徳富蘇峰 日本ナショナリズムの軌跡
米原謙(著)
/中公新書
作品情報
明治十九年、徳富蘇峰は二十三歳で、評論『将来の日本』を著して華々しく論壇にデビューした。その後、藩閥政府への参画を「変節」と誹謗され、戦後は第二次大戦中の言動によって無視されつづけた。しかし蘇峰は、青年時代から一貫して、日本が国際社会から敬意ある待遇を受けることを主張してきたのである。本書は「大言論人」蘇峰の生涯をたどり、日本ナショナリズムの転変に光を当てるものである。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 徳富蘇峰 日本ナショナリズムの軌跡
- 著者
- 米原謙
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2003.08.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 5.2MB
- ページ数
- 258ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.9 (9件のレビュー)
-
彼の筋が通らないところにどこか共感
徳富蘇峰は「変節漢」として毀誉褒貶が激しい人物である。
若き日は熱心すぎるほど熱心なキリスト教徒であったが、
割とあっさりとキリスト教から離れる(少なくともそのように見える言動をする)。
その後は民権…派ジャーナリストとして活動するが、藩閥政府へと参画。
日清日露戦争を経て国粋的ジャーナリストとして「大東亜戦争」を鼓舞してきたにも関わらず、
戦後はあの戦争に敗れたのは日本の自業自得であった、と言ってしまうような人である。
個人として見て、このような変化は一体何故なのか、と気になる。
本書は蘇峰の94年の生涯を通してその時代の日本全体の変化を読み取ろうとするものである。
私は、蘇峰を少々変わった人間だと思っていたので、その蘇峰を通して見えるのは、どんな日本なのかと興味を持った。
本書を通読してみて思ったのだが、
蘇峰のやっていることは支離滅裂なようで筋が通っているし、筋が通っているようでやはりおかしい。
例えば蘇峰は同志社英学校で西学とキリスト教に心酔した。
だからこそ、西洋人の欺瞞がよくわかる。
故に日本が国際社会で敬意ある待遇を求め、そのために戦おうとする。
だが、アジアの他の国も同じように敬意ある待遇を求めているということに思い至っていない。
この種の筋の通り方/通らなさというのは、考えてみれば蘇峰だけではないだろう。
蘇峰にとっての「同志社時代」は、日本にとっての同時期、つまり「文明開化」という言葉が流行した明治初期であろうし、
第二次世界大戦の戦中と戦後でころっと言うことが変わったのも蘇峰一人ではあるまい。
本書のサブタイトルは「日本ナショナリズムの軌跡」となっているが、
蘇峰の関わった範囲、そして本書で扱っている範囲は広く、
ジャーナリズムの軌跡であり、歴史観の軌跡でもある。
もちろん、日本近代史でもある。
どちらかといえば「徳富蘇峰」個人に関心をもって読み始めたのだが、
吉野作造、北一輝、石橋湛山など、いろいろな人物について今一度考え直すきっかけともなった。
なかなかにセンスのいい切り口の本だと思う。続きを読む投稿日:2015.01.14
-
平民主義を掲げてジャーナリズムの世界で活躍し、ナショナリズムへと傾斜していった徳富蘇峰の生涯と思想をわかりやすく解説している本です。
著者は、状況のなかでベターなものを選択するという蘇峰の便宜主義的…な振る舞いを批判しながらも、西洋列強からのまなざしを意識しつつ日本の国家的アイデンティティを形成していかなければならない近代日本の歩みのなかに蘇峰を置き、彼の思想的変遷が現代のわれわれに突き付けているはずの問題を浮き彫りにしています。
蘇峰のコンパクトな評伝としてはたいへん優れた本ではないかと思います。欲をいえば、陸羯南や三宅雪嶺といった思想家たちとの比較や、北村透谷などの蘇峰よりすこし若い世代との考え方のちがいについても、もうすこし触れてほしかったように感じました。続きを読む投稿日:2020.06.11
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。