【感想】探偵は吹雪の果てに

東直己 / ハヤカワ文庫JA
(36件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
4
16
10
4
0
  • 田舎描写が素晴らしい

    前作の終わりから、「俺」がどんな暮らしをしているのかとワクワクしていましたが、
    冒頭でいろいろとがっかり。
    ですが、読み進めていくうちに、そんながっかり感も薄れ、
    年をとってもあいかわらずの「俺」が巻き込まれていく事件に引き込まれていきました。

    何よりも、本作品における情景描写が素晴らしく、
    北国出身の自分としては、
    あー、こんなんだよなーと、思わずしみじみ。

    これだけでも、本作品を読む価値があると思います。


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    投稿日:2013.12.18

  • 他探偵シリーズと異なる

    探偵シリーズが好きで他もいくつか読みましたが、舞台が斗己誕(札幌ではない)準主役の高田 松尾の登場回数が少ない
    等、過去私が読んだ探偵シリーズとちょっと異なる設定でした。個人的には俺(主人公)と準主役たちの会話が好きだったので
    少しそこは残念です。ただ、今回のSTORYは大都市札幌では、ありえない田舎であることの環境(閉ざされた世界等)を巧みに
    利用した環境設定がしっかりされていた作品だと思います。
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    投稿日:2013.11.05

  • 45歳の俺

    シリーズ6作目。「探偵はひとりぼっち」の後、「駆けてきた少女」の前の作品になります。主人公の俺がいきなり45歳になっており前作から10年以上の時を経ていることにびっくりします。
    後書きにあるように老いはじめた男女の恋愛を描いたとのことですが、私はこのストーリーもかなり評価してしまいます。シリーズベストスリーに入る話ではないかと。描写されている景色が吹雪で先がなかなか見えない様にストーリー展開もなかなか先が見えず、最後は予想もしていなかった展開になっていきます。
    1作目で若いときに死なせてしまった女の存在がここであきらかになるのと、いよいよ普及してきた携帯電話に『俺』がどういう風に接するのかが見物です。シリーズを語る上でこの作品は見逃せません。
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    投稿日:2014.06.06

  • ちょっとだけ

    地方(田舎)独特の風習的なものが意欲的に描かれていると思います。
    ただ、前作との流れは薄く、春子と生まれてきた子供の描写はごくわずか。それも「えっ?」っていう感じでした。
    また、ちょっとだけしつこいと感じたのは方言と、その方言を繰り返す人々の描写。言葉になじみがない上に、地方に住む人のいやらしさだけが強調されているようで、何となくイヤな気持ちになってしまったのは自分だけでしょうか?
    それでもやはり最後まで一気に読ませるストーリーとドキドキ感は最高です。
    次作も期待して読みたいと思います。
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    投稿日:2014.11.29

  • 私事ですが生涯大切な一冊です

    とまあ、自分の書いたタイトルについて。

    第一巻の  探偵はバーにいる を読んで、 俺 のカッコよさに痺れて、次に買った2冊目が

    探偵は吹雪の中に

    吹雪って、北海道じゃ普通じゃないの?(増田俊也著・七帝柔道記の影響、リーダーで読めます)と思いつつ・・・・・

    吹雪の意味、何故に吹雪の情景なのかも。

    男のカッコ悪さやこだわり。男の不器用な純情。女(大人)への憧れ。

    大人の男になった俺(あなた)が過去の自分と過去の女へ決着をつけに行く。

    この様に書くとライトですが、相変わらずの命の張合いです。

    ラストは何度読んでも、胸を打ちます。 

    ゛俺達“は今でも・・・・・・・な。

    大人の銀河鉄道999です。

    読まれた方の想いでの一ページになる事を期待いたします。   特に男児です。
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    投稿日:2015.04.06

ブクログレビュー

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  • いし いるか

    いし いるか

    東直己のススキノ探偵シリーズは、いわゆる第一期、つまり主人公の「俺」が20代後半から30代だった時代の作品(具体的に言うと『探偵はひとりぼっち』まで)しか読んでなかったので、このいきなり十年以上の年月が経過していて「俺」が春子と結婚し、別れ、そしてなんと中学生にもなる息子までいるという舞台の変化にあまり気持ちの良くないとまどいを感じたのは確か。

    生活スタイルや行動様式はあまり変わっていないようでいて、しかしながら確実に時間の経過というものを認識せざるをえない、主人公の「俺」を含めおなじみの登場人物たちの「老い」を感じざるを得ないところに一抹の寂しさを感じてしまう。

    とくにあまり登場シーンもなかったが高田とか。うーん、彼がチンピラ相手に大立ち回りを演じるシーンが毎回好きだったんだけどねぇ。

    この『探偵は吹雪の果てに』はススキノではなく道内の田舎町が直接の舞台。作者の田舎町とそこに住む住民に対する呪詛とも思える嫌悪感がにじみ出ているような。

    でもまあ、排他的な田舎の町って、日本中どこでもこういうところ、あるよね。常によそ者でありつづける宿命の転勤族には辛いのねん。
    続きを読む

    投稿日:2021.01.16

  • トラ

    トラ

    このレビューはネタバレを含みます

    「探偵はBARにいる」シリーズ。こんなんだっけ?ポツポツ出てくる闘いシーンがこれ今必要?って感じで、探偵らしい謎を探っていくこともほとんどない、ただ流されているだけ、友人に頼んでどうにかしてもらうばかり。そして最後の50ページぐらいで出てくる老人がものすごいキーマンで、一気に片が付く。しかもいろんな人が銃撃ちまくりで死にまくり。事件解決が雑すぎる、日本なんだからそんな銃撃ちまくったらただじゃすまない。
    やっぱり小説より映画が面白いという少ないタイプのシリーズ。

