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アーサー・C・クラーク, 酒井昭伸 / ハヤカワ文庫SF (50件のレビュー)
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総合評価:
tatsuyaf
1
ダイアスパーはバルタン星人の元ネタ?
永遠都市・ダイアスパーの設定がすごい。都市住民のほとんどが休眠状態で、一部が活性化して生命活動をしているってバルタン星人の設定に似ている気がする。バルタンが死んでも生き返って見えるのって、別の個体が活…性化してるんじゃないかなぁ〜。 それはさておき、本作は「永遠の子ども」であり「作者の分身」であるアルヴィンの成長と冒険の物語であり、主人公に感情移入してどんどんと読み進められる、成長・冒険譚。 教師、道化師、別都市との交流でできた友人などサブキャラクターも良い。「彼女」との絡みもあるのだが、物語上さほど重要な存在ではない。この辺が自分好みである(笑)。 かつて銀河に進出して一大帝国を築いたものの外敵との戦いで一敗地に塗れて地球に逃げ帰り、永遠都市にひきこもった人類。 現代日本のロスジェネ、NEET、ひきこもりとイメージがだぶった。僕はアルヴィンに感情移入できたが、変化を恐れるダイアスパー住人の方に感情移入できるという読者もいるだろう。多様な読み方が出来るのも本作の魅力だと思う。続きを読む
投稿日:2013.11.09
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K.K
スケールの増大感が圧倒的
10億年に渡って外との接触を断ってきた都市ダイアスパー。 転生によって永遠に生きる人類が住むその都市から, 外界へ飛び出そうとする少年の世界を巻き込む冒険譚。 ミステリー,冒険,深宇宙,あれやこれや…と, 指数関数的に壮大さを増していく展開に引き込まれる。 この話,そんなとこまでいくのかよ!? って。続きを読む
投稿日:2014.10.25
くっちゃね村のねむり姫
タイトルからは想像できないくらい壮大な物語でありました
アーサー・C・クラークの小説を読むと、どれを読んでも現在のSFの元になっているように感じます。この作品は調べてみると1956年に発表されたそうで、その創造力・空想力たるや驚愕ものです。今でこそ、スト…ーリーに描かれている場面を読者である我々は、何となく今まで見てきた映画やドラマをもとに頭の中で描くことができますが、発表当時に読んだ人はどうだったのでしょうか。そんなことさえ感じます。 さてもし、この小説に世界に生きていたら、ダイアスパーとリスのどちらの都市に住みたいでしょうか?人間が不老不死を願ってきたのは紛れもない真実ですが、私はどうかなぁ。それはそれでしんどいような気がしますけどね。 というわけで、タイトルは「都市と星」というものですが、人間の幸せって何?ってところまで問題提起しているような気がしました。さすがはアーサー・C・クラーク。SFを遙かに超えております。続きを読む
投稿日:2023.11.02
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あぱっち
成熟した文明、安定を得た歴史の終わり。人類はその先に何を見るのか。どれだけ文明や社会が進化しようともそこにあるのは、飽き足らずに新しい世界を求め続ける子どもの様な好奇心が人間の人間たりうる条件であった…。続きを読む
投稿日:2024.04.06
アン
不死と引き換えに生殖を捨てた人類、メモリーバンク、ヴァーチャル世界、都市を管理する全能の中央コンピュータ…「SFあるある」の設定が詰まっているが、これが1950年代に出版されたことを思うと改めてクラー…クの偉大さを実感する。個人的には、肉体を持たない宇宙知性、ヴァナモンドの強烈な存在感が印象的だった。クラークの発想は、スケールがあまりにも大きく、荘厳でピュアに精神的な、言ってしまえば霊的なものを強く感じることが多い。そして、美しい。続きを読む
投稿日:2023.10.27
ゴムボール
このレビューはネタバレを含みます
