機龍警察 未亡旅団

月村了衛 / 単行本
(49件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
22
19
6
0
0
  • 日本を跋扈するチェチェンの魔女たち

    自爆テロという凄まじいオープニングで始まる本作、今回はテロリスト側、特捜部の両視点で物語は進行。チェチェン紛争での語られない実態が引き金となって女だけで構成されたテロ集団「黒い未亡人」の結成に至る前半は圧巻で敵ながら天晴れと応援したくなった。また中盤の由起谷の活躍も取り調べ室で最高潮に達するなど相変わらず警察小説としても手堅く纏めている。そしてテロの最終目的が判明してからの流れは一気呵成に話が流れ出すので最終頁までやめられない。

    またお約束の戦闘シーンは機甲兵装でのバトルだけでなく生身での戦闘シーンも用意されており、堪能できます。地雷や自爆など苛酷な状況が展開しシリーズ一の甚大な被害が出るほどの凄惨な戦い。そして相変わらず暗躍する「敵」もようやく尻尾を出した感じで多少話は進みますが全貌はまだまだこれから。

    しかし前半のチェチェン市民の窮状を読むのはきつかった。あまりにも酷い現実に理想を掲げ崇高な使命を持って生まれた組織がその現実によっていつの間にか歪んでしまうという皮肉、そして本作のテーマでもある「母性」。女性の女の部分と母の部分、そして愛情と憎悪という二面性の間で翻弄される人々。「黒い未亡人」3人のリーダーのキャラがライザ以上に強力で、これだけでも読む価値アリです。

    とにかく最新作が一番面白いという読者にとって幸せなこのシリーズ、次巻も期待しております。
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    投稿日:2014.05.07

ブクログレビュー

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  • のそり

    のそり

    このレビューはネタバレを含みます

    大義や理想を声高に叫ぶ人はたくさんいるけれど、やはり、根っこにあって人間を突き動かすのは人間的な感情、心なんだと思う。『黒い未亡人』が、シーラが感情に流されていなければ、物語の結末は変わっていたのでは。

    城木がどのような道を選ぶのかがとても気になる。ここまでは理性と感情を上手くコントロールしていたように見えるだけに、そのバランスが崩壊してしまったら、どんな行動に出ることやら。
    案外賢く立ち回って、憎まれ役に身をやつしながらも特捜のために陰ながら尽力、みたいな展開があるかもしれないし、先は読めない。

    比べて、宮近はわかりやすい……彼のほうが城木よりもずっと人間らしいやつだったなんて、最初の頃は思いもしなかった。最近は覇気が失われている気がして、ちょっと寂しい気もする。

    ユーリもとても丸くなった……前巻で、彼の魅力は増大したのか半減したのか、判断に苦しむ。彼の心が救われたことは本当に良かったと思っているのだけれど。

    姿のコーヒーネタは一服の清涼剤。そして、ライザや鈴石。彼女らは重苦しいものを抱えているから迂闊にいじれないし、特捜に元気な女性キャラクターがいたらな、と思っていたら、現れたのは31歳のできる女だった。
    桂女子という、絶妙にこちらの劣等感を刺激する登場人物を投入されて、少々たじろいでしまう。

    とにもかくにも、これまでのノリを引き継ぎつつ新しい展開を見せてくれた巻だったので、続編への期待も高まる高まる。

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    投稿日:2020.07.20

  • かっちんやま

    かっちんやま

    この作家は戦争やテロに対する強い思いがあるのだろう。特にこの作品はテロに立ち向かう機龍警察の話で、全編にテロの悲しさが綴られている。
    女性や子供がテロの題材なので余計悲しくなる。

    投稿日:2020.07.11

  • kun92

    kun92

    官僚の愚かさ、政治の怖さ、警察の強さ、世界の恐るべき裏の実態。そういうものに立脚した構成の強さがある。

    今回のテーマはきつかった。

    「敵」が少しずつ見えてくる展開にも先が気になる。

    投稿日:2020.03.12

  • はじめ

    はじめ

    このレビューはネタバレを含みます

    少年兵との戦いは姿、ライザ、由起谷の過去を抉り、オズノフに新たな傷を遺す。

    由起谷と城木の回。
    「荒れていた」由起谷の過去が語られる。カティアへの真摯な態度が印象的で、オズノフ警部が「痩せ犬の七ヶ条」のひとつを授けるほど。
    彼とカティアの物語りは爽やかに終結。

    一方の城木は家族問題が浮上。
    最後の桂絢子評が不気味。

    カティアの過去と現在は読み進めるのが辛かったけど、突入の緊迫感や取り調べの駆け引きには引き込まれて一気に読了。
    毎回だが今回は特に警察官殉職しすぎなんだよな……

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    投稿日:2020.02.02

  • ryokutya87

    ryokutya87

    ほんとこのシリーズ面白い。展開がスピーディーだし、それぞれのキャラが確立されてるし、何より背景の世界観、人生観の描写に魅了されてしまう。今回は由紀谷とカティアの心の交流が軸となり、城木と兄の葛藤、テロリストの輪廻、「敵」の影など、ファン心理をくすぐる要素が満載だった。個人的には朱鷺メッセとか栗の木バイパスとかの地元ネタに狂喜しちゃいました。
    偶然を信じるな。赤い釘。などのワードが印象強く残る。
    いやほんと、このシリーズ面白い。
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    投稿日:2019.10.12

  • inarix

    inarix

    チェチェン紛争で家族を失った女たちだけのテロ組織『黒い未亡人』がゴールデンウィークを控える日本に潜入した。特捜部は公安部と合同で捜査に当たるものの、未成年の少女兵さえ自爆テロを躊躇うことなく、人々を容赦なく巻き込み殺してゆく彼女達の戦法に圧倒されて被害は広がる。
    彼女たちの最終目的は、日本のどこにある――?

    事件のさなか、特捜部の城木理事官は政治家となった実兄・宗方亮太郎にある疑念を抱き、その過去を探る。また、捜査班の由起谷主任は六本木でひとりの外国人少女を半グレ集団から助けた。
    それらの関係が、政府と警察、ふたつの組織を大きく揺るがす奇縁となることとも知らずに。

    燃えるように胸が痛む。胸の中の赤い釘が――。

    終わらない内戦にすべてを奪われてゆく女たちは、なにを憎み、なにを赦すのか。強制された自爆はみずから選んで死にゆく自爆に変わり、けれどその先に天国などありはしない。誰も死なせたくないのに、みんな殺されてゆく。みんな死んでゆく。間違っている。わかっているけれど、後戻りなど、もはやできるはずもない。
    実在のテロ組織『黒い未亡人』を通してストーリーは膨らむ。決して日本人は理解できないであろう複雑な内戦の悲劇と、翻弄された女たちの母性と愛憎を描くシリーズ第4弾。

    これだけ一般人と警察官がガンガン死ぬ小説も他にない感じで、そこが容赦なくって好きなところなんだけど。時々くじけます。

    今作は城木理事官と由起谷主任の過去に焦点が当たる。そうして徐々に敵の正体が垣間見えてくる章でもある。沖津警視長にちょっと引っかかることろがあったんだけどどうだろう?
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    投稿日:2019.07.16

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