【感想】骸骨ビルの庭(上)

宮本輝 / 講談社文庫
(32件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
13
9
7
0
0
  • 悲しいけれど温かい本

    宮本さんが「にぎやかな天地」でちょこっと触れていた人物が、主人公になったのかなあと感じました。
    彼の作品には、「他人の子を育てる」というシチュエーションがよく登場しますが、これはその際たるものでした。終戦後、巷にあふれた孤児たちを育てた一人の男性の物語で、彼に育てられた子供たちが大人になってからのお話です。その一人ひとりが非常に個性的で、彼らが話す大阪弁と、主人公の東京言葉が優しく絡む感じでした。
    悲しみがあふれているけれど、なぜかじわーんと胸が熱くなる本でした。
    続きを読む

    投稿日:2013.12.27

  • 猥雑と静謐

    20代のころに、よく宮本輝さんの小説をよく手にしていましたが、いつしか読まなくなっていました。
    電子化されて、手軽になったので、読んでみました。たくさんの人物が出てきて、その人たちの語られる人生にひきつけられました。
    戦争から続く、それぞれがたどってきた人生は猥雑なのに、読み終えると静謐さが感じられます。
    それは、聴き手であり、物語の書き手でもある主人公の態度が影響しているのだと感じます。
    続きを読む

    投稿日:2013.09.27

  • 生きる力が湧いてくる良作

    「骸骨ビル」と呼ばれるビルに集い、戦後の激動期を生き抜いた子どもたち、そして彼らを守った大人たち。
    ビルの立退き担当となった主人公の目を通して、彼らの生き様が徐々に明らかになっていく。
    さすが宮本輝、と感じずにはいられない、深く人間を描いた、重厚な物語。続きを読む

    投稿日:2013.10.10

ブクログレビュー

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  • bluekirin

    bluekirin

    さすが宮本輝の作品。ユーモアに富んだ登場人物、それらの難しい人間関係の様子をうまく表現してて、どんどんストーリーに引き込まれていく。
    そして相変わらず、美しい日本語(大阪弁)が秀逸すぎる。
    この勢いで下巻も一気に読んでしまいます。続きを読む

    投稿日:2024.01.17

  • えみほ

    えみほ

    大阪や日本中に骸骨ビルというものが実在していたのかもしれない。戦災孤児の証言を元に話が進められている。詳しい感想は下巻にて。

    投稿日:2023.06.30

  • 風鎮

    風鎮

    孤児たちが住み着いた「骸骨ビル」、そこの住人を立ち退かせるため、主人公の八木沢三郎がやって来た。八木沢で三人目であるが、他の二人は何故、住人の立ち退きが出来なかったのか。上巻ではそこの住人と八木沢との出会い、住人の自分史などを混ぜながら物語は下巻へと続く。★閑話休題★阪急電車の十三(じゅうそう)駅は京都線、神戸線。高塚線の三線が交わる駅。小生がサラリーマン時代に神戸方面、大阪方面など日帰り出張時には、この十三駅で途中下車し、駅前の飲み屋で同僚と時間を潰した懐かしい場所。書き出しの風景で思い出した。続きを読む

    投稿日:2022.02.14

  • 白藍

    白藍

    戦前に建てられた英国調のビルはGHQに接収され、屋上にアンテナを張り巡らした姿が骸骨に見えると、いつしか骸骨ビルと呼ばれるようになった。
    この建物をマンションに建て替えようという話が持ち上がるが、ほぼ孤児院としてそこで育った人々は今も居座っており、主人公の八木沢が彼らを立ち退かせるために送り込まれる。けれどごくごく一般人の八木沢は、その住民たちの生い立ちを聞くうちに次第に感化されただ骸骨ビルで住むだけの人になる。
    戦後日本の光と闇が綯い交ぜとなった生活史が興味深くもっと知りたくなる。まだ続きがあるのが嬉しい。
    ジャンルはなんなんだろう?他ではあまり経験できない読み心地。犯人がわからない人物から脅されたりとミステリーの要素もある。
    ただ、建物の持ち主が語学学校に作り替えようとした夢を諦め、子供たちの生活のためにビルとその庭を改変した話が基礎にあり、暖かい結末が約束されているようで、かなり悲惨な話でも安心して読んでいけるような。
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    投稿日:2020.10.25

  • かゆ♪

    かゆ♪

    人間は何のために生まれてくるのか?明確に答えられるものでないと承知していたが、パパちゃんは即答し、断言したのだ。自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ、と。

    なるほど。宮本輝の小説には、金言があります。続きを読む

    投稿日:2020.09.21

  • a0064

    a0064

    戦災孤児たちの半生とそれを支えた復員兵の不思議な関係性。
    主人公は元メーカーの営業マンで、彼の日記の書き方や行動、考え方は私が見習いたいと思う部分が多々あった。
    大阪弁が人間らしさというか、登場人物の性格をよく表現していると思う。
    不思議な筋書きなのに、あまり違和感なくどんどん読み進めてしまうのは、文体のなせる技か。
    続きを読む

    投稿日:2019.04.03

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