんな理不尽なことが起こるなんて、全くやるせない、憤りを感じる。このようなことが起こらない世の中であることを強く望む。

    投稿日:2020.12.12

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