【感想】帰ってきたヒトラー 上

ティムール・ヴェルメシュ, 森内薫 / 河出文庫
(59件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
13
25
11
1
2
  • ヨーロッパの優等生たる現代ドイツもこの男にかかれば形無し

    風刺や批判の毒を盛り込みながら、歴史上の人物をまったくあり得ないシチュエーションに再現するパロディ小説の手本のような作品。

    壁の落書きやテレビ(なんと総統はテレビに向かって、話の進展について文句を言いまたあとで必ず戻ると約束したりする!)にいちいち「なんということだ」と驚きながらも、ヨーロッパの優等生たる現代ドイツもこの男にかかれば形無しである。

    散歩中に犬の糞を拾う行為はどう考えても彼にとって奇行だし、「現在のドイツ人は民族の分別に比べ、ゴミの分別はずっと正確に行っている」という嘆息は切実であるだけ滑稽だ。

    意外にも現代の政党では『緑の党』に親近感を覚えており、小説とはいえいい迷惑だろうなと同情も。

    「最高の人材ほど早く死ぬ」という彼の信念は、第二の人生においてその正しさが証明されたようだが、現代に生きてる我々はなんなんだ..。
    まぁ、いい人ほど早く亡くなるのは彼だけの実感ではないが...。
    続きを読む

    投稿日:2016.06.11

  • ヒトラーが現代の社会問題を斬る!

    タブー視されているヒトラーを現代に持ってくるという設定自体が面白い。
    本人はいたって真面目に振る舞っているのだが、周囲はそっくりさんの芸風だと勘違いして、逆に大うけするというギャップ感がたまらない。
    現代にタイムスリップしてあたふたすると思いきや、わりとすんなりと現実を受け入れ、インターネットやスマホを駆使してしまう。
    テレビ番組や新聞、欧州連合に至るまでヒトラーの目線から見た現代社会に対する痛烈な批判が次々と繰り出されるが、それがわりと真面目な内容で、むしろ現代人の方がヒトラーに笑われているみたいだ。
    続きを読む

    投稿日:2017.02.12

ブクログレビュー

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  • よしひで

    よしひで

    ヒトラーが現代に蘇ったファンタジー。いろいろとユーモアたっぷりで、史実を知っていたらより楽しめるのだろう。パターンが同じ感じになってきて、下巻の途中でやめている。

    投稿日:2024.03.11

  • qy

    qy

     ヒトラー?あの、アドルフ・ヒトラー!!スリラーかと思いきや、そうでない。現代社会で浦島太郎のような体験をしているようです。現代社会をもし、ヒトラーが体験したとしたら?
     私から、一言二言。電車で読まないほうがいいかもしれません。ヒトラーの皮肉センス、鋭くて笑えました。続きを読む

    投稿日:2024.02.19

  • Dull_hours

    Dull_hours

    2011年の世界の、ドイツの常識を1945年のナチスドイツの常識で解釈しようとすることによって起こる齟齬、みたいな下りが繰り返されるのだけど、自分の世界史や2010年頃のドイツに対する知識が足りないせいで面白さが分かりきれていないのが何とももどかしい。
    現代に復活したヒトラーの奮闘ぶりに思わずソートー頑張れ!なんて無邪気に思ってしまうので、ナチズムとかホロコーストとか改めて調べてバランスを取らないと
    続きを読む

    投稿日:2024.02.06

  • 生活委員会

    生活委員会

    ヒトラーが現代にきたらどうなるのかをコミカルに描く。

    ヒトラーにざっくりとした知識しかない私だったが、詳しく知っていたらもっと面白いのだろうなぁと読みながら感じた。

    戦争をしていた時代と現代との価値観によるギャップと、その中でヒトラーの持つ価値観を通していくという内容が面白い。

    読み進める中で自分というものについて、改めて価値観を考えてしまった。
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    投稿日:2023.05.20

  • ツカチヨ

    ツカチヨ

    現代にヒトラーが降臨。
    茶化してよいのか、笑って良いのか。史実すらも信用ならないヒトラー像。
    コミカルな展開に導かれるがまま上巻終了。
    帰ってきたヒトラーはインターネットの世界に足を踏み入れることに…

    下巻へ。
    続きを読む

    投稿日:2023.02.25

  • hosinotuki

    hosinotuki

    現代にひょっこり現れたヒットラー。何かのパフォーマンスと思う人々の勘違いをそのままにテレビの寵児になっていく。その演説内容は意外と府に落ちるところもあって、噛み合わない会話が機能している面白さ。ただドイツの歴史にもう少し詳しければもっと楽しめただろう。続きを読む

    投稿日:2022.05.12

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