
プラネテス(1)
幸村誠
モーニング
真っ正面から面白い
生きるのも、働くのも、恋をするのも、死を見つめるのも。 配られたカードで勝負するしかないのさ、って、スヌーピーも言ってます。配られた出会いで選択肢が生まれる。カードは受身で受け取るしかないけれど、それでも自分の意思で選択をしていこう。そうするしか、自分の人生は生きられないから。 こういう真正面な物語、今どき小説ではウケないのかもしれません。むしろマンガの方が、良作を楽しく提供できている気がします。中でも本作は、秀逸。
3投稿日: 2013.09.25
プリズンホテル 1 夏
浅田次郎
集英社文庫
浅田次郎大好きです。
私の思う、浅田作品最高傑作の一つ。 ちなみにもう一作は、『壬生義士伝』。 終わってしまうのが寂しい物語って、ありますよね、本好きなら。もう少し、付き合って欲しい。この人たちの中に、いたい。 大人になってそんな気持ちを抱かせてくれる作品は、そんなに多くありませんでした。 読んで、気持ちよくなって、少し泣いて、「いいな!」って気分に浸りたい。 そろそろ読み返そうかな。秋の夜長に、大好きな飲み物用意して。
3投稿日: 2013.09.25
ボッコちゃん
星新一
新潮社
読書の世界への入門書
本を読む習慣が無い子に、何か読んだことは無いか、面白いと思った本は、と聞くと、8割方「星新一なら」と答えてくれます(中学1年生)。 短くて、知的で、刺激的で、読みやすいんですよね。星さんの本。 朝読書やらで困っている人、子どもさんにとりあえず本を読ませたいお母さん。まずはここから、どうですか? ただし読書感想文には手強いですよ。これで内容のあるモノが書けたら、相当知的。
1投稿日: 2013.09.25
博士の愛した数式
小川洋子
新潮社
一番泣ける本、の一つ
泣ける本とか書かれると、薄っぺらい感じがして、鼻で笑って、食わず嫌いで、読まないで、そのまま過去の本になっちゃうこと、ありますよね。 そんなヤツのめんたまつかんで、この本の最初のページにぐりぐり押しつけたい。 いいから読め、って。 泣けるとか、いいから。気にしなくて良いから。言っちゃってアレだけど、泣けないかもしれないんだけど、いいから読めって。良い本だから。絶対良い本だから。 泣くから。
1投稿日: 2013.09.25
獣の奏者 I闘蛇編
上橋菜穂子
講談社文庫
良質、硬派なファンタジー
女性の書き手さんに「硬派」というのもおかしいけれど。 ライトノベルにこだわらず、あるいはライトノベルは苦手だけど、ファンタジーが読みたいな、という人に。 のめりこみますよ。 小野不由美さんの「十二国記」シリーズもそうだけれど、なんだか女性の方が「硬派なファンタジー」、書けてる気がします。 どちらの方も、多作ではないのが悲しいです。 1作に込められているエネルギーを思えば、無理もないと思いますけど。
8投稿日: 2013.09.25
天地明察 上
冲方丁
角川文庫
力抜いて良いですよ
「みずみずしくも重厚に」なんて言われたら、本好き以外は引いちゃいますよね。本好きであっても、重いのはだめって人も。 この本の作者さんはライトノベルも書いてます。時代劇とか歴史小説に興味が無くても、きっと楽しめますよ。 そして、感じて欲しい。 「数学、カッコイイ」
1投稿日: 2013.09.25
黒い家
貴志祐介
KADOKAWA
最恐です。
何と言う怖さ。 超常が限度を超えると、その作品は読者である我々にとっては「あちら側の物語」になってしまう。その時私たちは、対岸で燃え上がる火事を楽しむ見物客になってしまう。 『黒い家』はそうではない。 現実と非現実の境界部分で微妙なバランスを取りながら、どちらかに傾くことなく作品の最後まで走り抜ける。作品世界の生み出す毒で読者を蝕みながら、怒濤のラストまで描ききる。 貴志祐介さんは、凄い人だな。 こんな人がいれば、ホラー小説の世界にも、まだまだ才能が集まってくるでしょう。
2投稿日: 2013.09.25
天使の囀り
貴志祐介
角川ホラー文庫
過激な描写を求める人限定。
ホラー小説ファンにより圧倒的支持を得る名作。 アイディア・語り口・衝撃度は全て超一級。タイトルの麗しさに反比例するおぞましさが確実に読者を蝕むことでしょう。 まだ読んでいない人はぜひお試しあれ。
0投稿日: 2013.09.25
新世界より(上)
貴志祐介
講談社文庫
中学生もはまる本。
近未来、我々の生きる現実とは少し座標軸のずれた世界で、少女たちは絶望の原点を見極めていく。 世界はかくの如くである。それは変えられるのか。変えていこうという意思により、善なる結果に結びつけることは可能であるのか。 そんな貴志祐介の問いかけが、聞こえてきそうな物語。 ホラーではなく近未来SFと言った方が良いのでしょうが、グロテスクな描写も含んでおり、ホラー要素皆無、というわけではありません。 問いかけは別に置いておくとしても、ダイナミックな謎解きモノとして、非常に優れた物語だと思います。長編が読みたくてたまらない方、ぜひお手にとってみて下さい。
0投稿日: 2013.09.25
重力ピエロ
伊坂幸太郎
新潮社
伊坂幸太郎の入り口
あれよあれよと大ブレークしてしまった伊坂幸太郎作品ですが、どれから読もうか考えているうちに食わず嫌いになる人も。そんな人には、この作品か『オーデュポンの祈り』がおすすめです。 小説は書き出しが命。この作品は、一行でその命を燃やしています。ぜひぜひ。
6投稿日: 2013.09.25
