
日曜日たち
吉田修一
講談社文庫
温かくてユーモアもある
吉田修一さんは、「最後の息子」のころから大好きです。長編もいいのですが、私は個人的に短編が好き。 今回の作品、温かさがにじみ出る章もあれば、文章のリズムからしてユーモアがあってそれが下品ではなくて本当によかったです。すでに3回ほど読みました。
3投稿日: 2014.11.28日月めぐる
諸田玲子
講談社文庫
重いけれど重過ぎない短編集
諸田さんは、私の地元出身の作家さんなのでその作品も静岡を舞台にしたものが多くて楽しんでいます。短編集は珍しいのですが、重いテーマを重過ぎない文章でつづっていて、すっきりと読み終わった感じです。
1投稿日: 2014.03.14すかたん
朝井まかて
講談社文庫
しっかりしているのかぼんやりなのか
主人公の知里の性格が、しっかりものなのかおっちょこちょいなのかよくわからない感じでした。大阪弁は、私は出身ではないのでその是非がわからないのですが、知里の話す言葉遣いが現代風で時代小説としてはちょっと不自然な感じでした。ただ大阪に嫁入りした江戸の女、という設定はとても楽しかったです。
0投稿日: 2014.03.14利休にたずねよ
山本兼一
PHP文芸文庫
傲慢な理由
利休という人は、どの作品を読んでのも美的センスの優位ゆえに誰よりも優れていることを自覚していて驕慢な人だなあ、と思っていましたが、この作品の利休には血が通っています。きれいごとだけではないし、いかに美的センスを持っていたかが具体的に描かれているので大変気に入りました!
1投稿日: 2014.01.02骸骨ビルの庭(上)
宮本輝
講談社文庫
悲しいけれど温かい本
宮本さんが「にぎやかな天地」でちょこっと触れていた人物が、主人公になったのかなあと感じました。 彼の作品には、「他人の子を育てる」というシチュエーションがよく登場しますが、これはその際たるものでした。終戦後、巷にあふれた孤児たちを育てた一人の男性の物語で、彼に育てられた子供たちが大人になってからのお話です。その一人ひとりが非常に個性的で、彼らが話す大阪弁と、主人公の東京言葉が優しく絡む感じでした。 悲しみがあふれているけれど、なぜかじわーんと胸が熱くなる本でした。
1投稿日: 2013.12.27家日和
奥田英朗
集英社文庫
皮肉が利いているけど幸福感あふれる短編
奥田さんの作品は「ガール」以来でしたが、どの作品も皮肉やユーモアが随所に見られるのに、しあわせな家族の肖像がきれいに配列されている感じです。 文章も非常に読みやすくて、不眠時にも疲れなく読めるのでありがたいです。
1投稿日: 2013.12.27傾く滝
杉本苑子
講談社文庫
美男でストイックな団十郎
杉本さんの作品は、時々とんでもなくサディスティックなので恐る恐る読んだのですが、これはいい作品でした!美男で潔癖な団十郎、その家族、彼を導く浪人たちの愛憎がこれでもかと描写されていますが、それがすべて美しく悲しい。 団十郎の家系は、伝説と悲劇に彩られていますが、これを読んでさらにそのドラマチックな家系に興味を持ちました。
2投稿日: 2013.12.27三千枚の金貨(上)
宮本輝
光文社文庫
ゴルフの話だけ辟易
宮本輝さんの作品の特徴で、特に起承転結がはっきりしているわけではないのですが、終わり方は素敵でした。 最近の宮本さんの作品にありがちですが、話があちこちに飛びます。それはいいのですが、ゴルフの話が多すぎるのには辟易しました。たぶん、宮本さんが最近ゴルフに凝っているからなんでしょうけど。 彼の日本旅館嫌いは、作品のあちこちで垣間見えますが、ゴルフ話と糖尿病の話もどこまでもついて回る感じです。 善意の主人公たちの温かな会話は、相変わらずとても魅力的でした。
0投稿日: 2013.12.27和菓子のアン
坂木司
光文社文庫
おいしそうな和菓子がいっぱい
登場人物の設定はまるで漫画みたいでした。会話のあり方も漫画のレベルです。でも、さまざまな和菓子の知識が出てきたり、でぱ地下のリアルな様相は楽しめました。
0投稿日: 2013.12.27愛しの座敷わらし
荻原浩
朝日新聞出版
ファンタジーです
私はファンタジー作品はまったく好きではないのですが、この作品は設定がしっかりしていたので楽しく読めました。最後の大団欒も、このあり方なら素敵だなあと感じました。荻原浩さんの作品は初めてでしたので、ちょっと恐る恐るという感じで読みましたけど、素敵なお話で後味もいいです。
0投稿日: 2013.12.27