この作品はどれだけパ...影響を与えたのだろう。テクノロジー関係もそうだが、VRゲーム、頭の周りを飛ぶ珍妙な生物、お供のロボット、ニュータイプ、さらに昨今の登山・キャンプブーム、局所的異世界ブームも先取りしており、挙げれば限りがなく驚異的な先見性だ。それにも関わらず、この作品の名をあまり聞かないのは不可解だ。その理由は、わざわざカンニングしたと名乗り出る者がいないのと同じなのではないかと疑っている。多分この作品ひとつで漫画アニメ映画ゲーム小説など1000作品ぐらいはカバーしていると思うので、非常にお得な一冊だ。 70年代ぐらいと予想したが、1956年発表という事実にもビビる。日本では白黒テレビなどが普及してきて、「もはや戦後ではない」などと言ってた時代だ。更に構想はそのずっと前だ。これがメンサ会員の力か。 他に知らないので間違っているかもしれないが、ネタ帳としてもそうだが――そのアイデアの提示の仕方を――漫画的な現代の冒険劇のフォーマット自体を〈目的地を移動してミッションを達成して、謎を解き明かし、次の目標を目指す物語のような〉確立したというのは言い過ぎか。しかも著者は設計図を書いた上に、ネジや釘まで自作して家を建てているようだ。 今でもこの内容のどこかを少し変えてジャンプにでも投稿すれば、絶讃ランキング急上昇に違いない。 もっとハードなものかと思ったら、意外にも硬質感のない平易な文章だった。ただ、翻訳は少し微妙で、もしかすると旧訳の方が良いのでは?という疑念でモヤモヤした。 表現は簡潔でそれぞれの詳細もあまり語らないので、各自勝手に想像するしかない。このシンプルさも、そこにある以上に真似できない理由だろう。 《ダイアスパー》なにやら地方のパチンコ店のような名前だが、この都市はクラウドサーバ、ストレージ、冗長性やデータの復元、インターネット、VRやVX、スパコン、AIなど、まさしく現代のIT・IoT技術に通じている。主人公は都市内において、情報流出を目論むウイルスのようだ。そしてやはりバックドアがあったりする。 てっきりこの都市の機構上で構築していくのかと思いきや、物語はどんどん外へ拡張する。展開はタイトで半分も過ぎてない内に当初の目途が立ち、この先どうするのかと思ったが、かなり斜め上から切り込んで予想外のところにポイントして展開していったので、けっこう先の読めない話だった。 主人公は抗えない初期衝動だけで行動し目的は外に出たいのみで、その先のことは考えない。外に出てすぐ帰りたいと言い出したり、村長もいきなりプレッシャーをかけたり人が悪く、序盤は少し苛々した。 やがて途中手に入れた強力な力で難局を打破し、雄弁を奮い相手を懐柔していく。ここらへんは、やはり異世界チートなんたらみたいな願望達成作品群を思わせる。 途中訪れた惑星には都市環境への重要な指摘があった。 DSP住民は生殖機能がないことから不死と引き換えに絶滅し死んだ存在だとしたが、群体生物のくだりを読んで、考えを改めた。これが生命と呼べるなら、人工知能もやがて生命と呼ぶ日がくるだろう。 完璧に近い都市の快適と安全は、逆に崩壊への恐怖が潜在し、必ずしも安定するわけではないという説明は興味深い。たしかに予測不可能性への耐性がないことは、脆弱性のはずだ。だから都市は必要最低限の犯罪要素を予め設定しているという。この発想は目からうろこだった。 リベラル色が相当強く、特に終盤の展開などは強烈なショックがある。この作風も日本人には相容れない部分だろう。 結論に至る経緯も釈然としないものがあり、プログラムされてたとはいえ、主人公の行動も強迫観念以外いまいち不明瞭だ。そもそもこれは自発的と言えるのだろうか。 取り敢えず、人間本来の性質の追求――愛情や自由が幸福であること――以外は納得する説明は特になかったと思う。 正直ここにはかなりの欺瞞があり、双方が困難であると語っているが、リスの人々は今までとほぼ変わらず全くと言っていいほど影響はない。恩恵もあるだろう。それに比べDSP側の変化は凄まじいものがある。 DSP側は先ず持っている知恵、身体能力精神能力で劣り、非常に不利な条件を突きつけられている。 明らかに種族からして違い、種族間の能力差も大きい完全に異なる文化同士が、切迫した問題も理由もないのに融和するには不安要素が多すぎる。 しかしアルヴィンと中央コンピュータによってDSP民は強制的に変革への道を歩ませられる。 これは30年引きこもった人のところに突然ドカドカ押しかけ、外に引き摺りだして働けと言っているようなもので、そんな酷な話もない。 この革命は双方が高い知能や理性があるという前提条件の元に成立しているが、現実的に考えれば、聖域無き構造改革などと謳って構造自体を破壊した例もあるので、この流れはちょっと受け入れ難かった。