【感想】ガリア戦記

カエサル, 近山金次 / 岩波文庫
(47件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
14
12
13
4
0
  • 岩波文庫にこだわる人向け

    カエサルの代表作。ローマ史だけでなく、西洋古代史を見る上で避けて通れない名著……なのですが、いかんせんいささか翻訳が古い。読みにくいというほどではないものの、時々漢字づかいなどが慣れてない人にストレスとなるかもしれません。またカエサルによって著されていない八年目と九年目が省かれて七年目で終わってしまっています。文学的に見ればカエサルの著作という点を重視するのは正しいのでしょうが、史料として考えるとポンペイウスとの決戦を描いた『内乱記』との間に二年間の空白を生じさせてしまっており、不完全と言わざるを得ません。
     岩波書店からは電子化されていないものの、新訳が発行されていますし、電子化されたものであれば、講談社学術文庫版や平凡社ライブラリー版があります。そう考えると岩波文庫にこだわる理由がないのであれば、他の版を読まれるのが良いかと思います。
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    投稿日:2016.06.24

  • 紀行文の名作だが

    古代ローマ史に興味がある人は必読の本。可能であれば原文で読みたい(原文は半分読んで挫折しましたw)。
    内容は極めて面白いのだが、いかんせん翻訳はいまいち。生きた文章として読ませるための本ではなく、ローマ史研究の学術書として本書が書かれているためだろうが、無用に注釈が多く、読み疲れる。第7巻のウエルキンゲトリクス主導の全ガリア反乱が本書の山場なのでここは是非読んで欲しい。続きを読む

    投稿日:2013.10.18

  • もぐらたたき戦記

    共和制ローマ末期の天才的将軍、ユリウス・カエサルが元老院への報告書として書いたもの。
    報告書のわりには読み物として成立しており、カエサルの文才が垣間見られますが、やはり原文ではないので魅力が直に伝わってくるわけではなく、また馴染みのない地名やら人名やらがたくさん出てくるので、前半から中盤にかけては読み進めるのは大変かもしれません。
    が、後半、ウェルキンゲトリクスが登場してからは、好敵手に対してカエサルも気分がのったのか、文章に勢いがでてきます。
    全編を通して、際限なく反乱を起こすガリア人の土地をローマ人達が根気よく統治しようとする様子が描かれ、頭が下がります。
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    投稿日:2013.10.31

  • 固有名詞がちょっとつらい

    ローマ人の物語の塩野七生さん絶讃のガリア戦記を読んで見たのだがそこまで熱中出来なかった。
    巻頭に訳者が「どう見ても古くさい昔の訳文を改め、簡素な原文の体裁をできるだけ生かそうとつとめた。」と有るが、初版は1942年で改版が1964年。やはり言葉遣いがやや古い。
    もう一つは固有名詞が頭に入りにくい。ローマ人の物語では所々地図と進行方向が有りイメージしやすかった。
    写本がいくつかあるとは言うものの2000年前の文書がそのまま残ってるのは凄いことだけど。
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    投稿日:2014.01.01

ブクログレビュー

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  • rarege

    rarege

    戦い、勝ち、裏切られ、また戦い、勝ち、裏切られ・・
    これガリア平定なんて永遠にできないんじゃないのと思ったらいきなり終わる。

    淡々と攻防が描かれているが、これマンガに落としたら大長編になりそう。

    投稿日:2024.01.31

  • まっしべ

    まっしべ

    働き盛り、脂がノリに乗っているキレッキレのローマ執政官・カエサルによる言わずと知れた一大戦記。
    とにかく闘争に次ぐ闘争、アドレナリンがバチ漏れダダ漏れ水芸セント・へレンズ大噴火状態。
    めっちゃくちゃ面白かった!面白すぎて細かくメモを取りながら読んでいたら丸々一週間かかっておりました。

    筆マメな人物だったんでしょうか。紀元前58年から52年までの7年間に及びガリア各地部族の動向や戦闘の経過が実にまざまざと記述されており、尚且つ登場人物のキャラクターまでがしっかり描き分けられていて全く飽きが来ない。
    唐突に初出の人名が出てきたり、呼び方が箇所によって違ったり混乱する部分もちょいちょい見られるが、そこはメモでカバー。どうしてもわからない箇所は巻末の〈地名人名索引〉や補註を活用すれば解決できます。
    似たような人名が多いし〜ヌスとか〜ウスとかどんだけ出てくるのよって感じだけど慣れさえすれば問題無し。むしろ難関は部族名、そして地名・都市名だと思うけど、それも頻出する単語は嫌でも馴染んでくるし世界史好きならばともかく騙されたと思って一度読んでみてもらいたい。

    以下、個人的ポイントを箇条書き…
    ・カエサルがスーパーヒーロー。味方のピンチに颯爽と駆けつけ縦横に軍略を巡らし敵を撃破していく爽快感。
    ・副将のティトゥス・ラビエーヌスもかっこいい。何でもこなすスーパーサブ。良将。
    ・エブロネース族のアンビオリクスは相当なクズ。後味も悪い。
    ・「すぐ怒る野蛮な乱暴な人」(p57)と評されるゲルマーニー人の王・アリオウィストゥスは強者の風格だけど散々な目に遭う。
    ・ヘタレ過ぎて名前が残ってしまったローマの偵察兵「コンシディウス」(p47)。
    ・「ゲルマーニー人は〜(中略)〜いちばん長く童貞を守っていたものが絶讃される。その童貞を守ることによって身長ものび体力や神経が強くなるものと思っている。」(p232、233)そうなのか。
    ・「クローディウス」(p251)あなたはどちら様でしょうか…何度読み返しても名が見当たらず検索に時間を取られましたが索引に解説あり、あっさり解決。

