
ルポ 中年童貞
中村淳彦
幻冬舎新書
著者の価値観だけが正しいのか?
人付き合いが苦手で、中高年でも童貞だと気持ち悪くて、童貞ではない著者の価値観こそが正しいと主張する本です。面白く書いたつもりかもしれないけれどただただ不快です。オタクの生活にしても、考え方にしても、放っておけばいいのに・・・。30分の通勤電車で読んで、時間の無駄だと思い、読むのをやめることにしました。 根底に流れているのはただ単に「中高年で童貞なんて気持ち悪い」というだけ。その人たちが若い頃に恋心を抱いたり、性的な想像をしても「気持ち悪い」で押し通し、読んだ人が気持ち悪く感じるように描写する。 書いている本人だってそういう想像はしたこともあるだろうに、自分は童貞じゃないから一般男子の正しい妄想・・・なんだろうなぁ。どっちもそんなに変わらないのに・・・。 こんな人が、福祉施設を運営しているなんて本当なんだろうか?
4投稿日: 2015.12.21
浄土真宗-往生と不退-
仲野良俊
真宗文庫
「信」の境地に至るには?
浄土真宗と浄土宗はどう違うの?という素直な問いに、真摯に応えてくれる1冊。私もそれを感じていたので、興味のある人には、おすすめ。 さて、その違いとは、浄土真宗は「信」に重点を置き、浄土宗は「行」に重点を置くということらしい。 この違いが、「即得往生」(今この世で、極楽往生することを得る)の身にならせていただくのと、「臨終来迎」(死ぬ時に、仏が迎えに来てくれる)を望むという姿勢の違いになるという。 そして、浄土真宗こそが、まさしく「浄土の真(まこと)の教え(宗)」だという。 親鸞の解き明かしてくれた浄土の教えこそが、念仏を唱えることで往生するのではなく、任せきることによって往生できる道なのだというのである。 また、現代の若い人が(といっても1983年の講演録)、寺に寄り付かないのは、現在の「信」ではなく、死んだら仏さんになるととらえているからだという。 とにかく、浄土真宗は素晴らしく、それを説き明かした親鸞は素晴らしいとまさに「信じて」いらっしゃる方の本なので、このような論調になってしまうのは仕方がない。 しかし、その「信」を得るためにどうしたらいいのか、その道筋は曖昧で複雑だ(それは、2015年でもだ)。 法然よりも親鸞の方が、理論的に優れているというのは勝手だ。 けれども、ここに講演されているような複雑な理論を飲み込まないと、「信」を得られないならば、普通の人にとって、阿弥陀仏が必ず救ってくれると安心を得るための道筋がひどくハードなものになってしまう。 そのため、念仏が易行道にも拘わらず、聖道門と変わらないハードルの高さを感じさせてしまう。 だからこそ、親鸞が関東から帰郷した時に、関東の親鸞の門徒たちは、どうしていいのか分からず、教義の確認を京都まで親鸞に確認に行かねばならなかったのではないだろうか。 そんな状態だから、現在も語れず、未来も語れない寺に、現代人は寄り付かないのだ。 こういったことを避けるために、法然は「行」を重視したのではないだろうか。 何も分からなくても、「南無阿弥陀仏」と唱えよと。とりあえずは、それでいいのだと。 私はむしろ、ここに法然のおおらかさを感じる。 親鸞の伝記である「御伝鈔」が本当なら、法然は「信不退」か「行不退」か親鸞に問われた時に、「信不退」を選択することはないはずだからだ。 宗派(真宗大谷派)の出版物なので、親鸞に重点を置くのは仕方ないが、宗派が発行する本はどうも宗祖礼賛になってしまっていて、仏教というよりも親鸞教といった趣になってしまうのが残念だ。 そのため、マイナス1。
2投稿日: 2015.12.13<デジタル週プレ写真集> 柳ゆり菜「ビキニの女神」
柳ゆり菜, 熊谷貫
<デジタル週プレ写真集> 柳ゆり菜「ビキニの女神」
柳ゆり菜,熊谷貫
集英社
明るいから?
