そして殺人者は野に放たれる
日垣隆(著)
/新潮文庫
作品情報
無罪判決。その時、殺人者はニヤリと笑った――「テレビがうるさい」と近隣の5人を滅多刺しにした男が、泥酔し見知らぬ主婦を背後から殺傷した通り魔が、罪に問われず社会に戻ってくる!! 「心神喪失者の行為は罰しない」という法の下に――。ある殺人者は「やられたほうが悪い。自分は被害者」と開き直り、ある殺人者は「死んだ人間は運命だと思って諦めたほうがいい」と口にする……こうして彼らは、何度も何度も野に解き放たれる! 日本の無法ぶりを暴いた渾身の衝撃作。
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商品情報
- シリーズ
- そして殺人者は野に放たれる
- 著者
- 日垣隆
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2006.11.01
- Reader Store発売日
- 2011.10.21
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 318ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (46件のレビュー)
-
「専門家」のおかしさ、「普通の人」のおかしさ
連続殺人など、凶悪な犯罪を犯した人が、「心神喪失により不起訴あるいは無罪」となる場合がある。
これは刑法39条に基づくのだが、おかしいのではないか、という議論。
問題提起はよいと思う。
それで遺族は…納得できるか?
何をもって「心神喪失」とみなすのか?
それによって事件を「なかったこと」にしてしまってよいのか?
精神障害者だから、と無罪にするのは障害者を一人前の人間と扱っていないからではないか?
私は法律や医学の専門家ではないので、どちらかといえば
著者の意見は同意できる部分も多い。
文章にも勢いがあって読みやすい。何だかぐっとくる。
刑法39条ってどうなの、犯罪者野放しでいいの?と思う。
が、そのわかりやすい感じに危うさを感じる。
まず、著者は刑法39条を削除してしまえばいい、そうすれば混乱のすべてが解決するとばっさりと主張する。
そして医者も裁判官もそれに気付くべきだ、とすら言う。
これは素人目にも違和感がある。
どういう思想信条を持っていても、医者や裁判官は刑法39条を無視することはできない。
また、刑法の改正はそんなに簡単ではない。
それに、39条は削除よりも解釈が議論されている法律だったのでは?
そこをすっとばして簡単に言ってしまえるあたり、
著者が法律に対して素人であることを感じさせてしまう。
それから、ある凶悪犯罪者の両親が共産党員であることを繰り返しているが、
それは本書の内容(刑法39条を巡る議論)と関係があるのか?
おそらく、著者の批判したい人々に共産党関係者が多いのかもしれないが、
このような書き方は、ジャーナリストとしての品性を下げてしまい、残念である。
他にも「宗教家」などを犯罪者予備軍のように言っているのは気分悪い。
結びに「こうした重大な欠陥ばかりをもつ日本の刑法39条は、精神障害者を半人前として扱い、
名誉も人権も認めようとしない非人間的な欠陥条項である」とするのだが、
その前の共産党員や宗教家に対する失礼な物言いのせいで、
この人の言うところの「人権」って大丈夫か?と思ってしまう。
というか、精神障害者に対してレッテルを貼ることがいかん、という主張の本なのに、
共産党員や宗教家に対して著者がレッテル貼ったら説得力ゼロやん、と突っ込みたくなる(苦笑)
また、俗にドヤ街と呼ばれる日雇い労働者の暮らす街について
独特の匂いがある。何度も喧嘩を見た。周りの男たちはニヤニヤしながら、
仲裁にも入らず眺めているだけだ。昼間から酔っ払いが、あそこにも、ここにもいる。
路上に寝込む人も多い。街頭テレビで競馬に熱をあげる一群もいた。
「普通に歩いている」私は、この街で明らかに異質な存在だった。
と描写する。無神経なもの言いだなあ、と思った。
日雇い労働者が路上で寝ているのは家がないからだ。
昼間からテレビを見ているのは職がないからだ。
酔っ払っているのは、多分飲まないとやってられないくらいつらいからだ。
が、この感覚が「普通」なのだろう。
何故私がこのように揚げ足を取るようなことを言うのかというと、
著者は、「法律オタクの珍説ではなく、市民生活を営む者の常識に従えば」
のように、「普通の人」の感覚から刑法39条のおかしさを論じているからである。
「普通の人」と「専門家」の感覚のズレはどの分野でもあることで、
「普通の人」の意見を代弁する本があるのは喜ばしい。
が、「普通の人」の感覚だけが正しいのかといえばそうでもないだろう。
「専門家」と言われる人は、「普通」には見えないことを研究したり
検証したりすることに時間をかけている。
それはわかりにくいことだろうが、無意味であると言ってしまえばあまりに危険だ。
本書は「普通の人」として「専門家」のおかしさを指摘している本である。
が、それゆえにやはり「普通の人」の偏見やおかしさというのも感じる。
また、著者は「普通の人」ではあるが、弟を理不尽に殺された被害者家族であり、
兄は精神分裂病(統合失調症)を煩っており、精神障害者の家族でもある。
それゆえに見える部分、それゆえに見失う部分というのもまた感じたりもする。
結局は、いろいろな立場の人の意見を聞いていかないといけないということなのだろう。
続きを読む投稿日:2014.12.09
-
精神障害者による心神耗弱、心身喪失
どんなことがあっても事件や事故特に事件は意思があって起こしたものだと思う
だから障害や他の原因があったとしても不起訴になるってゆーのに不満を抱く作者の意見に同意…
続きを読む投稿日:2024.02.12
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