象られた力

飛浩隆 / ハヤカワ文庫JA
(57件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
16
16
14
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  • 伝説の作家、飛浩隆の初期SF作品集。

    五感を刺激する作家である。眼に見えないものを表現してみ(魅)せるのがうまい。「象られた力」では、視覚。「デュオ」では、聴覚。「夜と泥の」では、そのすべて。という具合に感覚的でイメージを喚起するシンプルな言葉が散りばめられており、読んでいるとこちらが苦しくなってくるような緊張感がある。かなり推敲して書いているように思えるほど、言葉の1つ1つが際立っており非常に稀有な作家である。
    ただ、「デュオ」以外は、何かシリーズ物の途中の話を1つ読んだという感じで達成感がないというのが正直な印象。物語も難解だしね(というか感覚的)。グラン・ヴァカンスもそうだったのだが、謎が謎のまま残されており、読書感が良いという人とそうでない人に分かれるかと思う。私は、本作では後者でなにかすっきりしない気持ちになってしまった。

    寡作な作家であるだけに貴重な初期作品、SF好きなら読んで損なし。
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    投稿日:2013.11.15

  • 2-3回読まないと、腹落ちしない気がする

    日本SF対象を受賞している「傑作集」とのことなので、読まなきゃ!と思ってチャレンジした。一読では「ちょっと難解」というのが率直な感想。4編それぞれが独立した世界を描く無関係の作品なので、1つでも自分なりに楽しめたらラッキーという思いで読んだが、いずれも腹落ち感は微妙。一方、それぞれの短編は100ページくらいしかないのに、その中で4編それぞれの世界観の広がりや緻密さを表現しきっているのが見事だと感じる。個人的には表題の「象られた力」の設定が一番好みで、言葉や記号が人間の深奥の何かのスイッチになるという世界は、川又千秋の「幻詩狩り」とかテッド・チャンの「あなたの人生の物語」を思い出しながら読んだ(これらの作品は読みやすいし、シンプルに面白いです)。通して美術館で作品を味わっているような感じで、ある意味「この良さが分からないのは、自分が未熟なのかも」というような気にちょっとさせられた。続きを読む

    投稿日:2014.12.08

ブクログレビュー

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  • サイトム

    サイトム

    表題作だけ読んだ。芳醇といえば聞こえはいいが、ナイーブで虚弱な感じがする。まあ、一種の文化SFで紋章文化というものを描いている。感動はない。

    投稿日:2019.07.08

  • kzmhara

    kzmhara

    シャム双生児として生まれた天才的ピアニストを題材にした「デュオ」や、絵や文字ではなく形・デザインが持つ力の可能性を説いた表題作など惹きつけられる設定の短編が収められた作品。だけど、オチがどれもピンと来ないものが多かったかな…。個人的にはそこまではまれなかった。続きを読む

    投稿日:2019.02.17

  • popcherry

    popcherry

    『知る人ぞ知る』とか、『伝説の』とかが頭につく作家。
    どういう経緯で知ったんだったか……思い出せないけど、シリーズものがドはまりで、それを執筆するまでの作品が読みたくて借りた。
    この収録作を最後に10年のブランクを経て、わたしが続きを熱望しているシリーズが発売された。
    やはり、すごい。
    文章で、これほど視覚的に訴えてくるSFははほかにない。
    続きを読む

    投稿日:2019.02.07

  • chroju

    chroju

    このレビューはネタバレを含みます

    面白かった。読んでいる途中で書かれた年を知って少し驚いた。

    デュオ>象られた力>夜と泥の>呪界のほとりで、の順に好き。『デュオ』がすごく読ませる。切なさと恐ろしさが同居した読み心地。設定的にはSFなのだが、偉大なピアニストを殺すべきなのかという葛藤、殺しても死なない「名無し」の行く末、誰が死に、誰が生きるのかという展開の妙が面白い。この文学的なSFこそ本邦のSFの持ち味だと個人的には思う。

    『象られた力』はもっとSFへの振り幅が大きいが、破壊や破滅の正体がSF的設定を紐解く中で徐々に明らかにされていく、という仕掛け自体は『デュオ』に似たホラーな感触がある。図形が人間の持つ本来の能力のみならず、なぜ超能力的な力まで呼び覚ますことができたのか、そのあたりの解説が無く腑に落ちた感じがしないのが惜しい。

    『夜と泥の』は彼のテラフォーミングを題材にした世界観を彩る掌編と言うところか。描写の美しさに舌を巻く。『呪界のほとりで』は安易な役割語(『象られた力』でも見られるが)で話す老人に入れ込みにくく、全体的に読みづらかった。

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    投稿日:2018.12.28

  • imemuy

    imemuy

    日本SFの本を探していれば必ず目に入る題名なので。
    思ったよりも昔(1980〜1990年代)に書かれたもの。

    最初は目新しい単語と色彩で置き換えただけのSF短編集か、と思っていましたが、後半は全くそんなことなく。社会の仕組みや人間の根本を改変するSFではなく、宇宙の見方、人の感じ方と空気を変える着想と描写に力強さを感じました。
    「夜と泥の」「象られた力」が素晴らしい。
    宇宙に咀嚼され消化される人類、人工生物によって永遠に引き起こされる神話。視覚言語と、形に詰まったエネルギー、崩壊の文様。図形と形に満ち溢れている世界はなんて力に満ちているのだろう。満ち溢れている力に気づき感じとり、圧倒された。圧倒的な力の存在に気づいた。
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    投稿日:2018.11.02

  • kmiyamur0615

    kmiyamur0615

    初めて読んだ飛先生作品。
    静かで不思議で美しいSF小説短編集。
    例えると、広く暗い宇宙の片隅でいつかあった誰かの人生の一部を物語として切り取ってきたという短編が連なっている。なぜ?という質問には決して答えない。そこが逆に素晴らしい。あるがままの状況を切り取ってきて、物語として仕上げた、いわばフォークソングのような物語たち。続きを読む

    投稿日:2018.08.25

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