aiueo12さんのレビュー
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花酔ひ
村山由佳 / 文春文庫
東京と京都、男と女
11
あずま男に京女、江戸時代のいい男、いい女を表す言葉と記憶している。
アダルトエデュケーションは、女の立場で書かれていたが、東京の夫婦、京都の夫婦の男女4人それぞれの、心と体のうごめきが、それそれの言葉…で書き込まれていく。
その中で、主人公麻子の祖母の発する言葉が非常にいい味で、官能に流されそうな物語を引き締めている。
「人は出会うべき相手にしか出会わない、でも神様はときどき間違えなさる。順番をさ」・・・・・
松任谷由美がラジオの恋愛相談で話していた言葉を思い出しました。『恋愛に定まったルールはないけど、仁義は守らないといけないと思うよ』
一読をお勧めします。 続きを読む投稿日:2014.09.19
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アダルト・エデュケーション
村山由佳 / 幻冬舎文庫
女性からみたSEX
4
村山由佳の描く女性は、しっかりと自分を持ちながらも、どこか男に いや、男との性行為にのめりこむ自分自身を冷静に見つめている。
気心のしれたいい女と、気持ちよくお酒をのみながらSEX談義をしたような感じ…。。
すこし切なさの残る読後感で、僕は好きです。 続きを読む投稿日:2014.03.02
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神々の山嶺(上)
夢枕獏 / 集英社文庫
圧倒されました
2
山岳小説というと新田次郎を思い浮かべますが、この本は凄かった。
そのリアルさに圧倒され、とてもフィクションとは思えないと調べてみたら、登場人物にはそれぞれ実在のモデルがいるようだ。
いい記事は足(つま…り取材)で書く と言われるが、相当緻密な取材・体験なしには描けない描写である。
8千メートル以上の山々は、神の領域 といわれる意味がすこし分かった気がする。
僕にとってはミステリーというよりも ノンフィクションと感じた程の一冊でした。 続きを読む投稿日:2015.04.29
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娼年
石田衣良 / 集英社文庫
これは恋愛小説ではない
2
社会人・家庭人としてまとっている殻を全て脱ぎ、「人」として自分自身の価値・存在にどれほどの意味があるのか・・・
普段すごしている環境の中では、そういった「人」と「人」が向きあうことはほとんどないが…、娼婦(夫)を買うという特殊(?)な場合には、余分なものを一切脱ぎ捨てた人間同士の関係が生じる。
当然、SEXを含めての関係で、体と体だけの交渉で終わってしまう場合もあるが、心と心が触れ合う場合も出てくる。
本書の主人公は、その中で自分の価値と役割を見つけ出していく。
非日常的なシチュエーションかもしれないが、僕をやすらいだ気持にしてくれた作品です。 続きを読む投稿日:2015.04.16
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出口のない海
横山秀夫 / 講談社文庫
日本人として
1
特別なストーリーではなく、驚愕する話でもないが、知っておかなければならない事であると思う。
映画化されたが、本と映像、どちらも甲乙つけがたい。
生きることに悩むのではなく、「死」に向かい合うということ…の重さが伝わってくる。
何かに閉塞感を持った時、読み返してみたい。
背筋が伸びる一冊である。 続きを読む投稿日:2015.04.29
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隠蔽捜査(新潮文庫)
今野敏 / 新潮文庫
こんな上司を持ってみたい
1
公務員であれ、会社員であれ、こんな上司のもとで働いたらおもしろいだろうな、と思わせる主人公の人物設定。
といっても、全く絵空事ではなく、現実社会との折り合いや、問題の乗り越え方に作者の力量を感じます。…
ハンチョウシリーズも好きですが、これから先、どのように主人公が警察社会のなかを生きていくか という面で、
こちらのシリーズの方が、気がかりです。 続きを読む投稿日:2014.09.14