【感想】満願(新潮文庫)

米澤穂信 / 新潮文庫
(623件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
165
274
134
14
1
  • みんなが絶賛するわけが分かった!

    古典部シリーズしか知らなかったので、著者が書く「人間の心の闇」には度肝を抜かれました。
    しかもシリーズものでない短編なので全部が関係のない場面。
    様々な場面での深い闇には著者の考える力に感服するほかありません。
    犯人捜しの定番ミステリーではなく、犯人の動機を考える新ミステリーと言えます。
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    投稿日:2018.02.01

  • 私が一番好きな話は。。。。

     6編の短篇集なのですが、流石ですね。一つ一つの話は短いながらも読みごたえがあり、充実した感じでした。
     中でも私が一番好きなのは「関守」かな。語り手が殺されてしまう話はよくある手法かもしれませんし、途中から結末が見えてくる気もしますが、危ないぞ?大丈夫か?なんて感情移入してしまいました。人里離れた、滅多に人が来ないような峠の茶屋でおこる話は、如何にもありそうな感じで怖いですね。他の皆さんが絶賛している「万灯」もスゴイのですが、私には海外赴任の経験がありませんのでね。
     人は誰もが心に闇を抱えているのでしょう。それは誰にも知られてはいけないことなのです。きっと。
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    投稿日:2023.12.03

ブクログレビュー

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  • 朝田

    朝田

    6篇の短編集で、400ページ弱あるが飽きずに読むことができた。とにかく面白くてサクサク読めました!
    それぞれいろんなテーマのバラエティに富んだ6作だった。

    殺人の動機には犯人のいろいろな感情や出来事が織り交ざっていて、真髄は周りの人間には到底理解できるものではないのだと感じた。周りの人間がこうではないか、おそらく動機はそれではないかと色々詮索したところで、それはただの憶測であり無駄なことなのかもしれない。
    全ての話において、読者を含め主人公が推理していたことが覆され、殺人をした本当の動機を後から知らさせることになりました。
    罪を犯してしまった犯人の思いが、切なく描写されていてなんだか同情してしまいそうな作品もあった。
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    投稿日:2024.04.16

  • wakaritsu

    wakaritsu

    初めてイヤミスというジャンルを読んだ。読む前は何でわざわざ嫌な気分にならないといけないんだと思っていたけど、確かに後味は悪いが、話に引き込まれて楽しめた。個人的には夜警、関守、万灯が好みだった。柘榴はちょっとエグくてきつかった。続きを読む

    投稿日:2024.04.10

  • Naoty

    Naoty

    短編なのにどの作品もとても丁寧で、話の中にすぐに引き込まれる。

    一度引き込まれたら抜け出せなくなり、先が気になってまた読んでしまう。
    終盤は「ここまで読んだらもう離さないぞ!」と言わんばかりのつかみ方で、読んだ後までゾゾッとさせる。
    米澤さんの本は初めて読んだけど、引き込ませる力がとても強いと感じた。

    星5ではないのは、自分の好きなミステリーではなかったため。
    館のクローズドサークルがやっぱり好きなので、今度は『インシテミル』を読みたい。

    米澤作品を読んだきっかけは、綾辻行人さんの『時計館の殺人』の解説を米澤さんが書かれていてとても共感したので。
    Audibleにて。
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    投稿日:2024.04.08

  • 星月夜

    星月夜

    短編集として非常に優秀な作品。どれもテイストが違うミステリとなっており、それぞれ異なる楽しみ方が出来る。ただ殆どが湿っぽいイヤミスになっており、個人的にはそれほど好きではなかった。

    投稿日:2024.04.05

  • まっちゃん

    まっちゃん

    「満願」と言う題名、四国八十八ヶ所回る事を満願とも言うが、少しスピリチュアルな香りがする。6つの短編で構成されているようだ。
    さて、内容はどうか、ページを開いてみた。

    新人の小心ものの巡査のとる行動とエゴに対し、上司の柳岡巡査部長の葛藤が描かれた「夜景」。どんな職場でも適材適所はある。
    証券会社社員の私と大学職員の佐和子、佐和子のエゴに脅威を感じる「死人宿」。遺書が誰のものか?ありそうにないことも起こり得る。
    皆川さおりは大学のゼミで知り合った佐原成海と結婚するが・・・娘の夕子の異常さに慄く「柘榴」
    バングラデシュで天然ガス開発に携わる伊丹、そして森下の仕事と人の命の天秤、そして犯罪を犯した者への制裁は・・・「万灯」
    フリーライターの俺が都市伝説の仕事を請け負う。取材に行ったドライブイン店主のばあさんから話を聞く構成の「関守」

    表題作の「満願」、弁護士を目指す藤井が下宿していた先の大家が、鵜川夫妻。畳屋を営む夫の重治は評判が悪く借金、肝硬変で入院してからは、金貸の矢場英司は妻の妙子に取り立てする。そして事件は起こる。その弁護を弁護士になった藤井が担当する。真実はひとつ。動機も明快だ。しかし、人の奥底に眠る思いの冷酷さが最も伝わってきた作品だった。

    各作品とも登場人物のエゴに焦点を当てている。そしてその思いを成就させるプロセスを上手く描いている。各章の題名もよく練られている。ミステリー、ホラーの範疇ではなく、人の心の奥底を抉る秀逸な作品だった。
    (注)四国巡礼はどこにもない。
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    投稿日:2024.04.04

  • とぅー

    とぅー

    このレビューはネタバレを含みます

    全六編の短編小説が全て違った方向で書かれたミステリー作品である。これは先日読んだ『真実の10メートル手前』と似たような方式であったが、『真実の10メートル手前』では同じ主人公が別々の話に登場すると言う形だったが、本書は本当に全く異なる作品が6つという形だった。
    よくもこんな短い文章の中で心をざわざわさせるストーリーが描けるのかとただただ感心した。
    全六編のうち私が1番好きだったのは「柘榴」である。
    ある男を巡る女の争いを描いたものであったが、なんとも言えない気持ち悪さが残ったのである。続きを描こうと思えば、いくらでも書くことは出来たと思うが、敢えてあの書き方で終わらせる所に米澤さんの凄さが詰め込まれていると思った。
    「関守」もブラックジョーク的な謎解きをしているうちに罠に嵌っていくストーリー性が秀逸だった。
    星を1つ下げたのが、私の理解力が少ないのかもしれないが、本のタイトルになっていた「満願」が1番後残りが多い感じがして、モヤモヤのまま終わってしまった点である。
    ここは様々な解説サイトも見てみようと思う。

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    投稿日:2024.03.27

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