【感想】終わらざる夏 上

浅田次郎 / 集英社文庫
(72件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
19
28
14
5
0
  • 終わってほしい夏

    赤紙一つで日常生活から切り離されてしまう不条理からすべての話が始まります。
    送り出す家族の側から、送り出された兵隊の側から。交わうことがないはずのロシア人と日本人の子供たちとの不思議な交流。
    一つ一つの話ががよく出来た短編小説の様に交わりながら大戦の一面を描いていきます。
    少しづつ読み進めることが出来る連作短編集の様です。
    終戦を祈りながら、登場人物の無事を祈りながら読み進める・・・
    登場人物達と交わった読者は誰に怒りをぶつけたらいいのでしょう。
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    投稿日:2014.04.26

  • 大戦末期、『赤紙』から始まるいくつかの意外な物語

    大戦末期の『赤紙』といえば、召集令状。

    赤紙が届くと母は泣き崩れ、周囲は「お国のために!」と万歳三唱で送り出すというイメージだが、そんな単純なものではなかったことを本書は教えてくれる。

    『動員命令』として、何万人の人の命を死地に向かわせる人の思い。それを各県、各地区に割り振る人の思い。そして、その数字を、実際の個人にふりわける人の苦痛。

    そうやって届けられた召集令状を持って、戦地に赴く人々のストーリー。招集年限ギリギリ、45歳で招集を受けた英米文学の翻訳家。若き医学生。そして満州で戦って英雄となりつつも指を失い、乱暴者として故郷に居場所を失った男。

    彼らは出会い、そして敗色濃厚で多くの人が死んで行った南方の戦線ではなく、意外なところに連れて行かれる……。

    これもまた戦争の一面。終らざる夏は、70年近くを経た今なお続いているのかもしれない。
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    投稿日:2013.11.30

  • 複数の登場人物

    昼休みに少しずつ読みました。複数の登場人物視点で物語が進行していきます。壬生義士伝を思い出しました。

    投稿日:2013.12.21

  • 今回も牛読みで・・・

    今回の浅田さんの長編も、いつもの牛読みでたっぷり楽しませて頂きました。 エッ?牛読み? ハイ、そうなんです。一気に読み進みたい気持ちを必死にこらえ、何度も前の章に戻り、様々な伏線を確認し反芻しながらじっくり読み進みます。こうして浅田ワールドにどっぷり浸かる牛読みが私流の楽しみ方です。消化にも良いし・・・。本作もいつもながらそんな牛読みにピッタリの素晴らしい作品でした。続きを読む

    投稿日:2013.10.30

  • なぜ,戦争は起きるのだろう

    戦争,その影で苦しむ多くの国民たちの姿が描かれている。
    赤紙によって徴兵されて,戦地へ行かなければならない人々,その赤紙で人数を集めなければならない軍の徴兵担当者や役場の係。さまざまな立場の人々がさまざまな形の苦しみを抱えていた1945年の夏。当然,歴史は知っているのだけど,読みながら,一刻も早く終戦を迎えてくれと思ってしまう。
    なぜ,戦争は起きるのだろう。
    続きを読む

    投稿日:2013.11.10

  • 戦争の悲惨さと不条理さが

    ぐいぐい伝わってきます。繊細な描写はまさに浅田ワールド全開です。
    ともかく戦争の愚かさについて考えさせられる一冊です。この時代を生きた人の生の声が聞こえてくるようです。

    投稿日:2013.12.01

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ブクログレビュー

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  • ゆうりしぼうさん

    ゆうりしぼうさん

    まず上巻を読みました
    難しい言葉や知らない立場など多く、理解できていないところも多々ありますが、ちょうど終戦直前に赤紙が来たと話していた、いまは亡き祖父を思いながら読みました
    鬼熊軍曹のお母さんへの愛情が涙を誘います
    中巻も楽しみです
    続きを読む

    投稿日:2025.04.26

  • しゅうへい

    しゅうへい

     戦争への激しい怒りが詰まった作品。

     終戦直後の「知られざる戦い」に向けて登場人物たちがその舞台へ集結する。

     理不尽な赤紙。

     見送る者の悲しみ。

     嵐の予感。…

     悲劇が待ち受けていそうな予感をひしひしと漂わせながら、情感溢れる群像劇が繰り広げられ、人間模様の機微に唸った、続きを読む

    投稿日:2024.11.05

  • Minoru Ikuta

    Minoru Ikuta

    終戦の後に、千島の先で、こんな出来事があった事を全く知らなかった。徴兵される誰しもにある人生と家族。敵国にも多様な国籍があり、また家族、人生がある。これらをオーバーラップさせる事により、我々戦争を知らない世代にも情緒的に伝えてくれた。続きを読む

    投稿日:2024.08.20

  • 近藤真弓

    近藤真弓

    大正生まれの人たちが次々と兵隊にとられたんですね。
    たしか、祖父の兄たちが何人もそれで亡くなりました。
    そのとき、曾祖母は何を思ったのか…。

    投稿日:2024.03.24

  • ibarakimaru

    ibarakimaru

    太平洋戦争末期にアリューシャン列島の最先端部である根室から1000キロ、ソ連のカムチャッカ半島先端と目と鼻の先の占守島(シムシュとう)に取り残された戦車部隊の奮闘を描いた作品。ぜひ実写化して欲しい。
    「終わらざる夏」は第11戦車連隊の顛末だけを描いた作品ではない。徴兵された元出版社勤務の45歳の老兵、缶詰工場に送られた女工達、上陸作戦に駆り出されたソ連兵、その後のシベリア強制労働など、さまざまな人の織り成すドラマ。
    第11戦車連隊の兵士の目線と上陸部隊のソ連兵の目線と、両方から語られる。
    心に響いたのはヤクザ者の萬吉が45歳老兵の子供(集団疎開中だが脱走)を助けるシーン。
    浅田次郎は戦争の悲惨さを伝える事に人生を賭けていると感じる。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.08

  • ysano911

    ysano911

    浅田次郎『終わらざる夏』集英社文庫 読了。終戦間際の夏、北千島の占守島で起きた知られざる戦い。盛岡管内における3名の補充要員(英語翻訳者、歴戦の軍曹、帝大医学生)の召集過程が丁寧に描かれる。登場する一人一人にささやかな夢があった。最後に出てきた藁半紙の辿ってきた道程に思い馳せたい。続きを読む

    投稿日:2023.12.09

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