【感想】なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践

ロバート・キーガン, リサ・ラスコウ・レイヒー, 池村千秋 / 英治出版
(62件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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23
12
3
0
  • 必要があるとわかっていても変われない理由。それは自分を守ろうとする無意識の自分。

    多くの方は変わらなければいけない、または変わりたい、と本気で思っていても、実際には変わることができるのは少数。必要だとわかっていても、85%の人が行動すら起こさない。
    それはなぜなのか。
    それを、事例をあげながら丁寧に説明すると同時に、それを克服するためのステップを提示してくれる本です。

    マネジメントなど、組織・人を動かす立場にいる方や、そういった立場を目指す方にとってはもちろん、変わりたいと本気で思っている方には、すごく参考になる、新しい発見のある本田と思います。

    この本で書かれているのは、その原因は、「自己免疫機能」という自分を守ろうする意識が働くから。
    変わるためのアクセルを踏む(変わりたいと本気で思っている)と同時に、ブレーキも同時に踏む(別の理由で変わりたくないとも思っている)という状況が、無意識下で起こっている状況。
    この無意識下というのが非常にやっかいで、自分が持っている固定観念や、こだわり、プライドが、表面化しているため、なかなか気づくことができない。
    これを免疫マップというワークを通じて、自分で自分を認識し、徐々にそこから解放されていく過程を紹介。そして、これは組織においても同じです。

    個人的には、これに本当に納得で、読みながら、自分の触れられたくない部分を、ぐりぐりいじられているような、辛い気持ちになりました。なかなか本を読んでこのような気持ちになる経験は少なく、それだけ真正面から人のずるさや、本能に向き合った本なのではないかと思っています。
    もう少し早くこの本に出会いたかったと本気で思える本です。
    実践までは、少し時間がかかりそうですが・・・。
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    投稿日:2017.03.21

ブクログレビュー

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  • とおる

    とおる

    「学習する組織」に続けて読むべき本。免疫機能という表現を使っているが、なぜ変われないかを良くえぐっていると思う。ここに書かれていることは理解できるが、実践するのは相当の覚悟と努力が必要。

    投稿日:2023.04.16

  • Naruki Chigira

    Naruki Chigira

    本書の原題は『Immunity to Change - How to Overcome It and Unlock the Potential in Yourself and Your Organization』であり、直訳すれば『変化に対する免疫 - どのようにしてあなた自身やあなたの組織の免疫を乗り越え、潜在的な能力を引き出すか』といった内容になるだろう。
    本書は根本的に方法論であり、Why には答えていないので意図的であれ相当なミスリードだと感じる。とはいえ、題の和訳は内容には影響を与えないので、レビューの点数には勘定していない。

    本書の主なコンテンツは、人が行動を変えるために用いられる「免疫マップ」と呼ばれるフレームワークであり、免疫マップは

    1. 改善目標:もっとこうなりたいという願望
    2. 阻害行動:改善目標を阻害している行動
    3. 裏の目標:阻害行動をしてしまう本当の理由
    4. 強力な固定観念:裏の目標を求めてしまう、自分が本当に正しいと感じている固定観念

    を要素とする。人や組織のポテンシャルは改善目標と裏の目標が拮抗することにより抑圧されており、固定観念を自認して行動を変えることによって、ポテンシャルを解放することを目指すフレームワークである。

    話は理解できるしたしかに有用だろうと感じるが、冒頭では著者の学会への敵対心が見て取れる。

    > 私たちが自分たちの研究結果を発表しはじめたのは、一九八〇年代。...権威ある学会のパネルディスカッションで同席した脳科学者たちは、侮蔑を込めたほほ笑みを浮かべたものだった。「長期の聞き取り調査によってそのような推論を導けるとお考えなのでしょうが」と。...(Kindle版 p.25 より)

    つまり、議論が客観的な判断に基づいているわけではないという自覚をしている。さらに、強力な固定観念の真実性については以下のように書いている。

    > 実際には、私たちの自己認識と世界認識は一つの仮説にすぎない。それは真実の場合もあれば、そうでない場合もある。そのような仮説をあたかも確定的な真実であるかのように扱えば、それは強力な固定観念になる。(Kindle版 p.377 より)

    これはフレームワークの中で扱う内容が事実だろうが事実でなかろうが、本人の行動を変えるために役立つのであれば活用すべきだと言っている。さらに「対象者が大卒中流層に偏っていることは事実(Kindle版 p.77 より)」とも書いている。

    この態度はマズローが『人間性の心理学』の冒頭で書いていた「科学的な方法のみによって正当性が判断されるべきではなく、病人以外にも心理学の門戸を開いていくべきだ(表現はうろ覚え)」に通じるものがあり、自己啓発やコンサルティングのツールとしては有用な場合もあるだろうしおもしろいと感じた。
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    投稿日:2023.04.09

  • a0019447

    a0019447

    このレビューはネタバレを含みます

    当該観点については非常に思うところがあり、手に取った本。
    知性の話に始まり、とても幅広く研究解釈されている名著
    自己変容型知性と仕事能力との相関関係性は強く共感
    深い洞察が多く盛り込まれている。
    組織と人の変革に関するバイブル的名著

