現実脱出論 増補版
坂口恭平(著者)
/ちくま文庫
作品情報
私たちが「現実」だと思って縛られているものから自由になる! 17歳のときに、98歳で死期を迎える自分を設定して楽になった話。「脳の誤作動」である鬱状態に陥ったらどうするか。「半現実」のつくりかた、など目の前の「現実」が違って見え、驚きの世界を体験できる本。文庫化にあたり、最終章「現実創造論」を書き下ろし、さらに健康になる具体的な方法を伝授。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 現実脱出論 増補版
- 著者
- 坂口恭平
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま文庫
- 書籍発売日
- 2020.11.10
- Reader Store発売日
- 2021.03.05
- ファイルサイズ
- 3.3MB
- ページ数
- 272ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (5件のレビュー)
-
坂口恭平(1978年~)氏は、熊本市生まれ、早大理工学部建築学科卒の、建築家、作家、アーティスト。躁鬱病であることを公言し、自らの携帯電話番号を公表(本書にも記載されている)して「新政府いのっちの電話…」を行っている。
本書は、2014年に講談社現代新書から出版されたものに、新章を書下ろしで増補し、2020年に刊行された。
私は、著者の『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書/2012年)も本書の講談社現代新書版も、出版当時書店で目にして、そのタイトルが気にはなっていたのだが、今般別の出版社から増補版が出るほど支持されていると知り、手に取った。
本書について著者は、増補新章で以下のように書いている。「『現実脱出論』とタイトルをつけましたが、僕としてはどこかから逃げる、というよりも、新しく別のものを作る、自分の体に合ったものを勝手に自力で作る、という意味で名付けました。『現実脱出論』というよりも「多(他)現実創造論」と言ったほうがいいかもしれません。つまり、この本は僕なりの創作論です。ただの創作論じゃないはずです。作品を作るんじゃなく、自分にとっての現実を新しく作る。僕にとっての作品は新しい現実なのです。また、この本は、僕自身が抱えていた「躁鬱病」という精神疾患とどう付き合って生き延びていくか、ということも主題としてありました。・・・しかし、事実として、ここ一年、僕は躁鬱病の症状である鬱状態、躁状態のどちらも発症していないんです。」
読了して、以下のような点が強く印象に残った。
◆「現実は、集団が形成される時にうまくコミュニケーションが行われるようにと、細部に少しずつ意図的な補正が施された仮想の空間である。現実はリアルではなくヴァーチャルなのだ。だから、至る所に矛盾が溢れている。細部を見てみると、正確であることのほうがむしろ少ない。現実と自分の感覚がうまく調和しないなと感じるも当然である。」
◆「現実とは「集団における空間」であり、あくまでも個人の空間は「思考」そのものなのである。個人にとっては、自分自身の体の中に形成された自家製の「思考という巣」こそが実体のある空間であり、現実という空間は個人にとって「錯覚」にすぎない。」
◆「現実という空間において、個人同士の巣を無事につなぐ橋のようなものが必要になってくるのだ。他者の思考との邂逅、対話を直接的ではないにせよ、可能なかぎり滑らかに実現するための方法とは一体何か。僕はこれこそが「創造」であると考えている。」
私は躁鬱病に特段の専門知識は持たないし、著者のバックグラウンドも意識せずに本書を読んだが、たまたま同じタイミングで並行して読んでいた歌人・穂村弘氏のエッセイで、同氏が私たちの世界を覆う「無意識の合意」についていけない自分を自虐的に描いた姿に、無意識に頷いていたのと同様の、強い共感を覚えた。それはおそらく、現代社会に生きる人びとの多くが、多かれ少なかれ、「現実」=「無意識の合意が支配する世界」への違和感を覚えており、それに対するひとつの示唆を与えてくれているからなのだと思う。
当たり前と考えられている現実から一歩距離を置き、自分と世界を見直すヒントを与えてくれる、ユニークな一冊と思う。
(2021年2月了)続きを読む投稿日:2021.02.22
一見ノンフィクションだけれど、物語的でもある。
腑に落ちるような文章が、ここかしこにあって 手元に置いて、時々読み返したい。投稿日:2022.07.13
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。