【感想】陋巷に在り1―儒の巻―(新潮文庫)

酒見賢一 / 新潮文庫
(24件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
9
10
4
0
0
  • 魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。いったい主人公は誰なのだろう?

    パッと見ると、むずかしそうな本。でも、そこは「後宮小説」で楽しい中華ファンタジーを描いたの酒見さん。読みやすいし、孔子、顔回、子路、子貢など、教科書の漢文でお世話になったキャラクターがでてきます。政権争い、呪術戦とおどろおどろしそうなのですが、コミカルな感じがあります。
    主人公は顔回。がんばれ顔回。孔子の迫力に小説を乗っ取られるなー!
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    投稿日:2014.08.11

  • うれしい、また読める

    私が酒見賢一という作家を知ったのは1996年のこと。平井和正さんが「月光魔術團」という小説のあとがきでその年に亡くなられた大藪春彦さんの思い出を書いていた。かつて平井和正は自作小説のあとがきで大藪春彦の小説がいかにすごいかを書き綴ったことがあるのだが、自作のあとがきで他の作家を大賞賛するような作家は空前絶後だろうと思っていたら編集者に酒見賢一さんという作家の存在を教えられたという。すごく変な気持ち、うれしいんだけどどうしたらいいのかわからない、大藪さんもこんな気持ちだったのかなあ。というようなことを書いている。もちろんそれがこの「陋巷に在り」文庫版第1巻のあとがきのことだ。

    興味はあったのだけどその時はそのままで、でも書店で見かけた「陋巷に在り」第1巻の文庫本は思わず購入し、それから15年も経った2011年頃におもむろに読み始めた。で今どきの出版事情ではその頃にはすでに続巻が手に入らなくなっており、図書館で見つけて読破し運よくハードカバー全巻セットの古本も入手できた。この後興味が出て「論語」も読んだ。「陋巷に在り」のおかげで私の心の中には孔子も子路も顔回も生き生きと存在しているので「論語」がとても面白く読めた。2014年にようやく電子書籍になりこの名作を持ち歩けるようになった。すでに読破済の作品であり全巻一気にはなかなか購入できずコツコツと買い揃えている。一生の間にはまた何度も読み返せるだろう。
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    投稿日:2016.02.26

ブクログレビュー

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  • おおきに!(smoneyb)

    おおきに!(smoneyb)

    読書家の友人に勧められて読み始めた。
    題材は面白いが、文体に癖があって読み難いとの挑戦つきで。

    たしかに読み難い。
    通常の書き手であれば、話の腰を折らないように、注釈にするかあとがきに回すであろう細かな事ごとを、本編に剥き出しで差し込んでいく。
    読み手は、否応もなく細かな注釈まで読む事を強いられる。
    内容は中国の壮大な抒情詩になりそうな予感があるので、先を読みたいのだが、このペースが続くとなかなか骨の折れる読書になりそうだ。
    でも、あまり間を開けると話を忘れてしまうので、早々に第二巻に取り掛かりたい。
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    投稿日:2021.12.06

  • ごみつ

    ごみつ

    需は雨請いする下級の巫祝。儒教の儒はその階層から起こったものだから、儒というのだ・・と。サイキックパワー!

    投稿日:2020.04.09

  • 猫町倶楽部 東京文学サロン月曜会

    猫町倶楽部 東京文学サロン月曜会

    聡明で強い呪術の能力を持ちながら、出世の野心なく、貧しい人々の住む陋巷に住み続けた顔回。孔子の最愛の弟子である彼は師に迫る様々な魑魅魍魎や政敵と戦うサイコ・ソルジャーだった……息づまる呪術と呪術の暗闘、政敵陽虎との闘争、影で孔子を護る巫儒の一族。論語に語られた逸話や人物を操りつつ、大胆な発想で謎に包まれた孔子の生涯を描く壮大な歴史長編

    孔子の一番弟子であった「顔回」が、様々な魑魅魍魎と戦うファンタジー要素もあり。
    「論語」や「易経」などの薀蓄もふんだんにあり、歴史小説以上の面白さがあります。

    ちなみに本書は残念ながら絶版になっており、本屋に無い、、、、、、ですが、古本などでは手に入りやすいので、是非。

    酒見賢一の本では『ピュタゴラスの旅』もおすすめです!

    どーでも良いですが、『陋巷に在り』の表紙絵は、知る人ぞ知る「諸星大二郎」が寄稿しています!
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    投稿日:2015.06.08

  • gaaco

    gaaco

    新本で手に入らなくて、古本屋を探して、探して・・・ようやく手に入れた。
    これまで白川静の『孔子伝』などを読んできた。
    祭祀などをしきる「儒」という社会集団から孔子が出たということが書かれていたけれど、正直、なかなか具体的なイメージがわかなかった。
    この本を読んで(無論フィクションも含まれているだろうけれど)どういう存在なのか、もう少しリアルに想像できるようになった。
    晏子との行き違いや、陽虎、子貢などの人物像なども、なんだか、きっとそんな風だったのかも、と思わされてしまった。

    まだこの巻では顔回のすごさは、それほど描かれていない。
    どうなっていくのだろう。
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    投稿日:2014.08.21

  • kmm53646

    kmm53646

    最初の感想としては、とにかく読みにくい。
    話があっちにいったり、こっちにいったりし過ぎだし、小説の中に当時の社会状況等の解説が頻繁に出てきて話がややこしいし、仕方がないとは言えやたらに難しい言葉(漢字)が出てくるしで、とにかく読みにくいこと甚だしいという感じです。
    でも、そういった点を補って余りあるほどに物語が面白い。孔子の弟子の顔回を中心にしたお話ですが、呪術を使った闘いあり、政治的な虚虚実実の駆け引きあり、顔回と自称許嫁の少女とのとぼけたやり取り等々、物語の世界に引き込まれてしまいました。
    13巻で完結らしいので、まだまだ先は長いですが、読み進めていくのが楽しみです。
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    投稿日:2012.09.30

  • ピッピ

    ピッピ

    この小説は10年ほど前に初めて読み始めました。全13巻をすべて読破したのですが、最近になってまた読みたくなり再読しています。

    孔子の弟子の顔回子淵がこの小説の主人公。孔子に「賢なるかな回や。一簞の食、一瓢の飲、陋巷に在り。人は其の憂いに堪えず。回や其の楽しみを改めず。賢なるかや回や。」と、高く評価された人物。孔子の儒学の一番の後継者でしたが夭折してしまいました。しかし、その間特に功績があったわけではないといいます。それなのに何故?と作者自身この小説の冒頭でその疑問を語っています。
    酒見さんの小説は独特な雰囲気をもっています。ファンタジーといわれる分野がお得意のようですが、この小説も歴史物とだけ言えない要素が多分に含まれています。
    20歳前の顔回は文字通り陋巷に暮らしているのですが、巫儒の一族(祖先の霊魂を扱う)として生得の才能を持っています。
    この巻では、その彼が礼を広めようとする孔子に魅せられて弟子入りするまでを書いているのですが、途中、その時代の背景は勿論のこと、作者の意見というか解説が相当な分量を占めています。
    以前読んだ時は、筋を追うのに夢中で多分に読み飛ばしていただろう現代の日本に残る喪礼(葬礼)の儀式の解説など、今回はじっくり読んだので余禄も楽しむことができました。勿論、今後は敵対する勢力への顔回の特殊能力の発揮場面が一番期待するところです。
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    投稿日:2012.04.19

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