【感想】砂の器(上)

松本清張 / 新潮文庫
(167件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
37
76
30
10
1
  • 現代においても燦然と輝く存在感

    昭和40年代に書かれた推理小説で、登場人物もほとんどが戦前生まれ。コピー機もなく、あらゆる情報は手帳に書き写し、大家と店子の関係が密接だったり、と現代とは全く環境が違うが、推理小説の肝のトリックの部分は本当に読ませる。今西巡査部長もスーパー刑事というわけではなく、地道な作業を積み上げて犯人を追い詰めていく。現代においても燦然と輝く傑作です。やっぱり松本清張は凄い 続きを読む

    投稿日:2014.08.25

  • いまさらですが

    映画でも有名になった小説ですが、今回初めて読みました。
    映画には表現されていない人物や事件を絡めながらの、非常に長い小説ですが、一気に読破しました。
    清張は単なるミステリーに終わらせず、著したときの社会描写(若手新鋭音楽家、評論家等の登場等)や、戦争直後の混乱が招いた法の間隙、近代日本社会で公然と行われていた差別など、近代日本の歴史上の「暗部」をシッカリと描いている点でも名作中の名作と思います。続きを読む

    投稿日:2013.09.24

  • 親と子の絆について深く考えさせる作品

    地道な捜査に痺れる。老練刑事の今西が鉄道を乗り継ぎ、何度も徒労に終わりながら、ホームで佇むその哀愁を帯びた背中が目に浮かぶ。
     清張の作品は、時代の底辺に苦しむ市井の生きざまを視点に置いたものが多いが、本書はここに当時としてはタブー視された「らい病」が重いテーマとなっている。親と子の絆について深く考えさせる作品だ。
     丹波哲郎、森田健作、島田陽子らで映画化もされたが、たった数行で書かれた親子の放浪旅(巡礼)は美しく、哀しく、涙を誘う。蛇足ながら「泣ける映画ベスト1」である。
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    投稿日:2015.04.25

  • 清張3部作読破にカウントダウン

    清張3部作(「点と線」、「ゼロの焦点」とこの「砂の器」)は、映画やテレビドラマで有名であるが、今まで読んだことがなかった。既に、「点と線」と
    「ゼロの焦点」は読破しており、この本を読めば、とりあえずは目標達成するが、読み進めると、どうしても他の作品にも目がいってしまいます。
    映像では表現出来ない登場人物の描写が秀逸です。また、終戦から高度成長期の埋もれた戦後史を紐解く様で後半に期待します。
    続きを読む

    投稿日:2016.07.29

ブクログレビュー

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  • 美濃

    美濃

    このレビューはネタバレを含みます

    何度も読み返したくなる松本清張の傑作。カメダの意味とは?アール・ヌーヴォーの若者たちの正体とは?貧富の差や差別が根強く残っていた昭和の様子が伝わってくる。完璧なアリバイも砂の器のように脆く崩れ去る、、、

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.04

  • たかはし

    たかはし

    社会人一年目は広島勤務でした。
    島根県木次町(現雲南市)に出張した際、先輩に議事録を頼まれ必死に記録しようとするも、東北弁のようなズーズー弁で意味が分からず先輩に謝罪した事を思い出した。
    他にもこの当時に電子音楽という分野が芽生えつつあった事にも驚きを覚えた。
    初読の清張はストーリーの面白さと上記の感情が混ざり合い、一方で都電が日常的に使われていたり亭主関白的な夫婦の掛け合など当時の生活感を想像しながら読み進めるのが楽しかった。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.16

  • 鵺翠

    鵺翠

    松本清張を代表する長編推理小説。 国電蒲田駅付近の車両車庫で事件が起こる。当時の京浜東北線は7両編成で運行されていた時代(現在は10両編成)。そして「カメダ」を追って今西は松江へ向かう。その列車は「急行『出雲』」であり、現在のサンライズ出雲に該当しよう。鉄道ファンにとっても松本清張の物語は十分鉄道の旅を楽しめる。 そして、何よりも上巻下巻の区分が絶妙なのだ。これから事件解決に進もうとするあたりで区切られている。下巻が楽しみでしょうがない。
    https://law-symphoniker.hatenablog.com/entry/fqngo3qfwbnfwgwfjpewwu341-th30ignq3jngioq32ngiu1gn10ngu41gnjeringjerngjewrngjn34gnw4igh45hgiernhi4ih
    続きを読む

    投稿日:2023.12.17

  • sambo0217

    sambo0217

    初めての松本清張。

    時代が時代だけに、今の若者の感覚では理解し難い部分もあるだろうな。昭和世代後期に分類させる自分には、まだ理解できるし、何せ面白い。

    色々な話しがそれぞれに進行して、何処に落ち着くのか。

    まだ誰が怪しいかもわからないまま上巻が終わってしまい、下巻への期待が堪らない。

    ヌーボ・グループとかいうやつらのいけすかない感じが凄く良い。
    続きを読む

    投稿日:2023.09.23

  • あきこ

    あきこ

    読みやすかった。するすると文章が入ってきた。
    また、方言の分布など、新たな知見が開けた。

    ただ、遺族や警察が被害者の身元を特定するところで、直接顔を見せたり遺留品を確認したりというフェーズが無かったので、これ実は全部ミスリードという疑いを捨てきれない。まだ上巻しか読んでないのもあるが…続きを読む

    投稿日:2023.06.04

  • 一歩一歩

    一歩一歩

    初め、思い容れのない人物の殺人事件で、感情がついていかなかったけど、上巻の後半からスルスル読めました。

    今西刑事と、日本各地だけでなく、登場人物の心の内も、じっくり旅した気分でした♪

    人間の見栄やドロドロの欲望を描く作家さんかな、と避けてたけど、深くてあたたかささえ感じました続きを読む

    投稿日:2023.06.02

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