先生の本棚さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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変身
フランツ・カフカ, 中井正文 / 角川文庫
海外古典の入口
1
古典、というほど古くもないですが。
ジッドとかカミュとか、なんだか賢そうな作家たちに挑戦していく入口として、カフカ。
村上春樹好きなら、とりあえずカフカ。
ホラーで文学したい人は、さりげ…なくカフカ。
ヘッセの代表作は青春くさすぎる、ヘミングウェイの釣り話はまだちょっと重い、くらいの人に。おもしろいですよ。 続きを読む投稿日:2013.10.05
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魔女たちの長い眠り
赤川次郎 / 角川文庫
ホラー作家としての赤川次郎
1
赤川次郎はほんとに多作ですよね。読んだ数も40や50じゃきかないと思うんですけど、それでも知らないタイトルがわんさかある。天才だなあ。
赤川さんは、ポップでキッチュな、何て言う言葉がまだ死語でな…かったころに、そう評価されていた作家さん。現代のライトノベル読者層になりうる人たちが、はまっていたのかも知れません。
そんな時代から書いていて、それでいて三毛猫ホームズシリーズとか『セーラー服と機関銃』なんて、いまだに多くの人が知っている。すごいなあ。
で、ミステリが主なんだけど、なかなか良質なホラー小説も書いていらっしゃる。その中でも私が好きな作品が、『魔女たちのたそがれ』と『魔女たちの長い眠り』。読みやすくて、面白くて、何だか悲しかったです。読んでもホラーファンとしてえばれるわけじゃないけれど、おすすめですよ。 続きを読む投稿日:2013.10.03
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死ぬことと見つけたり(上)
隆慶一郎 / 新潮社
隆さん哲学の結晶のような・・・。
1
私にとっての隆慶一郎は、週刊少年ジャンプで好きだった『花の慶次』の原作として『一夢庵風流記』を読んだところから始まりました。たぶん隆慶一郎の入り口としては、『一夢庵風流記』がおすすめです。面白いし、…お話がでっかいし。
ただNo.1はコレだと思うんです。隆慶一郎が描き出す、ただひたすらに格好良い男が。隆さんが消化した『葉隠』哲学の結晶として。
ニートですけどね。
なんせ、毎朝死んでるから、仕事なんてできないんです。爆笑しながら読みました。でも恰好良い。こうありたい。良いなあ、隆慶一郎。 続きを読む投稿日:2013.10.03
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蟲師(1)
漆原友紀 / アフタヌーン
他なる存在への愛
3
目には見えず、存在しているともいいがたく、それでもそこに在るムシ達を描いています。
妖怪物のようなものですが、戦い退治するというより、人の側からのつき合い方を見出していくような感じです。おぞまし…いものもあるし、荒々しいものもあるけれど、何だか優しい世界。10巻で完結してますが、もっと書いて欲しかったなあ。
クチナワの話が好き。 続きを読む投稿日:2013.09.30
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クラインの壷
岡嶋二人 / 講談社文庫
知ってる人は知ってるよね、な本の一つ。
1
「世界が存在していると言うことを証明するのは不可能である」という命題を基にしているホラー小説です。ちょっと前には小林泰三さんなんかを中心として「シュレーディンガーの猫」ものが流行っていますが、その…更に前、これも大流行してました。『マトリックス』シリーズはその最後の輝きかな・・・。
文章力とミステリ的な仕掛けの面白さも秀逸。ホラーやミステリを求めて読書を進めている人は、必ずどこかで出会うことでしょう。
推奨は高校生以上。本好きであれば中学生も。 続きを読む投稿日:2013.09.28
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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
岩崎夏海 / ダイヤモンド社
『もしドラ』を、高校の文化祭実行委員長が読んだら
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教え子にコレ渡したら、更に何冊か自分達で買ってきて、委員会で回し読みしてました。更に『マネジメント』も買ってきて、その内容に夢中に。・・・そこまで行くと、目的見失っている気がするんだけど。
結…果、文化祭が変わったかと言われれば、別にいつも通りだったんですけど。読んだ者同士で「仲間意識」を作るのには役だったんじゃないかな。
中学生、高校生が読んだら、世界が広がり、大人の社会のイメージが少しは見えるようにはなるでしょう。それって、とても大切なことだと思うんです。 続きを読む投稿日:2013.09.28