売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放(ライツ社)
中村朱美(著)
/ライツ社
作品情報
・「日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」大賞受賞!
・「NewsPics」でも紹介されて大反響!
各メディアで話題沸騰中の「佰食屋」店主、初の書き下ろし著書。
・ランチのみ、の国産牛ステーキ丼専門店
・どんなに売れても、1日100食限定
・営業、わずか3時間半
・インセンティブは、早く売り切れば早く帰れる
・飲食店なのに、残業ゼロ
・なのに従業員の給料は、百貨店並み
社員を犠牲にしてまで 「追うべき数字」 なんてない 。
「働きやすい会社」と「経営」が両立するビジネスモデルとは?
京都の小さな定食屋が起こした、奇跡の経営革命!
・
<なぜこの本を書くのか>
この本のはじめに、なぜ本を書くのか、お伝えします。
堀江貴文さん監修のもと出版されている『まんがでわかる 絶対成功!ホリエモン式飲食店経営』(講談社)で、
佰食屋はこんなふうに紹介されています。
・サービスを極限まで絞ることで売上を上げているお店
・飲食店の形は自分の人生に照らし合わせて決めることができる
この2行の冒頭、「サービス」と「飲食店」を「働き方」に変えるとこうなります。
・働き方を極限まで絞ることで売上を上げているお店
・働き方の形は自分の人生に照らし合わせて決めることができる
つまり、どれだけ儲かったとしても、「これ以上は売らない」「これ以上は働かない」。
あらかじめ決めた業務量を、時間内でしっかりこなし、最大限の成果を挙げる。
そして残りの時間(人生)を自分の好きなように使う、ということ。
飲食店関係者だけでなく、すべての働く人たちに、
この2行に集約された佰食屋のビジネスモデル、働き方のすべてを共有したい。
そう思い、この本を書きました。
・
<著者からのメッセージ>
「100食以上売ったら?」
「昼だけじゃなくて、夜も売ったほうが儲かるのでは?」
たしかに売上は上がるでしょう。
でも、働く時間は増えるのに、給料はあまり変わらない。
会社が儲かっても社員が報われないのはおかしい。
「営業時間を伸ばせば伸ばすほど売上は上がる。だから頑張れ」
売上が落ち込んでいると「頑張れ」、
元気がないと「頑張れ」、連休前も、連休中も、連休明けも、いつも「頑張れ」。
もう「頑張れ」なんて言いたくない。
わたしは「仕組み」で人を幸せにしたい。
「残業ゼロなんて、うちは業種も規模も違うから無理」
「佰食屋だからできるんでしょ?」
「同じだけテナント料を払うなら、なるべく長い時間できるかぎり商売しよう」
ちょっと待ってください。
そもそも就業時間内に 利益を出せない商品とか企画ってダメじゃないですか?
「会社を存続させるためには、ビジネスをスケールさせ、 利益を追求することが重要だ」
「多店舗展開をしよう。今年も前年比を更新して売上を増やそう。」
みんなが売上を追いかけてうまくいっていないのなら、
もうそれを追いかける必要なんてない。
・
<目次抜粋>
第1章 超ホワイト企業「佰食屋」はどのようにして生まれたのか
第2章 「100食限定」が生んだ5つのすごいメリット
第3章 佰食屋の労働とお金のリアルな実態
第4章 売上を目標にしない企業は、社員になにを課しているのか?