どこで撮影されたのだろう? 明るい日差し、照り付ける太陽、青い海━━。 陳腐な言葉ですが、写真集に好まれる風景━━。 だからなのか、意図的なのか、顔に影が多い。 表紙のような写真のオンパレードだ。ちょっとがっかり。 はじける肢体、はじける笑顔が影が多いことでスポイルされてる気がします。 表紙の写真が気に入った方や気にならない方にはいいと思います。
2投稿日: 2015.11.27
そばもん ニッポン蕎麦行脚(18)
山本おさむ
ビッグコミック
何がホントやら
そばをありがたがる文化圏ではないので、違う文化を観るようにこのマンガを読んでます。 今回の後半はカップ麺(そば)が描かれます。「そば」というより「化学調味料」の話に重点が置かれています。 けれども、この作者の良いところは、いちかゼロか右か左か一方的に決めない「ニュートラル」なところ。 今回は、少しニュートラルからは外れ、容認派になっていますが、とにかく天然100%以外は認めない「美味しんぼ」のような押しつけがましさはありません。 「衛生管理がしっかりしている=大丈夫」「国の添加基準を満たしている=安全」というような印象を抱かせるシーンがありますが、これはちょっと危険な気がしますが。 結局は、不安なら自分で調べて自己防衛するのも、国の安全基準を満たしているから大丈夫と盲目的になるのも全ては自分次第です。 自分の「食」を見直すきっかけとなる良いお話です。 前半には、神田やぶの火事からの復活に絡めた話。全体的に「そば」には絡んでいるけれど、蘊蓄を語れるような内容とは無縁になってきた感じがします。 中頃は、ミレーの「種まく人」の種はそばだったのでは!?という推理(?)モノ。これ、おもしろい!少しドキドキしました。 しかし、そばをネタに良くここまで続けてる!がんばれ作者!
0投稿日: 2015.11.27
触法少女
ヒキタクニオ
徳間文庫
結果は思いもつかなかった
他の方のレビューを見て購入。「どんでん返し」が予想もつかなかった。 親から虐待を受けていた上に、捨てられた九子。その母親の消息を調べるところから物語は急速に動き出す。 それらが全ての序章であり、前振りだ。 本の最後四分の一は、 「あぁ、このことと繋がっていたか!」 「そういう設定ってあり!?」 「あの台詞はここに繋がっていたか!?」 「こいつ馬鹿じゃなかったんだ!?」 の連続です。まぁ、ほとんどのミステリーものに共通の、都合の良い部分は当然ありますが・・・、それを差し引いても新しい感覚でした。 最初から犯人が分かっているコロンボのパターンでもなく、誰が犯人かが中心となる推理モノでもない新しい感覚です。 読み進めるうちに、「こうなっていくかぁ~」でも「現実ではないなぁ~」というまさしくミステリーな本でした。 で、この電子書籍には、「解説」が掲載されています。解説って、紙の本ではほとんど読んでなかったり、不要だなぁって思っていたけれど、 この解説は私には結構良くて、「なるほどなぁ。そう読むのかぁ。」と感心しました。是非、解説も読んでみてください。
1投稿日: 2015.11.08
王妃の帰還
柚木麻子
実業之日本社文庫
分からない世界
「ランチのアッコちゃん」シリーズとは、全く違った世界観で驚きました。 女の子の「グループ」とか、グループ間の秩序とかちょっと分からない世界です。男の仲の良い奴らが群れてるってのとはちょっと違うようで・・・。 言われてみれば、中学生の頃の女子って何となくこんな感じだったような・・・。分からないなりに読んでいくのですが、やっぱりよく分かりませんね。 大人になると、「メンドくさ!」とか「アオくさ!」っていう世界なんだと思います。でも、それが楽しかったよなぁって懐かしむ世界です。 女性なら、「そうそう」って納得して読めるんでしょうね。 ただ納得できなかったのは、ピースの綾部がかっこいい人として書かれていたこと。(ファンの方には申し訳ないけれど、)全く分かりません。
1投稿日: 2015.11.03![[図解]池上彰の 世界の宗教が面白いほどわかる本](https://ebookstore.sony.jp/photo/LT00001075/LT000010752000307239_LARGE.jpg)
[図解]池上彰の 世界の宗教が面白いほどわかる本
池上彰
中経の文庫
ちょっと危険かな
世界の宗教を概観するとこのような解説になります。 それは仕方のないことですが、中東紛争やチベット問題が宗教がらみの争いと読めてしまう解説はちょっと残念。 世界のほとんどの紛争は、資源獲得と民族主義からおきているのであるという見解を私は支持していますので、違和感がありました。 また、中東における紛争は、イギリスとフランスによる植民地時代の勝手な国境策定が原因と思いますが、そのことにも全く触れられていません。 宗教と関係ありませんが、紛争の火種が宗教と欧米諸国への反発とミスリードしてしまう恐れがあります。 そして、この手の本を読んでも、「宗教」のことなんて全く分かりません(この本だけでなく、世界宗教解説本の全てです)。 なぜなら、自分がこの世に生まれ落ち、どう生きるのかという壮大な問いに対するある種の答えが「宗教」であり、その教えを信じて生きるということを行わないと、宗教が分かったことにならないと思うからです。 そして、そのように生きている人は、他の宗教にも寛容であると思うのです。 日本は、人生を宗教にゆだねるのではなく、島国ゆえの単一民族だったため、「道徳」で乗り越えることができた希有な民族なのだと思います。
