
亜愛一郎の狼狽
泡坂妻夫
東京創元社
刑事でも探偵でもない冴えない男が推理する
DL2号機事件を始めとした短編集なので、あっというまに読みきれる。最初は、登場人物の名前が変な者ばかりなので、読みづらいと思ったが、慣れるとストーリの面白さに引き込まれた。 探偵でもない、刑事でもない美男子カメラマンの主人公がなぜか事件の現場に出くわし、刑事たちにアドバイスをして解決に至るというシンプルな内容。 もたっとした、さえない男が事件を解決するのは「刑事コロンボ」モチーフにしたのだろうか?トリックの手口に似たものがある。 続編を読みたいと思ったが、電子書籍では東京創元社からではなく、角川文庫からでている。
0投稿日: 2016.12.14
インストール
綿矢りさ
河出文庫
話題性の作品?
綿矢りさのデビュー作品だそうだが、内容はさほど面白くはなかった。 自分をリセットしたい女子高生と大人びたというか、こまっしゃくれた小学生がパソコンで、エロチャットを始めて金儲けする話。 そこで出会う人々の係わり合いを通じて、女子高生が自分を見つめなおす内容。著者が本当に女子高生時代に書いたものなので、驚きを感じるが、感銘を受けるものではないかった。「良く書けました」と言った程度に感じる
0投稿日: 2016.11.17
六合目の仇討
新田次郎
新潮社
短編集それぞれ面白い
敵討ち話から、富士講をモチーフにした話、太田道灌の山吹伝説以降の恋愛話、暗殺など、歴史をいろいろな角度から見て物語をつくる新田次郎の小説。 それぞれの人間性がよく描かれており、歴史ものであっても、短編集なのでとても読みやすい 最後の琉球の「意地ぬ出んじら」は、琉球人の薩摩人に対する仕返しが書かれており、痛快な内容でお勧め
0投稿日: 2016.11.17
おかしな先祖
星新一
角川文庫
男は女にもてたがる
おかしな先祖を始めとしたショートショート集。全体的には男と女の関係が多かった。 病気の3人の男たちが死後、体をつなぎ合わせ女にもてようとする話しや、女神と結婚して浮気されまくる話など、色恋の話しが多いので、あっという間に読める。
0投稿日: 2016.07.17
少年H(下)
妹尾河童
講談社文庫
敗戦の日本、そして未来
戦中から戦後にかけて、その時代の人たちがどのように生き延びていくのかがよく分かる。神戸の街の大空襲、そして広島、長崎。日本の政府、軍部が情報を隠し続けるが、庶民は敗戦に向かっていることを気づいている。そして、敗戦後、人の心はすっかり変わり、やれ民主主義を言い出すようになる。 そんな中、少年Hは、どのように生き抜くのかを面白く読みきれる。さらにこの後の続編が読みたくなる。
0投稿日: 2016.07.17
少年H(上)
妹尾河童
講談社文庫
河童さん最高!
妹尾河童さんの少年時代の出来事。日本の戦前、戦中、戦後を少年の目を通して書かれているので、純粋な気持で読める。徴兵がイヤで自殺した近所の人や学校の先生や友達など、様々な視点が描かれているので、長編ではあるが飽きずに読みきれる。時代に流されることもなく、かといって反逆的な人間でもなく、暗い時代ではあるがこの少年には面白さがある。
0投稿日: 2016.07.17
コフィン・ダンサー 下
ジェフリー・ディーヴァー,池田真紀子
文春文庫
いったい誰が犯人なのか?
リンカーン・ライムシリーズの第2弾はやはり結末が二転三転。真の殺し屋は誰なのか?その首謀者は? 自分の思っていたのと異なり、最後まで裏切りつつけられる内容。 ライムとサックスの愛の行方など、推理以外の展開も興味をそそる。 面白いけど、スケールが大きすぎて、これを映像化するのは大変だろうなと思う
0投稿日: 2016.04.12
コフィン・ダンサー 上
ジェフリー・ディーヴァー,池田真紀子
文春文庫
殺し屋VS科学捜査
精神が病んだ殺し屋が犯罪裁判の証人たちを殺していく物語。リンカーン・ライムたちの捜査でそれをいかに防ぐのか? スリリングな展開が面白い。それぞれが裏の裏をかく、あと一歩で犯人を捕まえるところまでいくのに逃げられる。 この殺し屋、拳銃、ライフル、爆弾などに精通しているだけでなく、第六感があり、寸前のところで逮捕されない。 なぜ、警察犬で追わないの?と疑問に思うところもあるが、まあ科学捜査で捕まえなければしょうがないか
0投稿日: 2016.04.09
ホテルローヤル
桜木紫乃
集英社文庫
ラブホテルを取り巻く人間模様
寂れて、今はなきラブホテルローヤルに関係した人々の生き様をそれぞれの視点から描いています。 登場人物、それぞれいい男、いい女ではなく、どちらかと言えば下層階級。うら寂しい人生を歩んでいる。 そんな彼らをホテルはじっと見ているような描き方でしょうかね。 時期が異なるそれぞれの短編集を一冊にまとめたものなので、読みやすい。 題名から察する性の描写も期待したほどはない。それがかえって生々しくなくて良いのかもしれない。
0投稿日: 2016.03.08
宇宙の声
星新一
角川文庫
宇宙冒険活劇
星新一にして珍しい長編2編です。子供が主人公の宇宙版ガリバー旅行記、トムソーヤの冒険と言ったところでしょうか。 宇宙人あり、怪獣あり、奇怪生物あり、で楽しい一冊です。アップテンポの内容なのであっという間に読みきります。 小学生などの子供向けの内容ですね。
0投稿日: 2016.03.02