    かなり唐突にスンッと終わるので拍子抜けするかもしれないが、読了感は満足のひとこと。続編の『内乱記』も手に入れたい。


    84刷
    2024.1.11
    続きを読む

    投稿日:2024.01.11

  • めるこみ

    めるこみ

    どんなものかと思ったけど、戦争の背景に当時の風俗からとても詳しく書いてありとても面白かったです。
    但し、部族名が大量に出てくるのと、地名や川の場所など地理的背景が分かり辛いのが難点です。
    添付の地図は分かり辛いので、地図を印刷して書き込みながら読み進める必要がありました。続きを読む

    投稿日:2023.04.08

  • nakaizawa

    nakaizawa

    「ガリア戦記」カエサル著・近山金次訳、岩波文庫、1942.02.05
    320p¥588C0122(2021.07.24読了)(2002.03.21購入)(1997.04.05/53刷)
    2008年に「ローマ人の物語」第5巻を読んだついでにこの本も読んでしまいたかったのですが、13年たってやっと読み終わりました。「内乱記」は、読めそうもないですね。
    以下は読書メモ
    この作品は、ガリア(現在のフランス)での7年間の戦いの記録とのことです。
    1年ごとに戦いの状況を報告するために書かれたのではないかとの事です。トルストイ著「戦争と平和」の一節を読んでいるかのようです。自分も戦いの真っただ中に放り込まれて右往左往しているような錯覚を覚えます。第二巻まで読み終わりました。全部で第7巻まで。
    「ガリア戦記」読み終わりました。
    船を使って海を渡りブリタンニア(現在のイギリス)まで行っています。
    嵐などでたくさんの船が大破、小破で苦労しています。
    ガリアでの戦争は、平定して、反乱してが繰り返され、その際には大体、北方のゲルマーニアが関わっているようです。
    ゲルマーニアと戦うには、大きな川を渡ることになります。
    ローマ軍は、橋を架けて渡ります。ローマ軍には、工兵隊がついています。

    【目次】
    解説
    第一巻 紀元前五八年
     ヘルウェティー族との戦争
     ゲルマーニー人との戦争
    第二巻 紀元前五七年
     ベルガエ人との戦争
     海辺諸族の服属
    第三巻 紀元前五七-五六年
     アルペース諸族の討伐
     海辺諸族との戦争
     アクィーターニー人との戦争
     北方諸族の討伐
    第四巻 紀元前五五年
     ゲルマーニー人との戦争
     ブリタンニー人との戦争
     北方諸族の討伐
    第五巻 紀元前五四年
     ブリタンニー人との戦争
     北方諸族の謀叛
    第六巻 紀元前五三年
     北方諸族の討伐
     ガリアの事情
     ゲルマーニアの事情
     エプロネース族の乱
    第七巻 紀元前五二年
     ガリー人全部との戦争

    ☆関連図書(既読)
    「ジュリアス・シーザー」シェイクスピア著・福田恒存訳、新潮文庫、1968.03.25
    「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサルルビコン以前」塩野七生著、新潮社、1995.09.30
    「ローマ人の物語Ⅴ ユリウス・カエサルルビコン以後」塩野七生著、新潮社、1996.03.30
    「フランス史10講」柴田三千雄著、岩波新書、2006.05.19
    (「BOOK」データベースより)amazon
    カエサル(前102頃‐前44)の率いるローマ軍のガリア(今のフランス)遠征の記録。現地から彼が送る戦闘の記録はローマ全市を熱狂のるつぼに化したという。7年にわたる激闘を描いたこの書物こそ、文筆家カエサルの名を不朽にし、モンテーニュをして「最も明晰な、最も雄弁な、最も真摯な歴史家」と賞讃せしめたものである。
    続きを読む

    投稿日:2021.08.04

  • こね

    こね

    くっそおもしろい。カエサルのガリア遠征をただ延々と描いてるだけなのに、下手な戦争ものの小説や映画よりはるかにおもしろい。
    やっぱり戦争は兵站と土木技術なんだな。いかに物資を前線に運び、いかに陣地を形成するか。勇猛果敢な武人、軍師の奇策、なんてのは、戦争の上っ面のそのまた上澄みみたいなもんなんだよね。続きを読む

    投稿日:2018.06.03

  • zanzan1205

    zanzan1205

    カエサルによるガリア地方の討伐報告を自身の手で書かれた報告書。非常にシンプルでまるで第三者が記述したような印象を受ける。

    部族の数が非常に多く、土地勘も無いので巻頭の地図を見比べながら読み進めることとなり時間がかかった。また、当時の設備等がイメージしにくいこと、登場人物の名前が長く皆似ていることも読みにくくしている要素と思う。

    多くの苦労をしつつガリア地方を平らげていったカエサルは軍事と民政、両者の天才だったのだろう。
    続きを読む

    投稿日:2017.08.20

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