Maxwellさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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サヨナラ自転車
櫻川さなぎ / ディスカヴァー・トゥエンティワン
Very Good
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This is the best story to me in the last one year.
The story and the characters who care for each o…ther impressed me very much. 続きを読む投稿日:2024.01.03
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神様の御用人5
浅葉なつ / メディアワークス文庫
心がふわりと暖かくなります
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前巻は1冊まるごと1つのお話でしたが、今回は3巻以前と同様、短編集(4柱の神様のお話)になっています。1つ1つのお話はそれほど長くなく、疲れた時に気楽に読めるので、これはこれでいいかなと思います。
…本書に限らず、このシリーズは読むと心がふわりと暖かくなります。優劣つけ難いですが、本書の中では特に「四柱 えべっさんの草鞋」がお気に入りです。海に捨てられたエビス様が漁師のキスケに助けられ、というところからお話が始まりますが、お互いほんとに大切に思っている様子が伝わってきます。
その一方で、思わず笑ってしまう描写も健在で、黄金さまの食い意地はますますエスカレート…ではなく、食に対する飽くなき探究心はますます冴え渡ってきている気がします。
ところで毎度思うのですが、神様の名前は読めないです。
たとえば「倭建命」で「ヤマト・タケルノ・ミコト」 とか、歴史や古典の知識が乏しい私にはルビがないと読める気がしません。以前のお話で登場した神様が再登場することもあり、「…読めない。ついでに、誰だっけ…?」という事態に遭遇することもしばしば。そろそろ「神様一覧」のようなノートが必要そうです。 続きを読む投稿日:2016.02.14
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国家と秘密 隠される公文書
久保亨, 瀬畑源 / 集英社新書
情報公開という点で日本は後進国だ、と主張している本
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情報公開の基盤ともいえる情報公開法、公文書管理法がようやく制定されて運用が始まったところだったのに、特定秘密保護法なんかを作ったのはけしからん、と、そんな内容です。
残念ながら面白いとは言えない本です…(堅苦しい部類の本です)が、1回休憩挟んだだけで読み切ったので、この手の本としては読みやすい部類なのかなと思います。
印象に残った点をいくつか挙げます。
<知識は無知を永遠に支配する>
情報がいきわたっていない、あるいは入手する手段のない『人民の政府』なる存在は、笑劇か悲劇の序章か、あるいはその両方以外のなにものでもない。知識は無知を永遠に支配する。だから、自ら統治者となろうとする人々は、知識が与える力で自らを武装しなければならない。
ジェームス・マディソン アメリカ合衆国第4代大統領
本文第2章より引用
<公文書管理法の制定に尽力したのは福田元総理だった>
福田元総理と言うと、国会で「(自分が)かわいそうなくらい苦労しているんです!」と答弁したり、「私はね、自分を客観的に見ることができるんです、あなたとは違うんです!」と言って1年で辞任したりした、というイメージが強すぎて、お世辞にも名宰相とは言えないと思っていましたが、いい仕事もしていたのですね。ちょっとだけ福田元総理に対するイメージが変わりました。
<(公文書は)国民共有の知的資産>
これは公文書管理法にある文言です。
「公文書」だとちょっと実感が湧かないですが、例えば他の人がやっていた仕事を引き継いだ時に、経緯などがきちんと文書化されているのといないのとでは、引き継ぎ後の作業効率に雲泥の差があります。という実体験を踏まえて、この文言には大いに賛同したいです。日本のお役所の場合、決定事項として残っている公文書はあれど、そこに至る経緯などが記載された文書はあまり残っていないというたいへん残念な状況だそうで(実務に携わっていない人が知りたい情報は、結果より経緯であることが多い)、ここは今後に期待したいところです。
<官僚は秘密にしたがる>
官僚の性として、自分が取ってきた情報は重要だと言いたいので、機密にしたくなる。また機密にすべき情報を公開してしまうと罪に問われるが、公開して問題ない情報を機密にしても罪には問われないので、不要なものまで機密扱いにする傾向に拍車がかかる。らしいです。
官僚、つまり行政側にそういう傾向があるなら、立法府が法律でこれに対して歯止めをかけないといけないと思うのですが、立法府が作ったのは特定機密保護法なのですね・・・。 続きを読む投稿日:2015.08.16
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ソニー創業者 盛田昭夫が英語で世界に伝えたこと
盛田昭夫ライブラリー / 中経出版
1日1つ,最強の英語学習教材
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この本の大部分は,以下の3ページ1セットで構成されています.