    メモ
    ・自分を変えられない人は7人に6人
    ・人は何歳になっても世界を認識する方法を変えられる可能性
    ・月並みなリーダーと傑出したリーダーの違い、それはチーム全体の能力を高められるかどうか
    ・大人の知性の三段階
     環境順応型知性 周囲に合わせる、忠実、順応する
     自己主導型知性 環境を客観把握し内的判断基準に基づき、判断選択する。自身の価値観に基づく自我。
     自己変容型知性 自身の価値基準の限界を検討できる。システム秩序の不完全性を理解。矛盾や反対を受け入れられる。複数システムの保持を考えられる。矛盾を統合しつつ自我を形成する

    ・変革を実現できないのは二つの相反する目標の両方を本気で達成したいから。人間は矛盾が服を着て歩いているようなもの
    強力な阻害行動の裏の目標を明らかにする必要がある
    ・問題は同じでも本当の動機は人それぞれ

    ・裏の目標に加え、強力な固定観念の存在
     この真偽を試す行動をとれれば、固定観念修正の道が大きく開ける

    ・権限移譲できない人の例
      裏の目標 他人に依存せず万能でありたい、自己犠牲の持ち主でありたい、問題の解決策を見出したい
      固定観念 頼って上手くできなければ自尊心を失う、自分を最優先させると薄っぺらで自分が嫌いなタイプに、課題できないと価値がなくなってしまう 給料泥棒になりたくない

    ・変わるために必要な三つの要素
      心の底 変革を起こすやる気の源
      頭脳とハート 思考と感情の両方に働きかける
      手 思考と行動を同時に変える

    ・自己変革成功者の共通要因
      思考様式と行動の両方を変えることに成功
      思考と感情を鋭く観察し、結果を情報として活用したこと
      明確な意図を持って行動し、データに基づいた基本認識をつくり新たな力と評価基準を獲得したこと
    ・免疫マップ
     一枠 改善目標
      自分にとって重要なものであること
      周りの誰かにとっても重要であること
      目標達成のために自分自身の努力が必要だと認識できていること
     二枠 阻害行動
      目標達成の足を引っ張るもの
      要素多く、率直なほど免疫マップの診断効果高まる
     三枠 裏の目標
      二枠の反対行動を取った際の不安を考える。  
      不愉快な感情が生まれないか?感情を引っ張り出す。不安ボックスに書き込んでみる
      第一枠と衝突する裏の目標の候補を明らかにする
      自己防衛という目的との関わりが明確なものであるはず。裏の目標達成のために阻害行動が重要な役割を果たしているもの。
     四枠 強力な固定観念
      裏の目標の根底にありそうな固定観念。
      事実だと確信しているもの
      裏の目標の少なくとも一つを必然的な生み出すもの

    ・序盤 舞台を作る
      免疫マップを練り上げる
      事前調査を行う 周りに意見を聞く
     中盤 掘り下げる
      目標への道のりを作成する  
      自己観察をおこなう いつ固定観念は猛威をふるうか。覆す機会はないか
      固定観念の履歴書をつくる、検証する
     終盤 学習の成果を定着させる
      事後調査をおこなう まわりにきく
      落とし穴と脱出ルートを発見する

    ・発達思考の姿勢
     大人になっても成長できるという前提にたつ
     組織学習を業務と完全に切り離したものとしない
     自分を成長させる良い問題に取り組んでいるか
     感情が重要な役割になっていることを理解する
     考え方と行動のどちらも変えるべきと理解する
     メンバーにとって安全な場を用意する

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    投稿日:2023.03.19

  • keyakishibuya

    keyakishibuya

    べらぼうに面白い!心が湧き立つネ!
    通常の読書とは別に,教科書として,読み直しながら実践してみようと思う…いや,実践する!

    投稿日:2023.03.13

  • (S&U)

    (S&U)

    職場の上司に勧められた1冊。
    この手の本は、自分自身の人生を振り返りつつ、読むのが大切だと考えます。
    個人的な解釈を交えつつ、内容紹介に移ります。

    〇「知性」とは?
    ⇒自分自身の価値基準の限界を理解しつつ、複数のシステムを場面毎に使い分け、批判を受け入れる能力
    〇不安管理システム(裏の目標)を理解
    ⇒人は不安を避ける生き物であり、自身の不安管理システムを緩やかにする
    〇人間の「知性」を高めるために必要なのは「適度の葛藤」
    ⇒挫折を味わうこと且つ適度な支援を受けることが重要

    総括すると、①人の話をよく聞き、②日々振り返り、③3歩進んで2歩下がる・・かな?
    当たり前の大切さに気付く(体系的に理解する)ために、この手の本は需要がある気がしました!
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    投稿日:2022.12.08

  • e1416

    e1416

    免疫マップは、なかなか目的を達成できない人にはドキっとするフレームワークだと思う。
    本にはたくさんの免疫マップ例が紹介されている。大切なのは、一番最後に書かれた7つの「リーダーはどのように道を示すべきか」。人が変われないのにイライラするのではなくて、時間がかかることも変われない悔しさも受け入れられると一緒に歩いていけそう。続きを読む

    投稿日:2022.01.30

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