【感想】城の崎にて・小僧の神様

志賀直哉 / 角川文庫
(30件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
2
8
9
3
1
  • 100年読まれる作品

    志賀直哉が山手線の電車に轢かれ、その療養のため城崎を訪れて今年(2013年)で100年になる。

    自身をモデルに、電車に轢かれた怪我の療養のために訪れた城崎で、志賀はねずみ、蜂、いもりというちいさな生きものたちが命を落とす様を見つけ、自らの怪我とたまたま救われた命を思う。

    作家自身、普段なら気にもとめなかったであろう自然と人間の間にある命の差異。自分の存在の際を見つめ、世界の輪郭を意識した小説家の目は、じつに繊細な視力とことばを得ている。

    “小説の神様”とまで言われた志賀の中でも、文庫にしてわずか十数ページの「城の崎にて」は、傑作として読み継まれてきた。「城の崎にて」を含め、志賀直哉の作品がここから100年、改めて読み継がれていくといいなと思う。
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    投稿日:2013.11.12

  • 以外に面白い

    志賀直哉というと、「暗夜行路」とか「城の崎にて」
    などの作品が有名ですが、実際に読むのはこれが
    初めてでした。
    それまでのイメージでは、固い文学作品かと思っていたのですが、
    男女の不倫や、夫婦喧嘩など、随分男女の話が多く
    今読んでもすごく面白い作品です。
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    投稿日:2017.02.10

ブクログレビュー

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  • ナミ

    ナミ

    城の崎にて
    いたずらに命をうばわれていくねずみ。なにげなく投げた石でイモリの命を奪ってしまった、とりかえしのつかない気持ち。作者が小さな命をみつめながら、自分の命をも見つめ直す繊細な描写がよかった。

    投稿日:2023.12.03

  • チーニャ、ピーナッツが好き

    チーニャ、ピーナッツが好き

    このレビューはネタバレを含みます

    志賀直哉の短編集。
    思ったより読みやすくて良かった。

    「小僧の神様」
    この作品にちなんで、志賀直哉は〈小説の神様〉といわれているそう…。

    秤屋で奉公している小僧の仙吉は、番頭たちの噂話を聞いて屋台の鮨屋に向かったもののお金が足りず、
    お鮨は食べられなかった上に恥をかく。
    ところが数日後、仙吉のお店にやってきた見ず知らずの紳士が粋なはからいで、お鮨をたらふくご馳走してくれた…。

    小僧の気持ちと、この紳士の気持ちの描写には
    考えさせられたし、この作品はラストの描写が印象的!

    良いことをしたのに、この紳士の方は、変に落ち着かない複雑な気持ちになってしまうのだが、
    純真な子供の心を思いやる優しい人なだけに
    いつの世も格差社会なのだなとも感じて…なにかやるせない思いになった。
    この紳士の奥様は
    「そのお気持ちわかるわ」と言ってくれる素敵な人で、そこは読んでいてホッとした。

    「城(き)の崎にて」
    城崎温泉での旅情溢れる素敵な作品かと思いきや
    生と死を扱ったちょっと重ための作品。

    山の手線の電車に跳ね飛ばされて怪我をした。
    その後養生に、城崎温泉へ一人で出かけた日々のお話。(背中の傷が脊椎カリウスになれば致命傷になりかねないから要心は肝心だと静養に来た…)

    落ち着いた文章の中にじんわりと暗く心に響いてくるものがある内容だった。
    小さな生き物たちの死の描写は、不気味な雰囲気を漂わせて描かれ、生と死の大変さを自分にも重ねて感じていて、何ともいえない世界観を感じた。

    「転生」
    こんな作品もあるのかとクスリと笑えた

    「雨蛙」
    ちょっと不穏な独特な雰囲気の…作品。
    妻の過ちを感じてしまう…夫。
    昔は今の時代より
    事を荒立てたくないと考える夫もいたかもしれないなという印象……

    あとは「好人物の夫婦」や「真鶴」「清兵衛と瓢箪」
    なども何気ない良さを感じた。

    それにしても、
    山の手線の電車に跳ね飛ばされても
    怪我だけで無事だなんて、すごいな…

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.10.12

  • サラゲ

    サラゲ

    小僧の神様は、小僧に黙って密かに奢ってやる人物の人間としての心理がよく描かれていて、興味深いかった。
     しかしながら、この短編集、浮気の話がよく出てきた。

    投稿日:2022.09.08

  • 果糖

    果糖

    9.25~9.29
    高校の現代文で城の崎にて を勉強してから 少しだけ近代文学に興味があった。最近の若者は読書をしない。読書をしなさい。と父母、先生更には国語の評論文にも。流石に耳にタコができるわ!と思い何でもいいから1冊、と思って手に取ったのが志賀直哉。

    ある日から読書に抵抗を持つようになっていたが、冒頭の小僧の神様を読んで一変した。主人公が少年、面白い内容。年齢に親近感も湧き、一瞬でした。

    次の清兵衛と瓢箪。お金持ち、ということは聞いていた為書くことも上流階級なのかな…と思い…
    少年の持っていた瓢箪、買った瓢箪って一体幾らなんぞや?と思い、簡易的に換算して衝撃を覚えたり…
    ある意味、近代文学を読むにあたって簡単に時代ごとのお金や価値の勉強をしたら面白いなぁ…と。

    和解も頑張って読みました。最初の1.2はほんとに読むのが辛かった…でも3あたりからだんだん面白い展開に。もちろん目を瞑りたくなるような場面もあった。でも最終的に和解を読み終えた時、どこか温かい気持ちになった。

    主要にこの3つを紹介したかった。とにかく、何も読書をしなかった私に1歩踏み入れさせてくれた本だ。
    他の近代文学も読んでみたくなった。
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    投稿日:2021.09.30

  • タケ

    タケ

    このレビューはネタバレを含みます

    母の死と新しい母、清兵衛と瓢箪、正義派、小僧の神様、城の崎にて、好人物の夫婦、雨蛙、焚火、真鶴、山科の記憶、痴情、瑣事、濠端の住まい、転生、プラトニック・ラヴ。
    山科、痴情、瑣事が浮気のことですね…

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    投稿日:2021.06.30

  • ぬぬ

    ぬぬ

    このレビューはネタバレを含みます

    『城の崎にて』
    電車に跳ねられた「自分」は怪我で東京病院に入院後、兵庫の城崎温泉に赴く。
    そこで生きている蜂の中で虚しく死んでしまった蜂を見ては、誰も気にはしないんだなと虚しくなる。
    次に「自分」は首に串の刺さった鼠が石を投げられ逃げ惑う所を目撃する。その後水に落ちるもどうにか助かろうと一生懸命に泳ぐ。その必死に逃げる様に「自分」は寂しい嫌な気持ちになる。
    脊椎カリエスになることを怯えながら生きる「自分」が、あの蜂や鼠に重なり「生」と「死」は必ずしも両極端なものではなく、隣り合わせなものだと「自分」は気づく。

    生き物一つ取るにしろ作者の情景描写が秀逸であり、鼠が死に対し逃げ惑う所は生々しく目を背けたくなった。でも、正直何故この作品が有名なのかが凡人の私にはわからない。

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    投稿日:2021.03.01

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