・1ページ目に比較的短めの英文スピーチ(多くても3パラグラフ),
・2ページ目に重要な英単語(Words & Phrases)数個,
… ・3ページ目に日本語訳
※2ページ目はない場合もあります.
内容の良さもさることながら,使い方によっては最高の英語教材になると思います.
たとえば電車で通勤・通学している方は,毎朝1つ,この英文スピーチを読む(暗記するくらいのつもりで).
61個のスピーチがあるので,週5日,1日1個のペースで進めると3カ月かかる計算になります.
(ちなみに今日が11月2日なので,たとえば大学受験生が今日からこれを始めれば,国立大学の2次試験にも間に合います)
1日あたりの負荷は低めで,3カ月という比較的短期間で達成可能な目標.
教材として秀逸ではないでしょうか.
私は今そういう使い方をしています(まだ最後まで到達していません).
これはと思うフレーズは多くありますが,ここに1つだけ紹介しようと思います.
Nothing can be done with good leader alone.
- 素晴らしいリーダーであっても,1人では何も達成できません.
ただ,電子書籍版は紙の書籍と違って音声CDがついていません.
その点を考慮して,星4つとしました.
続きを読む投稿日:2013.11.02
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ソニーの「B面」 知られざる黒子事業(週刊ダイヤモンド 特集BOOKS(Vol.6))
後藤直義, 藤田章夫 / 週刊ダイヤモンド特集BOOKS
プロフェッショナル魂を感じます
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ソニーの技術力の高さと,サポート体制がいかに徹底されているかが伝わってきます.
ビジネスユーザーから高く評価され信頼されているのも頷けます.
(2014/04/26 追記)
改めて読み直すと,ソニー…の持つ技術力よりも(もちろん技術力も卓越していますが),
他人(顧客,将来のソニー)を最優先し,自分のこと(自身の成功や会社の現在の利益)は
二の次にしている姿勢が強く感じられました.
特に印象に残ったのは2点です.
・故岩間和夫氏は,投資回収は21世紀になるかもしれないと言われたCCD(撮像素子)に開発投資を続行し,
将来のソニーの成長の種を撒いた(←短期的な利益や自分の手柄だけを考えていたらできない行動).
・放送局,映画撮影などプロフェッショナルが使う機器であるだけに,万一故障があればすぐに対処できるよう
全世界にサポート拠点を設けている(←利潤最大化だけを考えていたらこんなことはできない).
いわゆる「黒子事業」が,ソニーという会社の中だけでなく,
顧客(放送業界,映画業界のプロフェッショナルたち)の「黒子」という
立場に徹している印象を受けました.
この姿勢から,設立趣意書に井深氏が記した創業の精神
「真面目なる技術者の技能を最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場」
「不当なる儲け主義を排し,あくまで内容の充実,実質的な活動に重点を置き,
いたずらに規模の拡大を追わず」
を思い起こしました. 続きを読む投稿日:2013.09.28
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福島原発事故はなぜ起こったか 政府事故調核心解説
畑村洋太郎, 安部誠治, 淵上正朗 / 講談社
配電盤が津波で被水したのが致命的だった
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福島第一原発事故に関連する書籍は多数ありますが,特にこの書籍を選んで読んだ理由は,「何が最大の原因で発生したのか(どうすれば回避できたのか)」
「どういう過程を辿って事故が進展したのか」を,技術的な視…点から,且つプラント全体を展望した視点から知りたかったためです.
その意味では関連する内容は6章立ての最初の2章分しかありませんが,知りたいことはひととおり知ることができました.
個人的には,6章全部技術的内容だったらもっとよかったと思っているので,星4つです.
たとえば以下のようなことを知れたのは有意義でした.
●原子炉の設計思想の違い
1号機では電源喪失した場合にはすべての弁が閉じる仕様だった.
2号機,3号機では電源喪失した場合にはその時点での弁の開閉状態が維持される(何もしない)仕様だった.
つまり1号機と2号機以降では設計思想が異なっていた.
結果として1号機では電源喪失時に原子炉が外界から隔離され,熱が放出できず炉心溶融を早めることとなった.
●非常用ディーゼル発電機は全滅していなかった
津波に襲われた後でも各号機とも稼働できるディーゼル発電機は残っていた.
だが発電機が発電した電気を原発を動かす各種機器に伝達・分配するための配電盤が被水したため,ディーゼル発電機だけ残っても意味がなかった.
後知恵かもしれませんが,電気がないとなにもできないにも関わらずその電気を確保するための努力が
足りないんじゃないかと思わずにいられません.
続きを読む投稿日:2013.09.24