1投稿日: 2015.11.01
娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代「認知症」介護日記
砂川啓介
双葉社
愛を感じます
新聞の広告で「彼女はもう、自分がドラえもんだったことさえ覚えていないかもしれない」とあり、衝撃を受けて購入しました。 私の中では、大山のぶ代さん=ドラえもんの声優さんで、逆にそれ以外の仕事は知らないくらいです。 そんな人が、自分が長くつとめていたキャラクターさえ忘れてしまう・・・。 そのことが衝撃でした。 認知症になると新しい記憶からなくなっていくと聞いたことがありますが、これほどとは・・・。 前半部、夫の砂川さんが、認知症になり、ついさっきのことを忘れていくこと、徘徊、排泄の失敗など、受け入れていくことができない様が描かれます。 決して、深刻に書かれておらず、こんなこともあったんだよ程度に描かれていますが、その当時は、受け入れられず、苦労したことが想像できます。 文章が軽く感じられるのは、砂川さん自体が、妻の認知症を受け入れ、もう、あんなこともあったなぁと言えるようなところまでやっと来られたからだと思います。 後半部、大山さんの認知症と自分の介護を公表してからの展開は、まさしく今現在認知症の方を介護されている方の参考になるのではないでしょうか。 今の妻を、前向きにとらえる。 今、目の前にある人を尊重していく。 過去しっかり者の女房だった大山の部代さん。 故に、認知症後の姿とのギャップが激しい。 けれども、その症状を受け入れていく、その変化の過程に、愛を感じます。 妻がそうなったら、私はそのように振る舞えるか・・・・自信がありません。 夫婦とは何か愛とは何か、そして、どう接すればいいのか・・・・・何もかも頭の下がる思いです。
1投稿日: 2015.11.01
「買いたい!」のスイッチを押す方法 消費者の心と行動を読み解く
小阪裕司
角川oneテーマ21
小売業をやってみたくなる
まず最初に、消費行動と景気は関係ないことが説明されます。 その後、実際に景気に関係なく、また、全国的に売れ筋商品でもない商品が、小売店の工夫によって売れている事例が示されます。 どうやって、そのような商品を売っているかの説明の前に、消費者の購買行動についての説明が行われ、いよいよなぜ売れたかの説明に入ります。 そして最後に、説明された消費行動を起こす消費者をいかに捕まえるかの説明があるのですが、一朝一夕にできるものではなく、日々の努力が必要であることが示されます。 そりゃ、こんな本1冊読んだら、バンバンモノが売れるなんてノウハウはないですね。ただ、立地が悪いから、大手の一括仕入れに勝てないから、景気が悪いからというのは言い訳でしかないと思える1冊です。 私も、小売業やってみたくなりました。←こんな思いで始めると、まず潰れてしまいますが・・・。
0投稿日: 2015.10.29![図解 ミスが少ない人は必ずやっている[書類・手帳・ノート]の整理術](https://ebookstore.sony.jp/photo/BT00001977/BT000019772600100101_LARGE.jpg)
図解 ミスが少ない人は必ずやっている[書類・手帳・ノート]の整理術
サンクチュアリ出版(編)
サンクチュアリ出版
基本が知りたい方に
書籍説明に「発売以来、若手ビジネスマンを中心に大反響!」とあるとおり、働き始めた方対象の本です。 仕事を始めて、5年以上勤務している方なら、ここに書いてあるようなことは、何らかの形で実現できているのではないでしょうか。 もしくは、手帳を何冊も買ってみたり、様々なファイリングの文具を買ったりして、試行錯誤しているのではないでしょうか。 もし、試行錯誤状態にある方や、他人の整理術を知りたいという方には、おすすめしません。 おそらく、試行錯誤する原因となっている内容が書かれているからです。 働き始めは、ここに書かれているような内容で、管理していくのが良いでしょう。そういう意味では、良くできた本です。 しかし、この方法で管理していくと多分、どこかで書類の量に圧倒されてしまう時がくると思います。スケジュールの管理がうまくできなくなる時がくると思います。 ここからが、試行錯誤の始まりです。そして、試行錯誤することが、一人前の証でもあります。 あくまで、基本の「き」が書かれているだけです。 他人の整理術をのぞいてみたい方は、物足りないと思います。
0投稿日: 2015.10.27
