【感想】首都消失

小松左京 / 徳間文庫
(2件のレビュー)

総合評価:

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  • 今の時代だからこそ現実味が有る

    小松SFの中では映画化もされた有名作で、シミュレーション物。日本という国が東京という首都機能を失ったらどうなるのか?を真面目に描いている。SFの体裁は取っているので突如現れた謎の雲の正体や原因を突き止めようとする動きはあるものの、やはり話のメインは機能不全に陥った国の建て直しを如何に行うかに重きが置かれている。冷戦時代に書かれた作品なので核による首都攻撃を想定していたのではとも思うが、3・11を経験した今の時代だからこそ逆に現実味が有る。

    その為、日本沈没の様なパニック物を想像して読むと肩すかしを食らうのでご注意を。また個人視点での話の展開は余り無いので物語的なカタルシスは期待しない方が良いでしょう。あくまでも広義の意味でのシミュレーション小説です。

    実は作者は本作を書く前に「物体O」という短編を書いておりコレも同じく突如現れた謎の物体に日本の中心域が囲まれ連絡が取れなくなるという話。ただしこちらは物体の内側(閉じ込められた人々の自活の話)がメインの話でオチは結構シュールというかコメディ的?。本作を読むのなら話のネタに読んでみては。
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    投稿日:2016.03.19

  • 突拍子ない、突き抜けた設定のSF大賞作品

    あるひ突然、首都圏が消える。地震とか津波とか、占領とかそんなよくある設定ではありません。直径60キロ(16号線内側全部くらい)、高さ千メートルの正体不明な巨大な“雲”に覆われて、人も電波も空気でさえも行き来できなくなるって、そんな設定アリですか?最初の100ページくらいでグっと魂を掴まれました。ただ、その後はSFというよりこのような緊急災害時の政治パワーゲーム的な要素が強いですね。内閣も、官僚機構も、放送・出版も、大学も企業の本社も首都圏に集中していた日本の中枢機能や人材が一瞬にしてなくなったら、残された日本は誰がどうマネジメントすべきか、的な政治シミュレーションです。リアルではありますが、SFっぽい雲の謎解きを期待して読んだので、少々肩すかしを食った感はあります。続きを読む

    投稿日:2016.04.25

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