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aiueo12さんのレビュー
いいね!された数21
  • スロウハイツの神様(上)

    スロウハイツの神様(上)

    辻村深月

    講談社文庫

    いい意味で小説らしい小説

     結末に至るまでの道筋を考え抜いたうえで書かれた作品は、どこか強引さがただようものですが。この作品はそれを感じさせず、各登場人物もきちんと描かれています。読んでよかったと思いました。

    0
    投稿日: 2017.07.04
  • 嫌われ松子の一生シリーズ3冊セット【電子版限定】

    嫌われ松子の一生シリーズ3冊セット【電子版限定】

    山田宗樹

    幻冬舎

    続編がよかった

    確か映画になった物語…というぐらいの認識しかなかった。 もちろん映画も見ていない。 でも、読んでよかったと思えました。 本編だけでなく、続編の「ゴールデンタイム」があることで、単に亡くなった人の生き様を描くだけでなく 小説の中の他の人物の清々しい生きた方が心に残ります。 この作者の他の著作も読んでみたくなりました。

    0
    投稿日: 2016.11.10
  • ロスト・ケア

    ロスト・ケア

    葉真中 顕

    光文社文庫

    社会派ミステリー

    「介護」とは仕事であり、奉仕であり、義務であり、利益を生む産業でもあり…それぞれの登場人物の立場・視点から問題点をうまく浮き立たせており、考えさせられました。  ミステリーの要素は強くないが、一気に読ませるだけの力量を感じました。  次の作品も読んでみたいと思います。  

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    投稿日: 2016.04.24
  • RIKO ─女神の永遠─

    RIKO ─女神の永遠─

    柴田よしき

    角川文庫

    辛い

    読んでいて、読み続けるのが辛いと思った。 だけど、読み続けたいと思った。 「聖なる黒夜」は、男同士の研ぎ澄まされた感性のやりとりであったけれど、この物語は職場内での逃げ場所のない女性としての生きざまを、痛々しいまでに容赦なく描ききっています。 いろいろな意味において、男は吐きだす側であり、女は受け止める側であるのが宿命なのかも知れません。 シリーズものの続編も必ず読みたいと思いますが、少し時間を置かないと・・・・

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    投稿日: 2016.01.27
  • 聖なる黒夜(上)

    聖なる黒夜(上)

    柴田よしき

    KADOKAWA

    しばらく後を引く作品です

     乃南アサの音道貴子シリーズも、刑事である前に「人」としての心のうごめきや、関わり合う「人」との(心理的な)距離感がうまく描かれていて、刑事ものというより、どうしようもないままに、流れに巻き込まれた「人」の生きざまが(多少の救いも交えながら)描写されているが、この作品は、それが一段ととぎすまされた感じで、描きこまれています。  作者の力量を感じました。  他の作品も読みたいと思います。

    0
    投稿日: 2015.11.28
  • 女刑事音道貴子 風の墓碑銘(上)(新潮文庫)

    女刑事音道貴子 風の墓碑銘(上)(新潮文庫)

    乃南アサ

    新潮文庫

    女性刑事ものなら!

    刑事もので、女性が主人公ならこのシリーズが僕は好きです。 女性ならではの視点・感性の描写が結構ありますが、じめじめしてなくて、物語のテンポもいい。 「凍える牙」もそうだが、切なさののこる読後感でした。

    0
    投稿日: 2015.09.18
  • 警視庁情報官 シークレット・オフィサー

    警視庁情報官 シークレット・オフィサー

    濱嘉之

    講談社文庫

    自慢話

    仕事に有能で女性にもて、失敗もせず、上司の覚えもめでたい人間の、職場と職務の自慢話を聞かされている感じ。 著者は公安出身とあるので、それなりの真実味はあるも、物語としての奥行は感じられなかった。 このシリーズの他のストーリーはわからないが、少なくともこの1冊目は・・・

    0
    投稿日: 2015.08.28
  • 神々の山嶺(上)

    神々の山嶺(上)

    夢枕獏

    集英社文庫

    圧倒されました

    山岳小説というと新田次郎を思い浮かべますが、この本は凄かった。 そのリアルさに圧倒され、とてもフィクションとは思えないと調べてみたら、登場人物にはそれぞれ実在のモデルがいるようだ。 いい記事は足(つまり取材)で書く と言われるが、相当緻密な取材・体験なしには描けない描写である。 8千メートル以上の山々は、神の領域 といわれる意味がすこし分かった気がする。 僕にとってはミステリーというよりも ノンフィクションと感じた程の一冊でした。

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    投稿日: 2015.04.29
  • 出口のない海

    出口のない海

    横山秀夫

    講談社文庫

    日本人として

    特別なストーリーではなく、驚愕する話でもないが、知っておかなければならない事であると思う。 映画化されたが、本と映像、どちらも甲乙つけがたい。 生きることに悩むのではなく、「死」に向かい合うということの重さが伝わってくる。 何かに閉塞感を持った時、読み返してみたい。 背筋が伸びる一冊である。

    1
    投稿日: 2015.04.29
  • 娼年

    娼年

    石田衣良

    集英社文庫

    これは恋愛小説ではない

     社会人・家庭人としてまとっている殻を全て脱ぎ、「人」として自分自身の価値・存在にどれほどの意味があるのか・・・  普段すごしている環境の中では、そういった「人」と「人」が向きあうことはほとんどないが、娼婦(夫)を買うという特殊(?)な場合には、余分なものを一切脱ぎ捨てた人間同士の関係が生じる。  当然、SEXを含めての関係で、体と体だけの交渉で終わってしまう場合もあるが、心と心が触れ合う場合も出てくる。  本書の主人公は、その中で自分の価値と役割を見つけ出していく。  非日常的なシチュエーションかもしれないが、僕をやすらいだ気持にしてくれた作品です。

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    投稿日: 2015.04.16