キレイゴトぬきの農業論
久松達央(著)
/新潮新書
作品情報
誤解(1)「有機農法なら安全で美味しい」、誤解(2)「農家は清貧な弱者である」、誤解(3)「農業にはガッツが必要だ」――日本の農業に関する議論は、誤解に基づいた神話に満ちている。脱サラで就農した著者は、年間五十品目の有機野菜を栽培。セオリーを超えた独自のゲリラ戦略で全国にファンを獲得している。キレイゴトもタブーも一切無し。新参者が畑で徹底的に考え抜いたからこそ書けた、目からウロコの知的農業論。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- キレイゴトぬきの農業論
- 著者
- 久松達央
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮新書
- 書籍発売日
- 2013.09.14
- Reader Store発売日
- 2014.06.27
- ファイルサイズ
- 3.3MB
- ページ数
- 206ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.1 (58件のレビュー)
-
この人は信用できるという農家の必要性
農業はイメージで語られすぎているんだな。本書を読んでまずそう思った。
「キツイ・汚い・臭い」の3Kから、「カッコ悪い・稼げない・結婚できない」が加わって6Kだという人もいる。
茨城県南部にある久松農…園は、そうした6Kという噂からは想像もできない実に明快で気持ちのいい農業経営が行われている。
本書の著者であり、社長の久松達央は、「日本一話のうまい農家」を自称し、「有機」という名の元に作られる「安全」なだけの無農薬野菜や「環境にやさしい」だけの有機野菜を切っていく。「有機だから」という言葉で安全もおいしいも確約されるわけではないにも関わらず、人々はそのイメージにとらわれてしまっている。
必要な農薬や肥料を使うことと、安全な野菜であることは矛盾しないと語りながら、久松農園は有機という選択をしている。それは久松がその方がおいしくて体にいい野菜が作れると考えているからだ。小規模・多品目・直販・有機というキーワードで経営を行い、無理に収穫量を上げるのではなく、「適した時期に適した品種を健康に育て、鮮度良く届ける」ことをモットーとする。
絶対的な有機信仰者や経営一辺倒のうそ臭い農業にもない、自分のいる場所とポジションを明確に認識し、小さいことを経営上ダメなことだとしない。あけすけだからこそ信頼できる農家の姿がここにある。
久松農園
http://hisamatsufarm.com/news/988.html続きを読む投稿日:2014.10.12
-
これは農業の話ではない。経営の話だ。
99年に脱サラして就農した久松氏は野菜づくりはうまくないそうだ、しかも本人曰くセンスもガッツもない。しかししゃべりは得意で日本一しゃべれる農家にはなれるかもと言う。めざすはエロうま野菜。脂のしたたるス…テーキやスイーツが体に悪いと言われてもやめられないように、やみつきになるような美味しさだ。年間50品目以上の野菜を有機栽培して直販している自称変態だ。
久松氏は野菜の美味しさの三つの要素は栽培時期、品種、鮮度だと言い切る。だから野菜づくりが下手でも旬の野菜はうまい。有機でやるのは健康な野菜を売るためだ。だから健康な野菜を作るために農薬を作ると言う方法を否定していない。それぞれが選ぶ事だと言う。大規模で低価格路線の普通の農家を否定しているわけでもなく、ただそれは元々受け継いだ農地を持ってることが参入障壁で脱サラでは難しいようだ。例えば虫食い野菜のほうがうまいと言うのも根拠はない、畑では弱った野菜から病害虫にやられていく。農薬や除草剤を使うと本来淘汰されていたはずの個体が出荷されるかもしれないが有機でやる事で健康な野菜が残る。そう言う考え方だ。
久松農園(http://hisamatsufarm.com)では契約したお客さんに取れ立ての旬の野菜セットを送ったり注文販売をしたりしている。
ホームページにある3つの約束はこうだ。
・鮮度 ご注文を受けてから収穫して発送します。
・時期 旬の野菜だけをつくります。
・品種 味を重視した品種を選びます。
周りの農家からはよくそんな面倒な事をやってるなと言われるらしいが久松氏にすればしめたもの、脱サラ農家が参入障壁を作ってしまっているのだから。一方で有機栽培の労働生産性はやはり大規模農家に比べると低い。高価格ー直送と言う方法を選んだのもちゃんと合理的な理由がある。直販は消費者からの直接フィードバックが得られると言うのもポイントだったりする。有機農業の世界には反市場的な空気がいまだに存在し、「あなたのやってる事はビジネスだ!」と言われた事もあるらしい。当たり前だし、久松氏に対しての非難にはなっていない。
茨城県でほうれん草から基準値以上の放射線物質が検出された時にはキャンセルが相次ぎもう農業が出来ないかもと言う所まで追い込まれた。「先行き不安と言いつつ、滞りなく作業は進むのであった。マルチ(農業用フィルム)を張ると心が安らぐ。アホだ。」このスタイルで野菜を売って、うまいと言わせるのが喜びであり、保証金をもらっても満たされない。自分の育てた野菜は安全だと信じながらも安心を買いたい消費者がいるのは当然であり、風評被害に対しては不安に勝てるほどの商品力がなかったのは経営者としては「負け」なのだ。目指すべきは「ふぐ」危険はあっても食うのを目指す方が経営者としては合理的で前向きだからだ。続きを読む投稿日:2014.11.16
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です
続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能です