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    投稿日:2019.05.07

  • 2006takahiro

    2006takahiro

    ちんぴらに袋叩きにされて、“俺”は入院した。そこで偶然、病院の付添婦をしている昔の恋人と再会。彼女からの依頼で雪の田舎町まで一通の手紙を届けることになった探偵だが、町に着くなり身辺に不審な男たちの影がちらつき始め、理由も解明できないまま町を追い出されてしまう。やくざの組長の桐原の助けを借り、再び町に舞い戻った探偵に最大の危機が!雪原を血にそめる死闘の果ての意外な結末とは?続きを読む

    投稿日:2018.06.25

  • yok00

    yok00

    読み応え充分な内容。
    俺も歳取ったな…と前半は流して読んでいたら、怒涛の後半はドンチャン大騒ぎ。
    シリーズの伏線にもなっていて、おぉ!おぉ!とシリーズを読み返したくなりました。

    投稿日:2018.02.06

  • 林檎飴甘

    林檎飴甘

    「俺」も人並みに年をとり、45歳という世間的にはそれなりの年齢になっているのが本作である。
    しかし、45歳になってはいても「俺」は変わらない。息子を持つ親父になっても「俺」は変わらない。
    誰がなんと言っても譲れないものは譲れないのだ。
    「俺」だけに通用する「俺ルール」が、けっこう好きだ。
    男という生き物はなんと切ないのだろう。
    甘ったるく、それでいて意地っ張りで、大切なものへの思いを胸に生きている「俺」が特別な存在なのだろうか。
    男は夢に生き、女は現実に生きる。
    まさに今回の騒動は、そんな男と女のしがらみが引き起こしたものかもしれない。
    このシリーズはどれも好きだけれど、中でも「探偵は吹雪の果てに」は最高レベルではないかと思う。
    何よりも物語の構成がいい。
    スピード感あり、サスペンス要素あり、切なさもあり。
    「俺」の不器用なあたたかさが心に沁みる。
    ハードボイルドは少し苦手・・・そんな人にも受け入れられる作品ではないだろうか。
    続きを読む

    投稿日:2017.02.27

  • tsukasa26

    tsukasa26

    こういうのはもう、聞き飽きた。こいつらは、オリジナリティというものに恵まれていない こういう怪我は、薄汚い、クズの金で治すべきだ 失楽園ミルトンのだぞ。渡辺淳一のじゃなくて。そこんとこ、間違えないでくれ。間違えないよ。あんたはクリスチャンなのか?親がな。だから、正義の陣営に入っちまった人間が、どれほどバカんなるか、それは知ってる 寄る年波には勝てない 卑下ひげ 今年で、45 になる もう60よ、私 俺の知識はいつも中途半端だ いわれ謂れ 女の腐ったみたいなヤツ 付添婦 深川市 清田区のホスピス 斗己誕 スピーカーはボーズ 奥寺御殿 心朗らかにシャワー・トイレを使った 坪内翁おきな この歳になって、自分のコミュニケーション能力が、目の前でめきめきと向上するのを感じて、俺はしみじみと老け込むには早い、と自分に言い聞かせた。まだまだ頑張ればいろんなことができる。 「人間てよぉ、なぁ、あんた、お客さん、スケベなもんがないと、生きてけないべさ。それは、田舎でも都会でも、同じだ。スケベなしじゃ、人間は生きてけないんだ」「スケベで汚いものば、スケベな汚いまんまで転がして置いたら、ダメだべさ。生きてること自体が、悲しくなるべさ」「俺はなぁ。…その、あそこでスケベな物を買うヤツのことを考えると、哀れで哀れで、侘しくて、情けなくて、やり切れない気持ちになるんだよ。あんな汚らしい、残飯やらゴミやら、すんごい臭いんだ、ひでぇニオイなんだ、そんなとこさ行って、スケベなもんを買うヤツのことを考えると、もう、哀れで侘しいさ」優等生たちは、居心地が悪そうだった。オチコボレたちは、わざと威嚇的な、押しつけるような態度で、我が物顔に振舞っている。情けなくて、心が薄ら寒くなるような光景だった。 兎唇としん=ミツクチ したっけ! ケンジ君を守るために、このまま斗己誕で骨を埋める気はない。豊平から来た、オカリナ奏者 ドンケルとヴァイセンを試してみた UA 青空 たかす鷹栖インター ウクライナの連中 スノー・モービル 金属バットの高校生 散弾銃 腐った鰊のような匂い 目は、両方とも、潰れているようだった。口を大きく開けているが、歯は見えなかった 。腕が、普通とは逆に曲がっていた。 士別でも、名寄でも、どこでもいい。 『レオン』や『ホームアローン』とは違う。現実は、映画じゃない、下手するとこっちが殺されるかもしれない。 「俺は勘違いはしていない。ただ純子が生きているから、それが嬉しいだけだ」 官依存根性が骨身にしみている続きを読む

    投稿日:2015.07.01

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