終わらざる夏 上

浅田次郎 / 集英社文庫
(59件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
15
22
11
5
0
  • 終わってほしい夏

    赤紙一つで日常生活から切り離されてしまう不条理からすべての話が始まります。
    送り出す家族の側から、送り出された兵隊の側から。交わうことがないはずのロシア人と日本人の子供たちとの不思議な交流。
    一つ一つの話ががよく出来た短編小説の様に交わりながら大戦の一面を描いていきます。
    少しづつ読み進めることが出来る連作短編集の様です。
    終戦を祈りながら、登場人物の無事を祈りながら読み進める・・・
    登場人物達と交わった読者は誰に怒りをぶつけたらいいのでしょう。
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    投稿日:2014.04.26

  • 大戦末期、『赤紙』から始まるいくつかの意外な物語

    大戦末期の『赤紙』といえば、召集令状。

    赤紙が届くと母は泣き崩れ、周囲は「お国のために!」と万歳三唱で送り出すというイメージだが、そんな単純なものではなかったことを本書は教えてくれる。

    『動員命令』として、何万人の人の命を死地に向かわせる人の思い。それを各県、各地区に割り振る人の思い。そして、その数字を、実際の個人にふりわける人の苦痛。

    そうやって届けられた召集令状を持って、戦地に赴く人々のストーリー。招集年限ギリギリ、45歳で招集を受けた英米文学の翻訳家。若き医学生。そして満州で戦って英雄となりつつも指を失い、乱暴者として故郷に居場所を失った男。

    彼らは出会い、そして敗色濃厚で多くの人が死んで行った南方の戦線ではなく、意外なところに連れて行かれる……。

    これもまた戦争の一面。終らざる夏は、70年近くを経た今なお続いているのかもしれない。
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    投稿日:2013.11.30

  • 複数の登場人物

    昼休みに少しずつ読みました。複数の登場人物視点で物語が進行していきます。壬生義士伝を思い出しました。

    投稿日:2013.12.21

  • 今回も牛読みで・・・

    今回の浅田さんの長編も、いつもの牛読みでたっぷり楽しませて頂きました。 エッ?牛読み? ハイ、そうなんです。一気に読み進みたい気持ちを必死にこらえ、何度も前の章に戻り、様々な伏線を確認し反芻しながらじっくり読み進みます。こうして浅田ワールドにどっぷり浸かる牛読みが私流の楽しみ方です。消化にも良いし・・・。本作もいつもながらそんな牛読みにピッタリの素晴らしい作品でした。続きを読む

    投稿日:2013.10.30

  • なぜ,戦争は起きるのだろう

    戦争,その影で苦しむ多くの国民たちの姿が描かれている。
    赤紙によって徴兵されて,戦地へ行かなければならない人々,その赤紙で人数を集めなければならない軍の徴兵担当者や役場の係。さまざまな立場の人々がさまざまな形の苦しみを抱えていた1945年の夏。当然,歴史は知っているのだけど,読みながら,一刻も早く終戦を迎えてくれと思ってしまう。
    なぜ,戦争は起きるのだろう。
    続きを読む

    投稿日:2013.11.10

  • 戦争の悲惨さと不条理さが

    ぐいぐい伝わってきます。繊細な描写はまさに浅田ワールド全開です。
    ともかく戦争の愚かさについて考えさせられる一冊です。この時代を生きた人の生の声が聞こえてくるようです。

    投稿日:2013.12.01

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ブクログレビュー

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  • mickeymeguj

    mickeymeguj

    1945年、夏。すでに沖縄は陥落し、本土決戦用の大規模な動員計画に、国民は疲弊していた。東京の出版社に勤める翻訳書編集者・片岡直哉は、45歳の兵役年限直前に赤紙を受け取る。何も分からぬまま、同じく召集された医師の菊池、歴戦の軍曹・鬼熊と、片岡は北の地へと向かった。続きを読む

    投稿日:2020.11.15

  • Soma Oishi (大石宗磨)

