【感想】居酒屋の世界史

下田淳 / 講談社現代新書
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 3.0
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  • ん~、なんか違うぞ。。。

    Reader storeの黎明期に購入した本で、当時たまたま他の人のレビューを読んでこれは面白そうと買ったものである。

    で、他人のレビューのレビューはちょっと失礼ではあるのだが、BACHさんのレビューにはあまりに酷い誤読があるので、、、
    BACHさんのレビューを読んで、「あれ?全然違うじゃん」と思われる方が出てくる前に指摘させていただく。

    >居酒屋の始まりは、ドイツ農民戦争や、フランス革命だそう。

     これは読み方が全く真逆で、居酒屋の始まりがドイツ農民戦争やフランス革命なのではなく、ドイツ農民戦争やフランス革命の始まりが居酒屋議論だというのが作者の示していることだ。この論述は序章の部分にも出てきているが、第一章のオリエント・ギリシャ・ローマの項に旅館兼居酒屋の形態があったと示されていることや、「居酒屋に通う皇帝」と言う項目があることからも明らかである。

    >居酒屋の誕生期には「ワインは薄めて飲むのがマナーだった」という話しや

     これもちょっと変で、居酒屋の誕生期(黎明期)と言うより、古代ギリシャ・ローマではワインを薄めて飲まないのは相当のんべ、アル中だと思われた、と言う話である(まあこの当たりは塩野七生のローマ人の物語より「ユリウス・カエサル」や「悪名高き皇帝」も併せて読むとよく分かる)。まあ、ここは作者も「薄めて飲むのがマナー」とは書いているが、実態論としてはマナーと言うより、そういう観点があったと判読すべきかと思う。

    >馬鹿騒ぎするだけの場所ではない、ヨーロッパ文明を覗き見る窓としての居酒屋。

     本書はさらにヨーロッパ、オリエント文明圏だけではなく、さらに東へイスラム文化における居酒屋(カフェという形態を取っていた実質的居酒屋)、インド、中国、韓国、日本についても居酒屋の歴史について紹介している。

    本書はヨーロッパの居酒屋の黎明期から、それが飲食店、宿屋、銀行、劇場、サロン、売春宿、裁判所、クリニックなどの多機能性を持つに至った経過、そして衰退期、すなわち多機能性を失って専業の飲食店へと変貌する過程を描き、その変化の過程をヨーロッパ文明圏以外の居酒屋と比較することなどでヨーロッパ文明のひとつの形を洗い出しているものだと思う。

     まあ、いずれにしても面白い本であるのでお薦め。
    続きを読む

    投稿日:2016.04.04

  • 居酒屋でヨーロッパ文明史が学べるってどういうこと?

    居酒屋の始まりは、ドイツ農民戦争や、フランス革命だそう。
    古来ヨーロッパでは居酒屋は売春宿であり、銀行や裁判所でもあり、
    貨幣経済の発展とともに、居酒屋は育ってきたといえる。

    ビールは紀元前3000年頃にはすでにエジプトで国民的な飲み物で、
    嗜好品ではなく健康を保つための栄養源だった。

    居酒屋の誕生期には「ワインは薄めて飲むのがマナーだった」という話しや
    「芸人と居酒屋」という目次が目を引く。

    人が集まるところには、歴史の結節点が多く存在する。
    馬鹿騒ぎするだけの場所ではない、ヨーロッパ文明を覗き見る窓としての居酒屋。
    続きを読む

    投稿日:2013.12.17

ブクログレビュー

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  • Go Extreme

    Go Extreme

    居酒屋から歴史がみえる
    金銭の見返りに種類を提供する営業空間
    農村への貨幣経済の浸透
    居酒屋の多様性
    棲み分け
    通史編
    第一話  古代オリエント・ギリシア・ローマ――居酒屋の誕生期
    ハムラビ法典
    看板の起源
    第二話  ヨーロッパ中近世――居酒屋の最盛期
    デフォーがみた乱行
    修道院居酒屋
    第三話  ヨーロッパ近現代――居酒屋の衰退期
    大衆カフェ登場
    ミュージックホール
    第四話  イスラム圏の居酒屋
    ワインかコーヒーか
    インドの居酒屋
    第五話  中国・韓国の居酒屋
    第六話  日本の居酒屋
    テーマ編
    第七話  教会と居酒屋
    第八話  売春と居酒屋
    第九話  芸人と居酒屋
    第一〇話 犯罪・陰謀と居酒屋
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    投稿日:2022.06.06

