- 最新巻
国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)
ダロン・アセモグル(著)
,ジェイムズ・A・ロビンソン(著)
,鬼澤忍(訳)
/単行本
作品情報
世界にはなぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか?
『銃・病原菌・鉄』のジャレド・ダイアモンド、ノーベル経済学賞の歴代受賞者が絶賛する全米ベストセラー!
《ワシントン・ポスト》《エコノミスト》《フィナンシャル・タイムズ》各紙誌の年間ベストブックに選出!
下巻には坂本龍馬や大久保利通も登場。
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商品情報
- 著者
- ダロン・アセモグル, ジェイムズ・A・ロビンソン, 鬼澤忍
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- 単行本
- 書籍発売日
- 2013.06.25
- Reader Store発売日
- 2013.08.23
- ファイルサイズ
- 6.9MB
- ページ数
- 368ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 4.0 (31件のレビュー)
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国家はなぜ衰退するのか
上巻に引きつづき、発展している国と貧困にあえいでいる国の例をいくつもそして丁寧に調査した結果を元にその理由を述べ、著者らの考え方の裏づけとしている。(著者の考え方に同意するという前提だが)その理由が分…かると、現在貧困にあえいでいる国が経済的に豊かになることはとても難しく悲観的になってしまいそうになる。だが、著者らはそれでもあきらめてはいけないと述べている。現在豊かな国々は、それぞれ歴史上の岐路となる時に、いくつかの幸運と偶然が重なり、国が豊かになる政治経済制度に向かって舵を切り始めた結果が今があると述べられていると私は理解した。ここに対して個人的には、その重要な岐路に幸運と偶然以外の何らかの意思や力が働いていることはなかったのかと感じたが、当然私にはその証拠は説明できない。
本書の終盤では、著者らの考えを元に、日本を含む周辺の国々を含め、これから近い将来、国々がどうなっていくかを知る参考になることが書かれていると思う。続きを読む投稿日:2014.06.28
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包括的な制度が永遠に続く保証はなくメディアや国民の監視によってなんとか続けていくものなのだろう。そして収奪的な独裁制の下での持続的な発展が続いた例は歴史上ない。
「世界には四種類の国がある。先進国、発展途上国、日本、アルゼンチンだ。」ノーベル賞経済学者のサイモン・クズネッツの有名な言葉だそうだ。1914年のアルゼンチンは50年ほどの経済成長を達成し世界で最も裕…福な国の一つだった。しかしその後は独裁主義と民主主義の間を行ったり来たりした。民主主義と言ってもペロンの正義党は巨大な集票組織による利益供与の賜物で権力は著しく集中していた。そして2001年には経済危機を迎え先進国から果て得ん途上国へと滑り落ちていった。
日本は逆に19世紀中頃までは中国とともに鎖国政策の元で停滞していたが完全な中央集権の中国とは違い、薩摩藩が琉球を通じた交易で密かに力を蓄えていた。中国はアヘン戦争以降国力を落とし辛亥革命後も統一政府は作られず各地の軍閥が地方を支配し、抗日戦の一時期を除いて国共内戦が続いた。改革開放以降少しずつ個人の権利は拡大し経済は発展してきてはいるが独裁的な政治体制が続いている。日本の明治維新が成功しより包括的な政治制度へと踏み出したのに対し、なぜ太平天国の乱や辛亥革命は収奪的な制度を維持してしまったのか。藩の独立性が高かったからと説明しているのだが藩内部の構造は収奪的だったのではないのか。中国の軍閥が誰が独裁者になるかと言う争いなのに対し、明治維新後は中央集権制の下で民主化が進んでいる。徳川家を打倒した後薩長内戦が起こり、薩摩独裁政権が生まれても不思議ではなかったが現実は坂本龍馬の船中八策と言う当時の常識ではかなり急進的な政策が採用され政治制度が生まれ変わった。
歴史的な記録は近代化が必ずしも包括的な制度に結びつかないことを示している。20世紀初頭豊かな工業国として発展したドイツと日本でナチスドイツや日本の軍国主義の拡大を防げず弾圧的独裁政権と収奪的制度に屈し工業化はそれを支えてしまった。21世紀のアルゼンチンは未だにとがめ立てもされずに国民の財産を収用できる。敗戦後の日本がアメリカ主導で民主化に一機に向かったのはアメリカ国内の例をみると必然だったとも言えない。1901年に書き直されたアラバマ州憲法256条は現在でもこう述べている。「議会は、公立学校制度、公立学校の資金の割当制度、白人の子供用と有色人種の子供用の別々の学校を創設し、維持する義務を負う。(中略)どちらの人種の子供も、もう一方の人種用の学校に通ってはならない。」この憲法を削除する修正案は2004年に州議会で僅差で否決された。18世紀末にイギリスで始まった奴隷貿易廃絶は1807年から英米で法制化されたが大英帝国で奴隷制度が廃絶されたのは1834年であり南北戦争に負けた後も黒人に投票権が与えられた南部ではプランテーション農業は存続し、差別的な法律がいくつも成立した。これらの制度が崩壊しだしたのは1950年代からの公民権運動によるものだ。
アフリカの植民地の大半では奴隷制は20世紀になっても存続した。例えばシエラレオネの首都フリータウンは送還された奴隷の安息の地として築かれた町であるにもかかわらず奴隷制が最終的に廃止されたのは1928になってやっとだ。イギリスの植民地政府はまずシエラレオネに収奪的な制度を作り、独立後はアフリカ人の政治家達が制度を引き継いだ。イギリス人は大首長を終身制にしこの制度は今でも続いている。シエラレオネ東部の現在はダイヤモンド鉱区であるコノのスルク王=大首長の玄孫は2005年にスルクのために設けられたサンダーと言う保護領の大首長に選出された。イギリス国内で作り上げた包括的制度は植民地政策には適用されなかったということだ。現在のアメリカの自由主義の輸出がうさんくさいのも同根だろう。
アフリカにも包括的な制度を導入できた国がある。ボツワナは南アの北、西はドイツ支配下のナミビア、東にトランスヴァールやローデシアに挟まれていた。これらの勢力の拡大を防ぐためにツワナの三人の首長はよりましな方、イギリス人の支配の強化を求めた。1895年チェンバレンの言質を取りイングランドを遊説し庶民の支持を得た。またコットゥラと言う集会所では成人男子の総会が開かれ誰でも発言が出来、そして実力が認められれば誰でも首長になれるという体制を持っていた。イギリスの力を借り収奪的な勢力から身を守ったボツワナは1966年に独立した時点では世界最貧国の一つであったがーだからイギリスも植民地化しなかったー翌67年に世界最大級のダイヤモンド鉱山が発見されるとすかさず国営化し、その収益でインフラを整え一人当たりGDPでは2013年世界80位となっている。これは中国やタイよりも上位なのだ。
ここで得られた結論は制度は変えられると言う楽観論でもあり、しかし容易には変わらないと言う悲観的な見方でもある。続きを読む投稿日:2015.02.12
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