    Soma Oishi (大石宗磨)

    終わらざる夏 上
    (和書)2011年06月27日 22:01
    浅田 次郎 集英社 2010年7月5日


    佐藤優さんの選書にあったので図書館で借りてみました。上巻だけしか借りられなかったので下巻を借りるのには時間がかかりそうです。続きを読む

    投稿日:2020.09.26

  • shigenobu

    shigenobu

    コロナ緊急事態宣言で巣ごもり状態での読書。
    昭和20年6月下旬、既に敗色濃厚の処から話が始まる。
    これから中、下巻に向かって波乱が起こってくるだろうが、上巻では登場人物の紹介に多くが割かれている。
    惨を予感させるものは、残される者の姿。
    匂いまでを感じさせる描き方に引き込まれる。
    続きを読む

    投稿日:2020.05.05

  • Ghost Rider

    Ghost Rider

    2020年2月26日読了。

    一万円選書から。

    北千島の占守島に向かう、45歳の老頭児、医療専門学校を出た若い医者、そして聞き手の指を二度の出征で失い、老いた母を故郷に一人残す軍曹。

    そして占守島には少年戦車兵とベテラン准尉。続きを読む

    投稿日:2020.02.26

  • windfuku

    windfuku

    終戦まじかの市ヶ谷で大営からの隠密指示で終戦交渉に動きつつありその状況下で各戦地に英語通訳の派遣選定を進める。英語通訳の人選では当時45歳上限の赤紙発行対象に苦学で結婚し1男の子を持つ片岡の元に届く。矛盾を感じながら当時おめでとう!!と言われ言わざる得ない状況。。で戦地に赴く。続きを読む

    投稿日:2019.05.12

  • naosunaya

    naosunaya

    このレビューはネタバレを含みます

    浅田次郎はお約束の「鉄道員」とごく一部の短編集を手に取ったほかはあまりこれまで縁のない作家であったのだが、ほかの多くの人と同様、「終戦後に北方領土に取り残された日本軍がいた」という歴史的背景に興味をひかれて読んでみることになった。

    北方領土どころか当時の日本領の最北端、カムチャッカ半島のすぐ南、占守島(しゅむしゅとう)の日本軍は終戦の8月15日以降にソ連軍の猛攻を受け、これを撃退しながら、最期は武装解除されたらしい。この部隊に様々な背景を持った(多くは招集された一般市民が)集まってくる経緯が小説の多くの部分を占める。

    大本営が策定する何十万人単位の本土決戦計画が各自治体に下達され、県庁、さらには村役場と降りてくる過程で召集令状の宛先となる個人名が特定されていくシーンは綿密な取材を想像させ非常に読ませる。

    また、そうした応召兵だけでなく、満州の精鋭部隊も配置転換されてくる。彼らは行き先を知らされない。(激戦の)南方か北方か、まさかとは思うが本土帰還か。戦車がディーゼル型とガソリン型に分けられ、ガソリン型の隊員が「寒さに強いガソリン部隊は南方はない」とひそかに安どするシーン、港で防寒服を返納する命令がなく兵士たちが喜びにどよめくシーンは胸に迫る。

    同時に作者は東京の留守を守る家族も丁寧に記述する。調布から京王線で新宿に通勤する人がいる。新宿の伊勢丹はにぎわっている。が、変電所を爆撃された京王線は新宿手前での折り返し運転となり、伊勢丹の壁には機銃掃射の跡が残る。このあたりの描写は「ついこの間の非日常」を読み手に強く意識させる。

    物語終盤では、鉄道員さながらのファンタジーめいた展開が「さあここで泣いてください」とばかりに展開し、そういうのはちょっと、という人もいそうだ。というか私もその一人だったのだが、それでも作者の思い、メッセージは強く訴えかけてくる。浅田次郎は集英社の「戦争×文学」の編纂を担っている。「記録」ではない「記憶」を残そうという意思はこの小説にも強く表れているように思う。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2019.01.03

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