  • y_doka

    y_doka

    本邦初の居酒屋の世界史ってことだけど、酒場の文化史みたいなので結構ありそうだけどなあ。
    ま、ともあれ酒好きとしてはなかなか興味を引く記述がたっぷりでよろしい。

    投稿日:2017.12.23

  • イワシ頭

    イワシ頭

    かつて居酒屋は、単に金銭に替えて酒を飲む場である以上に、社交場であり、娯楽の場であり、商取引の場でもあった。特に、ヨーロッパではそれに加えて、祭り・冠婚葬祭の宴会の場であり、銀行であり、巡礼宿であり、さらには裁判所であり、病院であり(当時、外科手術は「芸」であった!)と、実に多様な機能を持っていた。そして、そんな居酒屋の農村地帯への進出(普通、居酒屋は都市部にしかない)こそ、ヨーロッパが、世界に先駆けあまねく貨幣経済を浸透させた証左ともなっている。やがては、その多機能性から、ドイツ農民戦争、フランス革命、ナチス成立の舞台ともなった居酒屋。しかし今日、居酒屋はその繁盛のほとんどを失ってしまった。もとより宗教革命で教会から引き継いだ多機能性は、時代を経るごと、それぞれに分離独立していったのだった。古今東西の居酒屋を比較することで、ヨーロッパ文明の特徴を明らかにする一冊。続きを読む

    投稿日:2013.09.01

  • hideoshoji

    hideoshoji

    居酒屋という切り口で世界史を眺める。地域によって形態が違うのが面白かった。ヨーロッパでは居酒屋は医療、金融、エンタメ、職業斡旋、など多機能だった、とか。

    投稿日:2013.03.08

  • mohirona

    mohirona

    主にヨーロッパの歴史上の、著者の定義する居酒屋について書かれている。居酒屋の定義については色々な切り口があるかと思うけれど、大昔から今に至るまで、お酒を飲む人と飲める場所が存在するのですね。

    投稿日:2013.02.19

  • akiel-jp

    akiel-jp

    このレビューはネタバレを含みます

    学生の頃、ローマのオスティア遺跡で居酒屋の跡を目にして「こんな時代にもあったのか!」と酒好きの私はずいぶんと感激したものだったが、この本を読んで、今の時代とは全く違う存在だったのだと今更ながら理解した。冒頭で”つまみ食い的に紹介”とあるように、時代も地域も幅広に扱われ、全体的につれづれとした構成となっている。雑学を身につける感覚で、気になる章からパラパラめくって読んでもいいかもしれない。


    ☆以下覚え書き☆

    ・居酒屋はもともと下層階級向けだった。
    ・上流階級は居酒屋を軽蔑。お酒はお客に対し無償で振る舞うもの。お金をとるなんて無作法という考え方。
    ・居酒屋は宿泊施設を兼ねていた。
    ・居酒屋は銀行、就職斡旋、エンターテイメント、など多機能を備えていた。大衆が集まる公共の場だった(日本においては多機能型は産まれなかった)。
    ・教会ではワインやビールが造られていたが居酒屋も併設していた。巡礼者がお酒を飲んだ。結婚式などの宴会も開かれた。その後、居酒屋機能は分離し、教会の隣に作られたりした。
    ・そのむかし、西洋の人はベッドに入る際、シラミや蚤が服につかないよう裸になった(帽子は被った)。ナイトキャップは体を温めるために飲んだのか?
    ・古代ローマ人はマナーとしてワインを薄めて飲んでいた。
    ・キリスト教徒は飲酒に関して甘い傾向が。宗教改革の頃、プロテスタントの台頭により厳しくなっていったようだ。
    ・イスラム教もお酒が絶対だめということではないらしい。
    ・農村に居酒屋ができるには貨幣の流通が不可欠。

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    投稿日:2012.10.17

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