【感想】ハイドゥナン1

藤崎慎吾 / ハヤカワ文庫JA
(5件のレビュー)

総合評価:

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  • すっかり海洋冒険作家になった藤崎慎吾の長編SF。

    本作では「日本沈没」に出てきたプレートテクトニクス理論がさらに進化した理論になっており面白い。作者はサイエンスライターをしていたのでこの辺りの難しい理論を平易に語るのがさすがにうまく文章が読みやすいのであっという間に1巻終了。まだ何も起こっていませんがこれからの天変地異ぷりが楽しみです。

    あと読んでみて驚いたのが他の藤崎作品の人物が登場している事。最初はまったく気づかなかったのですが作中で語られる昔話が過去読んだ「蛍女」という作品内容とかぶっていたのでわかりました。本作に何故その人物が登場するのかは本巻ではわからないのですが2巻以降に語られる「ISEIC理論」に深くかかわって来ます。

    実はこの「ISEIC理論」、簡単に言ってしまうとアニミズムをベースにした考え方でありこれを納得できるかできないかでこの作品の評価は大きく分かれると思うのですが、私の場合は前日譚を扱った「蛍女」を読んでいたせいか割とすんなりと入ることができました。似非科学と真科学を行ったりきたりする2巻を面白く読めたならあとは一気呵成に最後まで読めるでしょう。
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    投稿日:2013.11.16

  • まさに、平成の「日本沈没」(オカルト入っていますが)

    昭和の時代に、故小松左京氏は新書上下二巻で日本を沈めてしまいました。もちろん、主眼が沈没そのものにはなく、天変地異に直面した日本人にあるのは明らかですが、ハイドゥナンを読んで第一に思ったのが、小松左京氏は実にあっさりと日本を沈めたものだという点です。最新のプレートテクニクス理論を持ってすると、琉球を沈めるだけでも、実はこれだけ手続きが必要だったのです。ただ、読み応えから行けば、まさに平成の「日本沈没」にふさわしい内容だったと思います。
    SFパニック小説として読むこともできますが、焦点は、日本の誇るマッドサイエンティストたちが琉球の人たちと協力していかに琉球を救うかにありますが、残念ながら、完全に人間が持っている科学だけで沈没を防ぐことができませんで、かなりオカルトが入っていることは否めないと思います。読み物としては面白い部類に入ると思いますので、小松左京版「日本沈没」のようなハードSFさにこだわらなくても許容できるSF読みでしたら、実におすすめだと思います。
    私は、どうしても、このオカルトの部分が最後まで気になりました。で、☆一つ減点。
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    投稿日:2015.03.08

ブクログレビュー

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  • ntashima

    ntashima

    この前読んだ『サウスバウンド』が西表島を舞台としていたので、同じ八重山諸島繋がりで与那国島が舞台となる本書を読む。大学院で海洋・河口部環境学を専攻した著者の作品だけに、あの『日本沈没』を凌ぐハード海洋SFを期待して読み始めたのだが、なんかオカルトと言うか、スピリチュアルな出だしに戸惑う。ハズレかな?と思いながら読み続けると、なんと木星の衛星エウロパに話が飛ぶ。名作『2010年宇宙の旅』の世界だ。こちらの話は正に望み通りのガチ・ハードな内容。最後に出ました!与那国が世界に誇る謎の海底遺跡(地形?)。〈続く〉


    西表島を舞台にした奥田英朗の『サウスバウンド』が思いの外良かったので、今度は同じ八重山諸島に属する与那国島が出てくるらしい本書を読むことにする。こちらは全4巻のSF巨編。二十一世紀版『日本沈没(小松左京)』とも呼ばれているらしい。

    ゆなぐにぬなさぎ いくとばどなさぎ ぬてぬあるあいや とやいしやびら(どぅなんすんか)

    与那国の情 言い交わした言葉が情 命ある間は たよりいたしませう (池間栄三訳)  2012年10月18日
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    投稿日:2012.10.18

  • keets

    keets

    このレビューはネタバレを含みます

    本作にはいろんなテーマが含まれているが、SFと言うよりも神話的なファンタジーと見る向きもあるかもしれない。タ イトルの響きで何となく沖縄方面をイメージした方は鋭い。本作の舞台は目の前がもう台湾と言う最果ての与那国島。

    小松左京先生の日本沈没とダブる イメージもあるが、そこは最新の深海探査テクノロジーによってきっちり描かれている。藤崎作品でおなじみの南方教授も登場。。物語は静かに始まりやがてクライマックスに向かってまっしぐらに怒濤の進行を見せる。ISEIC理論については賛否両論あろうがストーリーにはきちんとなじんでると思う。

    むろんハードSFを狙った作品ではないのは作者も計算通りであろうし、物語としての壮大さと完成度を優先したのであろう。ここらあたりが飛浩隆作品とは明確に異なる部分で、独自の世界観の完結にこだわり抜いている飛浩隆も良いが、科学的背景はきっちりと抑えつつもエンターテイナーとしての読み物をファンに与えてくれる藤崎の魅力もどちらも捨てがたい。

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    投稿日:2011.03.19

  • さすらいのエンジニア

    さすらいのエンジニア

    コンセプト、ディテールもとてもよく出来ています、できれば福井 晴敏の様な
    アクション描写があれば素晴らしい作品になるかと思います。

    投稿日:2008.08.24

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