樅ノ木は残った(上中下) 合本版
山本周五郎(著)
/新潮文庫
作品情報
仙台藩主・伊達綱宗、幕府から不作法の儀により逼塞を申しつけられる。明くる夜、藩士四名が「上意討ち」を口にする者たちによって斬殺される。いわゆる「伊達騒動」の始まりである。その背後に存在する幕府老中・酒井雅楽頭と仙台藩主一族・伊達兵部とのあいだの六十二万石分与の密約。この密約にこめられた幕府の意図を見抜いた宿老・原田甲斐は、ただひとり、いかに闘い抜いたのか。 ※当電子版は『樅ノ木は残った』(上)(中)(下)の全三巻をまとめた合本版です。
もっとみる
商品情報
以下の製品には非対応です
このコンテンツは”PRS-650/350”には端末の制約により対応しておりません。予めご了承ください。
この作品のレビュー
平均 4.5 (2件のレビュー)
-
人間らしく,生きる。
この著者の作品を初めて読んだ。上巻のあたりは登場人物が多くてそれぞれに複数の呼び方が混在するので混乱してしまい,何より主人公である原田甲斐の内面を表現するような部分が全くないので何やら読みづらいままで…進む。話としては「伊達騒動」に関わる一連の出来事を原田甲斐を中心に据えて追っており,10数年の時間経過があるはずなのだが,主人公の動きがなかなか見えてこないこともあり,物語の進行しているという感じがない。甲斐はひたすら自分を韜晦しつくし,伊達藩を転覆させる陰謀を阻止すべく耐え続けるのだが,その過程で親しかった人々から見放され,あるいは責められあるいは別れ,その中でも感情の動きを表に現さない甲斐の姿は,読者にも何やら得体のしれないものに思われる。そんな甲斐が心を通わせるのは樅の木や鹿,鯉であり,人間とはおよそ心を通じ合えないように見える。甲斐は主家の存続のために周囲の人間の苦しみまでも受け入れて耐えながら,一方では孤独そのものの山での時間を愛するように武家社会の倫理に縛られない生き様こそが本来の人間らしい生き方であると考えているように思われ,陰謀に巻き込まれて縁者を失った宇乃,あるいは宮本新八への接し方にそれが表れている。しかし武士としての生き方を自ら捨てることはできず,自らの心を誰にも明かせないすさまじい孤独の中で10数年生きる甲斐の姿は,なんとも言い表しようがない。物語の中盤から終わりにかけて,わずかに甲斐の心情が漏れだすように述べられる。歴史の真実は不明であるが,孤独に耐えて自らの使命を貫く男の姿は,無言の中に存在感をもって読者の心に残るものと思う。続きを読む
投稿日:2016.08.23
-
シリアス版『男はつらいよ』か、いや、漢の鑑か・・・
命を懸けても守りたいもの、守らなければならないものがあった、そして守り切って微笑しながら死んでいった、しかも汚名を残すことを承知の上で・・・、そんな漢の生き様を根性なし腑抜けの私が読みました。
現在…に続く大河ドラマのご当地ブームのきっかけになった原作です。
ひたすら救いのない、読んでいて、苦しくなる物語。全てを放擲して出家でも脱藩でもしたらどうかと、逃げるは恥だが・・・(苦笑、オッホン(咳払い))、少なくとも命は落とさないのにと、何度も思って読みました。山本周五郎にしては主人公の社会的地位が高いものの、周囲との”しがらみ”や自分に課せられた責任・使命を全うしようとして悩み苦しむ姿に貴賤の差はないようです。本日は山本周五郎の命日にあたり、読売新聞のコラムでもエピソードが紹介されていました。それによれば、あらゆる受賞を辞退したそうですが、その姿は主人公と重なって見えはしないでしょうか・・・。
主人公が守ったものは教科書的には、伊達藩の存続、ということになるのですが、「何を守ったか?」に対する読み手の解釈が本作に対する評価に深みを与えてくれると思います。あなたは、どう思いますか?私の解釈は・・・恥ずかしいので書けませんm(_ _)m。
山本周五郎、次に読むのは宮本常一と名を連ねている『日本残酷物語』の予定です。続きを読む投稿日:2017.02.14
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です
続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能です