間 文理さんのレビュー
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スポーツ遺伝子は勝者を決めるか? アスリートの科学
デイヴィッド エプスタイン, 福 典之, 川又 政治 / ハヤカワ文庫NF
読み応えのある、面白い本です。
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驚嘆するほどのデータを駆使して、説得力をもって、”事実”を示していき、どんどんと引き込まれて行きます。
但し、みんなが既に、「知っていること」を、ではあるのですが。。。
陸上をかじったことがあれば、な…じみの名前の裏にある物語りに、スリルを感じるでしょう。
また、ここで示される事実は、トリビアとしても強力なものに。。。え? 陸上のトリビアでは盛り上がらないって? まあ、そういわずに。面白いですよ。 続きを読む投稿日:2016.11.07
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イン・ザ・プール
奥田英朗 / 文春文庫
不覚にも、電車の中で、ブファッっと。
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ばかばかしくも、面白い、か、面白いけど、ばかばかしい、か。貴重な電車の中の時間を、有意義に過ごしたい方には、お勧めしません。
ばかばかしくも、面白い時間を欲している方には、選択肢の一つです。
現代社会…の病理を記載していまですが、解答は呈示していないことをご了解ください。 続きを読む投稿日:2016.09.16
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大人のいない国
鷲田清一, 内田樹 / 文春文庫
子どもたちだけでも回せるシステムができた。
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そこまで、日本が進歩したため、日本から大人がいなくなったと。そうかも知れない。。。私も、55歳になったけど、子どもっぽいよね。。。
愛国心についての論証は、興味深いものでした。以下、若干の抜粋
「同胞…たちを糾合することには熱心だが、自分と意見を異にする人々をも包括しうる水準を探り当てることには不熱心な人間を「愛国者」と呼ぶことは私にはできない。」
「集団が維持されるための必須の、唯一の条件は「同胞については、おのれ一個の好悪や正否や利害得失と行った主観的判断を停止させること」」
「「不快な隣人たち」を国民国家のフルメンバーとして受け入れること。それが現代に残された唯一の愛国心の形」
ものを考えることはしんどい。でも、考えることが、大人の責任。大人の責任を果たしていない人たちに、公的な組織を率いる資格は無い。でも、一見できちゃっているのが、進化した日本、ということでしょうか。
読んでいて楽しくはないけど、でも、大人になるため、読んどいた方がよさそうね。 続きを読む投稿日:2016.09.16
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ふしぎな部落問題
角岡伸彦 / ちくま新書
にほんに、期待を持てる本です。それに加えて、攻撃的なところがなく、バランスがとれていて、読みやすい。
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大阪に生まれ育ち、意識することなく同和教育の存在を感じ、政党との対立に生臭いものを嗅ぎつつ、でも放置してきた欠損した知識のパズルが、それなりにはまって、視界がだいぶ良くなりました。
日本の部落差別が、…人種差別とは違う要素を含んでいて、それが問題の構造を複雑化しているという呈示は、呈示されるまで、気がついていませんでした。きちんと問題意識を持っている人たちには、自明だったのかもしれませんが。。不勉強を反省。
橋下氏にはまったく感心せず、仲間内の与太話では同窓会から追い出すべきだ、などとくだをまいてますが、ここに記載されている件については、橋下氏に悪意をもつ人物の、もしくは自分をpromoteしたい人物の、質にあきれ果てました。
最後の章、主人公たちの、さり気ない、だけどまさに「正しい」行動に、久しぶりに心の明るくなる、にほんの将来に希望をもてる思いをしました。
一言、おすすめです。 続きを読む投稿日:2016.08.23
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神様の背中~貧困の中の子どもたち~
さいきまこ / フォアミセス
神様の目が届かない子どもがいるんじゃない、"子どもたちに背を向けているのは神様なんかじゃない 私たち大人だ"
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戦慄を感じる、phraseです。
社会のシステム、の問題なのでしょうが、私たち一人一人の心の問題、であるべき、という問いかけなのでしょうか。
本当に偶然、読み始める直前にポプラ新書の「貧困の中の子ども…、希望って何ですか」を読み終えたところだったので、この物語の真実性が迫ってきました。
現在のにっぽんで、自助と自己責任を唱える人たちには、対極にある考えで、共感困難でしょうか。
でも、そうではないと感じている人たちには、是非読んでもらいたいと思います。そうすれば、にほんが、より優しく、素晴らしい国になるような気がします。
ところで、ポプラ新書の「貧困の中の子ども、希望って何ですか」の7章、英国の挑戦で触れられていますが、英国の労働党のトニー・ブレアが、"Education!, education!!, education!!!"と叫んで総選挙を戦ったときに、ちょうどロンドンに住んでいました。
ブレアの労働党は、メイジャーの保守党に圧勝しました。それはそれは、英国全体が高揚に包まれていました。日本でも、そのような日が来ればいいですね。 続きを読む投稿日:2016.08.12
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日本会議の研究
菅野完 / SPA!BOOKS新書
ああ怖かった。。。この話が本当だとすると、中村うさぎの、イノセントなみに、怖い。。。
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世界で3番目の経済規模を持つ国の宰相が、少数の宗教的信念をもった方々のつよい影響下にあるだなんて。。。ぶるぶる。
一部の人が、善意で宗教的信念をお持ちになるのは、結構なんです。それは、善意なんだから。…でも、一国のリーダーが、人類社会の営々と成し遂げてきた社会の進歩を、少数者の宗教的信念に基づいて、無視したらいかんでしょう。
人類は、環境を変えるようになって、進化を止めた(ラリー・ニーヴンだっけ)。自然科学は指数関数的に進歩する。そのギャップを埋めるのは、人文科学。と私は思う。
家長を重んじ、家を重んじ、女性を下に置き、他民族や性的マイノリティーを排外する。そして支配階級が富を独占する。これは、古い社会では当然だったのでしょう。そのような形態の繁殖をする動物は、そこそこいそうな気がします(そんな野蛮な動物はいない?)。その古き”良き”(私にとっては古き悪しき時代ですが)時代を取り戻すべき、という善意に基づいた宗教的信念は、あり得るでしょう。
しかし、そのような人々をおいといて、人類は進歩をし、その本能を克服し、少数の支配階級ではなく、より多くの人が幸せになれるよう、個人を、女性を、他民族を、LBGTを、意見の異なるものを、尊重する社会を作ろうとしているのです。その人類の進歩を、無かったものにしようとするのは、どうかと思います。
ちなみに、著者が自分で書いているけど、連載をまとめているので、構成がよくなく、少し読みにくいです。内容は平易ですが。 続きを読む投稿日:2016.07.23