罪と罰 1巻
落合尚之(著)
/漫画アクション
作品情報
“ひきこもり”と援交女子高生。接点のないはずの両者が出会ったとき、ある「計画」が動き出した……! ドストエフスキーの名作を原案に、現代の少年少女たちの抱える闇に迫る問題作。主人公・裁(たち)弥勒(みろく)は、将来を嘱望されて上京するも、大学にもバイトにも行かず部屋にこもる日々……。肥大する自尊心と、過敏な劣等感を持て余す弥勒の脳裏に、ある恐るべき「計画」が宿る!!
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商品情報
- シリーズ
- 罪と罰
- 著者
- 落合尚之
- 出版社
- 双葉社
- 掲載誌・レーベル
- 漫画アクション
- 書籍発売日
- 2007.07.01
- Reader Store発売日
- 2012.06.15
- ファイルサイズ
- 62.4MB
- ページ数
- 198ページ
- シリーズ情報
- 全10巻
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この作品のレビュー
平均 3.6 (31件のレビュー)
-
換骨奪胎する面白さ
本書はタイトルの通り、ドストエフスキーの『罪と罰』を翻案したマンガだ。
あまり期待せずに読み始めたのだが、原作との距離感が絶妙で、新刊の発売をとても待ち遠しく読むことになった作品だ(現在は完結)。
…大幅な換骨奪胎のため、原作を知らなくても面白い。
が、あえて原作ファンの目から魅力を語ってみようと思う。
主人公ラスコーリニコフに対応するのが引きこもり気味の大学生、裁弥勒(たち みろく)。
「踏み越える」ために金貸し老婆アリョーナならぬ、売春組織の親玉女子高生・馬場光の殺害を計画する。
光の「害虫度」は、はっきりいってアリョーナ以上だ。
老婆の義妹で「いつも妊娠している」リザヴェータに対応するのは、光の同級生、島津里沙。
光に売春を強要されながらも逆らうことのできない少女だ。
原作にはない弥勒と里沙の関わりがクローズアップされるにつれて、楽しくも不安になる。
展開が気になる、でも原作のもつ「思想」を壊しはしないか、と。
様々ないきさつはあったものの、里沙と弥勒の関係は「原作通り」に展開する。一番大きなところで。
そこから、判事との間の虚々実々の駆け引きが展開するのかと思いきや、
「首藤魁」なる男をめぐる回想が続く。首藤・・・・スヴィドリガイロフ!
ラスコーリニコフの妹に迫る、悪魔的な人間、スヴィドリガイロフは彼の魂の父親とも、もう一人の主人公とも評価される人物だ。
初読では、彼の存在意義や根本思想が掴めない読者が多いのではないだろうか。
というか、3回くらい読んでもやはり謎だらけな男だ。
「首藤」という名前が明かされる前から、彼は弥勒の中で父とシンクロする存在として現れる。
嫌悪しながらも惹かれて已まない存在として。
原作でも実は魅力的という設定なのだが、マンガや翻案の中でこれだけスヴィドリガイロフが魅力的に描かれているのは珍しい。
亀山郁夫は、ただ一人、「踏み越えることができた人間」と言っているが、このマンガの中でも、
「草食動物でありながら自然の摂理をひっくりかえして肉食動物になった」存在だ。
「この世は地獄だ。人間の欲が地獄を招く。これは世界の必然だ。欲望は生の本能そのものだから。
欲と欲が絡み合い、強者が弱者を獲って喰らう。猥雑で残酷で、だから世界は美しい」
「欲望を肯定しろ 地獄こそが楽園だ」
裁弥勒は、彼のこうした言葉に導かれるように「踏み越える」ことを目指す。
このあたりは原作とは全く異なる。
賛否両論のありそうなところだが、原作に忠実でなくても、原作からインスピレーションを得た作品としては、非常に魅力的だと思う。
完結巻まで読んだが、きちんと一つの作品としての世界観ができている。
それは、ドストエフスキーの世界観とは違うものだと感じた。
その違いに大きな意味があると感じた。
ある作品の影響を受けるとはどういうことだろう、そこからまた別の世界を構築することはどういうことだろう、
そんなことも考えさせられた作品。続きを読む投稿日:2015.04.18
-
共感と嫌悪
第1巻を読んだ直後です。原作は読んだことがありませんのでこの後どういう展開が待っているのか全く知りません。その上での感想になります。
まず主人公の弥勒について、思い込みが激しく、自分の思考に根底では…絶対的に正しいという考え方を持っている身勝手な人間に思えました。しかし、テレビでの殺人事件や暴力事件のニュースを視て「なんでこんなひどいことができるんだ。」、「どうしてこんな奴が生きているんだ」等と思ったことがない人がいるでしょうか?そしてそんな事件を起こした人間に対して後ろ暗い感情を持ったことがない人がいるでしょうか?人が誰しも持っている正義感と欲望をむき出しに解かりやすく体現した人物にも思えました。
それに対して、馬場ヒカルという人物はまさに上記で書いたような感情を抱かせるそのものを体現する人物です。自分の配慮に欠ける言動にひどい自己嫌悪に陥って、胃がキリキリ痛むという身からしてみれば、他人を貶めて、蔑んで、罵って、気持ちがいいという感覚が理解できません。それでも主人公が一巻の最後の思考に至ったことにどこか共感してしまっている自分もいて、自己矛盾と恐怖にも似た複雑な心境を抱かせられました。続きを読む投稿日:2015.04.18
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