【感想】RIKO ─女神の永遠─

柴田よしき / 角川文庫
(88件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
13
27
32
4
1
  • 女性という烙印、男性であるという呪い

    事件は悪質・狡猾な男子誘拐。誘拐とともに被害男子のレイプ映像を親に送り、ギリギリ支払可能な身代金をいただいてしまうというもの。
    この事件の謎解きを進めつつ、男性優位社会の最右翼たる刑事警察で一度放逐された主人公・緑子の過去が明かされていく。
    男である事によるプライドから来る、根拠なきレッテルや組織内で隠蔽される犯罪。その被害に遭ってなお警察組織に留まり事件を追う緑子の生き方とは。
    事件の謎自体は割と途中で読めてしまったのだが、この底流に存在している男対女の構図が非常に重いタイトルだった。
    女であるというだけでレッテルを貼られ被害を受けねばならない様は何か生来の烙印を押されているかのような辛さがあり、また男であるが故にプライドで自らを支えねば生きられない、性衝動に身を任す事を自制できない様は長い年月の男性優位の中で腐食発酵し醸成された醜い呪いのような印象を受ける。
    それでも刑事警察というライフワークを変えられないとすれば、緑子はどういう生き方を選択するのか。
    男性読者の一人として、性衝動は自制できているもののプライド依存な生き方を否定しきれない身として、読みながら胃がキリキリくるような思いを味わった。
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    投稿日:2014.01.05

  • 辛い

    読んでいて、読み続けるのが辛いと思った。
    だけど、読み続けたいと思った。
    「聖なる黒夜」は、男同士の研ぎ澄まされた感性のやりとりであったけれど、この物語は職場内での逃げ場所のない女性としての生きざまを、痛々しいまでに容赦なく描ききっています。
    いろいろな意味において、男は吐きだす側であり、女は受け止める側であるのが宿命なのかも知れません。
    シリーズものの続編も必ず読みたいと思いますが、少し時間を置かないと・・・・
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    投稿日:2016.01.27

ブクログレビュー

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  • 米山隆一郎

    米山隆一郎

    1995年初版。第15回横溝正史賞受賞作品。

    RIKOシリーズ三部作の第一作。30年前の作者のデビュー作だが、今なお読み応えがある。

    男性優位の警察組織で、放埓だけれども、芯を通して生きる女性刑事・村上緑子(リコ)。彼女のチームは新宿のビデオ店から1本の裏ビデオを押収。そこには男が男を犯すという残虐な輪姦シーンが。やがてビデオの被害者が殺されていく。真相に迫る中、少しずつ明るみになることに驚愕を隠せない。

    警察推理小説の部分は事件が複雑で、更に主人公緑子の奔放な恋愛・性愛を織り交ぜて1つのストーリーに組み立てている。

    デビュー作にして作者の才能や力量が惜しみなく発揮されている作品と言える。話の展開は、ジェットコースターに乗ったように冒頭部分はゆっくりだが、途中で高速になりそのまま読了となった。

    読了後に作者は女性ということを知って合点したのは、女性ならではの恋愛・性愛の描き方をしているという点だ。性愛小説や恋愛小説という面でも成功している。
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    投稿日:2024.02.26

  • planets13

    planets13

    赦すことと忘れることに、どれほどの違いがあるだろうか。何があったのか判らないままに進むので解りにくいのが残念だ。

    投稿日:2023.12.24

  • rinrinn

    rinrinn

    このレビューはネタバレを含みます

    「聖黒」つながりでRIKOシリーズにも手を伸ばした。
    錬と麻生目当てだったこともあり、月神→聖母→RIKOと出版順をさかのぼることになったが、特に問題なく読めた。

    男たちに何度も傷つけられてはいるが、自業自得と言えなくもない部分もある気がしてならない。
    そもそも惚れた男の告白を一年近く保留にして期待させて、その間にほかの男と不倫しまくりって…。
    そりゃ恨まれるだろうし、娼婦呼ばわりもされるだろ。
    職場で女を振りまいておいて、「これだから男は」みたいに思っているのもいただけない。
    ラストの方である女性が緑子に対して私の思っていることを代弁してくれ、スカッとした。
    というか作者も分かってて書いてたんだな。
    よほど緑子にバレたかったとしか思えない犯人の行動、言動、犯罪行為をして部下一人退職させたくせに本庁でそれなりの地位にふんぞり返っている男とか突っ込みどころ満載な作品。
    だけど、デビュー作からこれだけ読者を引き込む力を持っていたなんてすごい作家だ。

    決して緑子は好きになれないが、どんな状況にもひるまない彼女の強さはかっこいい。
    決していい加減に仕事しない、人に接しない。
    この部分は社会人なら見習わないとと思う。

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    投稿日:2023.09.13

  • lancerevox424

    lancerevox424

    新宿署刑事課に席を置く女性警部補・村上緑子。彼女のもとに舞い込んだビデオテープには、少年が複数の男性から犯されているという凄惨なシーンが映されていた。そして、被害者の少年がひとり、またひとりと殺されていく・・・。

    殺人事件のミステリーとしては、とても面白かったです。
    が、緑子を取り巻く環境と女性蔑視が酷すぎる・・・。今から30年ほど前に書かれた作品ということもあり、そんな時代だったのかな?と思いを馳せつつも、主人公の性に対する倫理観については共感できないものがありました。
    ですが、最後までページを繰る手が止まらなかったのは、やはりこの作品の魅力なのでしょう。RIKOシリーズ3部作、次作も読んでみようかな。
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    投稿日:2023.08.16

  • はな

    はな

    高杉と緑子の関係がどうもしっくり来なかった
    時間が経っても馴染まなかった
    事件あり、恋愛と言ってよいのか色恋あり
    どうなっていくのかも気になるところ

    投稿日:2023.02.18

  • daiyuuki24

    daiyuuki24

    男性優位主義の色濃く残る巨大な警察組織。その中で、女であることを主張し放埓に生きる女性刑事・村上緑子。彼女のチームは新宿のビデオ店から一本の裏ビデオを押収した。
    そこに映されていたのは残虐な輪姦シーン
    それも、男が男の肉体をむさぼり、犯す。やがて、殺されていくビデオの被害者たち。緑子は事件を追い、戦いつづける、たった一つの真実、女の永遠を求めて―。
    性愛小説や恋愛小説としても絶賛を浴びた衝撃の新警察小説。第十五回横溝正史賞受賞作。
    村上緑子は、エリートコースを歩んでいたが、上司の安藤明彦警部との不倫が原因で新宿署に左遷されて、性犯罪の被害者を救うためそして加害者を逮捕するために手段を選ばない凄腕刑事となった。
    プライベートでは男とも女とも性をおおらかに楽しみ、男に支配されない女性である。
    そんな女性刑事の不倫相手に対する愛憎半ばする感情や男性に対する憎しみを丁寧に描きつつ、修羅のように自分の信念のままに事件の真相を追う女性刑事の生き様は男女問わず共感出来るはずです。
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    投稿日:2022.12.17

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