第5章 佰食屋1/2働き方のフランチャイズへ
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商品情報
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この作品のレビュー
平均 4.2 (111件のレビュー)
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【感想】
この本が刊行されたのが2019年6月17日。そこから半年後にパンデミックが発生したが、佰食屋もコロナの影響を免れなかった。2020年4月には4店舗のうち2店舗を閉鎖する。しかし、翌月から黒字…を達成し、8月には過去最高利益率を記録したという。残業ゼロ・有給休暇全消化の超ホワイト飲食店は、コロナ禍であっても生き残ることができたのだ。
本書で印象的だったのは、お店の雰囲気に合わせて「働く人」も多様化させることだった。普通は「コミュニケーション能力の高い人」「リーダー適正がある人」などを採用したいものだが、佰食屋はあえてそれをやっていない。むしろコミュニケーションが苦手な人や、そこまで働きたくない人を積極的に雇う。その理由は、「『もっともっと売ろう』という意欲のある人に仕事をされると、周りの人が困る」からだ。「スキル」というのは働く場所によって有用性が異なる。佰食屋では「バリバリ仕事をする人」ではなく、「言われたことをその中できちんとこなす人」が能力のある人なのだ。本当に目からウロコの発想である。まさに「売り上げを伸ばさない」佰食屋だからできる強みだし、同様の働き方がもっと一般的になってほしいと思った。
――貯金が将来への不安をかき消す材料にはならないとすれば、どうすればいいでしょうか。それは……無理せず働き続けることができる「持続可能な働き方」を自分の手でつかむことです。どんな時代になっても、どんな状況になっても稼げる仕組みをつくること、その力を持つこと。そして、自分の欲しい人生、それが年収500万円であろうと、1000万円であろうと、「これ以上は売らない」 「これ以上は働かない」と決めること。世の中に数ある業界のなかで、もっとも「働き方改革」からかけ離れた、ブラックな労働環境が当たり前となっていた飲食業界で、佰食屋はこの新しい働き方を実現させました。それなら、きっとほかの業界、ほかの業種でも実現できるのではないでしょうか。
―――――――――――――――――――――――
【まとめ】
1 佰食屋のビジネスモデル
メニューは3つのみ。「1日100食限定」。売り切れたら店じまいで、昼のみ営業。営業時間はわずか3時間半。
どれだけ儲かったとしても、「これ以上は売らない」「これ以上は働かない」。
あらかじめ決めた業務量を、時間内でしっかりこなし、最大限の成果を挙げる。そして残りの時間(人生)を自分の好きなように使う、それが佰食屋の働き方だ。
「100食以上売ったら?」「昼だけじゃなくて、夜も売ったほうが儲かるのでは?」
そうした質問は幾度となくあった。たしかに売上は上がるかもしれない。しかし、働く時間は増えるのに、給料はあまり変わらない。会社が儲かっても社員が報われないのはおかしい。
2 100食限定というビジネスモデルが生み出したメリット
メリット1「早く帰れる」退勤時間は夕方17時台
メリット2「フードロスほぼゼロ化」で経費削減
メリット3「経営が究極に簡単になる」カギは圧倒的な商品力
メリット4「どんな人も即戦力になる」やる気に溢れている人なんていらない
メリット5「売上至上主義からの解放」よりやさしい働き方へ
●メリット1「早く帰れる」
佰食屋とほかの飲食店の働き方の大きな違いは、佰食屋では「営業時間」ではなく「売れた数」を区切りにしていることだ。通常の飲食店の場合、労働の区切りは「時間」である。特に忙しい日になると、「もう13時なのに今日はお客様が途切れそうにない」「閉店も近いのにお客様がまだこんなにいる。まだこれから明日の仕込みがあるのに」と、従業員は心のどこかでうんざりしてしまうだろう。反対に、100食という「売る数の上限」を決めている佰食屋では、お客様が多い日=忙しくない日になる。
「早く帰れる」というのは、お金と同じぐらい魅力的なインセンティブである。就業時間も、働き方も、やる仕事も、仕事の後の時間を何に使うかも、自分が決められる。それこそが、納得のいく幸せな人生だ。
●メリット2「フードロスほぼゼロ化」
電話予約を受け付けていないので、予約キャンセルがなく、余計なフードロスが発生しない。また、食材の発注量が一定のため、店には冷凍庫を置いておらず、鮮度の高いお肉を提供できる。もちろん、100食売り切りのため廃棄も出ない。
●メリット3「経営が究極に簡単になる」
商品力に集中して生まれたのは、圧倒的なコストパフォーマンス。原価率は約50%だ。100食という上限が決まっているからこそ、手間のかかる調理法やこだわりの食材を使えるし、利益を度外視した経営だからこそ、原価率を上げてとことん美味しい商品を作れる。
