Castleさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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家康、江戸を建てる
門井慶喜 / 祥伝社
究極のピンチをチャンスに変えた男たち
2
秀吉の無理難題を家臣の反対にあってもはねのけ、”関東にはのぞみがある”と江戸の建設にたちあがった家康。利根川東遷 小判鋳造 上水道整備
江戸城石垣 天守閣漆喰 それぞれのテーマにそって取り組んだ男た…ちの物語。 便利になった現代の我々には到底理解できない難事業 難工事に取り組んだ人々。大成功を収めた人。最後は残念な結果に終わってしまった人。悲喜こもごもがえがかれていて、史実としての物語を読む楽しとともに
人間物語としてよむのも面白みがあるとおもいます。
続きを読む投稿日:2016.08.03
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五峰の鷹
安部龍太郎 / 小学館
歴史 経済 世界観も楽しめる盛りだくさんの戦国譚
2
主家を滅ぼされ、不遇をかこう中、お家再興をめざしていく中、海商王直に認められ商人としても才能を発揮していく三島清十郎。
主人公は、架空の人物で物語はフィックションであるが、脇をかためる王直、足利義輝 …細川藤孝 氏家卜全 織田信長 毛利元就などがいきいきと動き、実際の史実が舞台となっているので歴史好きにとっては、胸躍る
エンターティメントになっているとおもいます。
鉄砲伝来の史実の裏に王直ありですが、一般的にはあまり表にででこないのはなぜか。石見銀山 生野銀山の話から貨幣価値などを現在になおしてくれているのは時代背景をみるのにいい。毛利元就と陶晴賢との戦いと将軍家と三好の戦いについては史実と重なりあわせてストーリを膨らませてみるのもおもしろい。
仇敵、石見玄蕃の正体は?ちょっと無理があったかも。
王直についても、もっと描いてほしかったかな。(贅沢かもしれないけど)
続きを読む投稿日:2016.09.06
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孤鷹(こよう)の天 上
澤田瞳子 / 徳間文庫
政争の中に己の義と信念を貫く、現代にも通じるエンターティメント
1
奈良天平時代。阿倍上皇と道鏡の仏教派 恵美押勝と大炊王の儒教派の対立の中、自分を磨き、国を支えていくという希望をいだき大学寮で学問に精進する若者たちを描く物語。否応なく政争にまきこまれながらも己の信念…と義をつらぬきそれぞれの生死がえがかれていきます。高向斐麻呂 桑原雄依 佐伯上信 赤土 磯部王 藤原広子 巨勢嶋村 それぞれのキャラクターの生きざまに泣いたり感動したりで最後まで一気によめました。
斐麻呂と赤土の友情がえがかれ、嶋村と牡鹿島足の対談の場面は涙がでます。また、長屋王の子孫であるため、出世街道からはずれている磯部王もキラリを光をはなちます。教科書では、恵美押勝(藤原仲麻呂)の乱は習いましたが、こんなにも奥の深い話があったのだと知りました。
歴史小説というと戦国時代や明治維新の頃のものや古代中国(春秋戦国時代)を読んでいたのですが、新たな境地が開けたようです。最高の歴史エンターティメントです。
続きを読む投稿日:2016.06.19
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喜連川の風 江戸出府
稲葉稔 / 角川文庫
江戸時代のサラリーマン物語
1
足利家の末裔。石高わずか5000石でも家格は10万石。参勤交代も各賦役も免除された名門家は実在したという事実にも興味をもってよみはじめました。テーマはずばり ”借金”。貧乏藩ならではの悲哀をえがいてい…ますが、金を借りるために、いろいろ裏工作を命じられ奔走する主人公。その中で事件がおこり解決にも奔走する。やがて、工作に疑問を感じ、上役に意見するが、逆に勘気をこうむり牢に。現代のサラリーマンにも通じる話としてみることができおもしろいと思います。さてお金は借りられるのかはできるのか? 牢屋にいれられた主人公の運命は?
次は、名君熙氏を主人公にした物語を期待したいとおもいます。
続きを読む投稿日:2016.09.11
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命もいらず名もいらず 上 幕末篇
山本兼一 / NHK出版
命もいらず名もいらず、こんな男だからこそ偉業をなしとげた。
0
剣、槍の奥義を極め、禅は印可を与えられ、書に通じた。その反面、大酒を飲み、女遊びもしたらしい。江戸城無血開城の英雄は、勝海舟と西郷隆盛だが、その前、死を賭して敵陣に乗り込んで西郷と会談したことが、江戸…を火の海から救ったことになる。もっと、評価されていい人だと思う。若いころの豪放磊落な人物像、維新後も明治天皇の教育係として活躍した人物。
とても、自分にはおいつけない人物ではあるが、魅力があふれた人物であることはたしか。西郷 勝 千葉周作 清水次郎長 明治天皇など、色々な人物とのかかわりがより興味をそそられます。
続きを読む投稿日:2016.06.30