上手く行っているのなら手を付けない方が良いこともある。 また、扇動者がDSP住民だということも罪深い。 特異タイプとは謂わば、保守の中から誕生したリベラルのことだった。自分が思うリベラル像はこの作品の主人公アルヴィンだと直感的に思った。 リベラルとは享受されたり習得するものというイメージは間違いだった。 淀みのあるところに必然的に生まれ、理想に向かい、とにかく行動、行動、行動である。 人類社会のデザインを構想し、取り敢えず絵が完成しても満足することはない。 強迫観念はDSP住民だけではなく、アルヴィンも一歩間違うと危険である。 アルヴィンの行動はDSP(リス)の住民が寛容だから許されているのであり、寛容はなにもリベラルだけの資質ではないことが分かる。 DSP住民はプライバシーもあまり無く、その意味では共感性も高いと言える。 更にリスは原始共産制のような共同体で、DSPも資本主義経済ではない。おそらく貨幣も銀行も無いのではないか。 もしこれらの性質を持ち合わせておらず、住人が強固に反発していたら過激な手段に出ていた可能性もある。 最終的にメモリーバンクを破壊する案も示唆しているが、作中にはないこの先の人類の発展模様に凶兆を感じるのは考え過ぎだろうか。 リベラル的経済政策で凋落した国を見ると、寛容のイデアに到達するのは何十億年かけても無理なように思う。あるいは科学や技術がそれを解決するのかもしれないが、現状それも阻まれている。 しかし、そんな心配は主題ではないとするのがリベラルなのだろう。 おそらくこの熾烈なリベラル体質が、いくら換骨奪胎したとしても、後続の作品がなにやらメッセージめいたものを残したまま中途半端に終わる理由であり、あまり語られない理由でもあるかもしれない。アイデアだけごちそうさまです。といったところだろう。 徐々に上昇して高みを目指し、そのピークから滑らかに滑空して着地するラストシークエンスの流れは流石だ。これがクラーク節なのか。 おそらく影響を受けたと思われる星を継ぐ者より高揚感も説得力もあった。まさに宗教だ。 後半は非常にキツイものを投げつけてくるが、停滞したサイクルの連続は同じ話題を何度も繰り返し続ける人のように、安堵感がある一方で成長は期待できない。やはりこれが念頭におくべき正しい道なのだろう。 ロボットが深宇宙へ飛ばさせられたのは哀しかった。 たまにリベラルっぽいことを言ってみたりするが、これを読んで所詮自分は保守的な人間だと分からせられた。これを心から楽しめる人はかなりリベラル度が高く、非常にリベラル力が試される挑戦的な作品である。
投稿日:2023.05.31
トト
もう決して出会うことがない筈だったダイアスパーの人とリスの人という全く異なる成長を遂げた2種属の人たちが、異端である主人公の活躍によって手を取り合うようになるという話。「もしも自分たちの性格や人生が気…づかない内に全て生まれたときから定められていたら」といったことを想像することができて面白かった続きを読む
投稿日:2021.10.30
maru
中盤辺りまでワクワクして読めたが、後半は説明的に過去が語られ、少し残念だった。キャラクターがあまり掘り下げられておらず、作者の背景設定を見せるための存在という感じがした、
投稿日:2021.08.19
一条浩司(ダギナ)
銀河宇宙に進出した人類はその後滅びの道をたどり、地球にただひとつ自己完結型のユートピア都市を建設してその殻に閉じこもった。十億年の停滞を経た後、未知への探究心をおさえられない一人の若者が、ついに外の世…界への扉を開く。 冒頭からVRゲーム?が出てきて面食らった。唯一都市の設定が面白く、人間のデジタル化、千年の寿命、心象の視覚化システム、オンライン通話などなど、これが1956年の小説であることに驚くばかり。地球全土は砂漠化しており、都市の外には何があるのか。主人公に共感して興味がおさえられないまま物語は引っ張られていく。探索の舞台はやがて星々の世界に広がり、人類の精神性とその進化にまで言及される。巨匠の先見性と想像力に度肝を抜かれっぱなしだった。脳みそが拡張されるような感覚を味わえる、とにかくクッソ面白かった一冊。続きを読む
投稿日:2021.07.16
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