●メリット4「どんな人も即戦力になる」
採用基準は今いる従業員と合う人。
面接では、一人につき1時間くらいかけて、どんなふうに働きたいのか、どんな暮らしをしたいのか、じっくりと話を聞く。そしてその人が「なるべくたくさん働いて、たくさん稼ぎたい」と考えているのなら、「きっとうちの会社では物足りないと思う」と率直に話す。「100食限定」と決めているのに、「もっと売りませんか?」というそのアイデアで、今いる従業員たちを困らせたくない。
佰食屋にはアイデアも経験もコミュニケーション力も必要ない。結果として、佰食屋が採用した従業員はみんな、話すのがちょっと苦手で、ちょっと不器用。ただ、みんな言われたことをきちんと真面目にこなすし、毎日同じ仕事を黙々とこなすことが得意だし、どんなお客様にも丁寧に接してくれる。それが、佰食屋にとっての「仕事ができる人」なのだ。
●メリット5「売上至上主義からの解放」
働くなかで、「本当はこうしたほうが効率がいいのに 」「この工程は無意味なのでは?」と違和感を持つことはたくさんあると思う。でも、心に余裕がなければ、多くの人は与えられた業務をこなし、ギリギリに設定された目標値をクリアすることに精一杯になる。「そう決まっているからしかたない」と受け流してしまう。その小さなモヤモヤが、長い目で見たとき、仕事の効率を下げ、作業の妨げとなってくる。できるだけみんなが楽しく、ストレスなく働くために、目の前のお客様に喜んでもらうために、「売上目標」はじゃまなのだ。
「それで儲かるのか?」という疑問は浮かぶと思うが、正直「めちゃめちゃ儲からない」。佰食屋の母体である「株式会社minitts」の2018年8月期末の年間売上は、全体で1億7000万円を超えたが、経常利益としてはギリギリの赤字だった。
3 労働と人生の意義
佰食屋にとって「いい人」つまり「優秀な人材」とは、真面目に業務に取り組める人、人にやさしくできる人、地道な仕事をおろそかにせず丁寧にできる人のことだ。リーダーシップがある人、コミュニケーション力が高い人、自らアイデアを出し率先して仕事を生み出せる人……そんな人材は希少価値も高く、取り合いになるのは当たり前である。しかも、どんな企業でも活躍できる能力があるからこそ、少しでもいまより良い条件で働ける会社があれば、彼らはすぐに辞めてしまう。そんな「労働者市場最前線」に身を置きつづけて、投資しつづけられるだけの体力がどれだけの企業にあるのか。
佰食屋は売上増も多店舗展開も捨てた。佰食屋にとって、労働者市場最前線にいる彼らは「優秀な人材」ではないのだ。
なぜ佰食屋が、そこまで従業員を大切にするのか。それは、自分が従業員だったとき、経営者にそう考えてほしかったから。会社員として働いて、どんなに頑張って、遅くまで残業して、休日を返上して、大きな成果を得られたとしても、わずかな昇給や手当にとどまり、「頑張った甲斐」を感じられない。自分の時間を奪われ、生活に変化がない。上司の一方的な要求や指示に振り回され、「組織の歯車でしかない」と感じながら、自分の思いを押し殺して働いて……「わたしは会社のために生きているわけではない」。そう考えたことが、たびたびあった。もし、従業員を一人の人間として、大切にして、無理な残業を強いることなく、しっかり評価して給与にも反映してくれるような会社があれば……そう考えて、夫婦で「自分たちが働きたい理想の会社」をつくったのだ。続きを読む投稿日:2022.07.29
# 売上以外を売り上げる、脱帽の戦略
## 面白かったところ
- 売上を捨てて、上質なサービスを追求する選択と集中の戦略が気持ちよかった
- 「会社は明日の責任を、従業員は今日の責任を」というフ…レーズが明瞭でとてもいい
## 微妙だったところ
- 飲食店だけが売上の柱ではないという点が少し残念だった
## 感想
資本主義社会の根幹を成す「売上」を捨てる。経営の第一目標を捨ててまで何を追い求めるのか。
そんな思いで本を手に取ったが、本当に諦めたのは売上だけだった。
裏を返せば売上以外は捨てていないわけで、ちゃんとマーケットインの市場調査や他社は真似できない商品価値向上のテクニックを惜しみなく本に書いてあったのは自信の現れだと思った。
原価率をとことん向上させるために精肉は使わないとか、一日100杯売り上げるために不断の努力を注いでいる詳細などはとても勉強になった。
売上以外で追求するものって、考えてみると業種やその会社の色・思想がとことん出るものだから、個人的にはめちゃくちゃ好きなカテゴリだったためスラスラ読めた。
ただ、社長が矢面に立って宣伝媒体になったり、店舗の母体である会社の売上は不動産収益も参入しているという事実は再現性の難しさを感じた。
一方で、特別な人間を採用しない戦略や、誰でもできるような仕組みづくりは飲食店ならではのTipsで面白かった。続きを読む投稿日:2024.05.13
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